事業承継を進めるうえで、生命保険の活用は有効な対策の一つです。自社株の取得資金や納税資金の確保、退職金準備、当面の運転資金など、法人が生命保険を活用できる場面は多岐にわたります。

一方で、保険だけで事業承継のすべてが完結するわけではありません。株式の移転方法や後継者の育成、組織体制の整備など、保険では対応できない課題も数多くあります。

この記事では、事業承継における生命保険の具体的な活用方法から、法人保険の種類と選び方、税務上の注意点などを解説します。自社の状況に合った備えを考える際の参考にしてください。

目次
  1. 事業承継で生命保険が役立つ理由4つ
  2. 事業承継で活用する生命保険は「法人契約」がおすすめ
  3. 事業承継に活用できる保険の種類4つ
  4. 事業承継における税務上の注意点
  5. 実務のポイント:保険の設計と見直し方
  6. よくある質問
  7. まとめ

事業承継で生命保険が役立つ理由4つ

事業承継では、株式の移転や経営者の交代に伴い、まとまった資金が必要になる場面が複数あります。生命保険は、こうした資金需要に対して計画的に備える手段として活用されています。

具体的な活用方法として、次の4つの目的に分けて考えると整理しやすくなります。

①自社株の取得資金や相続費用に使える

事業承継で後継者が経営権を握るには、自社株を集中的に保有する必要があります。しかし、業績の良い会社ほど株式の評価額は高くなり、後継者個人がその買取資金や相続税・贈与税の納税資金を用意するのは容易ではありません。

生命保険を活用すれば、あらかじめ必要な資金を保険金や解約返戻金という形で確保できます。受取人の設定によって、保険金を会社に入れるか後継者個人に届けるかを選択できる点も特徴です。

また、後継者以外の相続人がいる場合には、代償分割の資金(他の相続人へ支払う現金)としても保険金を活用できます。株式を後継者に集中させつつ、他の相続人との公平を図るうえで有効な手段となります。

②死亡退職金・弔慰金の財源を確保できる

経営者が在任中に急逝した場合、会社は遺族に対して死亡退職金や弔慰金を支給するのが一般的です。しかし、多額の現金を急に用意するのは会社にとって大きな負担になります。

法人が契約者・受取人となる生命保険に加入しておけば、経営者の死亡時に会社が保険金を受け取り、それを原資として遺族へ死亡退職金を支給できます。保険金は請求後比較的短期間で支払われるため、会社の手元資金を大きく取り崩さずに遺族への支給を実行できる仕組みです。

③勇退退職金を準備できる

経営者が計画的に退任する「勇退」の場合、死亡保険金ではなく、保険の解約返戻金を退職金の財源に充てる方法があります。

在任中に法人名義で保険料を積み立て、退任のタイミングで保険を解約し、戻ってきた解約返戻金を退職金の原資とする流れです。

この方法で重要なのは、退職予定時期と解約返戻率のピークを合わせることです。ピークを過ぎてから解約すると戻る金額が減ってしまうため、承継スケジュールと保険の設計を事前にすり合わせておく必要があります。

④経営者死亡後の事業継続資金に充てられる

経営者の急逝は、会社の信用力に直結するリスクです。取引先からの与信が縮小されたり、金融機関から経営者保証付きの借入金について一括返済を求められたりする可能性があります。

こうした事態に備えて、保険金を当面の運転資金や借入返済の原資として確保しておくことが、万が一のときの事業承継に役立ちます。

売上の減少と資金流出が同時に起きれば、事業の継続そのものが危うくなりかねません。一定のまとまった資金を用意しておくことが、事業の持続性を保つことにつながります。

事業承継で活用する生命保険は「法人契約」がおすすめ

事業承継が目的の場合、保険は経営者個人で契約するだけでなく、法人として契約する方法もあります。

経営者の死亡退職金や、相続人から自己株式取得など、会社側の資金需要に備える方法としては法人契約のほうが活用しやすいといえます。

一方で、事業承継に必要な資金をすべて法人契約で準備するとは限りません。後継者や遺族が直接必要とする納税資金などについては、個人契約を組み合わせる方法もあります。

法人契約と個人契約の違い

生命保険の契約には、契約者(契約の当事者)・被保険者(保障の対象者)・受取人(保険金を受け取る人)という3つの立場があります。また、税務上の取り扱いを判断する際には、実際に誰が保険料を負担しているかも重要です。

