生命保険の種類によっては、保険契約を解約した場合に解約返戻金を受け取ることが可能です。

解約返戻金を受け取れれば、事業を進めていくうえで資金が必要になるさまざまな場面で、資金繰りの選択肢として役立つ場合があります。

ただし、解約返戻金は解約のタイミングや商品設計によって受取額が大きく変わります。想定より受取額が少なくなるケースもあるため、仕組みと注意点を理解したうえで判断することが大切です。

法人向け生命保険への加入を検討している、あるいは既に加入をしている方へ向け、返戻率の推移出口戦略を意識した、解約返戻金の活用方法についてお伝えします。

それでは早速ご紹介していきます。

ポイントは3つ!生命保険の解約返戻金とは?

損をしない解約返戻金の活用方法を理解するためには、解約返戻金とは何か、どんな保険について解約返戻金があるのかなど基本的なことを知っておく必要があります。

生命保険の解約返戻金の概要に関するポイントは3つあります。

解約返戻金3つのポイント

  • 解約返戻金が何か知る
  • 生命保険の種類によって、解約返戻金が期待できるものとできないものがある
  • 解約返戻率は保険期間の経過で変わる(ただし推移は商品設計によって異なる)

初めて生命保険に加入をするという方は解約返戻金とは何かわかるようにしましょう。

1.解約返戻金とは?

解約返戻金とは、保険契約者が保険契約を解約したときに返還されるお金です。

保険会社は、保険業法の定めに従って、契約者から支払われた保険料について将来の保険金の支払いや解約された場合の解約返戻金の支払いに備えて、責任準備金と呼ばれる一定の資金を確保しておくことが義務付けられています。

解約返戻金の原資は責任準備金になります。つまり、解約返戻金とは、保険契約者が支払った保険料のうち、保険金の支払いや保険会社の運営経費、解約にかかる手数料として使われた以外の部分が戻るもの、と捉えると分かりやすいでしょう。

2.すべての保険に解約返戻金があるわけではない

続いて押さえておきたいのは、生命保険はすべての契約で解約返戻金が受け取れるわけではないという点です。保険の種類や商品設計によって、解約返戻金が見込めるタイプと、基本的に見込めないタイプがあります。

解約返戻金が見込めることが多いタイプ

一般に、保険料の一部を積み立てる性格がある保険は、解約返戻金が設定されている商品が多く見られます。代表例は次のとおりです。

  • 終身保険(保障が一生続くタイプ。解約時期に応じて返戻金が設定されている商品が多い)
  • 養老保険(満期があり、満期保険金と死亡保険金が同額で設計されるのが一般的)
  • 長期平準定期保険(定期保険の一種。保険期間が長く、解約時期によって返戻金が見込める商品がある)
  • 逓増定期保険(定期保険の一種。一定期間に保障が増えていく設計で、商品によっては返戻金が設定されている場合がある)

これらは商品によって返戻金の有無や水準が異なりますが、解約返戻金の原資となる責任準備金が積み上がる設計を含む点が共通しています。

解約返戻金が見込めない(または少額になりやすい)タイプ

一方で、掛け捨て性が強い保険は、解約返戻金がない(無解約返戻金)商品が多く、あっても少額にとどまる傾向があります。

  • 一般的な定期保険(一定期間の死亡保障が中心。無解約返戻金型が多い)
  • 医療保険(入院・手術などの保障が中心。一般的に解約返戻金はない商品が多い)
  • がん保険(がん治療に備える保障が中心。一般的に解約返戻金はない商品が多い)

定期保険は満期までに死亡などの保険事故が起きなければ保険金が支払われない設計が多く、支払った保険料は保障の対価として消費される性格が強い点が特徴です。そのため、解約返戻金を目的に選ぶ保険ではないと考えると分かりやすいでしょう。

