かつては節税効果の高い保険商品が数多くありましたが、2019年度の国税庁通達改正によって、以前のような節税対策が難しくなりました。
では、税制改正によって本当に法人保険の節税は不可能になったのでしょうか?
この記事では、最新の税制を基に、法人保険の節税効果について解説します。
なお、実際に法人保険を活用するときは、専門的な知識が必要になります。
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法人保険に節税効果はあるのか?基本の仕組みを解説

法人保険の節税効果については、各メディアや専門家の間でも「節税になる」「節税にならない」という2つの意見に分かれるのが現状です。
意見が分かれる原因は、節税に対する考え方に違いがあります。
まずは、法人保険における節税の基本的な考え方を解説します。
永久的な節税効果はないが「課税の繰延」はできる
法人保険における節税の仕組みは、保険料を損金として算入し、課税所得を減らすことが基本です。保険料が高ければ高いほど課税所得を減らせるため、当期の法人税も減らせます。
しかし、保険金や満期保険金、解約返戻金(解約時に払い戻されるお金)を受け取ったとき、それらは益金として課税対象になります。
つまり、保険料の損金算入で法人税を減らしても、その減少分は将来的に課税されるということです。
ただし、法人にとって「当期の法人税を減らすこと」には大きなメリットがあります。保険料を一定期間損金として計上し、将来的に資金が必要になったとき解約返戻金を受け取れば、資金繰りの調整が可能です。
このように、法人税の支払いを先延ばしにすることを「課税の繰延」あるいは「繰延型節税」といいます。一方、永久的に税金を減らす方法(決算賞与の支給や税額控除の適用など)は「永久型節税」となります。
法人保険で永久型節税はできませんが、繰延型節税は可能です。税負担のタイミングをコントロールする目的であれば十分な効果があるといえます。
法人保険の税制改正と節税効果への影響

