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保険の税金対策
2019年以降も全額損金となる法人保険の活用方法

法人保険の損金ルール変更に伴う活用方法

全額損金となる法人保険の活用方法を徹底解説

2019年に国税庁が法人保険に関する通達を大きく改訂したことに伴い、生命保険各社が法人向けに競って販売していた全額損金の法人保険は縮小を余儀なくされました。

これまでのように、死亡保障を兼ねた退職金準備に使えなくなった場合、全額損金の法人保険は、今後どのように活用していけばよいのでしょうか?

この記事では、全額損金の法人保険の活用方法について解説します。

当記事の監修者:金子 賢司

  • CFP
  • 住宅ローンアドバイザー
  • 生命保険協会認定FP(TLC)
  • 損保プランナー

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。
以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。
趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・情報発信しています。

法人保険の全額損金ルールは、2019年以降改正となった

2019年に改正となった法人保険の全額損金について法人保険の全額損金ルールはどう変わった?

法人保険とは、経営者に万が一のことがあった場合に保険金が支払われる生命保険や、同じく経営者がケガや病気、がんなどで入院、通院、手術をした場合に給付金が支払われる医療保険、自動車保険や火災保険といった損害保険など、法人に関連する保険全般のことを表します。

さらに、法人保険のうち生命保険には、保険期間を被保険者年齢100歳や99歳までとする長期平準定期保険や、保険金額が徐々に増加する逓増定期保険のように、解約のお金が戻ってくる解約返戻金のあるタイプがあります。

これらの法人保険は、保険料が損金算入できることに加え、役員の万が一の保障と、解約返戻金の仕組みを利用した退職金準備方法として、多くの経営者が活用していました。

しかし、2019年に、法人保険の損金算入ルールが変わり法人保険の選び方、加入の仕方も大きく変わることになります。

法人保険の損金算入ルールはなぜ変わったのか?また、今後の全額損金タイプの法人保険の選び方について解説します。

全額損金の法人保険とは

個人に一定額以上の所得があれば所得税を支払うのと同様、法人も所得があれば、法人税を支払わなければなりません。

法人税は次のような計算式で計算します。

法人税 = 法人所得 × 法人税率

法人所得 = 益金 - 損金

つまり、益金を減らすか、損金を増やせば法人税は下がります。

法人保険の保険料は、一定のルールを満たしていれば、支払った保険料の一部、または、全額損金扱いとすることができるのです。

全額損金扱いとは、保険料の全額が損金として扱えるということです。

2019年より前の全額損金の法人保険の中には、加入した保険料が全額損金となり、解約返戻金の最も多い時期では払込保険料総額の7割~8割が戻ってるというものがありました。

また、この法人保険は、払った保険料を全額損金扱いとできることで、節税となった分を加味した実質返戻率(払込保険料総額に対して、解約返戻金がいくら戻ってくるかの割合)は100%を超えることもありました。

これらの法人保険は、もともとは生命保険ですが、最初の一定期間はケガや事故の保障のみで病気による死亡は保障の対象外とすることで、全額損金扱いとすることを可能としていました。

ただ、こうした全額損金算入ができる法人保険は、多くの生命保険の営業が「こんなにうまい商品があるわけない」と違和感を持っていたことも事実です。

法人保険の全額損金ルールは都合良すぎる?法人保険の全額損金ルールは都合良すぎる?

本来、勇退退職金を準備するための積み立て機能がある法人保険は、65歳や70歳など自身がおおよそ引退する年齢を決めて、退職所得として受け取ることで初めてメリットが生まれます。

しかし、全額損金タイプの法人保険は、解約返戻金が最も大きくなる時期がすぐに訪れ、その用途は勇退退職金ではなく、「何かしらの」設備投資などの費用にあてられるなど極めてあいまいで、節税ではなくただの課税の繰り延べするための商品となっていきました。

その後も、災害保障重視型法人保険など全額損金扱となるを生命保険会社がこぞって発売し、全額損金となる法人保険の販売競争はさらにヒートアップしていきます。

国税庁は、この事態を行き過ぎた節税目的の全額損金の法人保険販売を問題視するようになりました。

そこで国税庁は、全額損金扱いとなる商品も含め、法人保険に関する国税庁の通達を大きく改正。

法人保険が全額損金扱いとなるケースは、制限されることになりました。

法人向け全額損金の生命保険の活用方法

法人保険のうち、生命保険で全額損金扱いとなるケースは以下の3通となりました。定期の生命保険は2019年7月8日。

第三分野の保険は2019年の10月8日以降の国税庁の通達より、改正後のルールが適用されています。

  1. ピーク時の解約返戻率が50%以下の定期の生命保険、または掛け捨ての定期保険
  2. ピーク時の解約返戻率が50%超70%以下の定期の生命保険で、年間保険料が30万円以下
  3. 短期払いの第三分野(医療・がん)の保険で、年間保険料が30万円以下

