法人カードには掛け捨ての保険が付帯しているのが一般的です。法人カードにセットされているので、本当にいざという時に役に立つものなのでしょうか?
法人カードに附帯している掛け捨て部分の補償内容と、補償の有効性について検証していきます。
当記事の監修者:金子 賢司
- CFP
- 住宅ローンアドバイザー
- 生命保険協会認定FP(TLC)
- 損保プランナー
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。
以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。
趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・情報発信しています。
法人カード付帯の掛け捨て保険とは
個人事業主や法人に発行されるクレジットカードである法人カードには、国内外の旅行中に万が一のことがあった。
同じく国内外の旅行中に病気やケガで手術や入通院した場合などに補償される掛け捨ての保険が付帯されているのが一般的です。
個人事業主や法人の経営者はビジネスで出張に出かけることも多いかも知れません。
本来は旅行中に万が一のことがあった場合、海外に出かけるのであれば「海外旅行傷害保険」。
国内なら「国内旅行傷害保険」に加入をすると、旅行先での入通院でかかった費用などが一定額までカバーされます。
しかし、法人カードに加入をしていれば、掛け捨ての保険として、海外旅行傷害保険や、国内旅行傷害保険といった掛け捨ての保険が付帯しているため、それ以外の補償を準備する必要がないかも知れません。
まずは、掛け捨ての法人カードの補償はどのような内容なのか確認しておきましょう。
自動付帯と利用付帯
法人カードの掛け捨て保険の補償は、国内外の旅行時の補償が自動的にセットされている自動付帯と、手続きの際、旅行代金をクレジットカード決済しなければ補償が付帯されない利用付帯があるので注意が必要です。
仮に、現在保有しているAカード会社の法人カードに、海外旅行傷害保険と、国内旅行傷害保険といった掛け捨て補償が付帯していたとします。
しかし、もしこの補償が「利用付帯」となっていた場合、旅行代金をAカード会社の法人カードを使わず、現金で払うと万が一のことがあっても補償の対象になりません。
もし、このAカード会社の掛け捨て保険の内容が、「自動付帯」なら、旅行代金を現金で払っても補償の対象となります。
法人カードの掛け捨ての保険が、自動付帯なのか利用付帯なのか、約款や注意事項には必ず記載されています。
しかし、明確に「自動付帯」、「利用付帯」と記載されていないことがあるので注意が必要です。
例えば、利用付帯は以下の様に記載されています。
「搭乗する公共乗用具、または、参加する募集型企画旅行の料金をお支払いいただいた場合に、旅行保険が付帯となります。」
また、掛け捨て保険のうち、海外旅行傷害保険は自動付帯、国内旅行傷害保険は利用付帯となっている法人カードもあるので、十分確認しましょう。
不安な場合は、旅行代金を決済する前に、法人カードを発行している会社に問い合わせをすることをおすすめします。
法人カード付帯の掛け捨て保険の補償内容
改めて、法人カードの掛け捨て保険の一般的な補償内容を見ていきましょう。
各補償内容の保険金額は各カード会社によって異なります。
また、法人カードの掛け捨て保険の中でも、ゴールドカード、プラチナカードといったステータスカードの方が補償額は大きい傾向があります。
また、これらのステータスカードは申し込み時に年会費が発生しますが、出張の頻度などを考えると、年会費を払って大きな掛け捨ての補償がついた法人カードに加入をしたほうが良い場合もあります。
万が一の時の死亡・後遺障害保険金
旅行期間中に事故でケガをしたことによって、事故のあった日から180日以内に死亡や後遺障害が発生した時に保険金を支払うというものです。
死亡・後遺障害状態になった場合に、保険金額、最高3000万円、5000万円、1億円といった上限が定められているのが通常です。
旅行中にケガの治療費を補償する傷害治療費用保険金
旅行期間中の事故によってケガで入院や通院をして、手術、入院、通院をした場合にかかった医療費を補償します。
事故のあった日から180日以内にかかった費用に限ります。1事故あたり、最高200万円、300万円といった上限額が定められています。
旅行中の病気の治療費を補償する疾病治療費用保険金
旅行中に病気にかかった。
または、旅行中に発生し、旅行終了後約72時間(特定感染症の場合は30日経過するまでに)を経過するまでに医師の治療を受けた場合に、かかった医療費を支払います。
なお、治療を開始した日から180日間に発生した費用に限られます。傷害治療費用と同様、1事故あたり、200万円、300万円といった上限額が定められています。
なお、どの感染症が特定感染症に該当するか詳細は、法人カード会社ごとに定められています。
賠償責任保険金
旅行中に他人を死傷させたり、店先で物を壊したことで、法律上の賠償責任が発生した場合、損害賠償金を支払います。保険金額3000万円、5000万円、1億など保険金額の上限が決まっています。
携行品損害保険金
