生命保険
長期平準定期保険の解約返戻金を活用する方法は?具体例と仕訳の注意点

準定期保険の解約返戻金は何に使う?経理処理のやり方や他の保険との違い

長期平準定期保険の解約返戻金を活用する方法は?具体例と仕訳の注意点

長期平準定期保険の解約返戻金とは、契約を途中解約した際に保険会社から払い戻される金銭のことです。

長期平準定期保険は保険期間が長く、解約返戻率も高くなることから、解約返戻金にもさまざま活用方法が存在します。

本記事では、長期平準定期保険における解約返戻金の特徴から、具体的な活用方法までを詳しく解説。経理処理の基本ルールについてもお伝えします。

解約返戻金を適切に活用し、自社の経営に役立てましょう。

長期平準定期保険における解約返戻金の特徴とは?

長期平準定期保険における解約返戻金の特徴とは?

長期平準定期保険は、長期の保険期間が特徴の定期生命保険(満期がある生命保険)です。

主に、経営者や役員の退職金準備や、将来の事業資金を確保するために利用されます。

長期平準定期保険の解約返戻金は契約期間とともに増加し、10年〜30年でピークを迎えた後、満期時にゼロになるのが一般的です。

契約初期と満期直前は解約返戻金が少なくなるため、解約のタイミングは計画的に考える必要があります。

長期平準定期保険の解約返戻金を活用する方法

長期平準定期保険の解約返戻金を活用する方法

長期平準定期保険における解約返戻金の使い道は、おもに4つあります。

  • 退職金の原資にする
  • 事業の運転資金に充てる
  • 他の保険へ再投資する
  • 契約者貸付制度で借入を行う

ここから、活用する方法を詳しく見ていきましょう。

退職金の原資にする

役員などの退職時期にあわせて解約すれば、解約返戻金を退職金の資金に活用できます。

高額な退職金は、中小企業にとって資金繰り悪化につながる恐れもありますが、保険で事前に準備しておけば負担も減らせます。保険期間が長い分、解約返戻金のピークやそれに近い期間が長い点もメリットです。

また、解約返戻金による益金を、退職金による損金と相殺できるので、当年度の税負担を抑える効果もあります。

事業の運転資金に充てる

長期平準定期保険は保険料の変動もなく、資金形成にも効果的です。将来的にまとまった出費が予想される場合は、解約返戻金を原資として活用できます。

長期平準定期保険の解約返戻金を事業に充てる場合、次のような活用方法が挙げられます。

  • 事業拡大への投資…新規事業の立ち上げや設備に再投資する
  • 事業保障対策…経営者の死亡や売上の減少、自然災害などに備える
  • 事業承継資金…株式の買い取りにかかる資金や相続税・贈与税などの資金に充てる

保険期間は長期となるので、ロングスパンでの財務戦略に組み込んでみるとよいでしょう。

他の保険へ再投資する

解約返戻金を一時保険料として、他の保険商品へ乗り換えるのも活用方法の1つです。

企業を取り巻く状況は刻々と変わるため、変化に合わせて最適な保険に再投資することで、効果的な活用が可能になります。

自社の成長フェーズによって必要な保険は変わるため、定期的な見直しを実施しましょう。

契約者貸付制度で借入を行う

契約者貸付制度とは、解約返戻金を担保にお金を借りる制度で、それまで積み立てた解約返戻金の7割〜9割程度を借りられます。

銀行などの融資と比べるとスムーズに借りられ、金利も低めに設定されます。

また、返済は保険期間終了までに済ませれば良く、完済すれば解約返戻金の満額受取も可能です。

事業で緊急資金が必要になった際には、契約者貸付制度の利用を検討してみましょう。

長期平準定期保険の解約返戻金を仕訳する方法

長期平準定期保険の解約返戻金を仕訳する方法

解約返戻金を受けとったときの経理処理は、損金算入のルールをしっかり理解していく必要があります。

現行の税制をもとに、長期平準定期保険の経理処理と解約返戻金の仕訳について解説します。

経理処理の基本ルール(保険料支払いに対する処理)

