法人もしくは富裕層の方は、“税金として支払う金額を抑えたい”と思うのではないでしょうか。

いわゆる「税金対策」を考えるわけですが、法人ならば税負担を適切にコントロールすることで納税後の手元資金を確保し、資金繰りの安定につなげられる可能性があります。富裕層の方であれば、制度を理解したうえで計画的に対策を行うことで、資産形成の効率を高められることがあります。

そのような背景から注目されているのが、税負担の調整につながる可能性がある「節税につながる手段(いわゆる“節税商品”を含む)」です。そこで今回は法人や富裕層の方に向けた税金対策の代表例を紹介します。制度には要件や注意点もあるため、「使い方(設計)次第で効果が変わる」ことを前提に、上手に取り入れていきましょう。

※本記事で紹介する内容は一般的な情報であり、個別の状況(会社規模・所在地・取引内容・適用要件など)によって税務上の取扱いが異なる場合があります。実行前に、必ず税理士など専門家にご相談ください。
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節税対策・節税商品とは?

まず、そもそも「節税(税金対策)」とは何かを整理します。

「節税」は文字通り、税法の範囲内で、税負担を適切に軽減・平準化することです。

法人であれば、業務に必要な支出を適切に処理(経費計上・減価償却など)することで、課税所得が圧縮され、法人税等の負担が軽くなる可能性があります。富裕層の方でも、制度(控除・経費・課税の繰延べ等)を活用できる場面があります。

このように節税効果を意識して活用される手段を、便宜上「節税商品(節税につながる手段)」と呼ぶことがあります。世の中にはさまざまな選択肢がありますが、要件や証憑、出口(売却・解約・受取時の課税)まで含めて設計することが大切です。

これから法人向け、富裕層向けの税金対策をそれぞれ紹介していきます。

法人が利用する税金対策とは

ここから法人が利用する税金対策を紹介していきますが、はじめに税金対策をするとどれくらいメリットがあるのかを簡単に解説します。

既述の通り、法人は経費や償却を適切に計上すると課税所得が圧縮され、結果として法人税等(法人税・住民税・事業税など)の負担が軽くなる可能性があります。

例えば、売上1,000万円で利益が100万円だとしましょう。この場合、法人税等の実効税率は会社規模や所在地等で変わりますが、目安として約30%前後と考えると、税金は約30万円、手元には約70万円が残るイメージです。

そこで会社に必要な物品を10万円購入し、適切に経費計上できるとしましょう。そうすれば利益は90万円となり、税負担は目安で約27万円となるため、税金は約3万円軽くなります。

会社に残るキャッシュは「物品購入10万円+税金」で減りますが、税負担が軽くなる分、実質的に“必要な支出の負担感が下がる”ことが、法人の税金対策の基本的な考え方です。

ただし、何でもかんでも経費計上できるわけではありません。基本的に法人としての事業に必要で、金額が相当であり、証憑(根拠資料)が整っているものが経費として認められます。

私的に利用するものを会社の経費にはできませんのでご注意ください。経費と認められない場合、結果として追加の納税や付帯税(延滞税・加算税など)が生じることもあります。

次からはこれらの注意点を踏まえ、法人向けの手段を3つ紹介していきます。

日本型オペレーティングリースは航空機が人気

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最初にご紹介するのは「日本型オペレーティングリース(JOL)」です。名称を聞いただけではイメージしにくいかもしれませんが、航空機やコンテナ、船舶などのリース事業への投資と捉えると分かりやすいでしょう。

航空機、船舶、コンテナなどのリース事業に、匿名組合契約等を通じて出資する法人向けの投資商品です。

リース開始当初は、受け取るリース料よりも減価償却費等が大きくなる設計となり、損失が出る局面があります。法人が本業で出した利益からリースでの損失を差し引くことで、結果として法人税等の負担が軽くなる可能性があります。

ちなみに減価償却とは、使える年数(耐用年数)に応じて費用を分割していくことです。

ただし、JOLは税負担を一時的に調整する仕組みであり、恒久的に税金が減るものではありません。リース期間後半や物件売却時に利益が生じる場合があり、出資元本や利回りも保証されません。

