
食品業者や製造業者の強い味方として検討されることが多いPL保険(生産物賠償責任保険)。
PL事故が起こった場合、自社で生産・施工したものだけでなく、仕入れて販売・提供する販売業者にも賠償責任が及ぶ可能性があります。そのため、製造・生産・販売を行う企業は、PL保険を選択肢として検討するケースが多いと言えるでしょう。
最近では、PL事故の賠償リスクに備える観点から、取引先からPL保険加入を求められるケースもあります。
この記事では、PL保険を検討されている企業の方に向け、検討されやすいPL保険(および関連する費用補償)をランキング形式でご紹介します。また、法人がPL保険を検討する際に押さえておきたいポイントも解説します。
なぜPL保険(生産物賠償責任保険)の加入を検討する企業が多いのか
はじめに、多くの企業がPL保険(生産物賠償責任保険)を検討する理由についてご紹介します。
PL保険が企業にとって重要とされる理由は、なによりも「PL事故は賠償リスクが大きくなりやすい」点にあります。
PL事故は、企業が生産・加工・販売したものの欠陥などにより顧客に損害を与えてしまう事故を指します。製品欠陥と損害の因果関係が立証された場合、企業は法的な損害賠償責任を負うことになります。
どれだけ企業側が気を付けたとしても、PL事故の発生リスクをゼロにすることは難しいです。もしPL事故が起こった場合、損害賠償金に加え、顧客対応、問い合わせ対応、回収(リコール)などの対応コストが重なることがあります。
また、自社の名前・ブランドへの影響から、事故後の売上低下などの間接的な損失が起こる可能性もあります。
PL保険は、PL事故によって生じる金銭的負担を保険金という形で軽減できる場合があります。加えて、事故発生時の連絡や手続きの流れを事前に把握しておくことで、初動対応がスムーズになることもあります。
不慮の事故が発生した場合には、被害を受けた購入者・利用者への初期対応を、可能な限りすばやく丁寧に行うことが大切です。補償内容とあわせて、事故時の連絡先・対応フローも確認しておくと安心です。
PL事故のイメージ:まず押さえたい3パターン
「PL事故の金額」を一律の数値で示すと、業種・製品・販売形態・被害範囲によって振れ幅が大きい点が伝わりにくくなります。ここでは、事故の代表パターンと、保険設計で確認すべきポイントに絞って整理します。
- 対人事故:製品の欠陥や使用上の問題が原因で、けが・後遺障害などが発生
- 対物事故:製品が原因で、第三者の財物に損害(火災・破損など)が発生
- 回収(リコール):事故発生、またはそのおそれが客観的に明らかになり、回収・社告・対応窓口等の費用が発生
保険設計で確認しておきたいこと
- 支払限度額:1名・1事故・保険期間の上限(高額化しやすいケースほど重要)
- 免責金額:自己負担の設計(免責の有無・金額で実際の受取額が変わります)
- 費用補償の有無:回収等の費用は、PL本体と別枠の特約で備える設計が多い
※補償可否は、約款・特約・支払限度額・免責金額などの契約条件で変わります。実際の加入検討時は、必ず最新の見積条件・重要事項説明書等で確認してください。
関連記事:PL保険はどこで加入する?相談窓口を解説
業種別のPLリスク
次に、PL保険を検討すべき業種についてみていきましょう。
そもそもPL(製造物責任)とは、「製品の欠陥によって、第三者(消費者や利用者など)の生命や身体もしくは財物について負う損害賠償責任」を指します。
そのため、製造・生産だけでなく、販売を含めた流通に関与している業者全てが考えるべきリスクと言えます。
ここでは業種別に起こりうるPLリスクの一例をまとめてみました。
業種別のPL事故リスク
| 製造業 | 製造した製品が発火し消費者にケガ、または火事にさせた。 |
|---|---|
| 工事業 | 工事中に不備があり、工事先の建物が破損した。 |
| 卸売業 | 卸先で、納入した食品が原因で食中毒が広まった。 |
| 飲食業 | 提供した食事が原因で消費者が食中毒になった。 |
| エステ業 | 施術後、消費者の体に異変が起こった。 |
紹介したのは一部の例ですが、当然ここで紹介していない業種でもPL事故のリスクを持っている点は押さえておきましょう。
自社で製造をせず販売だけを行っている場合でも、「販売する前に製品の欠陥をきちんとチェックしていなかった」などの事情で賠償責任を問われる可能性があります。
「うちは製造を行っていないからPL保険は不要」と思っても、事業内容・取扱い品目・取引条件によって判断が変わることがあるため、迷う場合は専門家に確認するのが確実です。
少しでも不安要素がある場合には、損害保険会社や保険代理店などに相談し、自社に必要な補償の範囲を一緒に確認してみてはいかがでしょうか。
見積もりや相談をしてみて、補償内容・保険料のバランスに納得できなければ加入しないという判断をするのも一つです。
おすすめのPL保険ランキング
様々な業種で、PL保険を検討している経営者の方は多いかと思います。
ただし、PL保険は補償範囲や特約構成によって中身が変わるため、単純な順位付けが難しい分野でもあります。
