法人保険の基礎知識
従業員の福利厚生に法人保険はおすすめ!メリットや注意点を解説

従業員の福利厚生向けに最適な法人保険を解説

従業員の福利厚生に法人保険はおすすめ!メリットや注意点を解説

法人保険にはさまざまな活用方法や加入目的がありますが、その中のひとつに従業員の福利厚生のために加入する方法があります。

従業員の福利厚生が充実すると従業員のモチベーションアップにつながるほか、優れた人材の確保に役立てることもできます。

この記事では、法人保険を従業員の福利厚生のために効果的に活用できるように、活用方法やメリット、注意点などについて解説していきます。

法人保険を従業員の福利厚生のために加入する意義

法人保険を従業員の福利厚生のために加入する意義

従業員向けの法人保険とは、契約者を法人、被保険者を従業員や役員として契約する法人保険です。

養老保険などの生命保険に加入すると、退職金や死亡退職金の準備金として活用できるほか、医療保険やがん保険に加入すると、公的医療補償制度の補完的な役割を果たしたり見舞金の準備に充てたりすることができます。

従業員が万が一の場合の残された家族の生活補償として、死亡保障が付けられると遺族の生活を守ることもできます。

また、法人保険を契約すると従業員の福利厚生のためだけでなく、法人にも経理処理上のメリットがあります。

支払保険料の一部を損金算入することで課税の繰り延べ効果が期待でき、法人税の負担が軽減されることがあります。法人保険から満期金などを受け取った際には益金に計上しますが、退職金や弔慰金などの経費を計上すれば法人税の支払い負担を軽減できる可能性があります。

従業員向け法人保険の種類と活用方法

従業員向け法人保険の種類と活用方法

従業員や役員向けに活用できる法人保険には、養老保険や定期保険、医療保険などがあります。それぞれの法人保険をどのように活用すると従業員などのためになるのか、主な活用方法について解説します。

従業員向け法人保険①:養老保険

従業員や役員など向けに加入する法人保険として、まず養老保険が挙げられます。

養老保険は生命保険のひとつで、保険期間中に万が一のことがあった場合に死亡保険金が、無事に満期を迎えた場合には満期保険金が受け取れます。

死亡保険金と満期保険金が同額という特徴があり、被保険者が死亡した場合も生存していた場合もどちらでも保険金が受け取れるというメリットがあります。

  • 保険期間中に従業員が死亡した場合:死亡退職金の支払い原資にできる
  • 保険期間満期日を迎えた場合:満期金を退職金の準備金として活用できる

死亡保険金を受け取った場合は残された家族の今後の生活費などに充てることができ、満期保険金は退職金として準備することができます。

養老保険は貯蓄性の高い法人保険なので、その分、保険料が高額になる傾向があります。

養老保険の「ハーフタックスプラン」

従業員向けの法人保険で養老保険に加入した場合、一定の条件を満たすことで法人にとっても経理処理上のメリットがあります。支払った保険料のうち2分の1を損金算入することができるもので、ハーフタックスプランといわれています。

ハーフタックスプランは、従業員の福利厚生のために養老保険に加入する際に、以下の形態で加入したものが対象となります。

契約者 法人
被保険者 従業員や役員
死亡保険金受取人 被保険者の家族
満期保険金受取人 法人

法人が契約者で被保険者を従業員や役員とし、従業員などが死亡した場合の死亡保険金の受取人が従業員などの家族に、満期を迎えたときの満期保険金の受取人が法人という契約形態です。

また、以下の条件も満たす必要があります。

  • すべての従業員や役員を対象とする(ただし、職種・年齢・勤続年数などの基準により対象者を限定した場合でも、その基準が合理的と認められれば対象となる)
  • 被保険者により保険金額が異なる場合、それが合理的に決められたものである
  • 従業員や役員のほとんどが同族関係者でない

これらの条件を満たした場合、法人保険として支払った保険料のうち2分の1を福利厚生として損金算入することができます。

従業員向け法人保険②:定期保険(総合福祉団体定期保険)

従業員向けの福利厚生を目的として加入する法人保険として、定期保険も選択肢のひとつとされています。中でも、「総合福祉団体定期保険」が良く活用されています。

総合福祉団体定期保険とは、従業員や役員に万が一のことがあった場合に、残された家族の生活を保障することを目的とした生命保険です。従業員などが死亡したり高度障害状態に陥ったりした場合に保険金が支払われます。

総合福祉団体定期保険は、一般的に1年ごとに更新するタイプが多く、毎年の更新の際に保障額の見直しなどが可能です。また、掛け捨てタイプが多いので他の法人保険と比較し、保険料が割安な商品です。

加入時に医師の診断が不要なことが多く、法人保険として一括して加入するため手続きが簡易的というメリットもあります。

さらに、「ヒューマン・ヴァリュー特約」を付けると、保険期間中に被保険者である従業員などが死亡または高度障害状態に陥った場合、新しい従業員を採用・育成する際に企業が負担する費用を補償してもらうこともできます。

このように、総合福祉団体定期保険は従業員の福利厚生だけでなく、法人の事業資金の面においても活用できる法人保険です。

従業員向け法人保険③:医療保険

従業員の福利厚生として、医療保険を契約することもあります。医療保険では、従業員などが病気やケガで入院や手術などをした場合、入院給付金や手術給付金などが支払われます。

