法人税の基本
法人税率の基本を解説!計算方法や実効税率について

日本企業に課せられる法人税の実効税率はどれくらい?

一見複雑なイメージを抱きがちな法人税ですが、基本的な課税の仕組みを理解すれば、恐れることはありません。

今回は、法人税の仕組みや法人税の税率について、起業したばかりの経営者の方にもわかりやすく説明していきます

また、見落としがちな法人税以外の税金、法人住民税・地方法人税・法人事業税も合わせた「実効税率」についても解説。

個人にかかる所得税との違いや、所得税率と法人税率のポイントも分かるので、法人化を見当している個人事業主の方もぜひ参考にしてみて下さい。

それでは、さっそく法人税と法人税率の基本から見ていきましょう!

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当記事の監修者:西岡 秀泰

  • 社労士資格
  • FP2級
  • 生損保各種販売資格

生命保険会社に25年勤務。また、子供英会話教室(SCの中の教室に特化)の東日本本部長代理(所属員600名)として、2年間マネジメント全般を担当。直近は、社会保険労務士として日本年金機構・相模原年金事務所の年金相談員として週2回程度勤務。
現在では、社会保険労務士として活動するとともに、日本年金機構・年金事務所の相談員業務を受託。また金融全般(特に生命保険と公的年金)、人事・労務、マネジメントをテーマにライティング活動中。

西岡社会保険労務士事務所 http://anshin-roumu.com/

法人税率は原則23.2%。ただし法人の区分・所得により異なる

法人税とは、法人の企業活動によって得られる所得(売上収入から仕入れ原価など各種費用を差し引いて算出した所得金額)に対して課税される国税です。

普通法人に適用される法人税率は、原則として「比例課税方式」がとられており、所得金額の大きさにかかわらず一定の税率が適用されます。

普通法人の法人税率(原則)は、23.2%です。

ただし、資本金等が1億円以下の中小法人等については軽減税率(時限措置)が適用される場合があり、所得金額が年800万円のラインで税率が異なります。

中小法人等で軽減税率が適用される場合、所得金額のうち年800万円以下の部分は15%(一定の場合は17%または19%)、年800万円を超える部分は23.2%が目安です。

法人の規模別 法人税率(普通法人の目安)※1

期末の資本金
または出資金
所得金額 法人税率
(目安)
1億円以上 23.2%
1億円以下=中小法人等
(一定の大法人の子会社等は除く場合あり)
年800万円超 23.2%
年800万円以下 15%※2

参照:国税庁「法人税の税率(No.5759)」(令和7年4月1日現在法令等)

※1:本表は一般的な「普通法人」の目安です。法人の区分(協同組合等・公益法人等など)により税率が異なる場合があります。

※2:中小法人等の年800万円以下部分の軽減税率は時限措置です。また、(1)前3事業年度の所得金額の年平均額が15億円超の法人(適用除外事業者)などは19%となる場合があります。(2)当期の所得金額が年10億円超の事業年度は17%となる場合があります。(3)グループ通算制度を適用している法人は取扱いが異なるため、個別に確認が必要です。

なお、年間の所得がマイナス(赤字)の場合、原則として法人税(所得に対する部分)は課税されません。

ただし、赤字でも法人住民税の均等割など、利益と無関係に負担が生じる税金があります。また消費税は課税売上高等の要件により納税義務が変わるため、自社が課税事業者かどうかも含めて確認しましょう。

法人税の計算方法

法人税の計算方法

では、実際に発生する法人税がいくらになるのか計算してみましょう。

法人税は、法人の課税所得に対して税率を掛け合わせて計算します。中小法人等は要件により軽減税率が適用される場合があるため、適用可否を確認しておくのがポイントです。

法人税の計算式

法人税額 = 課税所得(益金-損金) × 法人税率

一般法人の法人税率(普通法人の目安)

期末の資本金
または出資金
所得金額 法人税率(目安)
1億円以上 23.2%
1億円以下=中小法人等
(一定の大法人の子会社等は除く場合あり)
年800万円超 23.2%
年800万円以下 15%

※軽減税率は要件により17%または19%となる場合があります(適用除外事業者、当期所得10億円超、グループ通算制度など)。

法人税の計算シミュレーション

例1:普通法人/資本金2億円/課税対象所得5,000万円の場合

法人税額:5,000万円 × 23.2% = 1,160万円

資本金が1億円を超えているため、法人税率は23.2%となります。

例2:普通法人/資本金1,500万円/課税対象所得700万円の場合

法人税額:700万円 × 15% = 105万円

この例では、資本金が1億円以下で、課税対象の所得が年800万円以下のため、軽減税率が適用されるケースです。

なお、軽減税率の適用可否や税率(15%/17%/19%)は法人の状況により変わるため、実際の税率は顧問税理士等と確認しましょう。

※軽減税率が15%として計算(適用除外事業者・当期所得10億円超・グループ通算制度の適用等ではない前提)

