
税金対策は正しく行うことで、中小企業にとってさまざまなメリットを生み出します。
役員報酬の設計や、小規模企業共済の活用などは、税制上のメリットだけでなく、経営者や役員の将来に備えることにもつながります。
また、出張手当制度や在庫の評価損、不要な資産の処分なども、押さえておきたい実務ポイントです。生命保険を活用する場合の注意点もあわせて確認しておきましょう。
それでは、しっかりと手順を踏んで税金対策を行っていく方法を詳しく解説していきます。
必ず抑えたい中小企業の税金対策
コツコツと事業活動を続けていき、利益が上がる段階になって意識したいのが「税金対策」です。
税金対策は、単に税額を減らすだけでなく、手元資金を確保し、将来の投資やリスク対応に備えるという意味でも重要です(繰延を含む)。
一口に税金対策といっても、単年度のことだけを考えれば良いというものではなく、中長期的な視点が必要です。具体的な計算などは税理士にお願いをするとしても、どういった対策が自社に適しているかという判断は、経営者自身も押さえておくと安心でしょう。
決算期の間際に慌てて税金対策しようとしても、税務上の根拠が弱いと認められない可能性があります。効果的に税金対策をしていくためには、場当たり的な対応にならないように年間の税金対策スケジュールを立ててから実行していきましょう。
無駄遣いにならないように心がけて、毎月の利益を把握しておくことも大切です。そのうえで対策を重ねていけば、足腰の強い企業づくりにもつながります。
効果的な税金対策とは、将来的な業績向上につなげる前提で税務メリットを得ることであり、必要性の薄い支出で利益を圧迫することではありません。資金繰りや金融機関評価も含めて、バランスよく進めましょう。
対策1.役員報酬の見直し
税金対策として、まず検討しやすいのが「役員報酬の見直し」です。
役員報酬は、税務上の要件(例:定期同額給与として支給する等)を満たす範囲で、原則として損金に算入できます。そのため、報酬設計を見直すことは中長期の税金対策としても取り入れやすい方法のひとつです。
ただし、事業年度の途中で金額を変えると損金算入が認められないことがあるため、期首からの設計が重要です。
なお、期中に役員賞与を支給して損金算入を目指す場合は、事前確定届出給与など所定の手続・要件が必要になります。支給の可否や手続のタイミングはケースで変わるため、事前に税理士等へ確認しましょう。
また、役員報酬は個人側では所得となり所得税・住民税の対象です。役員報酬を必要以上に高くしてしまうと、会社側の損金が増える一方で個人の税負担が増える可能性があるため、会社と個人のバランスを見ながら設計することが大切です。
対策2.小規模企業共済
税金対策と退職金準備をあわせて考えるなら、「小規模企業共済」を検討する方法もあります。
ただし小規模企業共済は、会社(法人)の法人税対策というより、経営者個人(役員)の所得税・住民税の負担を軽くする観点で活用される制度です。掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として、確定申告で所得控除の対象になります。
いざというときの事業資金の借入れに活用できる制度もあるため、経営の安定化につながる面もあります。
共済金の受け取りは、退職・廃業などのタイミングで行い、一括受取は退職所得、分割受取は雑所得として扱われます。控除等により税負担が軽くなることがあるため、受取方法も含めて検討するとよいでしょう。
受取額は加入期間や受取事由などの条件によって変わり、短期間での解約等では掛金総額を下回る場合もあります。制度の条件を確認したうえで検討しましょう。
対策3.出張手当制度
税金対策として見落としがちなのが「出張手当(出張旅費)」です。遠距離の出張に赴いたときの交通費や宿泊費、日当などを、従業員が申請し忘れているケースも少なくありません。
出張旅費(交通費・宿泊費・日当など)は、社内規程に基づき、その旅行について通常必要と認められる範囲で支給・精算することが重要です。金額が過大だと給与等として扱われる可能性もあるため、出張旅費規程を整備したうえで運用しましょう。
出張旅費規程を作る際は、たとえば次のような項目を決めておくと運用がスムーズです。
- 対象となる出張(距離・宿泊の有無・目的など)
- 交通費・宿泊費・日当の区分と支給基準
- 役職別の差を設ける場合の考え方
- 精算方法(領収書・出張報告・申請フロー)
規程をしっかり定めておくことで、経費処理に関するトラブルを防ぎ、税務上根拠を求められたときの資料にもなります。
対策4.在庫の評価損計上
税金対策のひとつとして「在庫の評価損」を検討する方法があります。
ただし在庫の評価損は、税務上認められる要件があります。「今後、通常の価額では販売できないことが明らか」などの事情と、根拠資料をセットで用意したうえで進めることが大切です。
売れ残ったままの在庫で、今後も売れる見込みが薄いものについては、評価損の可否を検討しましょう。棚卸資産の評価方法には原価法と低価法がありますが、どちらの場合でも、評価の根拠や社内での意思決定の記録が重要になります。
時価や販売可能価額の立証は難しいことも多いため、外部の専門家の助言も得ながら進めると安心です。