ただし、同じ「定期保険」でも商品設計によって解約返戻金が設定されるものがあります。長期平準定期保険や逓増定期保険はその例で、解約のタイミングによっては一定の返戻金が見込める商品があります。一方で、無解約返戻金型として設計されている場合もあるため、名称だけで判断するのは避けたいところです。

解約返戻金を重視する場合は、解約返戻金の有無返戻率の推移(ピーク時期を含む)を試算表で確認したうえで検討しましょう。

3.解約返戻率は保険期間の経過で変わる

最後のポイントは、解約返戻率が保険期間の経過によって変わることです。

解約返戻率とは、支払った累計保険料に対する解約返戻金の割合のことで、100%未満であれば支払った保険料よりも少ない額の解約返戻金だったことを意味します。

解約返戻金は、支払った保険料を保険会社が積み立てて運用している資金が原資となります。そのため、一定期間の経過とともに受取額が増える局面が見られる商品もあります。

ただし、返戻率の推移は商品設計によって異なります。低解約返戻金期間が設定されているタイプでは、一定期間は返戻金が抑えられ、期間後に伸びやすくなるケースがあります。一方で、ピークを迎えた後に返戻率が下がっていくタイプもあります。

「いつ・どの程度まで伸びて・その後どう推移するか」を試算表で確認することが、損をしないための基本です。

また、解約返戻率が支払総額を上回る水準となる設計も一部に見られますが、すべての契約で同様になるわけではありません。予定利率や費用、解約控除などの条件で結果が変わるため、加入前に前提条件と見込額をセットで確認しましょう。

2つの活用方法を知る

生命保険は、死亡保障を主な目的として加入するケースが多いです。

しかし、保険のタイプによっては、解約することによって解約返戻金という資金を得られるメリットがあります。

解約返戻金があるタイプの保険に加入する場合は、返戻率の推移と出口(解約のタイミング)を意識しておくと、活用の幅が広がります。主な活用方法としては2つ挙げられます。

2つの活用法

  • 被保険者の退職金として解約返戻金を活用する方法
  • 事業のなかで急に必要となる資金に対応する手段として活用する方法

この活用法を押さえておけば、本来の保障にプラスして活用することができるのでよくチェックしておきましょう。

被保険者の退職金として活用

1つ目は、被保険者の退職金として解約返戻金を活用する方法です。

役員や経営責任者が退任した場合、役員退職金を支払うことになりますが、一般の従業員と比較すると多額になるケースが多く、資金手当てに悩むことも少なくありません。

そういった場合に、解約返戻金を退職金の原資に充当するという選択肢があります。

社長やそのほかの役員を被保険者として終身保険や養老保険、長期平準定期保険などに加入するのです。

長期平準定期保険は定期保険の一種ですが、保険期間が相当長くなるため、保険期間の途中で一定の解約返戻金が見込める商品があります。

こうした保険では、死亡保障を確保しながら、退任時期に合わせて解約返戻金を受け取る設計を検討しやすくなります。解約返戻金を受け取る年度は収益が増えやすい点を踏まえ、退職金支給のタイミングと合わせて資金計画を立てておくと安心です(退職金の損金算入は金額の妥当性や手続き、計上時期が重要になります)。

また、保険料の税務上の扱いは、保険種類だけでなく、契約形態や商品区分、最高解約返戻率、契約日などの条件で異なります。とくに定期保険や第三分野保険は、一定の契約について支払保険料の一部を資産計上する取扱いが定められています。加入前に保険会社資料と顧問税理士の確認を行うのが安心です。

資金調達として活用

2つ目は、事業のなかで急に必要となる資金に対応する手段として活用する方法です。事業を進めていくうえでは、景気の悪化、災害などによって急に資金が必要になることがあります。