為替変動やリース先の信用リスク、物件価格の変動、税制変更なども踏まえて、投資としてのリスク・資金拘束も踏まえたシミュレーションが重要です。

小規模企業共済は個人事業主や中小企業の役員におすすめ

次に紹介するのは「小規模企業共済」です。小規模企業共済とは、個人事業主や小規模法人の役員など“加入者(個人)”の退職金準備制度です。

経営者や役員など加入者本人が掛金を支払い、加入者個人の所得控除として扱います。

事業を廃止したり、退職した際に請求すると、そこまで積み立てた掛け金に応じて共済金が受け取れます。掛け金は毎月1,000円~最大7万円まで、500円刻みで設定できるので、財務状況に合わせて積み立てることが可能です。

積み立てた掛け金は「小規模企業共済等掛金控除」として加入者(個人)の所得控除の対象となり、税制上のメリットがあります。

共済金を受け取ると、受取方法等によって退職所得扱いとなるなど、税制上の優遇が期待できるケースがあります。

ただし、解約のタイミングによっては受取額が掛金総額を下回る場合があります。また、受取時の課税関係(受取区分・一時金/分割など)も含めて検討が必要です。

なお、任意解約の場合、掛金納付月数が240か月(20年)未満だと、解約手当金が掛金合計額を下回ります。加入期間が20年以上でも、途中で掛金を増額・減額した場合は、掛金区分ごとの納付月数によって受取額が変わるため、加入前に試算しておくことが大切です。

経営者保険は保障や退職金準備に活用できる

最後に紹介するのは、「経営者保険(法人保険)」です。経営者保険とは、法人が契約者となって経営者や役員等を被保険者とする生命保険の総称として使われることがあります。

経営者の退職金準備、解約返戻金を活用した資金確保、万一時の事業保障など、目的に応じて契約内容を設計します。

経営者個人ではなく法人契約することになり、保険料の損金算入の可否・割合は、保険種類や解約返戻金の水準、契約形態等によって変わります。保険料が全額経費になるとは限らず、資産計上が必要になるケースもありますので、加入前に最新ルールで確認しましょう。

税金対策だけではなく、経営者や会社を守ることにもつながる経営者保険は、多方面で活用されます。目的(退職金、保障、資金繰り等)を先に決め、出口(解約・満了・名義変更等)まで含めて設計すると活かしやすいでしょう。

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事業のために法人が利用する商品券(ギフト券)が経費になるケースと、必要な証憑

商品券

法人が取引先に向けて商品券やギフト券を贈る場面は少なくありません。購入した商品券は経費として扱えるか?疑問に思った経験はないでしょうか。

結論から言うと、商品券やギフト券も、目的と実態が明確であれば経費になり得ます。しかしながら、取り扱いには注意が必要です。なぜなら、商品券は「購入した」という事実だけでは用途が曖昧になりやすいからです。

商品券を購入した領収書が残っていても、社内で使用したり、未配布のまま保管されたりすると、実態の説明が難しくなります。そのため、税務上は商品券の処理が確認されやすい傾向があります。

そのため、「誰に」「いつ」「どのような目的で」交付したかを記録し、保管しておきましょう。さらに、相手から受領書などをもらっておくと整理しやすくなります。

また、消費税の取扱いとしては、商品券等の購入自体は非課税となり、商品券等を使用して商品・サービスの提供を受けた時点で課税仕入れとして整理されるのが一般的です(個別事情で異なることがあります)。

ちなみに、お歳暮などの目的で取引先に贈れば交際費となることが多く、宣伝などの目的で少額の商品券を不特定多数の人に配布するなら広告宣伝費として扱われることがあります。

富裕層が利用したい税金対策とは?

日本は所得が高くなるにつれて税率も高くなる「累進課税」を採用しており、課税所得が大きい人ほど所得税の負担も大きくなります。

所得税の最高税率は45%であり、そこに住民税なども加わるため、高所得者は最大で所得の5割以上を税として負担することになります。

このような背景から、高額所得者である富裕層の方々は、いろいろな手法で税金対策を行っている現状があります。

これまで人気だったのは国債などの保守的な商品でした。しかし、国内外の金利環境等の影響もあり、海外に目を向けた投資や、新たな分野へお金を投じる傾向も見られます。

では、富裕層がどのような税金対策をしているのか、3つの例を紹介します。

海外の中古不動産投資

「海外の中古不動産投資」は、以前から取り上げられてきました。海外不動産でも、賃貸に伴う必要経費(管理料、修繕費、ローン利息など)を不動産所得の計算に反映できます。