「法人保険は繰延型の節税ができる」と解説しましたが、その効果も度重なる税制改正により減少しています。
かつては数多くの節税保険が販売されていましたが、規制強化の影響で販売停止が相次ぎ、現在は「節税を主目的とした保険販売」は原則行われていません。
ここからは、税制がどのように改正され、法人保険の節税効果にどのような影響を及ぼしたのか、流れに沿って解説します。
【2019年】定期保険や医療保険の損金算入割合が減少
2019年の改正では、定期保険(期間の定めがある生命保険)および第三分野商品(医療保険、がん保険など)が対象になりました。
改正前、上記の保険は保険料の全額または1/2を損金として計上できました。また、100%やそれに近い解約返戻率※を持つ保険もあり、節税効果と合わせて資産をプラスにすることも可能でした。
※解約返戻率…支払済みの保険料に対する解約返戻金の割合。
しかし、過度な節税を問題視した国税庁は、損金計上のルールを改正。最高解約金利返戻率(ピーク時の解約返戻率)が高いほど損金の算入割合が制限されるようになります。
具体的なルールは下記の通りです。
最高解約 返戻率 |
資産計上期間 | 資産計上額 | 取り崩し期間※1 |
---|---|---|---|
50%以下 | 全額損金算入 | ||
50%超~ 70%以下※2 |
保険期間の当初40%の期間 | 支払保険料×40% (支払保険料×60%は損金計上) |
保険期間の75%相当経過後、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩して損金計上 |
70%超~ 85%以下 |
保険期間の当初40%の期間 | 支払保険料×60% (支払保険料×40%は損金計上) |
保険期間の75%相当経過後、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩して損金計上 |
85%超 |
①保険期間の開始日から最高解約返戻率となる期間等の終了日まで ②1の期間経過後において、年換算保険料に対する解約払戻金の増加割合が0.7を超える期間があれば、その期間の終わりまで |
保険期間開始日から10年経過日までは、保険料×最高解約返戻率×90%を資産計上 11年目以降は、支払保険料×最高解約返戻率×70%を資産計上 |
解約返戻金が最高金額になったあと、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩し |
最高解約返戻率:50%以下 | |
---|---|
全額損金計上 | |
最高解約返戻率:50%超~70%以下※2 | |
資産計上期間 | 保険期間の当初40%の期間 |
資産計上額 | 支払保険料×40% (支払保険料×60%は損金計上) |
取り崩し期間※1 | 保険期間の75%相当経過後、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩して損金計上 |
最高解約返戻率:70%超~85%以下 | |
資産計上期間 | 保険期間の当初40%の期間 |
資産計上額 | 支払保険料×60% (支払保険料×40%は損金計上) |
取り崩し期間 | 保険期間の75%相当経過後、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩して損金計上 |
最高解約返戻率:85%超 | |
資産計上期間 |
①保険期間の開始日から最高解約返戻率となる期間等の終了日まで ②1の期間経過後において、年換算保険料に対する解約払戻金の増加割合が0.7を超える期間があれば、その期間の終わりまで |
資産計上額 |
保険期間開始日から10年経過日までは、 11年目以降は、 |
取り崩し期間 | 解約返戻金が最高金額になったあと、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩し |
50%以上の解約返戻率は3つの区分が設けられ、返戻率が高いほど資産計上額※が大きくなり、損金の算入割合が抑えられています。
※資産計上額…支払った保険料のうち、資産として経理処理する金額。一定期間の経過後、保険期間の終了まで均等に分割(取り崩し)して損金計上する。
この改正により、「保険料の全額または1/2を損金にして課税を繰延→高額な解約返戻金で資産を実質プラスにする」という節税スキームは崩壊し、多くの節税保険が販売停止になりました。
なお、この改正は2月14日に発表されたことから、保険業界では「バレンタインデーショック」と呼ばれています。
- 【改正前】
- 最高解約返戻率に関係なく、保険料の全額または1/2を損金に算入。
- 【改正後】
- 最高解約返戻率が高いほど保険期間前半に損金算入できる割合が減り、節税効果(繰り延べられる課税額)が大幅に減少。ピーク時の解約返戻金を合わせても、資産がプラスになることはなくなった。
【2021年】名義変更プランの規制でさらなる制限
2019年の改正で損金の算入割合は規制されましたが、他にも規制の網を抜ける節税保険がありました。その代表である「名義変更プラン」も、2021年も国税庁が対策しています。
名義変更プランの節税方法は、下記のようなスキームになります。
- 低解約型逓増定期保険の契約
- 低解約型逓増定期保険(低解約期間は解約返戻率が少なく、期間終了後に大きく増える保険プラン)を契約する。
- 保険名義を法人から個人へ変更
- 解約返戻金が増加する前に、保険名義を法人から個人(役員や従業員など)に変更。このとき、税制上は「変更時点の解約返戻金相当額で、個人が保険を買い取った」とみなされる。
- 増加した解約返戻金の受取
- 保険を受け取った個人は、解約返戻金の増加後に解約して返戻金を受け取る。
この節税スキームのポイントは、法人から個人へ名義変更が「その時点での解約返戻金相当額で売却した」とみなされる点です。
法人は支払済保険料より低い価値で保険を売却するため、その差額は損金として算入できます。一方、保険を受け取った個人は解約返戻金の増加後に解約することで、少ない負担で高額な解約返戻金を受け取れます。
この方法により、ただ高額な報酬や退職金を支払うより、法人も個人も節税が可能でした。
こうした節税スキームに対して、2021年の改正では「名義変更時の解約返戻率が70%以下の場合、評価額はそれまでの資産計上額を基準にする」とされます。この改正により、解約返戻率が低い保険を名義変更しても、法人は損金に算入ができなくなりました。
なお、この改正は3月中旬に通達されたため、「ホワイトデーショック」といわれています。
- 【改正前】
- 解約返戻金が少ないときに名義変更することで、支払済保険料との差額を損金計上。また、個人は解約返戻金が上がってから解約することで、同額を報酬でもらうより節税が可能。
- 【改正後】
- 解約返戻金が少ないときに名義変更すると、支払済保険料ではなく資産計上額で評価されるため、損金計上による節税効果が消滅。
2025年時点の税制で法人保険を利用するメリットは?

