NPO法人を立ち上げて活動を始めたとき、多くの団体が「保険の加入が必要かどうか」という課題に直面します。
非営利のNPOであっても、職員の雇用や空き家の活用事業、地域イベントの開催など、多様な活動には常にリスクが伴います。こうしたリスクに備えるためには、法人保険は信頼性と継続性のある運営の土台として有効です。
本記事では、NPO法人が検討すべき主な法人保険の種類や保険選びのポイントをわかりやすく解説。災害や労働災害、賠償責任といった具体的なリスク事例も交えながら、失敗しない保険対策を一緒に確認していきましょう。
NPO法人に法人保険が必要な理由とは?

NPO法人は、社会的課題の解決を目的に非営利で活動する団体です。しかし、その活動の中にはさまざまなリスクが潜んでいます。
職員の労働災害や物損、役員死亡による活動の継続困難など、万が一のトラブルに備える必要があります。
安定的に活動できる組織づくりのためには、リスク対策としての法人保険は非常に重要な存在です。
社会保険はNPO法人も加入義務が適用されるので注意
注意点として、いわゆる「法人保険」と呼ばれるものと、従業員を雇用するときの「法定保険」は異なるということは覚えておきましょう。
法定保険とは、健康保険や雇用保険、労災保険や厚生年金保険を指し、適用事業所の要件を満たす法人は加入義務があります。
一方、法人保険はあくまで「任意保険」なので、加入に法的な義務はありません(業務上、協働パートナーからの要請などで「実質的に加入必須」となる場合はあります)。
分類 | 保険の種類 | 加入義務 | 主な対象 |
---|---|---|---|
法定保険 | 健康保険・厚生年金・雇用・労災 | あり | 常勤職員 |
任意の法人保険 | 火災保険・D&O・施設賠償など | なし | 活動内容に応じて柔軟に選択 |
NPO法人であっても、従業員を雇用するときは一般法人と同じように法定保険の加入が必要です。そのうえで、法定保険ではカバーしきれないリスクを法人保険で対策しましょう。
NPO法人向けの法人保険の例

