法人税の基本
法人税の計算はどうやる?種類別に方法を解説

法人に課せられる税金の算出方法

会社経営を行う上で、税金の支払いは避けられません。

経営者ならば、来るべき決算期に備え、法人にかかる税金の仕組みについては知っておきたいところです。

しかし、実際に税額を試算しようとすると、複雑な計算式や「繰越控除」「減価償却費」といった会計用語の影響で、分かりづらいと感じる方も多いかと思います。

そこでこちらでは、法人税等の計算方法から計算式の仕組みといった、経営者に欠かせない基本的な知識について丁寧に分かりやすく解説します。

会社の経費や支払うべき税金額を正しく把握し、無駄のないキャッシュフローを築きましょう。

はじめに確認!法人税の種類と計算方法

法人にかかる税金は、一般に「法人税」とひとくちに言われることがありますが、実務上は国税と地方税をまとめて把握するのが基本です。

本文では混乱を避けるため、国税の「法人税」と、法人にかかる税金全体を指す「法人税等」(法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税など)を使い分けて説明します。

1.法人税(国税)

法人税(国税)は、法人の「所得」に課税される税金です。

法人の「所得」の計算に関しては、以下の通りです。

益金―損金=所得

法人税(国税)は、会社の資本金規模や課税所得金額などによって税率の区分が変わります。

また、法人の所得が無い場合や赤字の場合には、税務計算上、法人税(国税)が発生しない(ゼロとなる)ケースがあります。ただし、法人税等全体では別の税目(例:法人住民税の均等割)が発生する場合があるため、あわせて把握することが大切です。

法人税(国税)の税率(概要)

法人の区分(主なもの) 所得区分 税率(法人税・国税)
普通法人(資本金1億円以下の法人など) 年800万円以下の部分 15%(一定の場合は19%/所得10億円超の事業年度は17%)
年800万円超の部分 23.2%
普通法人(上記以外) 23.2%
協同組合等 年800万円以下の部分 15%(所得10億円超の事業年度は17%)
年800万円超の部分 19%

参照元:国税庁「法人税の税率」

2.法人住民税(地方税)

法人住民税とは、法人の事業所等がある地方自治体に納付する税金のことです。

一般に、法人住民税は「都道府県民税」「市町村民税」に分かれ、いずれも「法人税割」「均等割」から構成されます。

  • 法人税割:原則として法人税額等を基礎に計算されます
  • 均等割:会社の規模(資本金等・従業者数など)に応じた定額で、赤字でも発生するケースがあります(自治体により取扱いは異なります)

なお、東京都23区(特別区)については、市町村民税に相当する税額を含めて東京都へ申告・納付する取扱いとなるため、所在地によって申告先・納付先の整理が必要です。

3.法人事業税・特別法人事業税(地方税)

法人事業税は、原則として法人の所得を基礎に計算される都道府県税です。あわせて特別法人事業税が課される仕組みもあり、実務ではセットで把握するのが一般的です。

ただし、一定規模の法人は外形標準課税の対象となり、所得割に加えて付加価値割・資本割などが課されるため、赤字でも税負担が発生する場合があります。

また、法人事業税は税務上「損金算入できる税目」として扱われますが、計上(損金算入)のタイミングは決算での未払計上の有無など処理方針により整理が必要です。実務では税理士等に確認しながら進めると安心でしょう。

法人税に関わる益金の特徴

コイン

法人税(国税)の基本的な計算イメージは、以下の通りです。

(益金―損金)× 法人税率 = 法人税(国税)

益金は、企業会計上の収益と近い概念ですが、全く同じではありません。

益金の計上時期の判断を誤ると、事前の試算よりも税負担が増えることがあるため、基本的な考え方を押さえておきましょう。

1.収益の発生が確定した時点で、その年度に益金を計上する

会社の儲け(収益)を、どのタイミングで益金として処理するのかという点です。

たとえば、会計年度が4月〜翌年3月の会社があったとします。

決算月の3月にソフトウェアを10万円売上げ、取引先からの代金受け取りが4月以降になる場合でも、実際に商品を引き渡し、代金の請求権利が発生した時点で、税務上は益金としてカウントされることがあります。

