新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、法人保険の保険料の支払いが苦しくなっている会社が増加していますが、保険料の支払いが困難になった場合は、「払済保険」に変更することで保険料の支払いをストップすることができます。
ただし、令和元年6月の法人保険に関する改正により、法人保険を払済みに変更した際の「洗い替え」の取扱いが一部変更になりました。
この記事では、法人保険を払済保険へ変更する際の「洗い替え」処理の取扱いについて解説していきますので、経理処理で困らないようにしっかり確認しておきましょう。
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法人保険の払済みとは

冒頭でも触れたとおり、法人保険を払済保険へと変更した場合には「洗い替え」処理が必要になります。
「洗い替え」について解説する前に、まずは「法人保険を払済保険にする」とはどういったことを指すのかについて確認しておきましょう。
払済保険は解約返戻金を活用した保険の見直し方法のひとつ
払済保険とは、経営難などで保険料の支払いが厳しくなった場合などに、契約内容(主に保障額)を変更して保険料の支払いをストップすることをいい、法人保険の見直し方法のひとつとされています。
法人保険の保障額を減額することで保険料を安くして、その時点での解約返戻金を「一時払い保険料」として充てるという仕組みです。
契約中の法人保険を払済保険にした場合、その時点で保険料の払い込みはストップするので、以降の法人保険料を支払う必要はありません。
また、解約ではないため法人保険の保障は継続して受け続けられるほか、解約返戻金は増加していくというメリットもあります。
ただし、変更前の契約よりも保障金額は減額されることや、変更時に解約返戻金は発生しないという点に注意が必要です。
払済保険は「洗い替え」の経理処理が必要
ご紹介したように、法人保険の保険料の支払いが厳しいときは、払済保険にすることで保険料支払い負担を軽減できるなどのメリットがありますが、経理処理上注意すべき点があります。
それは、法人保険を払済保険に変更した後は、原則として「洗い替え処理が必要になる」ということです。
では「洗い替え」とはどのような処理のことをいうのか、次章で詳しく確認していきましょう。
■おすすめ関連記事: 法人保険の出口戦略とは?適切な対策方法を解説【改正後】法人保険の洗い替えとは

法人保険を払済保険に変更した際に必要な「洗い替え」の経理処理については、「原則」と「例外」のふたつの処理方法があります。
なお、この章の解説は、法人保険料の全額(傷害特約等に係る保険料の額を除く)が役員または従業員への給与となっている場合は対象外となりますのでご注意ください。
法人保険の洗い替え①:原則的な経理処理
法人保険を払済みにした場合は、原則として洗い替え処理を行う必要があります。
具体的には、法人保険を払済みに変更した時点の解約返戻金相当額から資産計上額を差し引いた金額を益金または損金に算入します。
[洗い替え経理処理]
解約返戻金相当額-資産計上額=雑収入(雑損失)
税務処理上、法人保険を払済みにした時点で一旦解約し、その解約返戻金を新しい法人保険の保険料に充当したと考え、洗い替え処理が必要とされます。
会社に解約返戻金が全く入金されないにも関わらず、「雑収入」が計上されて(利益が出て)しまうので、法人税の支払い負担が増加してしまいます。
法人保険の洗い替え②:例外的な経理処理
例外的な経理処理として、単体の養老保険、終身保険、年金保険(定期保険特約が付加されているものを除く)から同種類の払済保険へ変更した場合は、洗い替え処理は不要となっています。
保険事故の発生または解約失効などで契約が終了するまで、資産計上を継続しても良いとされています。
というのも、払済保険は既契約と保険期間が同じで、単に保険金額が減額されるだけなので、養老保険などの場合に積立保険料として資産計上した金額は理論上変動しないため、課税上の問題が生じないことが理由のひとつとなっています。
税制改正通達による変更点
今回通達された改正では、上記の例外となる保険に定期保険と第三分野保険が追加されました。
つまり、これまでは法人保険の洗い替え処理が例外的に不要とされるのは養老保険、終身保険、年金保険だけでしたが、税制改正により定期保険と第三分野保険も洗い替えが不要になったということです。
ちなみに、「第三分野保険」とは、医療保険やがん保険、介護保険(民間の保険会社が取り扱っているもの)などが該当します。
この通達を受けて、法人保険として定期保険や第三分野保険に加入していた会社が、払済保険に変更するケースが増加すると考えられます。
税制改正日前に加入した定期保険や第三分野保険の処理
税制改正日前(令和元年7月8日より前)に加入した定期保険や第三分野保険を、税制改正後に同種類の保険に払済みした場合の税務上の取扱いについては注意が必要です。
実務上は、税制改正日前に加入した定期保険や第三分野保険であっても、税制改正日後に同種類の払済保険に変更する場合は、改正日後の税務取扱いが適用される(洗い替えは不要)というケースもあります。
しかし、税制改正の通達上、洗い替えが不要という例外処理ができるのは、令和元年7月8日以降の契約と解釈されるため、同種類の払済保険への変更と認められず洗い替え処理が必要になるケースもあります。
洗い替えの可否について判断に迷ったら、国税庁に問い合わせるなどして正確な経理処理ができるようにしましょう。
まとめ
法人保険の保険料払い込みが厳しい場合は、解約返戻金を活用した払済保険に変更することで保険料の支払いをストップし、保障額は減額となりますが当初の期間通り保障を受けることができます。
法人保険を払済みに変更する場合は、原則として洗い替えの経理処理が必要です。
しかし、例外的に養老保険や終身保険、年金保険は洗い替えは不要とされ、また税制改正の通達により、定期保険や第三分野保険も洗い替えが不要になりました。
会社の経理処理においては、国税庁からの通達などの情報をチェックし、適正な処理を行うよう心がけましょう。
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