法人保険には多様な種類があり、NPO法人の活動内容やリスク特性に応じて適した保険も異なります。
ここでは、NPO法人の活動に特に役立つと考えられる保険をいくつか紹介します。
施設賠償責任保険
施設の管理者が加入する保険で、第三者が施設内で事故・ケガをした場合の損害賠償責任をカバーする法人保険です。
NPO法人が地域の空き家を活用してコミュニティスペースや支援拠点を運営している場合、施設内での転倒事故や物損などに対する補償が必要になります。
施設賠償責任保険に加入しておくことで、万一の事故時にも対応がスムーズになり、利用者の安全確保に対する信用も高まります。
火災保険、地震保険
施設や設備に対する災害リスクに備える法人保険で、火災・地震・風水害などによる損害を補償します。
NPO法人が建物(事務所や拠点、空き家活用施設など)を保有・使用している場合は必須といえます。
たとえば、古民家を使った地域交流施設や学習スペースなどは火災・自然災害リスクが高く、これらの保険が団体の継続的な運営を守る鍵になります。
役員賠償責任保険(D&O保険)
理事や代表などの役員が職務遂行中に法的責任を問われた際、その損害賠償責任をカバーする法人保険です。
NPO法人はしばしば助成金や行政事業、委託契約などで多くの責任を負います。たとえば「不適切な資金管理」や「契約不履行」などが問題になった場合に、役員個人が損害賠償請求を受けるケースもあります。
D&O保険に加入していれば、役員個人の資産を守りつつ、組織としてもリスクヘッジが可能です。
情報漏洩保険、サイバー保険
個人情報漏洩やサイバー攻撃によって発生した損害に備える法人保険です。
NPO法人では、支援対象者の個人情報や寄付者のデータ、助成申請書類などの重要情報を扱います。もし情報漏洩が起これば、賠償や信用失墜が必要です。
サイバーセキュリティ体制が不十分になりがちな小規模NPO法人こそ、こうした保険で万が一に備えましょう。
傷害保険
職員やボランティアが事故でケガをした場合に備える個人向けの補償を行う法人保険です。社会福祉協議会などが提供するボランティア保険も含みます。
活動中や移動中の事故が多いNPO法人にとっては、ボランティアを含めた関係者全員の安全確保が重要です。
活動者の安心感を高める手段としても有効で、参加者からの信頼向上にもつながります。
労働災害総合保険
労災保険の上乗せ補償や、労災適用外のケースに対応する法人保険です。職務中・通勤中の事故や疾病に対応します
雇用職員に対して、法定労災では不十分な補償をカバーしたいときに有効な保険です。
補償制度を手厚くすることで、職員の安心感やモチベーションアップにつながり、団体としての責任対応力も向上します。
NPO活動総合保険
NPO法人の多様な活動リスクを包括的に補償する専用保険パッケージです。
賠償責任・傷害・設備損壊・事務機器補償など、複数のリスクを1契約でカバーできます。
保険会社によってはNPO専用プラン(活動別オプション付き)を用意しており、事務負担の軽減にもつながります。
生命保険、養老保険
役職員の死亡・高度障害に備えるほか、退職金準備や福利厚生の一環としても使える法人保険です。
代表者や創設者に依存しているNPO法人にとって、その不測の事態に備えることは組織継続のために必要な対策です。また、解約返戻金(解約時に保険会社から払い戻されるお金)を使い、退職資金準備などの資金需要にも活用できます。
「保障」と「貯蓄」の両方を実現できるため、効率的かつ安定的な組織運営に役立ちます。
その他の保険
NPO法人の活動内容に応じて、以下のような法人保険も検討する価値があります。
- イベント保険:大規模イベント開催時の対人・対物事故リスクに備える
- 海外旅行保険:海外での研修や支援活動を行う場合の安全対策
- 機器損害保険:IT機器や高額備品の破損・盗難リスク対策
NPO法人の活動内容や規模、リスクの度合いによって、必要となる法人保険は異なります。複数の保険会社から見積もりを取り、自法人の実情に合った法人保険を選ぶことが重要です。
保険加入時に確認すべきこと

NPO法人にとって、活動に即した保険選びは運営リスクを回避する上で非常に重要です。
たとえば、空き家を活用する場合は火災や地震などの災害対策、教育・福祉活動では第三者への賠償責任と、リスクに即した法人保険を選ぶ必要があります。
適切な法人保険を選定するには、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 活動内容ごとに必要な法人保険の種類を整理する
- 地域のNPO支援センターや社会保険労務士に相談する
- 法人保険の取扱いが得意な保険代理店に相談する
闇雲に加入せず、自法人の状況分析と専門家の意見を基に適切な保障体制を整えましょう。
まとめ

NPO法人が持続的に活動を続け、社会的信頼を高めるには、適切な法人保険への加入が不可欠です。
リスクに対応する保険制度を理解し、団体の実態に即した選択をすることで、より安心で安定した活動が実現します。
必要に応じて専門家に相談し、最善の補償・保障を整えましょう。
財務戦略コネクトで最適なコンサルタントを無料で
ご紹介!
財務戦略コネクトは月間33万ユーザーが利用する法人保険.NETが提供する経営者に無料で財務戦略のプロをご紹介するサービス。
- 適正納税の範囲で安定した財務を確保したい
- 損害保険や生命保険など万が一のリスクに備えた法人保険に加入したい
- 財務対策として最適な法人保険をプロの目線から提案してほしい
- 退職金準備や事業継承など出口戦略をそろそろ考えていきたい
世の中には節税や税金対策を謳う単に会社にプールするお金を減らすリスクの高いサービスがたくさんあります。
しかし法人保険の2019年の税制改正により全額損金参入が難しくなったように、今求められるのはルールの範囲内で適正納税をしつつ、
法人に1円でも多くのお金を残し、会社の成長のために最適な資金投下を行う「財務戦略」。
これらを全て知り尽くした財務戦略のプロを"無料"で経営者の方にご紹介します。
ぜひお気軽にご登録ください。