節税商品として多くの中小企業や経営者が活用する法人保険ですが、近年の税制改正により「思ったほど節税できない」「そもそも節税にならない」という声も増えています。

しかし、税制における取扱いを理解し、適切に活用すれば、法人保険は税金対策として現在も有効です。保険本来の目的(事業保障・福利厚生・退職金準備など)と合わせて活用すれば、企業の成長と安定を支える重要な経営ツールとなります。

本記事では、法人保険による節税の仕組みや評価ポイントを解説のうえ、目的別ランキングで具体的な保険商品を紹介。契約時の注意点まで徹底解説します。

「法人保険の加入・見直しを検討している」「効果的な節税方法を知りたい」という経営者や企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

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節税におすすめの法人保険ランキング

節税におすすめの法人保険ランキング

本記事が独自に評価する「節税におすすめの法人保険ランキング」は以下の通りです。

商品名あんしんプレミアム定期定期保険クオリティ終身保険
低解約返戻金型
逓増定期特約Ⅱ
PRIME定期
無配当定期保険
ブライトビジョンネオdeきぎょう
重度がんプラス
解約返戻金あり型
エマージェンシー
プラス LII
養老保険
無配当
5年ごと利差配当付
無配当逓増定期保険長割り定期
商品画像1東京海上日動あんしん生命2エヌエヌ生命3エヌエヌ生命4オリックス生命5メットライフ生命6第一ネオ生命7ソニー生命8エヌエヌ生命9SOMPOひまわり生命10東京海上日動あんしん生命
保険会社東京海上日動あんしん生命エヌエヌ生命エヌエヌ生命オリックス生命メットライフ生命第一ネオ生命ソニー生命エヌエヌ生命SOMPOひまわり生命東京海上日動あんしん生命
契約可能年齢要確認15歳~80歳25歳~70歳15歳~75歳要確認20歳~85歳15歳~65歳0歳~78歳要確認要確認
保険期間99歳まで(Ⅰ型契約例)年満了:5年、10年~34年/歳満了:55・60・65・70・75・80・85・90・100歳満了主契約:終身/特約:55歳~90歳満了年満了:5年、10年~39年/歳満了:60・65・70・75・80・85・90~98歳満了経営者向け:最長87歳満了/従業員向け:最長100歳満了60歳~99歳満了88歳~97歳満了要確認(例:65歳満期)要確認(設計例:前期9年+後期13年=計22年)99歳まで
最高解約返戻率81.9%81.1%84.78%84.8%経営者向け:70%超~85%以下/従業員向け:50%超~70%以下84.7%69.50%保険期間に比例(満期保険金100%)93.5%100.5%
保険料年払口座振替:5,990,600円(40歳男性、Ⅰ型2億円)年払:2,996,000円(50歳男性、100歳満了、保険金額1億円)年払:6,340,439円(50歳男性、主契約50万円+特約1億円、A1型85歳満了)年払:2,860,600円(50歳男性、98歳満了、保険金額1億円)経営者向け:年払2,476,000円(40歳男性、1億円、87歳満了)/従業員向け:年払138,650円(40歳男性、500万円、100歳満了)年払3,746,900円(50歳男性、99歳満期、前期期間5年、1億円)年払:1,401,800円(50歳男性、基準保険金額1億円、88歳満了)月払:男性30,510円/女性29,910円(35歳、保険金額1,000万円、65歳満期、無配当)年払:8,295,600円(50歳男性、基準保険金1億円、保険期間22年)年払口座振替:3,949,000円(40歳男性、保険金2億円、低解約返戻金期間60歳)
詳細(ページ内ジャンプ)

※保険料・保険金額・保険期間・最高解約返戻率など、契約内容は公式サイトで確認できる一例です。実際の内容は個別の契約で異なります。

ランキングの評価軸:「4割損金」の保険がおすすめ!
本記事のランキングは、「損金算入率」と「解約返戻金率」の2軸を掛け合わせた繰延効率を軸にしています。
2019年の税制改正後、最高返戻率が70〜85%のゾーンに入る商品が「4割損金 × 高返戻率」を両立できるスイートスポットであり、評価は高めになります。
一方、85%超の商品は資産計上額が大きい(=繰延効果が弱い)ため、評価は低めになります。

※法人保険による節税は「課税を繰り延べて当期の税負担を軽減」というものであり、課税額を恒久的になくすものではありません。
※実際に法人保険を選ぶときは、企業ごとの状況や経営計画を考慮する必要があります。ランキングだけではなく、税制や保険の専門家に相談することをおすすめします。

