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法人税の基本
【国税庁パブリックコメント】法人保険の節税目的での販売停止

節税目的の法人保険の販売停止(売り止め)について解説

2019年2月14日、国税庁によるパブリックコメントが発表され、保険業界に激震が走りました。

発表された内容は、税制改正による節税目的での法人保険の販売停止(売り止め)の通達

節税目的で法人保険を活用する経営者はよく見られるため、この売り止めの発表に衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか。

当記事では、節税目的での法人保険売り止めの具体的な内容と、国税庁や保険会社における現状の対応、国税庁が公表した税制改正による新ルール(通達改正)について分かりやすく解説します。

法人保険による節税対策を検討している経営者や企業の経理担当の方は、ぜひ参考にしてください。

【国税庁がパブリックコメント発表】税制改正により法人保険を節税目的での販売停止

いわゆる「節税保険」とは、基本的に法人を契約者とする法人保険のことを指します。法人税を抑えたい経営者から人気を集めており、決算期が近くなると節税保険で対策をしようと考える方も多いでしょう。

しかし、2019年2月14日に国税庁が「解約返戻率が50%を超える法人向け定期保険」「法人向け第三分野商品(がん保険等)」の税制上の取扱いルールの変更。

税制改正を検討していることを各保険会社に通達したことで、各生保会社は法人保険の定期保険のうち、解約返戻率が50%を超える商品の販売を一時停止(売り止め)しました。

かねてから、決算対策の一つの手段となっていた生命保険や定期保険などの節税保険は、いずれ節税効果が下がるような措置が取られると予想されていました。

そしてついに2019年4月11日、国税庁が法人保険のルール改正案、税制改正を公表し、これに対する意見公募(パブリックコメント)が行われた結果、2019年6月28日に当初の改正案を修正した通達改正が出されることになったのです。

国税庁が行うパブリックコメントとは

国の行政機関は、政策を実施していく中で、政令や省令などを定めていきます。

その際にあらかじめその政令や省令を公表し、広く国民から意見を募集することがあります。

それがパブリックコメント制度、別名意見公募手続き。

今回の法人保険のルール改正案では、法人保険を節税目的で利用することへの税制改正についてパブリックコメントが行われました。

結果、今後は法人保険を節税目的で利用することは難しく

その結果、国税庁はパブリックコメントからの意見を反映し、2019年6月28日、法人保険の節税対策として効果が小さくなるよう税制改正することを決定。

法人保険を節税対策として利用する効果が小さくなるということは、企業や経営者からのニーズがなくなるということ。つまり、基本的に節税保険は販売停止(売り止め)となるわけです。

保険会社にとってはもちろん、税金対策を行いたい経営者にとっても影響が出ることは否定できない税制改正内容です。

もちろん、売り止めとは言うものの法人向けの生命保険・定期保険を扱っている保険会社は現在もあります。しかし、税制改正によって、法人保険の資産・損金の取り扱いが変わりました

ここからは、税制改正による新たな法人保険の税務ルールについて解説していきます。

税制改正。損金取扱いと返戻率を理解して法人保険の仕組みを知る

国税庁が定めた法人定期保険の新たな税務ルール、税制改正が通達され、内容が以下のようになりました。

定期保険のピーク時解約返戻率と資産と損金の取扱い概要一覧

ピーク時の
返戻率
項目取扱
50%以下
資産計上不要(全額損金算入)
50%超
70%以下
資産計上
期間
保険期間開始~前半4割期間
※一被保険者の年換算保険料合計額が30万円以下の場合は資産計上不要
資産取り崩し
方法
前半3/4期間経過後から均等取り崩し
資産計上
割合
支払保険料×0.4(6割損金算入)
70%超
85%以下
資産計上
期間
保険期間開始~前半4割期間
資産取り崩し
方法
前半3/4期間経過後から均等取り崩し
資産計上
割合
支払保険料×0.6(4割損金算入)
85%超資産計上
期間
① 保険期間開始~解約返戻率ピーク時まで
② 1の期間経過後において、年換算保険料に対する解約払戻金の増加割合が0.7を超える期間があれば、保険期間開始からその期間の終わりまで
③ 1または2の期間が5年未満の場合は、5年間
(保険期間10年未満の場合は、保険期間の1/2期間)
資産取り崩し
方法
解約返戻率のピーク年度経過後から均等取り崩し
資産計上
割合
当初10年間:支払保険料×ピーク返戻率×0.9
11年目以降:支払保険料×ピーク返戻率×0.7

国税庁が公表した新ルール案は、法人向け生命保険などの「定期保険」について、保険料の損金算入割合を解約返戻金のピーク時の返戻率によって決めるというものになりました。

