損害保険
法人向け自動車保険とは?加入メリットと契約方法を解説

会社・団体向けおすすめの車の保険

法人向けの自動車保険

法人保険の中には、企業が持つ社用車に対して補償をかけられる法人向けの自動車保険があります。

営業用の車などを購入した際、法人向けの自動車保険を検討する方も多いでしょう。その際に気をつけておきたいポイントは、個人名義の自動車保険との違いです。

実は、法人保険としての自動車保険は、個人向けとは少し契約内容が異なるのです。また、自動車の台数が多い場合にはよりお得に契約できるなど、メリットも数多くあります。

そこで今回は、法人向け自動車保険の契約内容とメリットを解説し、あわせて保険料相場と選び方のポイントも紹介します。

「とりあえず法人向けの自動車保険について知りたい」
「法人向けの自動車保険に加入したいから、検討のポイントが知りたい」

という方は、こちらの記事でお悩みが解決します。ぜひご一読ください。

記事監修した保険のプロ:
40代/男性

  • AFP
  • トータル・ライフ・コンサルタント(生保協会認定FP)
  • 個人情報保護士

外資系大手保険会社での営業経験を活かし、生保・損保問わず企業向けに保険提案を行っている。保険商品だけでなく、金融商品・税金に関する知識は幅広く、お客様からの紹介が後を絶たない。

自動車法人保険とは

法人が業務で使用する車両のうち、事業用登録(緑・黒ナンバーの営業用車)や、有償で人・荷物を運ぶ使用実態がある車両は、個人向け自動車保険(ネット型を含む)では申込み不可・引受対象外となることが一般的です。その場合は、法人契約(事業者向けの取扱い)で見積り・契約を進めます。

また、車の使用目的や用途が変わると、保険会社への通知・契約内容の見直しが必要になることがあります。変更を届け出ずに契約を続けると、事故時の補償に影響するおそれがあるため、事前に確認しましょう。

自動車法人保険は、個人向けの自動車保険と基本的な補償は共通する部分が多い一方で、法人ならではの補償や特約を付けられる場合があります。

法人名義で契約する場合は、契約者・記名被保険者を法人とする形が一般的です。車両の名義(所有者/使用者)やリース契約の有無によって取扱いが変わることがあるため、車検証の記載とあわせて保険会社に確認しましょう。

自動車法人保険の主な補償内容

自動車法人保険の主な補償内容について下表にまとめてみました。

補償名 補償内容
対人賠償保険 自動車事故により相手がケガを負ったり死亡したりした場合の損害賠償責任を補償。治療費や精神的損害、休業損害などが支払われる。
対物賠償保険 自動車事故により相手の自動車などを壊してしまった場合の損害賠償責任を補償。自動車の修理費用や代車費用、壊したものの修理費用などが支払われる。
人身傷害保険 自動車事故により運転者や同乗者がケガ・死亡した場合を補償
車両保険 自動車の損害を補償。修理費用などが支払われる。

このように、個人向けの自動車保険と同様の補償内容が中心になります。

自動車法人保険特約やサービス

保険会社によっては、自動車法人保険ならではの特約やサービスを付けられるプランがあります。主な特約・サービスについて下表にまとめました。

特約・サービス名 内容
対人賠償使用人災害特約 業務中の従業員を死傷させてしまった場合を補償(対人賠償では補償対象外)
対物賠償非所有管理財物特約 他人から借りている建物などの財物を破損してしまった場合の補償(対物賠償では補償対象外)
事業用積載動産特約 自動車に積載中の商品や備品などの損害を補償(対物賠償や車両保険では補償対象外)
運送業者受託貨物賠償特約 受託貨物に偶然の事故で損害が生じ、貨物の所有者等に法律上・契約上の損害賠償責任を負った場合を補償
ロードアシスタンスサービス レッカー牽引・搬送などのトラブルに対するサポート。大型トラックの場合、レッカー代は高額になるケースがあるため保険会社によっては補償を拡張できる特約がある
ドライブレコーダー特約 事故時の通報サービスや事故映像を用いた事故対応サービスを受けられる

このように、法人向けの自動車保険ならではの特約を選択できるため、業務内容に合わせて加入を検討するとよいでしょう。

法人向け自動車保険のメリット

法人保険の自動車保険のメリット

社用車に保険をかける場合、ケースによっては個人名義の自動車保険で契約できる車両もありますが、使用実態や登録区分によっては個人向けで引き受けられないことがあります。業務で使用する車両は、法人名義での契約(事業者向けの取扱い)を含めて検討すると安心です。

