
サイバー攻撃による被害が増加する中、企業のリスク対策としてサイバー保険への関心が高まっています。
しかし、「市場規模はどの程度なのか」「今後どれくらい拡大するのか」という全体像をつかめている方は多くありません。
この記事では、日本市場と世界市場の両面からサイバー保険の市場規模を整理し、成長を後押ししている要因についても解説します。サイバー保険の導入を検討している方や、市場動向を把握しておきたい方はぜひ参考にしてください。
サイバー保険の市場規模の全体像
国際的な市場調査・コンサルティング企業であるIMARC Groupの調査によると、サイバー保険は世界市場が142億米ドル(2024年時点)、日本市場は10億566万米ドル(2025年時点)とされています。
世界のサイバー保険市場では、北米(特に米国)が最も大きな割合を占めるとされており、2024年時点で北米が世界市場の約36.6%のシェアを保有しています。米国では訴訟リスクや規制対応の必要性が以前から意識されており、サイバー保険の導入が早い段階から進んできました。
一方、日本市場は世界全体と比較するとまだ規模が小さく、成長の途上です。ただし、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進やサイバー攻撃の増加、個人情報保護法の改正、そして2025年5月に成立した能動的サイバー防御関連法(サイバー対処能力強化法)といった背景から、今後の拡大余地は大きいと見られています。
いずれにせよ市場拡大は続くと見込まれており、世界市場は2033年に735億米ドル(CAGR17.88%)、日本市場は2034年に47億9,800万米ドル(CAGR18.96%)まで成長すると評価されています。
※CAGR:年平均成長率
【出典】
・IMARC「サイバー保険の市場規模、シェア、動向、予測:コンポーネント別、保険タイプ別、組織規模別、最終用途産業別、地域別、2025~2033年」
https://www.gii.co.jp/report/imarc1820256-cyber-insurance-market-size-share-trends-forecast.html
・IMARC「日本のサイバー保険市場規模、シェア、動向および予測:構成要素別、保険種別、組織規模別、エンドユーザー産業別、地域別、2026-2034年」
https://www.gii.co.jp/report/imarc1954160-japan-cyber-insurance-market-size-share-trends.html
市場規模を押し上げる主な要因
サイバー保険市場が拡大傾向にある背景には、複数の要因が重なっています。
国内では特に、次の3つが主な要因として挙げられます。
サイバー攻撃の増加と被害規模の拡大
ランサムウェアによる業務停止や、情報漏えい事故の発生件数は年々増加しています。
警察庁の「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、2025年のランサムウェア被害報告は226件で、その5割以上が復旧に1,000万円以上かかったとしています。
被害を受けた場合の対応費用(フォレンジック調査、通知対応、損害賠償など)は高額になりやすく、自社だけで負担すると経営に大きな打撃です。こうした金銭的リスクに対する備えとして、サイバー保険は効果的です。
特に、大手飲料メーカーや、製造業・医療機関などのシステム停止が事業継続に直結する業種で被害事例が報じられたことが、保険需要を押し上げる一因になっています。
規制強化・ガイドラインの整備
個人情報保護法の改正により、漏えい発生時の報告義務や本人通知義務が強化されました。これに対応するための費用を保険でカバーするという選択肢が、加入を後押しする要因の一つとなっています。
漏えい等報告・本人への通知が義務化※ されます!!