評価損以外の方法として、在庫を処分して廃棄損を計上するケースもあります。不要な在庫を抱え続けると管理コストもかかるため、早めに損切りする判断が合理的な場合もあるでしょう。
ただし、廃棄したからといって必ず損金算入できるとは限りません。廃棄に至る稟議書、廃棄処分の写真、処分業者の証憑など、客観的な証拠を残しておく必要があります。
対策5.不要な固定資産を処分
すでに使わなくなった固定資産を処分することも、税金対策のひとつです。購入時の価格が高い資産ほど、固定資産除却損等として計上できる余地が出る場合があります。また、不要な資産を処分することは固定資産税などの負担を減らすことにもつながります。
帳簿上は資産であっても、建物や土地を維持するにはコストがかかります。除却に必要となった費用(取り壊し費用等)も、状況により経費として扱われることがあります。
すぐに建物の取り壊しができなくても、現状のままの状態で除却する「有姿除却(ゆうしじょきゃく)」といった考え方が問題になる場合もあります。※税務上の取扱いは事実関係で変わるため、実行前に必ず確認しましょう。
注意点としては、除却損を計上するためには今後一切の使用がないことが前提となる点です。一時的に使っていないだけでは認められない可能性があるため、根拠資料を整えておく必要があります。
また、固定資産の処分等で欠損金が生じた場合、青色申告の要件などを満たせば、欠損金を一定期間(原則10年)繰り越して将来の所得と相殺できる制度があります。ただし、損金算入できる欠損金額は各事業年度の所得金額が上限となり、法人の区分等によって限度が異なる場合もあるため、適用関係は事前に確認しましょう。
不要な固定資産を圧縮することは、財務面でもプラスに働くことがあります。土地や建物など金額の大きい資産を処分することでバランスシートが軽くなり、総資本経常利益率(ROA)が改善するなど、金融機関等からの見え方が良くなる場合もあります。
目先の税金対策だけを考えるよりも、中長期的な視点で経営にとってメリットの多い方法を考えることが大切です。税理士など外部の専門家の力も借りながら、進めていきましょう。
中小企業が生命保険加入で税金対策をする際の注意点
税金対策の一環として、生命保険を活用する方法もあります。生命保険は、契約内容によって保険料の一部を損金算入できるケースがあり、設計次第では全額損金として扱えるタイプもあります。
一方で、損金算入の可否・割合は、保険種類や解約返戻金の設計、契約形態(契約者・被保険者・受取人の設定)などによって変わります。加入前に、経理処理と受取時の課税まで含めて確認しておきましょう。
たとえば、従業員の福利厚生として医療保険や養老保険に加入する、経営者の退職金準備や事業承継の資金形成として備えるなど、具体的な目的を持って検討することが大切です。福利厚生制度の充実は、モチベーション向上や定着にもつながります。
また、保険に加入する際は保険料負担にも注意が必要です。利益が出ている年ほど対策を取りたくなりますが、いくら損金算入できる可能性があるからといって、過大な保険料負担は避けたほうが無難です。業績が落ち込んだときに保険料が資金繰りを圧迫し、短期解約で想定外の損失につながることもあります。
満期保険金や解約返戻金がある契約では、受取時に利益計上となり税負担が増える場合があります。生命保険は税務メリット(繰延を含む)も期待できる一方、判断の軸は「いつ・何の資金に充てるか(出口)」を先に決めておくことです。出口が曖昧なままだと、受取時の課税や資金繰りで想定外が起きやすくなります。
保険金の受け取りと同じタイミングで退職金などの支出を予定するなど、全体のバランスを見て設計しましょう。どのような保険が自社の安定につながるかを、比較しながら検討してみてください。
中小企業の税金対策は計画性が重要!
税金対策が必要だからといって、場当たり的な方法では効果が出にくいものです。
決算間際になって大量の経費を計上してしまうと、税務上の根拠が弱くなることもあります。税金対策は短期的な視点ではなく、中長期的な視点に立って行っていく必要があります。
役員報酬の設計や小規模企業共済の活用は、経営者・役員の将来に備えながら税負担を調整しやすい方法です。出張旅費規程を整備すれば、経費精算がスムーズになるだけでなく、社内のコスト意識を高めるきっかけにもなるでしょう。
在庫の評価損や不要資産の処分は、税金対策だけでなく、無駄な管理コストの削減にもつながります。会社を点検すれば、見直せる在庫や資産が見つかるかもしれません。
また、生命保険は損金算入の可能性を含めつつ、経営者や従業員にとってプラスになる面もあります。目的と出口、保険料負担のバランスを押さえたうえで検討しましょう。
普段から計画的なスケジュールを立てて、税金対策と向き合っていく姿勢が大切です。
法人保険比較.netの
専門家マッチングサービス

- 法人保険を経営に活用したい
- いま加入している保険を見直したい
- 退職金制度や福利厚生を導入したい
- 事業承継や相続について考えたい
- 税金対策や財務戦略を相談したい
法人領域を専門とするコンサルタントが、業界の傾向や各種法規も踏まえて
"無料"で貴社に最適な保険プランを提案します。


