法人名義で加入する自動車保険には、個人向けの自動車保険を選択するよりもメリットが大きい場合があります。

法人保険としての自動車保険には、以下の3つのメリットが挙げられます。

  1. 複数台(10台以上)契約した時に保険料がお得
  2. 減税効果を期待できる
  3. 法人保険だけにつけられる特約がある

1つずつ見ていきましょう。

複数台(10台以上)契約した時に保険料がお得

規模の大きい法人の場合は、社用車を複数台所有していることも多いでしょう。特に10台以上の自動車を所有している法人は、法人向けの自動車保険を契約するのがおすすめです。

というのも、法人向けの「フリート契約」で契約することで、個人契約よりも保険料が安くなることがあるからです。保険料を抑えたい場合、フリート契約は有力な選択肢になります。

フリート契約とは

一般に、一定の条件を満たす契約の合計台数が10台以上になると「フリート契約」、9台以下は「ノンフリート契約」として扱われます。台数の数え方や適用条件は保険会社によって異なるため、見積り時に確認しましょう。

法人向けのフリート契約には、以下の3つのメリットがあります。

  • 運転者の年齢で保険料が左右されない
  • 通常の契約よりも保険料が割引になる
  • 保険証券を1枚で管理できる

フリート契約は、車両1台ごとに管理されるものではなく、契約者単位で管理されます。そのため、法人名義で契約した場合、運転者の年齢による保険料区分がありません。

若い人が運転した場合でも、保険料が割増になることがないのです。

また、契約者単位で割引率が適用されるため、法人が1つの名義で契約している全自動車の保険料に対して、割増引が適用されるというメリットもあります。

さらに、保険証券を1枚で管理できるため、書類の保管や保険更新など、事務的な手続きによる負担も軽減できます。

なお、フリート契約(総台数10台以上)は、代理店・法人窓口での取扱いとなることが多く、ネット完結の申込みだけで対応できないケースがあります。まずは取扱いのある保険会社・代理店で見積り可否を確認しましょう。

フリート契約の割引率

通常、自動車保険は等級などによって保険料の割増引率が決められ、負担する保険料の金額が増減します。

割引率が大きくなれば、自動車保険料のコスト削減にもつながります。

しかし、フリート契約には等級がありません。その代わりに、3つの要素によって割増引率が決められています。

①総契約台数

総契約台数とは、法人として自動車保険に加入している合計台数のことです。総契約台数が多くなるほど、保険料の割引率が高くなる傾向があります。

保険商品によっては、最大70~80%の割引が適用されるものもあります。詳細に関しては、保険会社によって異なりますのでお問い合わせください。

②損害率

損害率とは、契約者が支払った全契約の保険料に対して、保険会社が支払った保険金がどれぐらいあるかという割合のことです。

契約者である法人が事故を起こしていなければ、損害率は低くなります。損害率が低いほど、割引されやすくなるため、事故を起こさないことが重要です。

なお、損害率は下の式で求めることができます。

損害率(%)=(保険会社が支払った保険金 ÷ 法人が支払った保険料)×100
③前年度のフリート割増引率

次年度の割増引率は、前年度の優良割引率を基盤として決められます。

優良割引率とは、損害率の良好な者に対して適用する割引です。前年がノンフリート契約だった場合は、平均無事故率が適用されます。

このように、割増引率には3つの要素がありますが、保険料を少しでも抑えるためには、いかに損害率を低くするかというのがポイントです。

フリート契約では、一括で管理ができることはメリットですが、一台の事故がすべての契約車両の損害率に影響します。そのため、改めて社用車を利用する社員の安全運転、利用ルールを徹底しておく必要があるでしょう。

ミニフリート契約もある

フリート契約は10台以上を対象としたものですが、2台~9台の台数に対して一気に保険をかけられる「ミニフリート契約」という方法もあります。

こちらは、フリート契約のように1枚の保険証券で複数の車を一括で契約できる一方、割引率に関してはノンフリート契約の率を適用するというものです。10台とはいかないものの、複数台の車を所有している法人におすすめです。

減税効果を期待できる

自動車保険の減税効果

法人保険としての自動車保険に加入する2つ目のメリットは、減税効果です。

法人名義で業務に使用する車両の自動車保険料は、通常「損害保険料」などとして損金(費用)に算入できるため、税負担の軽減につながることが期待できます。

つまり、法人税の課税対象となる利益が減るため、減税効果を期待できるのです。

ただし、減税効果を得るためには条件があるので、要注意。具体的には、下記の2つがポイントです。

減税ポイント

  • 法人名義で自動車保険の契約をすること
  • 自動車保険は、会社で使用する目的で契約すること

なお、業務と私用が混在する支出は、記録等にもとづいて業務に直接必要だった部分を区分できる範囲で取り扱うのが基本です。処理に迷う場合は、顧問税理士などに確認すると安心です。

