欧米、特に北米では訴訟社会で他人に損害を与えて多額の損害賠償を受けるケースが後を絶ちません。
日本でも第三者損害賠償を受けるケースが増えてきており、賠償責任保険の必要性が高まってきています。
日本では賠償責任保険は複数の種類(約款)に分かれており、補償の対象や事業内容に応じて選ぶ必要があります。
この記事でご紹介するのは、企業が所持・管理する施設において第三者に損害を与えてしまった場合に備える「施設賠償責任保険」。
ほぼ全ての事業者に共通して必要になる保険なので、経営者の方は参考にしていただければ幸いです。
なお、当サイトと提携している保険総合代理店「R&C株式会社」では、法人保険の無料相談を行っています。保険会社の比較や資料請求も承っているので、ぜひご利用ください。
当記事の監修者:金子 賢司
- CFP
- 住宅ローンアドバイザー
- 生命保険協会認定FP(TLC)
- 損保プランナー
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。
以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。
趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・情報発信しています。
施設賠償責任保険とは
施設賠償責任保険は施設の管理上の問題、あるいは施設の用法に伴う業務上発生した第三者に対する賠償責任を補償する保険です。
このように説明すると非常に難しく聞こえるかと思いますが、以下具体的にご説明します。
「施設」とは何を指す?
施設賠償責任保険の対象となる施設は、飲食店・スーパーなどの店舗がまずは思い浮かびます。
しかし、実は施設賠償責任保険の対象はかなり広く、個人の事務所・賃貸マンション・工場といった事業用施設もあれば、学校や遊園地といった公共施設など、多岐に及びます。
補償の対象は「第三者に損害を与えた場合」
施設賠償責任保険で補償される賠償責任は、施設管理上の問題に起因する場合と、業務上に起因する場合の2つのケースが考えられます。
具体的には、以下のようケースです。
施設管理上の責任
- 事務所の窓が落下して通行人にケガをさせてしまった
- 構内の火災により来客に火傷を負わせてしまった
- 保育園の遊具の金具がはずれ子供がケガをした
業務遂行上の責任
- 自転車で配達中に通行人にぶつかってケガをさせてしまった
- イベント会場でスタッフの誘導が悪く観客がケガをした
- 店舗の店員が誤って食べ物をこぼし客の衣服を汚してしまった
施設賠償責任保険で補償される費用
施設賠償責任保険で補償される費用は、まず法律上の損害賠償金が挙げられます。
その他、賠償責任に関する訴訟費用、弁護士費用等の争訟費用、求償権保全・行使等の損害防止軽減費用、応急手当・護送等の緊急措置費用なども、補償の対象となります。
- 企業が所持・管理する施設内で、管理の問題上もしくは業務上発生した第三者に対する賠償責任を補償する。
- 対象となる施設は、店舗や事務所(個人・法人)、マンション、工場、公共施設など。
- 法律上の損害賠償金、それに関する訴訟費用、弁護士費用などが支払われる
事業者は加入を検討した方が良い。その理由とは
あらゆる事業者には、賠償責任のリスクが存在します。
賠償請求を受けた際の損害を補償するには、事業内容や会社の所持する財産に応じて賠償責任保険へ加入することが必要です。
複数ある賠償責任保険の中でも、特に施設賠償責任保険は比較的安価な保険料で加入できる保険であり、賠償責任のリスクに広く備えられるため、おすすめの保険です。
賠償責任のリスクはどんな事業者にもある
ほとんど全ての事業者は施設を所有していると思いますが、そういった場合には施設の管理に起因する賠償リスク、および施設の用法に伴う業務に起因する賠償リスクが常について回ります。
特に、業務遂行上の責任については見落とされがちです。施設賠償責任保険では、事業者の業務遂行上の賠償責任リクスもカバーすることが可能。
アパートの大家、駐車場のオーナーなどの個人事業主から、様々な業種の法人に至るまで、あらゆる事業者に施設賠償責任保険へ加入することをおすすめします。
安い保険料で備えられるコストパフォーマンスの良さ
施設賠償責任保険の補償限度額は、一般的に数千万単位から億円単位で設定されることが多く、手厚い補償を用意することができます。
その反面、施設賠償責任保険の保険料は比較的安い点がポイント。施設の規模にもよりますが、例えばマンション1棟で数千円の保険料ということもあります。