法人契約と個人契約の主な違いは、次の表のとおりです。

項目法人契約個人契約
契約者法人(会社)個人(経営者本人など)
被保険者経営者・役員など契約者本人・家族など
受取人法人または個人契約者本人・配偶者・親族など
保険料の主な負担者法人個人
保険金の帰属先指定された法人または個人指定された個人

法人契約の大きな特徴は、会社が保険料を負担し、事業承継に必要な資金を会社側で準備できる点です。会社を受取人にしておけば、保険金を死亡退職金や自己株式の取得などに活用できます。

一方、個人契約では、受け取った保険金は原則として個人の資金となります。そのため、後継者や遺族が負担する相続税の納税資金などを直接準備したい場合に適しています。

会社を受取人にする場合の資金の流れ

法人契約で会社を死亡保険金の受取人に指定すると、経営者の死亡時に保険金が会社へ支払われます。

会社は受け取った資金を、遺族への死亡退職金の支給や、相続人などからの自己株式取得をはじめ、事業承継に伴って発生する資金需要に充てることができます。

特に、経営者の死亡によって急に資金が必要になった場合でも、保険によってあらかじめ財源を確保しておける点は法人契約のメリットです。手元資金だけで対応する場合と比べ、事業資金への影響を抑えながら承継を進めやすくなります。

ただし、会社が受け取った保険金を、そのまま後継者個人の相続税の納税資金として渡すことはできません。個人へ資金を移す場合は、死亡退職金の支給など、それぞれの目的に応じた方法を取る必要があります。

後継者・遺族を受取人にする場合の資金の流れ

後継者や遺族が直接必要とする資金については、個人を受取人とする生命保険を活用する方法もあります。保険金を個人が直接受け取れば、相続税の納税資金や、後継者が株式を取得するための資金として使いやすくなります。

ただし、法人が保険料を負担し、役員やその遺族などを受取人とする契約では、契約内容によって保険料の全部または一部が給与として扱われるため注意が必要です。

そのため、事業承継対策では、まず法人契約によって会社側に必要な資金を準備し、後継者や遺族が直接必要とする資金については個人契約も含めて補完する方法が考えられます。

会社と個人のどちらに、いつ、いくらの資金が必要になるのかを整理したうえで契約を設計することが重要です。

事業承継に活用できる保険の種類4つ

事業承継で活用される生命保険は、大きく分けて4つの種類があります。

種類保障期間解約返戻金保険料の水準主な用途
終身保険一生涯高い(長期で増加)高い死亡退職金・名義変更による資金移転
長期平準定期保険長期(80〜100歳超満了)あり(ピークが長く続く)中程度勇退退職金の積立・長期の死亡保障
逓増定期保険一定期間あり(早期にピーク)中程度短期集中の積立・事業保障の拡充
定期保険(無解約返戻金型)一定期間なし安い限定期間の死亡リスク対応・債務返済資金

それぞれ保障期間や解約返戻金の特性、保険料の水準が異なるため、目的に合った種類を選ぶことが重要です。

①終身保険

終身保険は、被保険者が何歳で亡くなっても保険金が支払われる、一生涯の死亡保障を備えた保険です。

主な活用場面は、経営者の死亡時における死亡退職金・弔慰金の財源確保です。保障期間に終わりがないため、いつ「万が一」が起きても保険金を受け取れる安心感があります。

また、法人名義の終身保険を個人名義に変更し、後継者の自社株買い取り資金(個人資金)として移転する活用方法も可能です(移転時には給与や退職給与などとして処理が必要な場合があります)。

途中で解約した場合も、比較的高い解約返戻金が戻るため、勇退退職金の原資としても計算が立ちやすい保険です。一方で、同じ保障額の定期保険と比べると保険料は高くなります。

経理処理上、支払保険料は原則として全額が「保険積立金」として資産計上され、損金(経費)にはなりません。

②長期平準定期保険

長期平準定期保険は、保険期間が80歳〜100歳超の満了に設定された、一般の定期保険よりも保障期間が非常に長い保険です。

主な活用場面は、経営者の引退時期を見据えた勇退退職金の積立と、在任中の長期的な死亡保障(事業継続資金の確保)です。終身保険と比べて同額の保障に対する保険料を抑えられる点がメリットの一つです。