法人保険だけにつけられる特約がある

法人保険としての自動車保険には、個人向けにはない特約が用意されていることがあります。

たとえば、保険契約をした自動車の積荷が事故により破損した場合に補償される「積載事業用動産特約」などの特約が挙げられます。

このような、法人特有の業務上の事故に対応した特約を付けられる点が法人保険としての自動車保険のメリットです。また、事業用登録(緑・黒ナンバーの営業用車)など、個人向けの自動車保険で引受対象外となる場合でも、法人向けの取扱いで検討できることがあります。

デメリットはフリート契約の事故の影響

フリート契約の事故の影響はデメリット

さて、ここまでは法人保険としての自動車保険に契約するメリットを説明してきました。< 一方で、法人向けの自動車保険は、特にフリート契約をしている場合に大きなデメリットが発生する可能性があります。

フリート契約の場合、保険契約している車のうち一台でも事故を起こすと、その影響がすべての契約車両に及び、全車両の損害率が高くなります。

そのため、一度事故を起こしてしまうと、翌年から一気に保険料が上がってしまう可能性があります。

法人保険の保険料を抑えたくてフリート契約にしたのに、結果として高額な保険料を支払うことになってしまうこともあるため、注意が必要です。

個人名義の契約を法人保険に切り替える際のポイント

個人名義の契約を法人保険に切り替える際のポイント

個人事業主が法人成りをするようなケースでは、個人契約で契約していた自動車保険を法人名義に切り替えることもあるでしょう。このとき、場合によっては個人契約の等級を引き継いで切り替えることが可能です。

6等級からスタートして1年ごとに1等級アップ、最大で20等級までランクが上がる仕組みの等級は、上がれば上がるほど保険料が割引されます。

そのため、法人保険に切り替えた際にも等級を引き継ぐことができれば、企業の保険料負担を抑えることにつながります。個人契約から法人保険へ等級を引き継ぐには、下記の2つの条件を満たす必要があります。

  • 個人事業と法人成りしたあとの事業が同じ
  • 法人名義に引き継いだ後も、被保険者が同じ

一方、法人保険としての自動車保険から個人契約に切り替える際に自動車の等級を引き継ぐためには、下記の4つを満たす必要があります。

  • 法人名義の自動車保険をノンフリート契約で契約していた(フリート契約の場合は等級がないため)
  • 法人保険から個人名義に切り替えたあとも、被保険者が同じ
  • 個人事業主となる
  • 法人時と同じ事業を継続して行っていく

条件を満たさなければ等級の引き継ぎはできず、保険料割引のメリットも享受できなくなってしまうので、よく確認しておくことが重要です。

法人向け自動車保険の保険料相場

法人保険の自動車保険の比較

ここからは、法人向け自動車保険の保険料相場と、保険料が変動しやすいポイント、無理なくできる節約のコツを紹介します。

法人向け自動車保険の保険料は、車種・用途(自家用/営業用)、使用目的、補償内容(車両保険の有無など)、等級(事故実績)によって大きく変わります。

一般的には、社用の乗用車(自家用区分)で条件が標準的なケースなら、年間の保険料は数万円台〜10万円前後になることが多いです。

一方で、営業用の貨物車(配送・運送用途など)は、使用実態や補償設計によって幅が出やすく、乗用車より保険料が高くなるケースも珍しくありません。

保険料が上がりやすいポイント

  • 用途や使用実態(営業用・貨物用途など)
  • 補償内容(車両保険を付ける/補償を手厚くする)
  • 事故実績(等級)や運転者条件

保険料を抑えるコツ

  • 補償内容を揃えて複数社で見積りを取り、差が出る要因を確認する
  • 車両保険の付け方(必要性・免責金額・条件)を業務実態に合わせて見直す
  • 台数が増えてきたら、フリート/ノンフリートのどちらが合うかも含めて検討する

選び方のポイントは目的と補償内容

選び方のポイントは目的と補償内容

これまで法人向けの自動車の保険について説明してきましたが、いかがでしたか?最後に、ポイントを復習してみましょう。

ポイントまとめ

  • 自動車の法人保険は、減税効果やフリート契約などのメリットがある
  • フリート契約をした際には、1台の事故が全車両に影響を与えることを忘れない
  • 保険料や補償のバランスを考えて選ぶこと

法人保険として自動車保険を選ぶ際には、この3つがポイントになります。

あなたが何を重視しているかによって、ベストな法人保険は変わります。

補償の手厚さを求めるのか、保険料を抑えて契約したいのか、自分のニーズにあわせた法人保険を選ぶためにも、たくさんの会社を見て比較検討することが一番です。

なかなか自分に合った自動車保険が見つからないという方は、法人保険を扱う保険代理店のスタッフなど、法人保険のプロに相談してみましょう。

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