1位:東京海上日動あんしん生命「あんしんプレミアム定期」

あんしんプレミアム定期
(特定疾病・障害・介護保障定期保険[無配当])
東京海上日動あんしん生命
商品名あんしんプレミアム定期
(特定疾病・障害・介護保障定期保険[無配当])
保険会社東京海上日動あんしん生命保険株式会社
契約可能年齢要確認
保険期間99歳まで(Ⅰ型契約例)
返戻金あり(Ⅰ型)、なし(Ⅱ型)
最高解約返戻率約81.9 %(契約例10年時)
保険料年払口座振替:5,990,600円
(40歳男性、Ⅰ型2億円の契約例)

東京海上日動あんしん生命の「あんしんプレミアム定期」は、死亡保障に加えて、特定疾病・障害・介護にも備えられる法人向け定期保険です。

解約返戻金ありのⅠ型と、保険料負担を抑えたⅡ型から選べます。Ⅰ型では解約返戻金や契約者貸付を活用できるため、経営者の勇退資金や急な資金需要への備えにも使えます。

契約例では最高81.9%の解約返戻率が示されています。保障を確保しながら、将来の退職慰労金や事業資金を準備したい法人に向いた保険です。

東京海上日動あんしん生命「あんしんプレミアム定期」を詳しく見る

2位:エヌエヌ生命「定期保険クオリティ」

定期保険クオリティ
エヌエヌ生命
商品名定期保険クオリティ
保険会社エヌエヌ生命保険株式会社
契約可能年齢15歳~80歳
保険期間年満了:5年、10年~34年
歳満了:55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、100歳満了
返戻金あり(契約経過に応じ増加→その後減少し最終的に0円)
最高解約返戻率約81.1%(契約例:50歳男性・100歳満了時)
保険料例:50歳男性/100歳満了/保険金額1億円/年払 2,996,000円

エヌエヌ生命の「定期保険クオリティ」は、経営者や役員の万一に備えられる法人向けの定期保険です。

保険期間は短期から長期まで選択でき、最高9億円までの大型保障にも対応しています。事業保障、借入金返済資金、死亡退職金など、法人の幅広い保障ニーズに合わせやすい商品です。

契約例では最高81.1%の解約返戻率が示されています。長期保障を持ちながら返戻金を活用できるため、課税の繰延と資金準備をあわせて検討しやすい法人保険です。

エヌエヌ生命「定期保険クオリティ」を詳しく見る

3位:エヌエヌ生命「終身保険/低解約返戻金型逓増定期特約Ⅱ」

終身保険/低解約返戻金型逓増定期特約Ⅱ
エヌエヌ生命
商品名終身保険/低解約返戻金型逓増定期特約Ⅱ
保険会社エヌエヌ生命保険株式会社
契約可能年齢25歳~70歳
保険期間主契約:終身
特約:55歳~90歳満了(歳満了のみ)
返戻金あり(低解約返戻金型、契約初期は抑制)
最高解約返戻率84.78%(契約例:50歳男性/A1型/85歳満了)
保険料例:50歳男性/主契約50万円+特約1億円/A1型85歳満了/年払 6,340,439円

エヌエヌ生命の「終身保険/低解約返戻金型逓増定期特約Ⅱ」は、終身保険に逓増定期特約を組み合わせた法人向け保険です。

特約部分の保障額が段階的に増えるため、事業規模の拡大や経営者責任の増加に合わせた保障設計ができます。契約者貸付や年金支払特約にも対応しています。

契約例では84.78%の解約返戻率が示されています。逓増する大型保障を確保しつつ、将来の退職金や事業承継資金に返戻金を充てられる点が、繰延目的で見たときの特徴です。

エヌエヌ生命「終身保険/低解約返戻金型逓増定期特約Ⅱ」を詳しく見る

4位:オリックス生命「PRIME定期(無配当定期保険)」

PRIME定期(無配当定期保険)
オリックス生命
商品名PRIME定期(無配当定期保険)
保険会社オリックス生命保険株式会社
契約可能年齢15歳~75歳
保険期間年満了:5年、10年~39年/歳満了:60歳・65歳・70歳・75歳・80歳・85歳・90歳~98歳満了
返戻金あり
最高解約返戻率84.8%
保険料例:50歳男性/98歳満了(48年)/年払 2,860,600円

オリックス生命の「PRIME定期」は、死亡・高度障害に備えられる無配当の法人向け定期保険です。

年満了・歳満了から保険期間を選べ、長期の事業保障を組み立てられます。解約返戻金や契約者貸付にも対応しており、資金需要が発生したときの備えとしても活用できます。

契約例では最高84.8%の解約返戻率が示されています。保険料を支払いながら返戻金を積み立て、将来の退職慰労金や借入金返済に充てる設計を検討できます。

オリックス生命「PRIME定期(無配当定期保険)」を詳しく見る

5位:メットライフ生命「ブライトビジョン」

介護定期保険「ブライトビジョン」
メットライフ生命
商品名介護定期保険「ブライトビジョン」
保険会社メットライフ生命保険株式会社
契約可能年齢要確認
保険期間経営者向け:最長87歳満了
従業員向け:最長100歳満了(第1保険期間10年+第2保険期間)
返戻金あり
最高解約返戻率経営者向け70%超~85%以下
従業員向け50%超~70%以下
保険料例:40歳男性/経営者向け:1億円/87歳満了/年払 2,476,000円
従業員向け:500万円/100歳満了/年払 138,650円