そこでここでは、検討されやすい代表的な3タイプを、比較しやすい形でランキング形式でご紹介します。
※業種・取引形態・補償範囲によって最適な保険は変わります。最終的には見積条件を揃えた上で比較するのがおすすめです。
1位:AIG損保「ALL STARs」
ランキングでまずご紹介するのは、AIG損保の「ALL STARs」。
ALL STARsは、国内賠償に加えて、海外賠償や生産物・完成作業に関する補償、さらに事故対応に伴う費用面まで、必要に応じて組み合わせて設計しやすいタイプです。
- 国内賠償(施設・業務遂行/生産物・完成作業など)をベースに設計
- 海外取引がある場合、海外賠償まで含めて検討しやすい
- 回収(リコール)等の費用補償は、オプション特約で備える設計が一般的
2位:三井住友海上「生産物賠償責任保険」
三井住友海上の「生産物賠償責任保険」は、製品(生産物)を引き渡した後(提供した後)や、工事・作業が終了した後に、その欠陥などによって偶然な事故が起き、第三者に損害を与えた場合の賠償リスクに備える保険です。
オプションに「不良完成品損害補償特約」や「食中毒・特定感染症利益補償特約」などがあり、基本補償ではカバーされない賠償に対応する設計も可能です。
- 製品(生産物)を引き渡した後、その欠陥に起因して生じた偶然な事故による賠償責任を補償
- 工事・設置・修理・清掃などの仕事が終了した後、その欠陥に起因して生じた偶然な事故による賠償責任を補償
3位:チャブ保険「生産物回収費用補償特約」
回収(リコール)対応では、回収・交換だけでなく、社告、問い合わせ窓口の設置、返送費用など、費用が先に発生しやすい点が悩みどころです。
そこで、PL本体(賠償)とは別に、回収等の実施により生じた費用を補償する回収費用系の特約を組み合わせて備える方法があります。チャブ保険の生産物回収費用補償特約は、その代表例として検討されます。
- 回収等の実施により生じた費用を補償する設計(条件あり)
- 支払限度額・縮小支払割合・免責金額の設定があるため、実質の受取額を試算しておくと安心
PL保険の保険料はいくら?
PL保険の保険料は、売上高、業種、対象となる製品・業務内容、支払限度額、免責金額、特約の有無などで変わります。
下記は、三井住友海上のパンフレットで示されている保険料例です(あくまでシミュレーションです。実際の契約と異なる可能性があります)。
【例1:飲食店(見込売上高が3億円の場合)】
| 補償内容 | 保険料 ※各種割増引適用前 |
|
|---|---|---|
| 身体障害に対する支払限度額 | 財物損壊に対する支払限度額 | 約30万6,000円/年 (月額換算で約2万5,500円) |
| ・1名につき最大1億円 ・1事故および保険期間中に最大2億円 ・免責金額1事故につき1,000円 |
・1事故および保険期間中に最大1,000万円 ・免責金額1事故につき1,000円 |
|
【例2:ビル建設業(見込年間完成工事高が5億円の場合)】
| 補償内容 | 保険料 ※各種割増引適用前 |
|
|---|---|---|
| 身体障害に対する支払限度額 | 財物損壊に対する支払限度額 | 約29万3,000円/年 (月額換算で約2万4,400円) |
| ・1名につき最大5,000万円 ・1事故および保険期間中に最大3億円 |
・財物損壊に対する支払限度額:1事故および保険期間中に最大3,000万円 | |
参照:三井住友海上「生産物賠償責任保険」
実際は各種条件の組み合わせで見積が変わるため、自社条件で見積を取って比較するのが確実です。
- 見積条件(売上、取扱い品目、販売先、輸出有無)を揃える
- 限度額(1事故・保険期間)と免責を同じ水準で比較する
- 回収費用などは「特約の有無」で差が出るため、必要性を先に決める
※保険料は年度ごとに変わる場合があります。目安表だけで判断せず、最新条件での見積確認をおすすめします。
「もしも」に備えるPL保険ランキングまとめ
企業にとって、いつ起こるか予測できないPL事故。万が一の賠償責任リスクに備えるためにも、PL保険は有力な選択肢の一つです。
PL保険を選ぶ際は、「対人・対物の賠償」だけでなく、回収(リコール)等の費用補償をどう持つか、限度額と免責をどう設計するかが重要になります。
今回ランキングでご紹介したのは代表的な3タイプですが、PL保険は多くの損害保険会社から販売されています。自社の業種・取扱い品目・取引条件に合う補償内容と保険料を比較して、最適なプランを検討してみてください。
当サイトでは、法人保険を扱う保険代理店と提携し、PL保険の見積もりや、複数保険会社の補償を比較したプラン提案などのご相談にも対応しています。
「自社に必要な補償の範囲を確認したい」「回収費用まで含めて設計したい」「複数社の見積条件を揃えて比較したい」といった場合は、電話もしくはWebからお気軽にお問い合わせください。
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