企業経営というのは、常に順調な成績を収められるとは限らないものです。
好調なこともあれば、どうしてもうまくいかない場合もあります。例えば、取引先の倒産や資金不足といったような深刻なトラブルは、いつ訪れるかわかりません。
また、経営者や役員などの重役に、病気や事故などといった不測の事態が起きれば、企業の経営に大きな影響が出てしまうでしょう。
そのような状況に備えた保障を持った保険が「経営者保険」です。
今回は、万が一のトラブルから会社と経営者を助ける「経営者保険とは、どのような保険なのか」について、5つのポイントを取り上げて紹介します。
はじめに:経営者保険とはどのような保険?
「経営者保険」は、法人が契約者となり、経営者や役員、幹部従業員などを被保険者として加入する生命保険を指して使われることが多い呼び方です(商品名ではありません)。
どんなリスクに備える?
経営者や役員など、企業で重要な役割を果たす人物に万が一が起きると、経営が不安定になることがあります。その際の資金手当てとして、保険金を活用できる場合があります。
退職金準備・遺族保障・事業承継にも使える
積立型の保険では、解約時に返戻金を受け取れる商品もあり、退職慰労金の原資を準備しやすくなることがあります。
また、受取人を遺族に設定できる契約もあり、遺族の生活保障や事業承継資金として活用されることがあります。
※保険金・解約返戻金の課税関係、保険料の損金算入の可否・割合は、保険種類や契約形態(受取人、解約返戻金の有無等)で変わります。
経営者保険の契約形態について
契約者・被保険者・受取人
経営者保険では、契約者は法人、被保険者は経営者・役員・幹部従業員などを設定します。
受取人が法人の場合
受取人を法人にするのは、経営者や役員に万が一があった際の当面の運転資金や経営上の損失補填に備える目的が中心です。
受取人が遺族の場合
遺族受取の契約は、生活保障に加え、株式の買い取りや相続税など、事業承継の資金に充てる目的で検討されることがあります。
※法人が保険金・解約返戻金を受け取る場合、会計・税務上は益金計上となることがあります。受取後の使い道(退職金・弔慰金・運転資金など)まで含めて考えることが大切です。
5つの特徴

経営者保険は、万が一の資金確保に加えて、目的に応じた設計ができるのが特徴です。
経営者や役員に不測の事態が起きたときの「当面の資金確保」ができますし、退職金準備や事業承継費用などの「将来の資金需要」にも備えられます。
以下では、「経営者保険はどんな目的で加入するのか」を5つのポイントに分けて紹介します。
ポイント1:役員やキーマンの保険
役員やキーマン(事業の要になる技術者・経営の要になる人物など)が死亡したり、疾病や傷害などで入院したりすると、企業の経営に大きな影響を与えかねません。
そうした人物に、企業が保険をかけておくことで、経営のリスクを低減させることが可能になります。
具体例
死亡や入院となれば、役員やキーマン本人や家族の生活についても、企業側が配慮する場面があります。キーマンのなかでも、技術者のように一般従業員として雇用されている人物であれば、労災保険の適用を受けられます。
とはいえ、企業内でキーマンとなるような人物には、一般の労災保険よりも手厚い補償をしたい場合もあるでしょう。
そのような時には、法定外労災保険や使用者賠償責任保険などで補償の範囲を広げることも検討できます。
役員が死亡、または高度障害になってしまった場合に備えた保険の中には、役員の定年時に合わせた保険期間で契約のできる定期保険を選ぶ、という考え方もあります。
さらに積立型の定期保険であれば、勇退時の退職慰労金の財源として利用することもできます。
注意点
役員や事業主は労災保険の対象外となる場合がありますが、一定の要件を満たすと「労災保険の特別加入」により給付を受けられることがあります。
適用関係は立場・業務実態で変わるため、必要に応じて確認しましょう。
ポイント2:経営者死亡の業務上損失
会社の経営者や代表が死亡した場合、経営上で大きな損失を生んでしまうことがあります。
そのような事業の立て直しが困難なトラブルを未然に防ぐためにも、事業保障対策となる経営者保険への加入は検討しやすい選択肢です。
また、経営者の死亡だけではなく、高度障害などで実質的な立場を失うケースも想定しておくべきでしょう。
具体例
経営者を失うというのは、役員やキーマンを失うこと以上の損失と負担が生まれる可能性が高いため、必要資金を見積もったうえで、比較的大きな保障額で備えるケースもあります。
たとえば、当面の運転資金、採用や引継ぎに必要な費用、借入金の返済原資などをどの程度見込むかにより、必要な保障額の考え方が変わります。
注意点
経営者保険で確保できるのは、あくまで資金面の備えです。
経営の立て直しや後継者への引き継ぎに必要な期間・費用をあらかじめ想定し、保険以外の体制づくり(承継計画・権限移譲など)もあわせて検討しましょう。
ポイント3:経営者遺族の生活保障