そして、損金算入されない部分は資産計上を行い、規定に従い取り崩してあとから損金に算入していく必要があります。

定期型法人保険の最高解約返戻率によって損金処理できる金額や期間が異なるので注意しましょう。

なお、解約返戻金のない定期型法人保険は、純粋な保障のみを目的とした商品であるため、保険料は全額損金計上が可能です。

解約返戻金のある定期保険は新たに資産計上が必要になったので、経理処理の場合で不明点がある場合は、顧問先の税理士等に確認して下さい。

通達改正についてより詳しく知りたい方は国税庁の公式ホームページで確認することも可能ですが、文章は分かりにくいので法人保険や税金のプロに相談するほうが無難です。

通達改正で短期払いの第三分野保険(終身保障)も追加

2019年6月25日に国税庁は、法人契約のがん保険や医療保険などのいわゆる「第三分野商品」について、全額損金算入できる保険料の範囲を1契約当たり年間30万円までに制限することを通達。

今回の税制改正で、生命保険のみならず第三分野の法人保険にまでメスが及んだ結果です。

今まで、法人が加入する終身契約のがん保険や医療保険は節税効果が高いものとして注目されていました。保険料の支払い期間を2年や5年などに短く設定することで年間の保険料が数百万円にも及び、全損により多額の損金を算入することができたのです。

しかし全額損金の算入範囲が年間の保険料で30万円に制限されることで、保険料を極端に短期払いするメリットは少なくなることは間違いありません。

また、超短期払いが不可能になったことで、医療保険の名義変更で法人名義から経営者個人名義に変える節税手法を防ぎたい国税庁の意図も見て取れます。

国税庁の当初案では、年間保険料は20万円とされていましたが、パブリックコメントの意見を反映して30万円までに緩和されることが通達されています。

販売停止(売り止め)となる法人保険の商品は?

ここからは、税制改正によって販売停止(売り止め)となった法人保険商品を見ていきましょう。

全額損金計上の商品は通達改正に該当する理由で販売停止(売り止め)

上記で紹介した通り、国税庁による通達改正によって保険料を損金100%として計上できなくなりました。

これにより、今まで節税対策として活用されてきた返戻率が50%超の逓増定期保険などの商品が販売停止(売り止め)となります。

実際、日本生命など多くの生保会社では、国税庁の通達改正が出る前の早い段階で節税商品の販売停止(売り止め)を行い、新ルールの動向を見守っていました。

また、販売停止にしない場合でも、ピーク時の解約返戻率によって保険料を損金と資産に分けて計上する新ルールに従う必要があります。

したがって、節税対策として利用されてきた高い解約返戻率の法人保険の販売停止を受け、今後は経営者のニーズをできるだけカバーしつつ、新ルールにしっかりと対応した商品が販売されるようになっていくのかもしれません。

既に解約返戻率50%超の法人保険に加入している場合の対策方法

今回の税制改正を受け、既に損金100%で計上してきた節税保険はどうなるのか、中小企業の社長にとっては心配になりますよね。

節税目的で利用されてきた法人保険が販売停止(売り止め)になれば、自分たちの加入している法人保険も廃止されてしまうのか。

それとも、新たなルールに適用した税務処理が求められるのか。

これについては、国税庁が「既契約の節税保険については通達改正を適用しない」と通達しました。通達内容を詳しく確認していきましょう。

パブリックコメントを反映し新ルールは過去の契約には遡及されないと国税庁が発表

各保険会社がルール変更で気にしていたことの一つとして、過去に契約した節税目的の法人保険にも新ルールが適用されるのか、それとも今まで通りの損金算入割合が認められるのか?ということでした。

今回の国税庁の通達改正によると、税制改正は過去の契約に遡及して適用されません。したがって、過去に契約した法人保険であれば、継続して同様の経理処理および税務処理が可能となります。

節税保険に対する新ルールが適用されるのは、政府が定めた基準日以降に新たに加入した保険ということです。

なお、「最高返戻率による保険料の取扱い」と、「第三分野に関する短期払い終身保険」の2つは、基準日が異なるので注意してください。

法人保険新ルールの適用日
最高解約返戻率に関する保険料の取扱い2019年7月8日以降
第三分野の短期払い終身保険2019年10月8日以降

以上のことから、新ルール適用日前までの法人保険については、従来通りの経理処理が認められることになります。

【まとめ】保険会社の販売停止(売り止め)・新商品動向も要注意

さて、節税保険の販売停止(売り止め)や今後の対応について、ご理解いただけたでしょうか?

今回は法人保険の税制改正の流れからパブリックコメント発表、そして通達改正の内容を順を追ってご説明してきました。

国税庁の税制改正に伴う新ルール変更通達と一部の法人保険商品販売停止(売り止め)により、これまでのように決算対策で法人保険を利用する機会は減ることが予想されます。今後は、節税対策の効果が期待できなくなるためです。

今ままで節税効果として人気の高かった法人保険商品は、引き続き販売停止(売り止め)となっていくことが予想されます。

そこで次に注目したいことは、「各保険会社がルールの変更にどのように対応していくのか?」という動向でしょう。

これまでも、国税庁と保険会社の間では節税効果のある商品が販売と規制を繰り返してきた過去があります。

現在は、上記に関係する法人保険の募集を停止している保険会社もありますが、通達改正に対応した新たな節税商品が順次発売されていくと思います。

税務処理や経理処理で2019年から2020年は変更処理で混乱が生じることが予想されますが、当サイトでは引き続き有益な情報を発信していくので、ぜひ参考にしてください。

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