メットライフ生命の「ブライトビジョン」は、死亡保障と介護保障をあわせて備えられる法人向けの介護定期保険です。

経営者向けと従業員向けで設計が分かれており、保障期間や返戻率の水準を目的に合わせて選べます。経営者の万一だけでなく、要介護状態による事業への影響にも備えられます。

経営者向けでは最高解約返戻率が70%超~85%以下の範囲で設計されます。死亡・介護保障を確保しながら、将来の勇退資金や福利厚生原資を準備する選択肢になります。

メットライフ生命「ブライトビジョン」を詳しく見る

6位:第一ネオ生命「ネオdeきぎょう重度がんプラス(解約返戻金あり型)」

ネオdeきぎょう重度がんプラス(一定期間災害死亡保障重視型重度がん定期保険)
第一ネオ生命
商品名ネオdeきぎょう重度がんプラス(一定期間災害死亡保障重視型重度がん定期保険)
保険会社第一ネオ生命保険株式会社
契約可能年齢解約返戻金あり型:20歳~85歳
解約返戻金なし型:20歳~80歳
保険期間解約返戻金あり型:60歳~99歳満了
解約返戻金なし型:60歳~90歳満了
※保険期間は10年以上、前期期間は5年~30年の5年単位、後期期間は5年以上
返戻金解約返戻金あり型:あり
解約返戻金なし型:なし
※満期保険金はありません
最高解約返戻率契約例では最高84.7%(50歳男性/99歳満期/前期期間15年/保険金額1億円)
※個別契約の最高解約返戻率は保障設計書で要確認
保険料例① 解約返戻金あり型:50歳男性/99歳満期/前期期間5年/保険金額1億円/年払3,746,900円
例② 解約返戻金なし型:50歳男性/70歳満期/前期期間5年/保険金額1億円/年払904,000円

第一ネオ生命の「ネオdeきぎょう重度がんプラス」は、死亡や所定の重度がんに備えられる法人向け定期保険です。

解約返戻金あり型と解約返戻金なし型を選択でき、保障重視か資金準備重視かによって設計を分けられます。前期期間中は保障額が責任準備金額となる場合があるため、設計内容の確認が重要です。

解約返戻金あり型の契約例では、最高84.7%の返戻率が示されています。重度がんリスクに備えながら、将来の退職慰労金や事業資金の準備にもつなげられる商品です。

第一ネオ生命「ネオdeきぎょう重度がんプラス」を詳しく見る

7位:ソニー生命「養老保険(無配当/5年ごと利差配当付)」

養老保険(無配当)
ソニー生命
商品名養老保険(無配当/5年ごと利差配当付)
保険会社ソニー生命保険株式会社
契約可能年齢0歳~78歳
保険期間要確認(契約年齢により異なる/例:65歳満期)
返戻金あり(解約返戻金あり)
最高解約返戻率要確認
保険料例:被保険者35歳/保険金額1,000万円/65歳満期/保険料払込期間:65歳まで/無配当/個別扱・月払
男性 30,510円/女性 29,910円

ソニー生命の「養老保険」は、死亡・高度障害保障と満期保険金をあわせて準備できる法人向け保険です。

満期時に満期保険金を受け取れるため、役員退職金や従業員の福利厚生制度と組み合わせて使いやすい商品です。死亡保障と将来資金の準備を一つの契約で行えます。

契約例では、払込保険料に対する返戻率が男性約91%、女性約92%とされています。繰延効果だけでなく、満期時期を退職金支給時期に合わせることで、出口を設計しやすい保険です。

ソニー生命「養老保険」を詳しく見る

8位:エヌエヌ生命「エマージェンシー プラス LII」

低解約返戻金型災害・重度疾病定期保険 エマージェンシー プラス LII
エヌエヌ生命
商品名低解約返戻金型災害・重度疾病定期保険 エマージェンシー プラス LII
保険会社エヌエヌ生命保険株式会社
契約可能年齢15歳~65歳
保険期間歳満了型:88歳~97歳満了
返戻金あり(低解約返戻金型)
最高解約返戻率69.50%(契約例:50歳男性/88歳満了)
保険料例:50歳男性/基準保険金額1億円/88歳満了/年払 1,401,800円