2025年現在、法人保険を活用した節税策は課税の繰延のみであり、その効果も以前と比べると限定的です。
また、国税庁は節税を主目的とした保険販売を規制する方針を取っており、保険業界も節税を売り文句にした勧誘は自主規制を進めています。
しかし、過度な節税が強化されたからといって、税制上のメリットがなくなったわけではありません。現在の税制で法人保険に加入するメリットを整理して解説します。
課税を繰り延べることで資金繰りを調整できる
先にも解説した通り、法人保険の節税とは「課税の繰延で法人税の支払い時期をコントロールすること」です。
2019年の改正により、損金算入できる割合は減っていますが、一定の繰延効果は見込めます。
税負担を一時的に軽減し、数年後の解約に合わせて適切な資金計画を立てれば、企業のキャッシュフロー改善につなげられるでしょう。
保険プランによっては半額・全額損金算入もできる
すべての法人保険が厳しく制限されたわけではなく、一定条件を満たせば今でも半額や全額の損金算入が可能です。
具体的には、下記の例が挙げられます。
保険期間中の最高解約返戻率が50%以下の保険プランであれば、一律で全額を損金算入できる。
「解約返戻金がない短期払定期保険」または「第三分野保険において年間保険料が30万円以下」のものは、全額を損金算入できる。
※短期払…保険期間より短い期間で保険料を支払うこと。
※第三分野保険…医療保険やがん保険、介護保険など。
保険期間が3年以上の定期保険で、最高解約返戻率が70%以下かつ1人あたりの年間保険料が30万円以下ものは全額を損金算入できる。
養老保険は、全従業員を被保険者とするなど一定の要件を満たすことで保険料の半額を損金算入できる。
上記に該当するプランで契約すれば、効率的に節税(課税の繰延)効果を得られます。
節税目的で法人保険を選ぶときのポイント
ここまで解説した税制の仕組みと踏まえたうえで、節税(課税の繰延)を目的に法人保険を選定する際は、次のポイントを総合的に考慮する必要があります。
- 返戻率のピークを知る
- どの返戻率がベストか考える
- キャッシュフローへの影響を検討する
- 専門家に相談する
それぞれ詳しく解説するので、ぜひ保険選びの参考にしてください。
解約返戻率のピークを知る
最高解約返戻率によって税務上の区分(=損金算入の割合)が変わるため、解約返戻率がいつ・何%になるかは重要です。
損金算入が60%なのか40%なのか、あるいは全額や半額の計上が可能なのか、しっかり把握しておきましょう。
また、最高解約返戻率を迎えるタイミングで解約するのが基本となるため、返戻金のピークと自社の資金ニーズ(設備投資や役員退任に伴う退職金など)が合致するかも大切です。
例えば、資金ニーズが5年後などの短期なら逓増定期保険、10年以上など長期なら長期平準定期保険が候補になります。いつ現金化するか、出口戦略を契約前に計画しておきましょう。
どの解約返戻率がベストか考える
定期保険の場合、節税(課税の繰延)効果のみに着目すれば全額を損金算入できる「返戻率50%以下」がベストです。
しかし、返戻率が減れば将来的に回収できるお金が減ってしまいます。
そのため、「節税よりも将来の退職金や事業承継資金として確実に資金を回収したい」という場合は、あえて返戻率が70〜85%超の商品を選ぶのも選択肢の1つです。
課税を抑えるのか、将来のキャッシュ回収を重視するのか、戦略的に考える必要があります。
以下は一般的な判断目安ですが、実際に加入する際は自社の状況や目的を踏まえ、慎重に検討しましょう。
目的 | 返戻率の目安 | 理由 |
---|---|---|
今期の利益圧縮が最優先(繰延重視) | 50%以下 | 全額損金処理で即時に課税所得を減らせる |
将来の資金準備も重視したい | 50〜70%程度 | 一部損金+一部資産 → 将来に資金化可能 |
繰延よりも資金回収重視 | 70〜85%以上 | 返戻率が高く、実際の資金準備に適している |
キャッシュフローへの影響を検討する
節税商品として見た場合、法人保険はキャッシュアウト(現金の支出)がある商品です。特に保険の場合、基本的に数年~数十年にわたって保険料を支払う必要があるため、途中で資金繰りが逼迫する恐れがあります。
反対に、解約返戻金などでまとまった資金を受け取ることで、その年の課税額が極端に上がってしまう場合もあります。
キャッシュフローへの影響を抑えるためには、しっかりとした事前計画を立てることが大切です。また、資金繰りが苦しくなったときは、契約者貸付制度や払済保険などの制度を活用できないか検討してみましょう。
※契約者貸付制度…解約返戻金を担保に、保険会社から資金を借り入れる制度。
※払済保険…解約返戻金を一時払保険料として充当し、保険料の支払いをなくしたうえで保障を継続する制度。
専門家に相談する
法人保険の選定にあたっては、税務と保険の両面に詳しい専門家(税理士・FP・保険代理店等)に相談することが重要です。
保険商品の選定や具体的な契約内容のプラン設計は、自社の業種・財務内容・将来計画によって最適解が変わります。契約内容次第で返戻率の変動曲線も異なるため、プロの視点で複数商品のシミュレーション比較をしてもらうのがおすすめです。
保険加入は財務戦略の一環であることを踏まえ、経営計画と統合的に検討しましょう。
当サイトが提供している「財務戦略コネクト」でも、法人コンサルティングのプロフェッショナルを紹介することができるので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
繰延型節税におすすめの保険商品