取引の内容によっては、引渡し・役務提供の完了など、計上時期の判断が必要になります。個別論点は会計基準や税務上の取扱いを踏まえて整理しましょう。

2.無償取引でも税務上の論点が生じる

法人が無償で商品やサービスを提供することは珍しくありません。

ただし、無償提供が直ちに「益金が発生する」とは限りません。一方で、資産の無償譲渡や著しく低い価額での譲渡などでは、取引の内容によって税務上の論点(みなし譲渡など)が生じることがあります。

また、処理区分(寄付金・交際費・広告宣伝費等)によって損金算入の可否や限度額が変わる場合もあるため、実務では税理士等に確認しながら処理を整理すると安心です。

損金に算入できる費用

法人税の計算上、益金と並んで重要なのが「損金」です。

損金とは、「会社の収益を得るために使用した費用のうち、税務上認められるもの」を指します。

ただし、すべての費用が損金になるわけではなく、損金算入に制限がある費用もあります。

損金算入に制限がある費用(例)

  • 過大な役員報酬(要件により損金不算入となる場合があります)
  • 交際費等(中小法人には特例があるため要件確認が必要です)
  • 同族経営者間の取引(取引条件等により否認リスクが生じる場合があります)

これらは意図的に金額を大きくできる余地があり、利益の付け替えなどの懸念が生じやすい領域です。

損金に計上できる費用の範囲や要件を把握し、会社の予算や資金繰りを税務上どのように整理するか、あらかじめ考えられるようにしておきましょう。

1.原価

原価とは、その年度に売れた商品の原価のことです。

原価計算は、会計年度初めに保持していた商品の原価と、年度内に仕入れた商品の原価の合計から、年度末に残っていた商品の原価を差し引くことで求められます。

原価=
(年度初めに残っている商品原価+年度内に仕入れた商品原価)-(年度末に残った商品原価)

2.販売費、一般管理費、その他

一般的に、多くの会社の支出が「販売費、一般管理費、その他」に含まれます。

「減価償却費」や「人件費」などもこれらの支出に含まれており、取引内容に応じて税務上の取扱いを整理します。

3.損失

「損失」と聞くと、事故などで「会社の資産を失う」といったことが想像されると思います。

これは間違いではありませんが、他にも「売却損」「除却損」「評価損」などが損金算入の対象となる場合があります。

資産の廃棄や、商品を元の販売価格よりも低額で販売して損失が生まれたときなど、要件に応じて損金として算入されます。

法定実効税率を使用した法人税等の計算方法

法人にかかる税負担を検討する際は、法人税(国税)単体ではなく、法人税等(国税+地方税)を踏まえた「法定実効税率」を用いて考える場面があります(税効果会計で用いられる実効税率の考え方など)。

法定実効税率は、本店所在地(超過税率の有無)や資本金規模、外形標準課税の適用関係などで変動するため、前提条件を置いて把握することが重要です。

法定実効税率の計算方法(イメージ)

(例)法定実効税率 = {法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率} ÷(1+事業税率)

この計算式によって算出した法定実効税率に、会社の所得(課税所得)を掛けたものが、法人税等の税額の目安になります。

2026年1月時点の法定実効税率(数値例)

一例として、東京都の税率を前提にした法定実効税率(外形標準課税対象法人)は、30.62%が目安となります(前提条件により変動します)。

また、防衛特別法人税令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度から適用されるため、将来解消する一時差異の見込み時期などによっては、適用する実効税率が変わり得ます。

法人税を減らす方法とは?

ここまで、法人税等の種類や計算の考え方をご紹介しましたが、税額のイメージはつかめたでしょうか。

誤った税額で申告・納付をしてしまうと、修正申告や更正の請求などの手続きが必要になる場合があります。判断に迷う場合は、税理士や会計士に確認してもらうのがおすすめです。

税負担の調整は、事業実態に即した費用計上や制度活用を前提に検討することが重要です。要件を満たさない処理は否認リスクがあるため、個別事情に応じて専門家へ確認しながら進めましょう。

そうした前提のもと、一般的には損金算入の適正化や、制度の要件を満たす範囲での各種控除・特例の活用などにより、税負担を見直すアプローチが取られます。

当サイトでは、中小企業の実務で検討されやすい「適正な範囲で税負担を見直す方法」について、ポイントを絞ってご紹介しています。法人税に悩みを抱える経営者の方は、ぜひ以下のページからご覧ください。

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