経営状態が悪化している状態では、金融機関の審査に通らず融資を受けられない可能性があります。そうなると、資金繰りが厳しくなります。

そういった場合でも、加入している生命保険を解約して解約返戻金を受け取れれば、資金繰りの選択肢が広がります。

保険契約の解約そのものに金融機関の審査はありません。ただし、資金が必要になったタイミングによっては、解約が不利になり受取額が想定より少なくなるケースもあります。

たとえば、低解約返戻金タイプの保険における保険料払込期間中の解約や、契約後間もない時期における長期平準定期保険の解約です。不利な条件で解約することがないように、返戻率の推移と解約控除の有無を確認したうえで判断することが重要です。

損をしないための2つの注意点

生命保険解約における返戻金を賢く活用するための主な注意点は2つです。

2つの注意点

  • 解約返戻金の種類によって異なる特徴を理解したうえで活用すること
  • ピークを過ぎた解約にならないよう、出口(解約時期)を意識すること

法人向け生命保険を活用するうえでは、注意点も押さえておきましょう。

解約返戻金の種類と特徴を理解

1つ目は、解約返戻金の種類によって異なる特徴を理解したうえで活用することです。

従来型の解約返戻金タイプの保険では、一定期間の経過とともに解約返戻金が増える局面が見られる商品があります。

解約返戻金の金額は、保険会社の運用実績によって変動する場合があります。

しかし、予定利率などの前提に基づく試算表で、解約時期ごとの見込額を確認できます。

保険契約時に、どの程度の期間が経過すると解約返戻金がいくらになるのか、返戻率の推移を資料で確認しておくとよいでしょう。

低解約返戻金タイプの保険では、抑制期間中の解約を避けることがポイントです。抑制期間の直前と直後では、受取額に大きな差が出る場合があります。

急な事業資金需要が生じた場合などはやむをえませんが、できる限り抑制期間中の解約を避けられるよう、資金計画に余裕を持たせておくと安心です。

ピークを過ぎた解約を避ける(出口戦略)

2つ目は、ピークを過ぎた解約にならないよう、出口(解約時期)を意識することです。解約返戻金は、契約からの経過期間が長いほど増える傾向が見られる商品もあります。

ただし、保険期間の終了直前や、返戻率のピークを過ぎた時期の解約は、受取額が伸びにくい場合があります

特に注意が必要になるのは、長期平準定期保険です。長期平準定期保険は、法人向けの保険で、長期の満期設定が可能な商品があります。

ただし、定期保険の一種ですので、満期近くでは解約返戻金が小さくなる(またはゼロに近づく)設計が見られます。

保険料は、保険期間中の全年齢に応じた保険料を平準化して、全期間を通じて一定金額を支払うことになります。

そのため、被保険者の死亡率が低い若い年代においては、死亡率から算出した保険料よりも多く払い込むことになり、これが解約返戻金の原資となります。

しかし、高齢になると死亡率が上昇し、返戻金の原資が取り崩されて保険金支払いに充てられる局面がある点も押さえておきましょう。

長期平準定期保険については、解約返戻金がピークとなる時期を契約時に把握しておき、その時期に合わせて解約するよう計画しておくことがポイントです。

また、終身保険についても、解約のタイミングによってはピークより低い解約返戻金になるケースがありますので注意が必要です。

解約返戻金の受取りを重視する場合は、保険タイプごとに異なる返戻率のピーク時期を確認し、退職・事業承継・設備投資などの資金需要に合わせて出口を設計しておきましょう。

返戻率と出口戦略を押さえることが鍵

貯蓄性がある生命保険への加入は、死亡保障の確保だけでなく、解約により解約返戻金を受け取れる可能性がある点も特徴です。

ただし、解約のタイミングや使い道によっては、受取額や税負担の印象が大きく変わる点には注意が必要です。

生命保険のタイプの違いによって解約返戻金の算出方法や返戻率の推移は異なります。そのため、契約時に、時期に応じて解約返戻金がいくらになるのか、どの時期の解約が不利になりやすいのかを把握しておくことが重要です。

返戻率のピークと資金需要(退職金、運転資金、設備投資など)を結びつけて計画できれば、事業経営の安心感につながります。損をしないように、試算表の確認と出口戦略まで含めて検討しましょう。

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