例3:普通法人/資本金3,000万円/課税対象所得1,000万円の場合

この例では、資本金は1億円以下ですが、課税所得額が年800万円よりも大きいです。この場合、課税所得額1,000万円のうち、800万円と200万円で法人税率が変わります。

800万円 × 15% = 120万円
200万円 × 23.2% = 46万4,000円

よって、
法人税額:120万円 + 46万4,000円 = 166万4,000円

所得区分ごとに税率を乗じた上で合計額を足し合わせる点に注意しましょう。

※軽減税率が15%として計算(要件により17%または19%となる場合があります)

実効税率とは?法人に課せられる税負担を表す数字

実効税率とは

ここまで、法人税の基本と計算方法について解説してきました。

法人税は、会社の課税所得に対して課せられる税金で、大きな金額になることがほとんどです。そのため、決算時期になると法人税率や法人税について気にされる経営者の方も多いことでしょう。

しかし、法人の所得に対して課せられる税金は、実は法人税だけではないという点を見落としてはいけません

法人には、法人住民税、地方法人税、法人事業税という税金も課せられます。

法人税に法人住民税・地方法人税・法人事業税をあわせた、法人の所得に課税される税金の実質的な負担割合を示したものを、実効税率といいます。

実効税率の計算方法

実効税率は下記の式で求めることができますが、実務上は税率区分や自治体差(超過課税など)もあるため、厳密に算出するには専門知識が必要です。また、税制改正等により数値が変わることもあります。

実効税率の計算式
{法人税率 × (1 + 法人住民税率 + 地方法人税率) + 法人事業税率} ÷ (1 + 法人事業税率)

ざっくりとした税負担の目安が知りたいという場合には、課税所得に対しておおよそ30%~33%程度と考えましょう。

たとえば東京都の場合、外形標準課税の対象法人(年800万円超の所得に対する税率で計算)では、2026年3月31日までに開始する事業年度の法人実効税率が概ね30.62%が目安です。

また、2026年4月1日以後に開始する事業年度は、防衛特別法人税の影響も踏まえ概ね31.52%と考えられます。

※いずれも想定であり、確定した数値ではありません。

なお、正確な実効税率や法人税の金額は、毎年税理士や会計士に依頼してきちんと出してもらうようにしましょう。

※中小法人等で年800万円以下部分に軽減税率が適用される場合などは、実効税率が30%台前半より低くなることがあります。

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実効税率に含まれる法人住民税、地方法人税、法人事業税とは

さて、先程解説したとおり、法人の所得に課せられる税金は法人税に加えて法人事業税・法人住民税・地方法人税などがあります。

ここでは、実効税率に関わる法人事業税・法人住民税・地方法人税について、簡単に解説します。

なお、法人の税負担は所在地や法人規模等により変わります。税率表はあくまで参考として、実際は顧問税理士等や自治体・国税庁の情報で確認しましょう。

法人事業税とは

法人事業税とは、都道府県に納める地方税の一種です。

法人事業税の税率は資本金規模や所得区分で異なり、また法人の本社を置いている地域によっても変わります。ここでは、東京都の普通法人を例に、税率を記載します。

法人事業税の計算式

法人事業税額 = 所得 × 法人事業税率

税率の例:
東京都/普通法人/資本金1億円未満の法人の場合

所得 法人事業税率
所得400万円以下 税率3.5%
所得400万円~800万円 税率5.3%
所得800万円以上 税率7.0%

※参照:東京都主税局「法人事業税・法人都民税」(令和4年4月1日以後に開始する事業年度の税率表 等)

法人住民税とは

法人住民税も地方税の一種で、個人住民税の法人版というイメージです。

法人住民税は「均等割」と「法人税割」を足して計算されますが、それぞれ算出方法が異なっており、税率も自治体によって異なるため少し複雑です。

「均等割」は資本金額や従業員人数によって決まるため、会社の利益に関係なく赤字であっても一定の課税義務が生じます(例:東京都23区内に主たる事務所や本社を持っている法人は、最低7万円の支払義務がある)。

「法人税割」は、法人税額に法人住民税率を掛け合わせて決まるため、法人税額がゼロ(=赤字)であれば課税義務は生じません。

法人住民税の計算式

法人住民税額 = 均等割 + 法人税割

均等割の例:
東京都23区内に主たる事務所を有する/普通法人/資本金1億円以下の場合

資本金と従業員数 均等割額
資本金1,000万円以下
(従業員50人以下)
7万円
資本金1,000万円以下
(従業員50人以上)
14万円
資本金1,000万円~1億円以下
(従業員50人以下)
18万円
資本金1,000万円~1億円以下
(従業員50人以上)
20万円

※参照:東京都主税局「法人事業税・法人都民税」(令和4年4月1日以後に開始する事業年度の税率表 等)