旅行期間中に携行している身の回り品が盗難、破損した場合や、火災などの偶然な事故で損害を受けた場合に保険金を支払います※1)。
※1)現金、小切手、クレジットカード、自動車以外の運転免許証、義肢、義足、コンタクトレンズ、データなど保険の対象とならないものもあります。
救援者費用保険金
また、契約者が遭難したり、救助、移送が必要になった場合。治療のために、海外から自国の病院へ移転する場合の費用などを支払う、救援者費用補償などがあります。保険金額の相場はバラつきがありますが、200万円~300万円となっているのが一般的です。
ショッピング保険
法人カードを利用して購入した商品が破損したり、盗難されたときに商品の購入代金が補償されます。購入後90日~120日までを補償対象とし、補償額の相場は50万~500万円と幅広くなっています。
その他さまざまな費用を補償する法人カード付帯の掛け捨て保険
ここまで紹介してきた補償内容は、保険金額に差はあるものの法人カードの掛け捨て保険には、一般的には含まれていることがほとんどです。
しかし、法人カードの掛け捨て保険の中には、かなり細やかな内容まで補償範囲としている場合があります。以下ご紹介します。
受託手荷物遅延・紛失費用保険
預けていた荷物が遅延によって届かなかった。または預けていた手荷物が紛失して、日用品などを現地で購入した場合の費用を補償します。
届かなかったり、預けていた荷物が紛失したりした時の費用を補償するものではないため、補償額は2万円~4万円位に設定されているのが一般的です。
海外航空遅延保険
航空機の到着の遅延、欠航、運休などの影響で、宿泊費用や食事代を負担した場合は、海外航空遅延保険が法人カードの掛け捨て保険の補償に含まれていれば補償の対象となります。補償額の相場は2万円程度です。
法人カード付帯の掛け捨て保険は役に立つ?
法人カードの中には、無料で加入できるものがあるので、掛け捨ての保険が付いていてもデメリットになることはないでしょう。
また、法人カードの掛け捨て保険が利用付帯だった場合、旅行代金をカード決済にしなければ適用になりません。
しかし、カード、現金、いずれかの方法で旅行代金は必ず支払うものです。
また、法人カードで旅行代金を支払えば、支払額に応じてカードのポイントが付くので、むしろカードで支払うことを希望する人もいるかも知れません。
社員の出張にも法人カード付帯の掛け捨て保険が利用できるので、出張のたびに保険に加入する必要もありません。
海外での事故は費用がかかる
法人カード付帯の掛け捨ての保険の内容をみると、一見、保険金額が大きすぎるのではないかと感じるかもしれません。
しかし、海外で病気やケガなどが原因で入院した場合、意外と大きな費用がかかります。日本のようにどこでも健康保険の適用になるわけではなく、自由診療となることが多いからです。
ジェイアイ火災保険2018年のトラブルデータによると、注目すべき点は、ケガや病気の治療と救援費用保険金額を合計すると1,000万円以上支払った事故が年間11件発生しています。
高額な掛け捨て保険の支払いとなった事例は以下の通りです。
渡航地域 | 事故内容 | 保険金額 |
---|---|---|
ハワイ | ホテルの部屋で意識を失い救急車で搬送。心筋梗塞と診断され19日間入院・手術。日本から家族が駆け付け、看護師が付き添い医療搬送。 | 3,052万円 |
ノルウェー | クルーズ船内で意識を失いヘリコプターで搬送。肺炎で13日間入院。家族が駆け付け、医師、看護師の付き添い、チャーター機で医療搬送 | 3、019万円 |
香港 | 体調不良により病院で受診。敗血症性ショックと診断され、看護師、医師の付き添いで医療搬送。 | 2、617万円 |
一般的には傷害治療費用保険金、疾病治療費用保険金いずれも相場は200万円~300万円程度。救援者費用保険金も200万円~300万円。
海外で、ケガや病気をして、最悪は2,000万円~3,000万円必要となるケースもあるため、法人カード付帯の掛け捨て保険だけでは補償内容が少し心もとないと考えることもできます。
特に、法人カードの掛け捨て保険の補償内容は、年会費が高いゴールドカードやプラチナカードのようにステータスが上がるほど高くなっていきます。
ステータスカードの補償内容でもまかないきれる金額ではありませんが、年会費無料や年会費の安い法人カードは、掛け捨て保険の補償内容が少ない可能性がありますので、くれぐれも注意が必要です。
場合によっては追加補償も検討
法人カードには掛け捨ての保険が付帯していることが一般的なので、自分や従業員が出張に出かけるような場合でも、その都度、海外旅行保険や国内旅行保険に加入する必要がないという点は非常に便利です。
しかし、必要補償額の実態をみると、あくまでも高額な事例ですが本当に万全で備えたい場合は少し不安が残る内容となっています。
法人カード付帯の掛け捨ての保険があるから大丈夫と、補償の内容を見ていないと、いざという時に補償が漏れていたり、保険の補償対象が足りず、十分な補償を受けられないことがあります。
法人カードの掛け捨て保険は、しっかり内容を把握して、場合によっては追加補償も検討し、必要であれば損害保険会社の旅行保険を上乗せすることも検討しましょう。
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