受け取った給付金を従業員などの見舞金として支給することで、福利厚生として役立てられるのです。

従業員などがケガをした場合、労災保険が適用されることがありますが、労災保険は業務中や通勤中の労働災害のみが対象となるため、それ以外のケースでは補償を受けられません。

そこで医療保険に加入しておけば、労災保険の対象とならないケガや病気でも従業員に見舞金を支払うことができます。

また、医療保険には、がん特約や三大疾病特約といったオプションを付けることも可能です。ただし、支払う保険料はその分高額になります。

なお、医療保険は終身タイプと定期タイプがありますが、定期タイプの方が保険料が割安なことが多いです。

福利厚生のために保険に加入するメリット

福利厚生のために保険に加入するメリット

従業員の福利厚生のために法人保険を契約すると、企業にとって具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットについて解説していきます。

従業員の退職金や万が一の場合の保障の準備ができる

定期保険や養老保険といった法人保険を従業員などの福利厚生のために契約すると、従業員などの退職金や万が一の場合の死亡退職金の資金準備ができます。

法人保険の保険期間中は従業員の保障を付けられるうえ、満期を迎えたときは満期保険金を退職金の原資として活用できます。

一方、法人保険の保険期間中に死亡や高度障害状態に陥った場合、残された家族に死亡保険金・高度障害保険金を退職金(死亡退職金)として支給することが可能です。

従業員のモチベーションアップにつながる

従業員や役員などにも法人保険を契約し手厚い保障を付けることで、従業員は安心して業務に就けます。

経営者が従業員一人ひとりを大切に考えていることが伝わると、労働意欲が増し、仕事のパフォーマンスアップも期待できます。

企業への信頼や安心があれば継続して勤務する可能性も高くなり、人材の定着につながるでしょう。

優良な人材を採用しやすい

従業員向けの福利厚生として法人保険を契約すると、現在雇用中の従業員や役員だけでなく、現在求職中の人材にも企業アピールをすることができます。

求職中の人は、企業情報をさまざまな観点から比較検討しており、福利厚生の充実度も大きなポイントを占めています。

報酬や勤務時間数が同じであれば福利厚生が充実している企業を選びたいもの。多くの求職者が集まれば、それだけ優良な人材を採用できる可能性も高くなるでしょう。

支払保険料を損金算入できる

法人保険として支払った保険料は、経理処理上所定の条件を満たす場合に損金算入が可能であり、これにより法人税の課税繰り延べが可能です。

具体的な経理処理方法は、加入する法人保険の種類(定期保険・養老保険・医療保険など)によって異なりますが、たとえば養老保険で条件を満たした場合、支払保険料の2分の1を損金算入できます。

法人契約保険を福利厚生に活用する際の注意点

法人契約保険を福利厚生に活用する際の注意点

法人保険を従業員の福利厚生向けに加入する場合には、法人として注意すべきことがあります。

知らずに加入すると、経理処理に問題があり税務署から指摘を受けたり、従業員とトラブルになったりすることもあるため、注意点についても確認しておきましょう。

従業員や役員を全員加入させる

従業員や役員の福利厚生のために法人保険に加入するメリットとして、支払保険料を損金算入し、課税の繰り延べができることがあります。

しかし、損金算入するには原則として従業員や役員を全員加入させることが条件です。全員加入としない場合は、「〇歳以上」や「勤続年数〇年以上」といった合理的な条件を設けることも可能ですが、条件に当てはまる人は全員加入させなければなりません。

一部の従業員や役員のみを被保険者とする法人保険は、支払保険料を損金算入できないため注意しましょう。

税務署から指摘を受けることがある

法人保険を従業員の福利厚生向けに加入する場合、適切に経理処理をしないと、税務署から指摘を受ける可能性があります。

実際に過去には、従業員や役員の福利厚生のための法人保険であっても、支払保険料の損金算入が否認された事案もあります。

また、法人保険として支払った保険料の経理処理方法については定期的に法改正が行われているので、最新の改正情報を理解し、適切な経理処理を行うことも大切です。

福利厚生規定を作成する

従業員や役員の福利厚生のために法人保険に加入する際には、「福利厚生規定」を作成しましょう。

福利厚生規定を作成する目的としては、主に次の3つがあります。

  • 福利厚生の内容を従業員や役員に周知するため
  • 税務調査時に当法人保険が福利厚生目的であることを証明するため
  • 従業員の万が一の際に遺族とのトラブルを回避するため

従業員や役員の福利厚生のために法人保険に加入しても、それを従業員などが知らなければ加入した効果が期待できません。企業として、社内に福利厚生の内容を周知させることが大切です。

また、税務調査が入ったときに支払保険料の損金算入について説明を求められた際、福利厚生規定にきちんと定めてあれば、適正な経理処理を行っていることの証明となるでしょう。

さらに、従業員や役員に万が一のことがあり遺族に死亡退職金を支払う場合、法人保険から支払われた死亡保険金を死亡退職金として支払うことを規定で定めておくと、認識の違いなどによるトラブルを回避しやすくなります。

まとめ

まとめ

法人保険を従業員や役員の福利厚生のために加入することは、従業員や役員だけでなく企業・経営者にとってもメリットのあることです。

福利厚生が充実している企業は、従業員のモチベーションアップや定着につながるほか、優良な人材の採用にも効果的です。また、適正な範囲内での課税の繰り延べ効果も期待できます。

法人保険の活用方法や注意点をしっかりと把握し、法人保険をうまく活用していきましょう。

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