法人税割の例:
東京都23区内に主たる事務所を有する/普通法人/資本金1億円以下の場合

資本金と従業員数 法人税割の税率
資本金1億円以下(法人税額が年1,000万円以下) 7.0%

※参照:東京都主税局「法人事業税・法人都民税」(令和4年4月1日以後に開始する事業年度の税率表 等)

地方法人税とは

地方法人税は、国が徴収する税金にあたります。こちらは、法人税額(基準法人税額)に対して下記の税率が課せられます。

課税事業年度 地方法人税の税率
令和元年10月1日以後に
開始する課税事業年度
10.3%

※参照:国税庁「地方法人税の税率の改正のお知らせ」

法人の所得全体に対してではなく、法人税が課せられる金額(所得×法人税率をかけた金額)に対して課せられる税金という点がポイントになります。

法人税・実効税率は改正されることがある

法人税や地方税は、税制改正や自治体の超過課税の見直しなどにより、税率や負担が変わることがあります。

たとえば米国では、2018年から連邦法人税率が一律21%となりました。一方で英国は、2023年4月以降、利益規模に応じて主税率25%(小規模は19%等)となっています。

このように、税率は「下がる」ときもあれば「上がる」ときもあります。実務では、最新の税率・適用要件を確認しながら税額見込みを立てることが大切です。

個人の所得税とはどう違う?課税の仕組みを比較

個人の所得税との違い

ここからは、法人化を検討している個人事業主の方に向けて、法人税と個人の所得税との違いについて説明していきます。

法人税と個人の所得税は、稼いだ所得に対して税金がかけられるという点は同じですが、課税方法や控除の考え方、納税の時期などに違いがあります。

法人税
所得税
課税対象 法人 個人
課税方式 比例税率。
所得にかかわらず同じ税率で課税される。
ただし、中小法人等は要件により軽減税率がある
超過累進税率。
所得が大きくなるにつれて税率が上がる
課税所得 売上などの益金から損金(仕入原価などの費用)を差し引いた金額が課税所得になる 事業所得や配当所得など所得の種類があり、種類ごとに所得金額の計算方法が異なる
所得控除の
有無
個人の人的控除のような所得控除はない
(欠損金の繰越控除など税務上の調整制度はある)
あり
赤字の場合の
課税
法人住民税の均等割などは発生することがある なし
納税時期 法人ごとに設定した事業年度終了の日の翌日から2か月以内に申告・納付(中間申告・納付が必要となる場合あり) 前年の所得(1月1日~12月31日まで)に対する確定申告と納税は、所得が発生した翌年の3月15日まで

さまざまな違いがありますが、もっとも大きな違いは課税方式の違いといえます。法人税は比例税率で税率が固定されており、普通法人の法人税率(原則)は23.2%です。

対して、所得が上がるごとに税率が上がる所得税は、最高税率が45%です(分離課税などを除く)。

所得が上がり税金に頭を抱えている個人事業主の方は、こうした税率の違いも比較して、法人化を検討するのも一つです。

もし個人事業主の方が法人化する場合には、納税の時期に注意しましょう。

個人の所得税は毎年1月1日から12月31日までに発生した所得に対し課税されるため、確定申告時期も3月15日までと決まっています。

対して一般的な法人の場合、事業年度(会計年度)を1年の中で自由に決めることができ(最長1年)、いつの所得に対して課税されるのか、つまりいつ決算するのかは法人により異なります。

これから起業する方で事業年度をどうするか考えている方は、「決算後の一定期間に申告・納付が必要になるため、資金繰りがタイトになりやすい」という点も踏まえ、繁忙期や仕入れが発生する時期などを考慮して検討するとよいでしょう。

なお、法人の事業年度は後からでも変えることができます。定款を変えるなどの手間は発生しますが、実務上の支障が大きい場合は事業年度の変更も選択肢になります。

税額の目安がついたら税金対策を視野に入れていこう

今回は、法人に対して課される法人税と税率、そして実効税率について解説しました。

覚えておくべきポイントを改めてまとめます。

法人税 = 課税所得(益金-損金)× 法人税率

法人税率(普通法人・原則)= 23.2%
(※中小法人等は要件により軽減税率の適用がある)

また、法人にかかる税金は、法人税に加えて法人事業税・法人住民税・地方法人税などがある。これらすべてを含めた法人の税負担の割合を示したものを実効税率と呼ぶ。

目安は、法人所得に対して約3割前後

法人税率と実効税率の数字は、全体像をつかむ目的で目安として押さえておき、毎年支払う法人税額のイメージを持っておくとよいでしょう。

だいたいの法人税額の目安が分かると、税金で引かれてしまう金額が予想以上に大きく、節税対策をしたいという経営者の方もいるかと思います。

当サイトでは、選択肢の一つとして、法人保険の活用法をご紹介しています

保険の活用方法によっては税務上の取扱いが変わるため、検討する際は約款や商品設計、会計・税務の前提も含めて確認したうえで進めると安心です。

以下のページでは、法人保険による活用方法や考え方について解説しているため、興味のある方はぜひご覧ください。

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