※令和4年4月1日から、個人データの漏えい等が発生し、個人の権利利益を害するおそれがあるときは、個人情報保護委員会への報告及び本人への通知が必要となります。
引用:個人情報保護委員会「漏えい等報告・本人への通知の義務化について」
また、金融庁や経済産業省によるサイバーセキュリティに関するガイドラインの整備が進んでおり、取引先や業界団体からセキュリティ対策の一環としてサイバー保険への加入を求められるケースも出てきています。
海外では、EUのGDPR(一般データ保護規則)や米国各州のプライバシー法が保険需要を拡大させており、日本でも同様の流れが徐々に広がりつつあります。
企業のセキュリティ意識の変化
ファイアウォールやウイルス対策ソフトなどの技術的対策だけでは、すべてのサイバーリスクを防ぎきれないという認識が広がっています。
対策を講じていても残る「残存リスク」に対して、経済的な備えとして保険を組み合わせるという考え方が重要です。
経営層のリスクマネジメントの一環として、サイバー保険を位置づける企業が増えていることも、市場拡大に寄与しています。
日本のサイバー保険市場:大企業は半数以上が加入、中小企業は拡大余地が大きい
日本のサイバー保険市場は、2010年代後半から本格的な立ち上がりが始まったとされています。損害保険各社がサイバーリスク向けの専用商品を相次いで投入し、企業の情報漏えい事故やランサムウェア被害の報道が増えたことも需要拡大の背景になりました。
監査法人のKPMGジャパンが行った調査では、調査対象の57.9%がサイバー保険に加入し、16.7%が加入を検討していると回答しています。ただし、加入済み企業は大企業が中心で、中小企業の加入が少ないことも指摘されています。
また、日本損害保険協会が中小企業を対象に行った調査でも、加入率は8.8%、加入意向(加入を検討している)は24.0%でした。複数の調査で、中小企業のサイバー保険加入は現状少ないことがわかります。
ただし、加入が進んでいないということは、市場としての成長余地が大きいということです。サイバーリスクが高まるなか、中小企業への普及・浸透が市場規模拡大のカギとなるでしょう。
【出典】
・KPMGジャパン「サイバーセキュリティサーベイ2025」
https://assets.kpmg.com/content/dam/kpmgsites/jp/pdf/2025/jp-cyber-security-survey.pdf
・日本損害保険協会「中小企業におけるリスク意識・対策実態調査2025」
https://www.sonpo.or.jp/sme_insurance/assets/pdf/survey/sme_report2025.pdf
世界市場のトレンドと日本への影響
日本市場の動向をより正確に把握するためには、海外市場のトレンドも参考になります。
サイバー保険の普及が進んでいる海外で起こっていることは、市場規模の拡大途上である日本でも「将来起こり得る未来」であるためです。
具体的なトレンドとしては、以下の3つが挙げられます。
- ①引受基準の厳格化
- 海外では保険料の高騰(30%以上の値上げ事例も)や引受時のセキュリティ要件の厳格化が進んでおり、日本でも同様の動きが広がる可能性があります。
- ②ファーストパーティ補償の拡大
- 世界的に、第三者への賠償責任だけでなく、自社の事業中断損失やデータ復旧費用など、ファーストパーティ(自社向け)補償の需要が増加しています。
- ③AI関連リスクの台頭
- AIの悪用による新たなサイバー脅威(ディープフェイクを用いたフィッシング、AIによる攻撃の自動化など)が保険商品の設計にも影響を与え始めています。
加入を検討するときは、こうした「未来にありえる変化」も考慮することで、より持続的な補償体制の構築に役立つでしょう。
まとめ
サイバー保険の市場規模は、日本・世界ともに拡大傾向にあります。日本市場はまだ成長途上にありますが、サイバー攻撃の増加、規制強化、企業のセキュリティ意識の変化といった要因が需要を押し上げています。
サイバー保険を検討する際は、市場全体の動向だけでなく、自社にとって必要な補償内容と付帯サービスを把握することが大切です。大企業・中小企業のどちらも「サイバー被害者」となり得るため、自社の規模・業種・業態・保有する重要情報などに適した保険を選びましょう。
まずは、自社が必要とする補償範囲を整理し、セキュリティ対策と合わせてサイバー攻撃への備えを準備しましょう。保険会社や保険代理店に相談すれば、リスク診断や保険商品の提案・比較などができるため、積極的な活用をおすすめします。
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