最後に、現在の税制においても活用できる法人保険をいくつか紹介します。
下記を参考に、自社の目的に合った保険商品を選びましょう。
長期平準定期保険
長期平準定期保険は、解約返戻率が比較的高く、一定期間損金算入できる定期生命保険です。
最高解約返戻率は80%~95%程度で、ピークは契約後10年~30年後になります。
退職金の準備や事業承継対策など、長期的な資金繰りの調整に向いている法人保険です。
長期平準定期保険のおすすめ商品は、以下となります。
あんしんプレミアム定期|東京海上日動あんしん生命

被保険者 | 経営者、役員 |
---|---|
保険金受取人 | 法人 |
加入可能年齢 | 要問合わせ |
保険金 | 2億円 |
---|---|
年間保険料 | 5,990,600円 |
最高解約返戻率 | 81.9% |
※データは個々の契約内容などにより異なる場合があります。
あんしんプレミアム定期は、経営者に万が一の事態があったときや、3大疾病や所定の障害および介護状態に対する保障を受けられます。解約返戻金ありのⅠ型と、解約返戻金なしのⅡ型があり、Ⅰ型は払済保険への変更や契約者貸付制度を利用できます。年金支払特約を付加すれば、保険金を年金形式で受け取ることも可能です。
プライム定期|オリックス生命保険株式会社

被保険者 | 経営者、役員 |
---|---|
保険金受取人 | 法人 |
加入可能年齢 | 要問合わせ |
保険金 | 1億円 |
---|---|
年間保険料 | 2,860,600円 |
最高解約返戻率 | 84.8% |
※データは個々の契約内容などにより異なる場合があります。
プライム定期は、経営者・役員の死亡や高度障害状態に備えるための法人保険です。長期平準定期保険としてベーシックな保障に加え、保険金額が高額になるほど保険料が割り引かれます。ニーズに合わせて柔軟に保険期間や保険金額を設定できるほか、災害割増特約や傷害特約などの付加で広範囲のリスクをカバーすることが可能です。
保険王プラス・やさしさプラス(経営者プラン)|朝日生命保険

被保険者 | 経営者、役員 |
---|---|
保険金受取人 | 法人 |
加入可能年齢 | 要問合わせ |
保険金 | 1億円 |
---|---|
年間保険料 | 2,374,800円 |
最高解約返戻率 | 79.8% |
※データは個々の契約内容などにより異なる場合があります。
保険王プラス・やさしさプラス(経営者プラン)は、経営者向けの保険ニーズを幅広くカバーした保険です。長期平準定期保険のほかに2種類の保障プランがあり、事業の発展や経済情勢に合わせて途中切り替えられる点が特徴です。要介護や認知症、生活習慣病など、死亡以外のリスクにも対応しています。
【関連記事】長期平準定期保険の仕組みや活用方法についてはこちら
逓増定期保険
逓増定期保険は、契約から一定期間を過ぎると保険金額が増加するタイプの法人保険です。
5年~20年程で解約返戻金のピークを迎え、最高解約返戻率は85%以上が一般的です。
保険料が割高になる分、損金算入できる金額も大きいため、短期間の資金繰りに適しています。
逓増定期保険のおすすめ商品は、以下となります。
マジェスティ|第一生命