それぞれのケースについて解説していきます。

ピーク時の解約返戻率50%以下の定期の生命保険、または掛け捨ての定期保険

事業保証や事業継承対策としての法人保険ピーク時の解約返戻率50%以下の定期の生命保険、または掛け捨ての定期保険

ピーク時の解約返戻率50%以下の定期保険、または掛け捨ての定期保険は全額損金として活用できます。

具体的には以下のような場合で全額損金の法人保険が利用できることがあります。

  • 事業保障としての法人保険
  • 事業承継対策としての法人保険

事業保障としての法人保険

経営者に急に万が一のことがあった場合、特に中小企業の場合は信用力が低下し、金融機関からの返済の前倒しや、仕入れ先から早期の支払いを求められることがあります。

また、従業員も今後会社はどうなるのか?給与が支払われるのかなどの不安を感じ、離職者が現れるかもしれません。

仮に経営者の身に万が一のことがあったときでも、当面の運転資金を確保する目的で加入する全額損金の法人保険を、事業保障としての法人保険といいます。

従業員の給与や当面の運転資金など、毎月あまり金額の変動がないものへの備えは掛け捨ての生命保険。

借入金のように徐々に残債が減っていく項目の備えとしては、収入保障保険で備えることが有効です。

事業承継対策としての法人保険

事業承継をすると、後継者は多くの自社株を引き継ぐ可能性があります。

被相続人が無くなった後に相続で受取ったとしても、相続税がかかり、生前に受け取ると贈与税がかかるため、いずれの方法においても納税資金を準備しておく必要があります。

自社株を引き継いだ時の納税資金を準備する方法として、無解約返戻金型の生命保険を活用することも一つの方法です。

掛け捨てなので、保険料は全額損金となります。

また、被相続人である経営者の遺産の多くを自社株を占めていたような場合、自社株を相続した後継者はその他の相続人の遺留分※1)を侵害してしまう可能性があります。

そこで、被相続人である経営者を契約者・被保険者。保険金受取人を後継者とする生命保険に加入。

後継者は保険金を受け取り、その保険金の中から遺留分を侵害している親族に金銭を渡すことで遺留分の侵害を解消することができます。

この買い取り資金も、掛け捨ての定期保険が用いられることがあります。

このように全額損金の法人保険は事業承継対策としても活用することができます。

※1) 遺留分
被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人が、最低限受け取れる相続分のこと。

例え遺言に書かれていたとしても、遺留分を侵害された相続人は、主張をすれば遺留分までは財産を取り返すことができます。

ピーク時の解約返戻率が50%超70%以下の定期の生命保険で、年間保険料が30万円以下

ピーク時の解約返戻率が50%超70%以下の定期の生命保険で、年間保険料が30万円以下ピーク時の解約返戻率が50%超70%以下の定期の生命保険で、年間保険料が30万円以下

ピーク時の解約返戻率が50%超70%以下の定期の生命保険は、年間保険料が30万以下でない場合、全額損金扱いとなりません。

ただ、全額損金の範囲内(年間保険料30万円以内)で経営者の勇退退職金を作る保障を用意するには、微々たる内容にしかならないでしょう。

死亡保証に加え三大疾病特約を上乗せしたプランや、不慮の事故、所定の感染症で一定の状態になった時に手厚い保障を受けられる内容の保険など、ここの範囲で全額損金の法人保険を活用することは非常に難しいです。

短期払いの第三分野(医療・がん)の保険で、年間保険料が30万円以下

短期払いの第三分野(医療・がん)の保険で、年間保険料が30万円以下短期払いの第三分野(医療・がん)の保険で、年間保険料が30万円以下

短期払い第三分野の保険で、全額損金とするためには要件が3つあります。

医療保険、がん保険、介護保険、長期傷害保険といった第三分野であること。

また、保険期間は保障が一生涯続く終身タイプで、なおかつ、保険料払込期間は保険期間と同期間ではなく、保険期間よりも保険料払込期間を短く(5年払い、10年払いなど)設定している短期払いであること。

さらに、被保険者一人あたりの年間保険料が30万円以下という要件を満たした第三分野の保険は、全額損金扱いとすることができます。

なお、医療保険やがん保険など別々に入っている場合は、それらを全て合計した保険料で年間保険料を計算します。

また、定期タイプの第三分野の保険や、終身タイプで払込期間も終身払いの場合は、全額損金扱いとなります。

被保険者一人あたりの年間保険料が30万円を超えた場合

年間保険料が30万円を超えた場合は、全額損金とならず、以下の計算式で算出された金額を損金、残りは資産計上をします。

年間保険料 × 保険料払込期間 ÷(116歳 - 被保険者の加入時年齢)

個人名義で現物支給ができる

法人名義の医療保険を個人名義に変更することで、お得に現物支給をすることもできます。

手順としてはまず、法人で保険料払込期間10年の短期払い終身保険に加入。10年間保険料を払い、保険料の支払いを済ませます。

もうこれ以上、この医療保険に保険料を支払う必要はありません。

そして保険料を払い込んだ後、法人名義の医療保険を個人に名義変更します。

本来、医療保険を法人から個人に譲渡する場合、医療保険を譲り受ける個人が、その時点での解約返戻金相当額で買い取らなければなりません。

しかし、医療保険の保険料払込終了後の解約返戻金は、入院給付金日額の10倍が一般的なので、買い取り額はわずかなものになります。

医療保険を譲り受けた個人はそれ以降、保険料を払うことなく一生涯の医療保障を手に入るメリットがあるのです。

実際に、医療保険を法人から個人名義にする場合は、必ず最寄りの税理士に相談してください。

まとめ

2019年に法人保険に関する通達が国税庁から出されて以降、かつてのような全額損金になりつつも退職金が準備できる法人保険は姿を消し、法人保険を全額損金で利用できるケースは限定的なものになりました。

しかし、法人保険は全額損金ができなくても、全くメリットがなくなったわけではありません。

1/2損金、1/3損金でも死亡保障も兼ねることができる生命保険は、退職金準備方法としては有効な手段です。

また、事業保障や事業承継対策など、全額損金の法人保険が活躍するシーンは他にもたくさんあります。

短期払いの第三分野(医療・がん)の保険など、年間保険料が30万円以下は全額損金とできる方法も金額的には少額ですが、法人から個人に名義変更できることも大きなメリットです。

全額損金にとらわれることなく、自社を取り巻くリスクに本当に必要な保険は何かを把握したうえで、適切な商品選びをすることを心がけましょう。

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