節税コラム
最新!医療保険による賢い節税法~法人契約を個人に名義変更~

知らないと損!医療保険の名義変更による経営者向け節税方法

2019年6月、国税庁より法人保険の定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いについて見直しが行われ、税制改正のよる通達で法人保険に関する新たなルール案が公表されました。

法人保険の取り扱いは税制改正後の新しいルールによる運営され、当記事に関しても新ルールに基づいた解説をしております。

税制改正後の法人保険に関する新ルールについての詳細は、国税庁・金融庁・各保険会社が公表する内容を合わせてご参照ください。

医療保険に個人で加入している法人経営者の方。実は「医療保険は法人で加入した方が圧倒的にメリットが大きい」ということをご存知でしょうか?

賢く医療保険を利用するなら、保険料を全額会社の経費にできる法人名義で払うべき。その方が、法人・個人の両方に節税効果を期待できるのです。

当記事では、法人経営者による「医療保険の賢い節税法」として、法人名義で医療保険に加入するメリットと具体的な節税効果をご紹介します。

現在医療保険に個人で加入している経営者の方は、こちらの記事を参考に医療保険の加入方法について見直しをしてみてはいかがでしょうか。

医療保険は法人で加入した方がお得!

自身が病気になった時に備えて、医療保険に加入している経営者の方も多いでしょう。

個人に対する保障なのだから、個人の名義で加入すべき。そう考えている方もいるかもしれませんが、実は経営者に対する医療保険は、個人よりも法人で契約をした方が圧倒的にお得。

いわゆる「医療保険名義変更プラン」を利用して、法人で契約した医療保険を個人へ名義変更すれば、個人・法人両方に節税効果を期待できるのです。

この医療保険の名義変更による節税の仕組を解説していきます。

法人が支払う保険料の損金取り扱い

そもそも、経営者個人で支払う医療保険の保険料は、原則として会社の経費にはなりません。

一部、所得控除として経費同様の取り扱いはされますが、いくら支払っても所得控除限度額(4万円)までしか節税効果はありません。節税メリットは非常に薄いです。

一方、法人が医療保険の契約者となり、被保険者を社長や役員などにした場合、法人が支払う保険料は経費として扱われ、損金に算入することが可能。損金の金額に応じて、節税効果が期待できます。

2019年の税制改正による損金取り扱いへの影響は?

法人が支払う医療保険(短期払い)の保険料は、以前は全額損金算入が認められていました。そのため、法人名義の医療保険短期払いを節税の手法として活用される法人経営者の方が多く見られました。

しかし、2019年の税制改正により、損金取り扱いのルールが変更に。2021年現在では、短期払いの医療保険については保険料の一部のみを損金算入(20%程度)、それ以外は資産計上するというルールとなり、以前よりも節税効果が小さくなったと言われています。

しかし、実は医療保険の短期払いでは、保険料の支払期間終了後に個人へ名義変更をする時点で、資産計上した保険料を取り崩し損金算入することが認められています

つまり、2019年の税制改正以降も、長期間で捉えることができれば名義変更によって支払い保険料を全額損金算入されることは変わらないのです。

では実際、医療保険に個人で加入する場合と、法人で加入して後から個人に名義変更する場合では、どれくらい節税効果が違うのでしょうか?個人契約・法人契約それぞれのパターン別に、キャッシュフローを解説していきます。

法人から個人への名義変更プランによる節税効果

ここでは、下記を前提条件として、「経営者個人で医療保険に加入した場合」と、「法人契約で経営者を被保険者とした医療保険(短期払い)に加入した場合」を比較していきます。

【前提条件】

※条件は全て仮定として、暫定な数値を使用しております。実際の契約前に必ず、専門家等へご確認ください。

①税務について

  • 税率は暫定で、所得税率等50%、法人税率等30%で計算すると仮定。
    (所得税率等には住民税込、所得金額1800万円の税率を想定)
  • 生命保険契約の名義変更については課税されないものと仮定。

②保険契約等の条件について(一般的な生命保険会社の条件を基に作成)

  • 被保険者は、現年齢30歳、寿命が90歳、給与所得者であり、法人契約と個人契約の保険では補償は同等、と仮定。
  • 法人契約では、10年短期払い、年払い120万円、30歳から90歳まで補償継続。
  • 個人契約では、年払い30万円、30歳から90歳まで補償継続、所得控除額は4万円と仮定。

経営者個人で医療保険に加入した場合

上記の図のように、法人・個人あわせてのキャッシュフローを見ると、最終的に-2,400万円となっています。

法人で短期払い契約、支払後に名義変更した場合

上記の図のように、法人名義で契約し、短期払いの保険料を支払ったあとに経営者個人に名義変更をすると、最終的なキャッシュフローは-840万円となっています。

経営者個人で医療保険に加入した場合と比べて、発生するマイナス分は1,560万円も違います

また、経営者個人へ名義変更したあとは、経営者は保険満期を迎える90歳まで継続して補償を得ることが可能。名義変更により、経営者は保険料を支払うこと無く補償を得ることができるのです。

この結果を見ると、医療保険に個人で加入をするか、法人で加入して名義変更をするか、どちらがお得か一目瞭然でしょう。

医療保険の名義変更による法人・個人の税務処理は?

医療保険を法人から個人に名義変更をした場合、法人・個人の税務処理が気になる経営者の方もいるでしょう。

医療保険名義変更する場合には、保険に解約返戻金があるかないかによって税務処理が異なります。それぞれのパターンを解説します。

解約返戻金がある場合の名義変更

法人 解約返戻金相当額を、被保険者の給与もしくは退職金の一部として名義変更することが可能
個人 解約返戻金相当額を、給与もしくは退職金の一部として受け取り。

一方、上述とは異なる形で譲渡した場合には、被保険者が医療保険を解約返戻金相当額で買い取るという形になります。

そのため、法人は被保険者から解約返戻金相当額を受け取り、名義変更を行います。

解約返戻金がない場合の名義変更

解約返戻金がないタイプの医療保険では、法人・個人ともに金銭の授受なく名義変更をすることが可能です。

まとめ:長期的な目線で節税効果を検討しましょう

今回は、経営者向けの医療保険を法人で加入し、名義変更によって節税効果を得る方法を解説してきました。

この記事でご説明したとおり、医療保険は経営者個人で加入するより、法人名義で契約して後から個人へ名義変更をする方が圧倒的にお得でおすすめです。

長期的な目線で節税効果を考えると、法人契約をした方が最終的にキャッシュフローで1千万円以上の得をすることもあります。法人から個人への名義変更の手続きについても、大きな手間はかかりません。

解約返戻金がある場合には給与もしくは退職金の一部として個人に支給。解約返戻金がなければ法人・個人双方に金銭の授受なく名義変更可能と、容易に行うことができます。

長期的な目線で考え契約方法を少し変えるだけで、経営者の皆様の手元に残るお金が全く変わります。すでに医療保険に加入している方も、一度契約方法を見直してみてはいかがでしょうか。

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