もう一つの大きな特徴は、解約返戻金のピークが数年程度維持される設計が多いことです。事業承継のタイミングが前後しても、ピーク期間内であれば柔軟に対応できます。

経理処理は、最高解約返戻率の高さに応じて、支払保険料の一部を資産計上し、残りを損金(経費)として処理します。

③逓増(ていぞう)定期保険

逓増定期保険は、加入後に保険金額が一定の割合で段階的に増えていく定期保険です。契約時の保険金額を基準に、最大5倍程度まで増加する商品が一般的です。

主な活用場面は、会社の成長や借入金の増加に伴う事業保障の拡充と、短期間でまとまった退職金・株価対策資金を積み立てる場合です。加入初期は保険料が比較的安く抑えられ、会社のリスク増大に合わせて保障を大きくできる点が特徴です。

また、比較的早い段階(加入後5年〜10年前後が目安)で解約返戻金のピークを迎えるため、数年後に事業承継が確定している場合の短期集中の資金準備に向いています。

経理処理は長期平準定期保険と同様に、最高解約返戻率に基づいた割合で一部を資産計上し、残りを損金として処理します。

④定期保険(無解約返戻金型)

無解約返戻金型の定期保険は、「10年間」「70歳まで」のように期間を区切った掛け捨て型の保険です。解約返戻金をなくすことで保険料を抑えた設計になっています。

主な活用場面は、後継者が育つまでの数年間など限定された期間における経営者の死亡リスクへの備えと、金融機関からの融資に対する連帯保証(債務返済)資金の準備です。4種類のなかで保険料を最も抑えやすく、必要な期間に大きな死亡保障を確保できます。

経理処理は、原則として支払保険料の全額を損金(経費)に算入できます。保険料負担を抑えつつ、必要な期間だけ保障を確保したい場合に適した種類です。

事業承継における税務上の注意点

法人保険に関する税務では、保険料を支払うとき・保険金や解約返戻金を受け取るとき・自社株を評価するときの3つの局面があります。いずれも契約内容や受取人の設定によって扱いが変わるため、自社の契約に即した確認が欠かせません。

加入時から保険金の受取時までを一連の流れとして考え、適切な契約を設計することが重要です。

保険料の損金算入・資産計上

法人が支払う保険料は、「全額が損金(経費)になる」とは限りません。損金に算入できる割合は、受取人が法人か個人か、保険の種類、そして最高解約返戻率の水準によって異なります。

2019年7月8日以後に契約した定期保険・第三分野保険では、保険期間が3年以上で最高解約返戻率が50%を超える場合、原則として保険料の一部を一定期間資産計上します。資産計上する割合や期間は最高解約返戻率の区分によって異なり、返戻率が高いほど資産計上の割合も大きくなる仕組みです。

ただし、一定の少額契約には例外があるほか、終身保険には別の取扱い(全額資産計上)が適用されます。

事業承継では保障内容や解約返戻金だけでなく、保険料をいつ、どの程度損金算入できるのかまで確認したうえで商品を選ぶ必要があります。

保険金や解約返戻金を受け取ったときの課税関係

保険金や解約返戻金を受け取った際の税務は、法人が受け取る場合と個人が受け取る場合で異なります。

会社が受け取った場合

法人が死亡保険金や解約返戻金を受け取った場合、それまで資産計上していた保険料があれば、その帳簿価額を取り崩したうえで、受取額との差額を法人の損益として処理します。

たとえば、受け取った保険金が1億円で、資産計上額が6,000万円であれば、差額の4,000万円が益金に加算される考え方です。ここで、受け取った保険金を原資に死亡退職金を遺族へ支給すれば、その支給によって損金が生じるため、益金との相殺ができます。

ただし、受け取った保険金と死亡退職金が自動的に同額で相殺されるわけではありません。死亡退職金の金額や損金算入時期、会社のほかの損益によって最終的な法人税額は変わるため、事前のシミュレーションが必要です。

個人が受け取った場合

個人が死亡保険金や解約返戻金を受け取る場合は、保険料を個人が負担していたか、法人が負担していたかによって課税関係が異なります。

個人が保険料を負担する契約の死亡保険金は、保険料負担者・被保険者・受取人の関係によって課される税目が変わります。

保険料負担者・被保険者・受取人の関係課税される税目
保険料負担者=被保険者相続税
保険料負担者=受取人所得税・住民税
保険料負担者・被保険者・受取人がすべて異なる贈与税

また、解約返戻金は、保険料を負担した本人が受け取る場合は原則として一時所得、別の個人が受け取る場合は贈与税の対象です。

一方、法人が保険料を負担し、役員・従業員の遺族などが死亡保険金を受け取る契約では、死亡保険金は相続税の対象となる場合があります。法人が支払った保険料の税務上の扱いは契約内容によって異なるため、個別の確認が必要です。