一方で、国外中古建物の減価償却を使った損益通算については、制度上の取り扱いが変わってきた経緯があり、節税目的だけで組むと想定どおりにならない可能性もある点は注意しましょう

特に個人が海外中古建物を賃貸する場合、令和3年以後は、簡便法で計算した減価償却費に相当する損失について、国内不動産所得や給与所得などとの損益通算ができない扱いになっています。

税金対策以外のメリットでは、日本以外に資産を持つ事で資産管理のリスクを軽減できる可能性があります。投資の世界ではよく言われる「分散投資」の観点から見れば、外貨建て資産を持つのは一つの考え方です。

海外の不動産を選ぶときには、インカムゲインとキャピタルゲインの2つの収益で利回りを考え、新興国の物件を選ぶ方法、またはアメリカやカナダなどで地域を分散する方法など、さまざまなスタンスがあります。

複数の方法で海外の不動産に投資できますが、確認しておきたいのは為替リスクやカントリーリスクがあることです。外貨建て資産は為替の上下で価値が変動し、上がれば利益になりますが、下がって損失になることも念頭に入れておきましょう。

コインランドリー事業投資

近年注目されてきているのは、「コインランドリー事業への投資」です。

コインランドリー事業は、大型の洗濯機や乾燥機など多額の設備投資を伴う事業です。税金対策として見る場合は、設備投資そのものよりも、対象設備が中小企業投資促進税制などの要件を満たすかどうかを確認することが重要です。

設備投資に税制優遇が使える場合もあり、たとえば中小企業投資促進税制では、一定の要件を満たす設備について「特別償却(取得価額の30%)」または「税額控除(取得価額の7%)」を選択できる制度があります(対象設備・要件・期限は確認が必要です)。

初年度の税負担を調整しつつ、将来的な収益も狙える点が注目される理由の一つです。

注意点は初期投資がかかる事や機械設置が特殊なため移転が難しい事、増加傾向にある競合店とどう差別化するかなどがあげられます。特に新規参入が多い地域では、収益の悪化も想定しておく必要があります。

二次市場も限定的なため、途中で手放す場合には想定より安価な売却となる可能性もあります。税務面だけでなく、事業としての採算性も含めて検討しましょう。

参照:「コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査」厚生労働省

高級外車購入

最後にご紹介するのは、「高級外車購入」です。こちらは会社経営者や個人事業主向けで、高級外車を購入して事業に使用し、減価償却等により費用化していく考え方になります。

高級外車は1,000万円単位の購入になることも多く、費用計上のインパクトが大きくなりやすい一方、業務使用の実態(私用混在の管理)が非常に重要です。

フェラーリやランボルギーニなどの車種は稀少性が話題になることもありますが、中古相場は変動します。売却益を前提にするのではなく、事業上の必要性と資金繰りを踏まえて検討しましょう。

注意点とすれば、あくまでも会社保有・事業用として購入することです。私用目的が中心と判断されると費用として認められにくくなるためご注意ください。

税務署からの指摘に備える意味では、運転記録(業務使用の内容)、私用の管理ルール、法定で必要な整備記録などを整えておくと安心です。

また、高級外車を会社や個人事業で保有する場合は、事業上の必要性と使用実態を説明できることが重要です。運行記録、訪問先、使用目的、私用利用の有無などを記録し、事業用としての実態を示せるようにしておきましょう。

まとめ

ここまで法人や富裕層の方に向けた税金対策を解説しました。

税金対策は、税法の範囲内で課税所得や納税時期を調整する取り組みです。法人では、事業に必要な支出の経費処理や減価償却、各種税制の活用などが検討対象になります。

高所得者や資産を持つ人も、所得控除や不動産活用、資産運用や退職金制度などを組み合わせれば、大幅な節税が期待できます。

ただし、支出や投資をすれば必ず税負担が下がるわけではありません。制度の要件や取引の実態、証憑、将来の売却・解約・受取時の課税まで確認する必要があります。

判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談し、自社や自身の状況に合う方法を選びましょう。

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