被保険者 | 経営者、役員 |
---|---|
保険金受取人 | 法人 |
加入可能年齢 | 20歳~80歳 |
保険金 | 2,000万円~1億円 |
---|---|
年間保険料 | 1,922,240円 |
最高解約返戻率 | 要問い合わせ |
※データは個々の契約内容などにより異なる場合があります。
マジェスティは、基本保険金額(初年度の保険金額)から年5%の複利で保険金が増えていき、最大で5倍に達する保険です。99歳まで保障可能なので、長期の死亡保障としても活用できます。特約も複数用意されており、所定の病気等で保険料が不要になる「保険料払込免除特約」や、余命6か月の診断を受けたときに保険金を受け取れる「リビングニーズ特約」があります。
ニッセイ 逓増定期保険|日本生命保険

被保険者 | 経営者、役員 |
---|---|
保険金受取人 | 法人 |
加入可能年齢 | 18歳~77歳 |
保険金 | 2,000万円~5,000万円 |
---|---|
年間保険料 | 要問合わせ |
最高解約返戻率 | 要問合わせ |
※データは個々の契約内容などにより異なる場合があります。
ニッセイ 逓増定期保険は、基本保険金額から年利50%複利で保険金が増えていく法人保険で、最大5倍まで増加します。逓増率の変更年度(保険金が増え始める年度)を6年・8年・10年・15年から選択可能です。契約者貸付制度や払済保険への変更が可能なほか、リビング・ニーズ特約が自動付加されます。
低解約返戻金型逓増定期保険[無配当]|東京海上日動あんしん生命

被保険者 | 経営者、役員 |
---|---|
保険金受取人 | 法人 |
加入可能年齢 | 15~70歳または15~63歳 |
保険金 | 85万円~5億円 |
---|---|
年間保険料 | 要問合わせ |
最高解約返戻率 | 要問合わせ |
※データは個々の契約内容などにより異なる場合があります。
低解約返戻金型逓増定期保険[無配当]は、契約後1年の解約返戻率を低くすることで保険料が割安になる法人保険です。A型とD型があり、それぞれ低解約返戻金期間の解約返戻金が変わります(A型は基本保険金額の35%、D型が85%)。一定期間の経過後、基本保険金額から毎年7.5%ずつ保険金が上がり、最大で5億円まで増加します。
養老保険
養老保険は、満期になると死亡保障額と同額を受け取れる法人保険です。解約返戻金もありますが、ほとんどの場合で支払保険料を下回るため、途中解約せず満期まで継続することが前提となります。
用途としては、従業員や役員の万が一に備えつつ、退職金資金の準備も兼ねるという活用方法が一般的です。
福利厚生として全従業員を加入対象にすれば、保険料の1/2を損金算入できるため、税金対策としても一定の効果が見込めます。
養老保険のおすすめ商品は、以下となります。
養老保険|エヌエヌ生命

被保険者 | 経営者、役員、従業員 |
---|---|
保険金受取人 | 法人、被保険者の遺族 |
加入可能年齢 | 17~78歳 |
保険金 | 500万円~9億円 |
---|---|
年間保険料 | 要問合わせ |
最高解約返戻率 | 90.60% |
※データは個々の契約内容などにより異なる場合があります。
エヌエヌ生命の養老保険は、最大9億円の保険金を設定できる保険です。保険期間は、年齢基準で満期を設定する「歳満期」と、契約してからの年数で満期を設定する「年満期」の2種類から、ニーズに合わせて選べます。保険料払込免除や契約者貸付制度、年金支払特約などの特約やサービスが付帯し、環境が変化しても柔軟な対応が可能です。
5年ごと利差配当付新養老保険 新養老保険E|明治安田生命保険

被保険者 | 経営者、役員、従業員 |
---|---|
保険金受取人 | 法人、被保険者の遺族 |
加入可能年齢 | 16歳~75歳 |
保険金 | 要問合わせ |
---|---|
年間保険料 | 要問合わせ |
最高解約返戻率 | 要問合わせ |
※データは個々の契約内容などにより異なる場合があります。
養老保険に、利差配当付保険を組み合わせた商品です。利差配当付保険とは、保険会社の運用益が予想を上回ったとき、その余剰金を配当金として分配する保険です。5年ごと利差配当付の場合、5年間の通算運用益に応じて配当が決定します。
ニッセイ福利厚生プラン(みらいのカタチ養老保険)|日本生命