法人から個人へ契約を引き継ぎ、その個人が解約返戻金を受け取る場合は、原則として一時所得の対象です。契約を移した時点でも課税関係が生じることがあるため、受取時だけでなく契約変更時の取り扱いも確認する必要があります。

保険金受取と自社株評価への影響

法人保険は、経営者の死亡時に会社へまとまった資金を確保できる一方、自社株の評価額にも影響する可能性があります。純資産価額方式では、死亡によって確定した生命保険金請求権が会社の資産に加わり、株式評価額を押し上げる要因となるためです。

ただし、保険金を原資として死亡退職金を支給する場合、その金額は自社株評価上の負債として計上されます。さらに、保険差益に対する法人税額等も負債となることから、保険金の受取による純資産の増加がそのまま株式評価額に反映されるわけではありません。

そのため、自社株への影響を考える際は、保険金の受取額だけでなく、その後に支給する死亡退職金まで含めて見ることが重要です。事業承継で法人保険を活用する場合は、こうした資産・負債の増減を踏まえて、保険金額や死亡退職金の支給額を検討する必要があります。

実務のポイント:保険の設計と見直し方

事業承継で法人保険を活用するには、必要な資金の額だけでなく、いつ、何のために使うのかを明確にすることが重要です。ここからは、実際に保険を設計・見直しする際に押さえておきたい実務のポイントを解説します。

保険選びは「事業承継の時期」と「目的」を基準にする

保険を選ぶ際は、事業承継の予定時期と、そのときに必要となる資金の用途を整理しましょう。死亡保障をいつまで確保するのか、解約返戻金をいつ使う予定なのかによって、適した保障期間や商品設計が変わるためです。

承継時期がある程度決まっている場合は、必要な時期と解約返戻金の水準が高くなる時期を照らし合わせて検討します。解約返戻率の推移は商品や契約条件によって異なるため、保険種類だけで判断せず、設計書などで確認することが欠かせません。

承継時期が定まっていない場合は、保障期間の長さや契約変更の選択肢も重要な判断材料です。払済保険への変更などに対応できるかを確認しておけば、事業承継の時期や経営状況が変化した場合にも見直しやすくなります。

また、死亡時の保障と経営者の勇退時に必要な資金では、必要になる時期が一致するとは限りません。一つの契約ですべてをまかなうのではなく、目的に応じて複数の契約に分けることも選択肢の一つです。

必要保障額は目的別に積み上げる

保険金額は大きければよいわけではなく、目的ごとに必要な金額を積み上げて算出するのが基本です。

主な資金需要として、次のようなものが挙げられます。

  • 当面の運転資金(月商の数か月分が目安)
  • 経営者保証付き借入金の返済額
  • 死亡退職金・弔慰金の支給見込額
  • 自社株の買取資金
  • 相続税・贈与税の納税資金
  • 後継者以外の相続人への代償分割資金

これらの金額を洗い出し、必要となる保障額を設定します。会社が継続して負担できる保険料とのバランスを確認し、優先度の高い資金から準備することが大切です。

死亡退職金を支給するための事前整備を行う

法人保険で死亡退職金の財源を準備する場合は、保険への加入だけでなく、支給基準や決議方法などの社内体制も整えておく必要があります。経営者の死亡後に支給額や手続きを一から決めるのではなく、あらかじめ方針を定めておくことが大切です。

役員退職金は、原則として株主総会の決議等によって支給額が具体的に確定した事業年度が損金算入の時期となります。死亡退職金の支給を想定する場合は、誰がどのような手続きで支給額を決定するのか、事前に整理しておくことが重要です。

たとえば、役員退職慰労金規程などで支給対象や算定方法を定めておけば、死亡退職金を決める際の基準が明確になります。保険金の受取から支給までを円滑に進めるためにも、契約時からこうした社内体制を整えておく必要があります。

疑問や不安は専門家への相談が大切

事業承継における法人保険の活用には、保険だけでなく税務・法務・財務の検討も必要です。自社だけで判断するのではなく、それぞれの分野に応じた専門家へ相談するとよいでしょう。

相談する際は、自社株の概算評価額、事業承継の予定時期、既存の保険契約、後継者の候補などを整理しておくとスムーズです。あわせて、必要な資金とその使い道を明確にしておけば、保険で準備すべき金額も検討しやすくなります。

なお、相談内容によって適切な専門家は異なります。

  • 税理士:保険料の経理処理、保険金受取時の課税、自社株評価への影響
  • 弁護士:相続や遺留分への対応、自己株式取得などの法的手続き
  • 保険会社・保険代理店:保障内容、解約返戻率の推移、契約変更の可否
  • 金融機関:借入金や経営者保証への対応

保険会社や代理店だけで完結させず、税務や法務に関わる部分は税理士・弁護士などにも確認しながら設計を進めることが重要です。

よくある質問

事業承継における生命保険の活用について、よく寄せられる疑問をFAQ形式でまとめました。

加入のタイミングや保険金の使い方、承継形態による違いなど、実務で迷いやすいポイントを確認していきましょう。

事業承継の時期が未定でも保険に加入すべきですか?