経営者保険のもうひとつの目的として、遺族の生活保障という面があります。
一般的に経営者保険に加入するのは、中小企業の経営者の方が多いです。さらに、中小企業の中には、経営者自身の資産や資金によって経営が支えられているところも少なくありません。
こうした場合、経営者が死亡すると、遺族の手元にほとんど財産が残らない場合があります。
ですから、経営者保険の中には、遺族のための生活保障を目的に設計できる商品も数多くあります。
具体例
遺族の生活保障について、どのような額が妥当なのかは家庭によってさまざまです。
「配偶者に収入はあるのか」「子どもがいるのか」「子どもがいるなら年齢はいくつか」「個人的な借金はあるのか」といった要素から考える必要があります。
また、遺族の生活保障には、後継者への事業の引き継ぎが含まれる場合もあるでしょう。中小企業の場合、後継者を親族として会社を引き継ぐことも少なくありません。
自社株の買い取りや相続税など、引き継ぎの際に必要な資金が確保できない場合、廃業を迫られてしまうこともあります。
注意点
事業承継の資金需要は、株式評価、相続税・贈与税、金融機関対応、関係者調整などで大きく変わります。
必要額の見立ては、税理士等と連携して確認しておくと安心です。
ポイント4:経営者や役員の退職金
経営者や役員は、一般の従業員のような退職金制度が適用されないケースがあります。
そのため、経営者や役員が企業を勇退する際の「役員退職慰労金の支給」に備え、法人保険が検討されることがあります。
ただし、退職慰労金が不相応に高額である場合、法人税などの税金面で不利な扱いを受ける場合もあるため注意が必要です。
具体例
退職慰労金は、税務上で損金として扱える場合があります。ところが、あまりにも高額な退職慰労金については、損金として算入できない可能性があります。
退職慰労金の財源として経営者保険を利用する場合も、合理的と説明できる額に留めることが大切です。
実務では、役員退職慰労金は「退職時の役員報酬×役員在任年数×功績倍率」で検討されることが多く、ここに功労加算がされる場合もあります。
注意点
功績倍率の目安は一律ではありません。会社規模・役位・貢献度によって幅があり、代表で2.0~3.0程度などのレンジで検討されることもあります。
支給根拠(規程・決議・算定資料)を用意できる形にしておくことが重要です。
せっかく退職慰労金の財源のために経営者保険を用意しても、超過分が否認されて企業の負担が増えるのでは、メリットが薄れてしまいます。
ですから、根拠をもとにした退職慰労金を確保できるような設計を意識して、経営者保険を選ぶことが重要になります。
ポイント5:役員や幹部の加入条件
経営者保険は、経営リスクに備えた役割を持っています。
ですが、経営者保険の加入を考える場合には、保険に加入する際の条件についても把握しておく必要があります。経営者だけではなく、役員や幹部従業員など、保障が必要となる人物が加入できる保険を知ることが重要だからです。
また、経営者保険の種類によっては、被保険者の年齢や業務内容、あるいは勤続年数などの加入条件が異なります。
具体例
経営者保険の中には、経営者だけを対象にしたものや、経営者と役員のみ加入できるものもあります。
例えば、経営者と役員しか加入できない保険に加入する場合、技術者などのキーマンは加入できないことから、別の保険と併用することも考えなければいけません。
ひとつの保険で全てをカバーする必要はありませんから、複数の保険を運用するという考え方もあります。
さらには、国際的に活動する企業の場合、役員やキーマンが外国籍だという場合もあります。このような場合、外国籍であっても加入可能な保険を探す必要があります。
注意点
加入可否や引受条件は、保険会社・商品、被保険者の健康状態や職業、年齢などで変わります。
候補が絞れた段階で、条件を確認しながら設計するのが安全です。
会社に合った保険選びとは?
企業ごとに経営状況は違うため、どういった経営者保険が必要になるのかは企業によって異なります。
また、企業の業種や特徴だけではなく、被保険者となる経営者や役員、キーマンなどの立場や勤続年数なども保険加入時には考慮する必要が出てきます。
ですから、経営者保険への加入を検討する際には、多くの保険を見比べて、きちんと実用性や実益があるものを選ぶことが大切です。
しかし、いきなり企業に有益な経営者保険を探そうとしても、自力で適切な保険を見つけるというのは非常に難しいことかと思います。
そういう場合には、一人で悩むのではなく、経営者保険のプロに相談することをおすすめします。
特に保険代理店では、複数の保険会社の商品を取り扱っていることから、あなたの会社や従業員の特徴に最も合った保険選びを行ってくれます。
このように専門家のアドバイスを受けることによって、福利厚生の観点から資産形成まで、将来的な部分を含めた経営環境を整えることが可能となるでしょう。
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