被保険者 | 経営者、役員、従業員 |
---|---|
保険金受取人 | 被保険者の遺族 |
加入可能年齢 | 3歳~70歳 |
保険金 | 500万円 |
---|---|
年間保険料 | 要問合せ |
最高解約返戻率 | 要問合せ |
※データは個々の契約内容などにより異なる場合があります。
日本生命の福利厚生プランは、個人向けにも提供されている養老保険を福利厚生に活用する際のプランです。万一のときに遺族へ支払う弔慰金や、退職金の準備資金として有用です。養老保険以外にも、入院や手術の経済的支援に使える入院総合保険「みらいのカタチ NEW in 1」もあります。
医療保険・がん保険
医療保険やがん保険も、従業員の福利厚生として全従業員を加入させることで、1/2の損金算入が可能です。
福利厚生目的での保険加入は、税制上のメリットだけでなく、従業員の安心感やモチベーション向上にもつながります。従業員の定着率を向上させたい中小企業は、これらの保険制度導入も検討してみましょう。
医療保険・がん保険のおすすめ商品は、以下となります。
新メディフィットA 医療終身保険(無解約返戻金型)(20)|メディケア生命

被保険者 | 経営者、役員、従業員 |
---|---|
保険金受取人 | 法人、被保険者 |
加入可能年齢 | 0歳~85歳 |
保険金 | 5,000円×入院日数 他 |
---|---|
年間保険料 | 13,920円~ |
最高解約返戻率 | なし |
※データは個々の契約内容などにより異なる場合があります。
新メディフィットA 医療終身保険は、病気やケガによる入院・手術に備える保険です。放射線治療や骨髄移植手術、骨髄ドナーも保障対象となります。さまざまな特約があり、生活習慣病や女性疾病、特定3疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)などの手厚い保障も可能です。メディケア生命の健康・医療サービスも利用可能で、電話相談やセカンドオピニオン手配サービスを利用できます。
新しい形の医療保険 REASON|アフラック

被保険者 | 経営者、役員、従業員 |
---|---|
保険金受取人 | 法人、被保険者 |
加入可能年齢 | 要問合せ |
保険金 | 入院等で月ごとに20万円 他 |
---|---|
年間保険料 | 52,676円~ |
最高解約返戻率 | なし |
※データは個々の契約内容などにより異なる場合があります。
新しい形の医療保険 REASONは、手頃な保険料で一生涯続く保障を受けられる保険です。経営者や従業員が入院などの不測の事態になった場合、給付金を経営資金や見舞金などに活用できます。在職中はもちろん、経営者や従業員が退職後も個人名義に変更することで、終身保障を継続できます。また、女性向けの疾病や特定手術、先進医療などに備える特約もあり、幅広いリスクをカバー可能です。
「生きる」を創るがん保険 WINGS|アフラック

被保険者 | 経営者、役員、従業員 |
---|---|
保険金受取人 | 法人、被保険者 |
加入可能年齢 | 20歳~85歳 |
保険金 | 2万円×入院日数 他 |
---|---|
年間保険料 | 11,676円~ |
最高解約返戻率 | なし |
※データは個々の契約内容などにより異なる場合があります。
「生きる」を創るがん保険 WINGSは、がんで入院したときの売上減少などに備えられる保険です。経営者や従業員が不測の事態になった場合、給付金を経営資金や見舞金として活用できます。また、退職後も個人名義に変更することで保険を一生涯継続できます。付帯サービスの「がん相談サポート」では、がんに対する不安や疑問を気軽に相談可能です。
まとめ

本記事では、法人保険の節税効果について詳しく解説しました。
特に重要なポイントは下記の通りです。
- 法人保険に加入しても、永続的な節税はできない
- 課税の繰延により、法人税の支払い時期をコントロールすることが可能
- 節税(課税の繰延)目的で保険に加入するなら、解約返戻率やキャッシュフローの検証が大切
損金算入の厳格化により課税の繰延効果も縮小され、安易な節税目的での加入は難しくなっています。
自社の財務状況や経営方針によって適切な保険は異なるので、まずは法人の財務戦略に精通した専門家に相談することをおすすめします。
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