経営者の死亡リスクは、事業承継の時期が決まっているかどうかに関係なく常に存在します。死亡保障としての生命保険は、時期未定の段階でも加入する意味があります。

一方、勇退退職金の積立を主な目的とする場合は、解約のタイミングによって戻る金額が変わるため、承継時期の見通しが立ってから検討するほうが合理的です。時期が未定の段階では、終身保険や長期平準定期保険など保障期間が長い種類を軸に検討するとよいでしょう。

会社が受け取った保険金を後継者の納税資金に使えますか?

会社が受け取った保険金は会社の資産であり、後継者個人の相続税や贈与税の納税に直接充てることはできません。

後継者へ資金を届けるには、会社から遺族へ死亡退職金を支給する方法や、会社が後継者から自社株を買い取って代金を支払う方法など、間接的な手続きを経る必要があります。

後継者がいない場合にも生命保険は役立ちますか?

後継者が不在でも、生命保険が役立つ場面はあります。たとえばM&Aで会社を売却する際に、既存の法人保険を現金化して売却前の財務体質を整えるケースや、買い手企業がそのまま保険契約を引き継ぐケースがあります。

また、経営者が亡くなり事業を清算する場合にも、保険金を従業員への退職金や取引先への支払い、借入金の返済に充てるなど、関係者への影響を最小限に抑える手段として有効です。

親族内承継と従業員承継で保険の活用方法は変わりますか?

承継形態によって、保険で備えるべき資金の種類は異なります。

親族内承継では、相続税の納税資金や、後継者以外の相続人への代償分割資金が主な論点になります。一方、従業員承継では、後継者(従業員)が株式を買い取るための資金をどう確保するかが中心的な課題です。

承継形態に応じて受取人の設定や保険の種類を変える必要があるため、早い段階で承継の方向性を固めたうえで保険設計に入ることが望ましいでしょう。

既存の個人保険・法人保険を見直したいときのポイントは?

既存の保険契約を見直す際は、次の項目を整理することから始めてください。

  • 契約者・被保険者・受取人の設定
  • 保険金額と現在の解約返戻金の額
  • 払込期間と残りの払込年数
  • 資産計上額(法人契約の場合)
  • 事業承継の予定時期との整合

これらを整理したうえで、現在の契約が承継の目的に合っているかを確認します。目的とずれている場合は、名義変更(法人契約から個人契約への切り替え)や払済保険への変更なども選択肢の一つです。

判断に迷う場合は、保険会社や税理士に現在の契約内容を持参して相談してみましょう。

まとめ

事業承継における生命保険は、自社株の取得資金・納税資金の確保、死亡退職金や勇退退職金の財源づくり、そして経営者亡き後の事業継続資金の手当てなど、幅広い資金需要に対応できる有力な手段です。

一方、後継者の育成や株式の移転、組織体制の整備まで解決できるものではありません。税理士や弁護士、保険会社・保険代理店などと連携しながら、事業承継全体の計画に組み込んで活用することが大切です。

まずは、自社の事業承継においてどの資金需要が最も優先度が高いか整理してみましょう。そのうえで、保険の種類・契約形態・税務上の影響を踏まえた設計を行います。

生命保険を事業承継対策の一つとして正しく活用しながら、株式の移転スキームや遺言・信託といった他の手法と組み合わせて、総合的に準備を進めていきましょう。

\ 経営に役立つ保険プランを提案! /
法人保険比較.netの
専門家マッチングサービス
法人保険のプロに無料で相談できます!
法人保険のプロに無料で相談
  • 法人保険を経営に活用したい
  • いま加入している保険を見直したい
  • 退職金制度や福利厚生を導入したい
  • 事業承継や相続について考えたい
  • 税金対策や財務戦略を相談したい
中小企業から大企業まで幅広く対応!
法人領域を専門とするコンサルタントが、業界の傾向や各種法規も踏まえて
"無料"で貴社に最適な保険プランを提案します。
お申込はこちら