なお、施設賠償責任保険の保険料は免責金額に比例し、補償限度額には比例しません。
つまり、補償限度額が1億円と2億円の場合を比較しても、保険料は2倍の差にはならないのです。
実際の事故例
施設賠償責任保険が適用される事故のケースは、意外と身近に潜んでいます。
実際に起きた事故例を元に、業種・事故内容・賠償額をそれぞれご紹介します。
施設賠償責任保険 実際の事故例
業種
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事故内容
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事故原因
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分類
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賠償額
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スキー場 | スキー場で滑走中の客が転倒。後遺症が残った。 | 施設管理不備 | 対人 | 1,400万円 |
不動産 賃貸 |
ビルの配水管が詰まったことのより、汚水・雑排水が住宅部分とテナント数店に濡れ損を与えた。 | 施設管理不備 | 対物 | 1,300万円 |
学校 | 校内で下駄箱が倒れ、清掃中の生徒が下敷きになり負傷した。 | 施設管理不備 | 対人 | 5,000万円 |
小売り | スポーツショップに立てかけられていたスキー板が倒れ、客にあたり負傷。後遺症が生じた。 | 施設管理不備 | 対人 | 3,000万円 |
アミューズ メント 施設 |
施設内のアトラクションで客の体の一部が挟まれ後遺症が生じた。 | 施設構造不備 | 対人 | 4,000万円 |
このように、それぞれの事故で約4,000万円~1億4,000万円もの高額な賠償請求が発生しています。こういった事故でも、施設賠償責任保険で備えることが可能です。
施設賠償責任保険に加入する際の注意点
施設賠償責任保険はコストパフォーマンスの良い保険と言えますが、全ての賠償責任に対応できるわけではありありません。
また、当然ながら賠償責任が成立しない場合には補償対象外になりますので、注意が必要です。
補償の対象にならないケースがある
以下のケースは、施設賠償責任保険の補償対象になりませんので、注意が必要です。
- 給排水管からの水漏れ
※特約を付けることにより施設賠償責任保険の対象にすることが可能です。 - 施設の新築、修理、改造、取壊し等の工事
※請負賠償責任保険にて補償することが可能です。 - 販売した商品、飲食物を原因とする食中毒その他の事故
※生産物賠償責任保険にて補償することが可能です。
施設賠償責任保険の補償対象にならないケースでも、他の法人向け損害保険でカバーできるので、あわせて検討することをおすすめします。
従業員・自社所有の財物への損害は補償の対象外
施設賠償責任保険の補償対象は、あくまで第三者に対する対人・対物の賠償責任になります。
従って、第三者に該当しない自社の従業員や、自社所有の財物は施設賠償責任保険の補償の対象になりません。
自社の財物に対しての補償は、建物・設備などに対しては火災保険、自動車に対しては自動車保険の手当が必要。
また、従業員に対しては労働災害総合保険(労災上乗せ保険)にて補償することができます。
まとめ:万が一の事故が起こる前に加入を検討しよう
事業者には様々な賠償リスクが存在します。
損賠賠償を受けた場合の損害は非常に大きく、賠償金の支払いによる金銭的損害に加え、訴訟に要する労力など金銭的損害のみに収まる話ではありません。
これらに備える意味でも賠償責任保険は重要な役割を担いますが、中でも全ての事業者に共通するリスクに対応するのが施設賠償責任保険と言えます。
施設賠償責任保険は比較的安い保険料で手厚い補償を受けることができるため、事業者の方はぜひご検討下さい。
また、施設賠償責任保険で補償できるのは、あくまで第三者に対する賠償責任リスクです。
自社の従業員や財物に関する損害リスクは、また違った保険が必要になるため、合わせて検討することをおすすめします。
- 自社の建物・設備:火災保険
- 自社の自動車:自動車保険
- 従業員:労働災害総合保険
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