法人保険を契約する先といえば保険会社が思い浮かびますが、銀行などの金融機関でも法人保険を取り扱っていることをご存じでしょうか。
銀行では、経営者向けの終身保険や定期保険、従業員や役員の福利厚生のための養老保険や医療保険など、さまざまな商品に対応しています。しかし、銀行で取り扱っている法人保険についてはあまり詳しくない人もいるでしょう。
そこでここでは、銀行で法人保険を契約するメリットや、加入できる具体的な保険の種類について詳しく解説していきます。
銀行で法人保険に加入できる?
法人保険への加入を検討する際は、保険会社に相談するケースが多いですが、銀行などの金融機関の窓口でも法人保険を取り扱っています。
とはいえ、銀行の保険商品を販売しているのではなく、あくまでも保険代理店というかたちで窓口販売を行っており、法人保険加入者と保険会社との間に入って手続きを引受けています。
したがって、銀行の窓口で契約した場合でも、生命保険会社の法人保険に契約したことになり、銀行で取り扱っている預金や年金、資産運用などの商品・サービスとは異なるため、契約前に内容を良く確認しましょう。
なお、その銀行から融資を受けている法人は、法令等の規制により銀行で法人保険を契約することができません。詳しくは銀行の窓口に問い合わせてください。
銀行で加入するメリット
銀行で法人保険に加入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを3つ紹介します。
法人保険を銀行で契約するメリット①:多様な商品から選べる
特定の保険会社に法人保険の加入を相談すると、その保険会社で取り扱っている商品の中から選ぶことになり、選択肢が限られてしまいます。
しかし、銀行で取り扱っている法人保険であれば、さまざまな保険会社の商品を提案してもらうこともできるので、より多くの法人保険から選ぶことができます。
法人保険を銀行で契約するメリット②:取引のある銀行なら相談しやすい
法人保険に加入すると保険料を支払う必要があります。
しかし、保険料の支払いは会社の資金の一定割合を占めるため、資金状況を把握している銀行であれば支払い可能額などについて相談しやすいというメリットがあります。日ごろから付き合いのある銀行の担当者であれば話が通りやすいでしょう。
法人保険を銀行で契約するメリット③:保険専門のスタッフがいる
法人保険を取り扱っている銀行では、保険募集資格を持ったスタッフがいることが多いです。保険の関する知識が豊富なので、法人保険の疑問や悩みにわかりやすく応えてくれるでしょう。
法人保険の活用例
ご説明したように、法人保険は銀行など金融機関の窓口でも申し込みや契約をすることができますが、法人保険加入後はどのように活用できるのでしょうか。主な活用例5つについて解説していきます。
銀行で加入した法人保険の活用例①:経営者の万が一に備える
経営者に万が一のことがあったとき(死亡または高度障害状態になったとき)、特に中小企業においては事業経営が成り立たなくなってしまうことがあります。
たとえば、取引先からの契約解除や損害賠償、銀行など金融機関からの融資の打ち切りなど高額な費用がかかることが考えられます。
こういった場合に保険金を受け取ることができれば、支払いや事業用の資金繰りなどに充てることができます。
銀行で加入した法人保険の活用例②:従業員や役員の福利厚生
法人保険を、従業員や役員向けの退職金や医療費の補助といったかたちで、福利厚生に活用することができます。
たとえば、契約者を事業主、従業員または役員を被保険者として養老保険に加入し退職金として活用したり、同じく従業員や役員を被保険者として医療保険に加入し、ケガや病気の際の医療費補助やお見舞金として活用したりする方法があります。
銀行で加入した法人保険の活用例③:事業承継のための準備
法人保険を契約するメリットとして、事業承継の際に役立つという点もあります。
被保険者である経営者に万が一のことがあったとき、後継者が保険金を受け取りそれを銀行など金融機関への返済金などを含め、事業資金に充てることができます。
また、経営者が後継者に現金を直接残したい場合、保険金受取人を後継者に指定することでまとまった現金を残すことが可能です。
銀行で加入した法人保険の活用例④:節税効果が期待できる
法人保険のメリットとして、節税効果が期待できるという点も見逃せません。法人保険に加入して支払った保険料は、一定の条件を満たしたものに限り経理上損金計上が可能で、節税対策に役立ちます。
ただし、すべての法人保険の保険料が損金算入できるわけではないので、法人保険に加入した銀行の窓口などで確認してから加入することをおすすめします。
銀行で加入した法人保険の活用例⑤:契約者貸付で事業資金を借りる
契約者貸付制度とは、契約中の法人保険の解約返戻金の一定範囲内において、借り入れができる制度のことをいいます。
法人保険を解約するわけではないので保障は継続し、銀行などの金融機関から事業資金の融資を受けるよりも迅速に資金を準備することが可能です。
また、一般的に金利も銀行などより安く設定されています。ただし、解約返戻金全額の借り入れはできず、7割~9割程度の金額までとされることが多いです。
銀行で加入できる法人向け保険の種類
銀行など金融機関の窓口で取り扱っている主な法人向け保険の種類について見ていきましょう。
ただし、銀行によって取り扱っている法人向け保険の種類が異なりますので、詳しくは銀行の窓口で確認してください。
銀行で加入できる法人保険①:終身保険
終身保険は、一生涯の死亡保障が得られる保険で、法人保険では主に経営者の万が一に備えるために活用されます。
経営者の死亡時に受け取る死亡保険金を事業承継や事業資金として活用したり、リタイアするときに中途解約し解約返戻金を退職金として活用したりできます。
銀行で加入できる法人保険②:養老保険
保障期間が一定期間に限られた保険で、死亡保険金と満期保険金が同額という特徴があります。
保険期間中に被保険者である従業員や役員が死亡した場合は、遺族に死亡保険金を死亡退職金として支払い、無事に満期を迎えたときは満期保険金を退職金として支払います。
銀行で加入できる法人保険③:長期平準定期保険
長期平準定期保険は、通常の定期保険よりも保険期間が長期間におよぶ保険です。
割安な保険料という定期保険のメリットと、長い保障期間が得られるという終身保険に近いメリットを併せ持っています。主に経営者の万が一に備えたいときに契約することが多いです。
銀行で加入できる法人保険④: 逓増定期保険
逓増定期保険は、保険期間の経過に伴い徐々に保険金額が増加していく定期保険です。事業の成長とともに経営者の責任も重くなっていくもの。
そういった状況にマッチした保障設計の保険です。一般的な定期預金よりも保険料は割高ですが、貯蓄性が高く支払った保険料は要件を満たした部分につき損金算入が可能です。
銀行で加入できる法人保険⑤:医療保険
従業員や役員の福利厚生に活用されることが多いです。契約者を事業主、被保険者を従業員や役員とすることで、従業員や役員が入院や手術などをした際の医療費負担を補助できます。
また、所定の条件を満たすことで保険料が損金算入できるので法人にとってもメリットがあります。
なお、ここで紹介した法人保険以外にも、就業不能保険(事業主向け、従業員等向け)やがん保険なども法人向け保険として活用されています。
まとめ
法人保険は、保険会社以外にも銀行など金融機関で契約することもできます。ただし、銀行の法人保険というわけではなく、あくまでも保険会社の代理店という扱いになります。
銀行で取り扱っている法人保険は終身保険や養老保険、定期保険など銀行によりさまざまですが、特定の保険会社にとらわれず多くの選択肢の中から会社にとって最適な法人保険を選びやすいというメリットがあります。
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