まずは、保険料の支払いに対する経理処理を把握しましょう。

支払った保険料は、最高解約返戻率に応じて損金算入できる割合が決まっており、残りは資産として計上します。

最高解約返戻率 資産計上期間 資産計上額 取崩期間
50%以下 なし なし なし
50%超〜70%以下 保険期間開始日から40%を経過するまで 保険料の40% 保険期間の75%経過後から終了日まで
70%超〜85%以下 保険期間開始日から40%を経過するまで 保険料の60% 保険期間の75%経過後から終了日まで
85%超 次のいずれか長い期間まで
①保険期間開始日から最高解約返戻率となる期間の終了日まで
②①の期間経過後で「(当年の解約返戻金相当額-前年の解約返戻金相当額)÷年換算保険料相当額」が70%を超える期間
保険期間開始日から10年経過するまでは「保険料×最高解約返戻率の90%」、11年目以降は「保険料×最高解約返戻率の90%」 解約返戻金相当額が最も高い金額となる期間経過後から保険期間終了日まで

※1人あたりの年間保険料が30万円以下で、最高解約返戻率が70%以下の定期保険も全額損金計上。

表が示す通り、最高解約返戻率が高くなるほど損金算入できる割合は少なくなるのが現行のルールです。

保険料のうち資産計上した金額が、解約返戻金の経理処理で重要となります。

解約返戻金を受け取ったときの仕訳

長期平準定期保険を解約して解約返戻金を受け取ったときは、これまで資産計上した前払保険料を取り崩します。

解約返戻金が4,500,000円、前払保険料が20,000,000円だった際の経理処理は次の通りです。

借方 貸方
現金・預金:4,500,000円
雑損失:15,500,000円
前払保険料:20,000,000円

前払保険料を貸方に、解約返戻金とその差額を借方に記入します。

解約返戻金が前払保険料よりも少ない場合は差額を雑損失として損金算入し、多い場合は雑収入として益金算入します。

他の法人保険と比較したときの解約返戻金の違い

他の法人保険と比較したときの解約返戻金の違い

法人向けの生命保険として人気のある長期平準定期保険ですが、他にも逓増定期保険や養老保険、終身保険など、比較対象になる保険の種類があります。

これらの保険と長期平準定期保険において、解約返戻金の取り扱いや考え方がどう変わるのか解説します。

逓増定期保険

逓増定期保険は保険期間が長引くほど、受け取れる保険金が高額になる保険です。

解約返戻金のピークは契約後5〜10年で迎えることから、長期平準定期保険より短いスパンでの事業資金に活用しやすいのが特徴です。

解約返戻金をどのタイミングで取得したいかで、長期平準定期保険と逓増定期保険のどちらを利用するか検討してみましょう。

養老保険

養老保険は、満期が近づくにつれ解約返戻金が上がり、満期を迎えると死亡保険金と同額の満期保険金を受け取れます。

満期には確実に資金を受け取れるので、死亡保障を確保しつつ安定した資産形成をしたい方に向いています。

状況にもよりますが、途中で解約返戻金を受け取るより、満期保険金として受け取ったほうがメリットは多いでしょう。

ただし、保険料は割高に設定されている場合が多く、キャッシュフローには注意が必要です。

終身保険

終身保険は保障が一生涯続く死亡保険で、解約返戻金は徐々に上がっていきます。保険料の払込が完了したあとは、支払保険料の総額を上回る場合もあります。

高い貯蓄性があることから、長期の資産形成に活用しやすい保険です。

ただし、満期がないことから見直しが難しく、ロングスパンでの計画的な利用が重要となります。

長期平準定期保険と他の法人保険の違い

ここまで紹介した法人保険と、長期平準定期保険との違いをまとめると、下記のとおりです。

保険種類 解約返戻金の特徴 活用方法
長期平準定期保険 ピークが長く、解約時期を調整しやすい 退職金準備、事業資金確保、納税調整
逓増定期保険 ピークが短いため短期間での活用がおすすめ 短期間での資金確保、退職金準備
終身保険 徐々に増え、基本的に解約せず死亡時に保険金受取 退職金準備、相続対策、長期資産運用
養老保険 満期があり、確実に資金を受け取れる 退職金準備、確実な資産形成

上記を参考に、自社の状況や展望に合わせて加入する保険を選びましょう。

まとめ

まとめ

長期平準定期保険における解約返戻金には、次のような使い道があります。

  • 退職金の原資にする
  • 事業の運転資金に充てる
  • 他の保険へ再投資する
  • 契約者貸付制度で借入を行う

ただし、「払込保険料に対する返戻率に納得できるか」「保険金額はいくらにするか」など、加入前に確認すべき項目は多いです。

経理処理など専門的な知識も求められることから、最適な保険を選択したい場合は法人保険の専門家に相談することをおすすめします。

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