エヌエヌ生命の「エマージェンシープラスLII」は、災害や重度疾病による死亡に備えられる低解約返戻金型の定期保険です。

不慮の事故、感染症、急性心筋梗塞、脳卒中による死亡などに対応します。返戻金を抑えることで、1億円規模の保障を比較的低い保険料で確保しやすい設計です。

契約例の最高解約返戻率は69.50%です。返戻率は高くありませんが、保険料を抑えながら保障を持てるため、保障効率を重視する法人向けの商品です。

エヌエヌ生命「エマージェンシー プラス LII」を詳しく見る

9位:SOMPOひまわり生命「無配当逓増定期保険」

無配当 逓増定期保険
SOMPOひまわり生命保険株式会社
商品名無配当 逓増定期保険
保険会社SOMPOひまわり生命保険株式会社
契約可能年齢要確認
保険期間要確認(設計例:前期9年+後期13年=計22年/早期逓増プラン等のバリエーションあり)
返戻金あり(資産性あり/途中解約時に所定の返戻金・満期時0)
最高解約返戻率約93.5%(契約例10年時点)
保険料年払8,295,600円(50歳男性・基準保険金1億円・保険期間22年・後期50%複利・逓増限度5倍の例)

SOMPOひまわり生命の「無配当 逓増定期保険」は、保険金額が段階的に増える法人向けの定期保険です。

契約後の一定期間を経て保障額が増加するため、事業拡大や役員責任の増加に合わせた保障を準備できます。契約者貸付や変換制度にも対応しています。

契約例では最高93.5%の解約返戻率が示されています。繰延よりも返戻効率を重視するならば、利益が出ている時期の保険料支払いと、将来の退職金・事業資金の準備を組み合わせやすい商品です。

SOMPOひまわり生命「無配当逓増定期保険」を詳しく見る

10位:東京海上日動あんしん生命「長割り定期」

長割り定期
定期保険[無配当]低解約返戻金特則付加
東京海上日動あんしん生命
商品名長割り定期
定期保険[無配当]低解約返戻金特則付加
保険会社東京海上日動あんしん生命保険株式会社
契約可能年齢要確認
保険期間99歳まで
返戻金あり(低解約返戻金期間中は通常の70%水準)
最高解約返戻率100.5%
保険料年払口座振替:3,949,000円
(40歳男性、保険金2億円、低解約返戻金期間60歳)

東京海上日動あんしん生命の「長割り定期」は、低解約返戻金特則を付加した長期の定期保険です。

低解約返戻金期間中の返戻金を抑える代わりに、保険料負担を抑えた設計が可能です。低解約返戻金期間を抜けた後は返戻率が高まるため、長期の事業保障と将来資金の準備に使えます。

契約例では最高100.5%の解約返戻率が示されています。出口時期を低解約返戻金期間の終了後に合わせることで、支払った保険料以上の返戻金を受け取れる可能性があります。

東京海上日動あんしん生命「長割り定期」を詳しく見る

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法人保険による節税の仕組みとメリット

法人保険による節税の仕組みとメリット

法人保険による節税は、押さえておくべき知識がいくつもあります。

本当の節税効果を理解するために必要な基礎知識をお伝えするので、初めて法人保険に加入する場合はぜひご覧ください。

法人保険による節税効果はあくまで「課税の繰延」

法人保険による節税とは、保険料の一部を損金算入することで課税所得を圧縮し、法人税負担を軽減する方法を指します。

損金算入とは「経費として処理すること」であり、経費が増えれば所得(課税対象となる利益)は少なくなります。結果として、損金算入した年の課税額を減らせるという仕組みです。

ただし、将来的に保険金や解約返戻金(解約時に支給されるお金)を受け取ったときは、その受取額が利益として課税されます。つまり、法人保険の節税効果はあくまで課税の繰延(課税タイミングの先延ばし)だということです。

課税の繰延をしても総合的な課税額は減らせませんが、資金の流れをコントロールすることは可能です。多くの企業が、経営状況に合わせて納税タイミングを調整するため、法人保険を活用しています。

課税の繰延による経営上のメリット

課税の繰延による経営上のメリットを、もう少し詳しく解説します。

例として、以下のような条件でシミュレーションしてみましょう。

  • 課税所得が毎年5,000万円の法人
  • 法人税は税率30%と仮定
  • 年間保険料が500万円で、5年後に解約返戻金を2,500万円受け取れる法人保険に加入
  • 5年後に退職金や事業投資などで7,000万円の支出を予定

※シミュレーションのため条件を簡略化しています。

まずは、法人保険に加入しなかった場合です。

年数課税所得課税額
(課税所得 × 30%)
1年目5,000万円1,500万円
2年目5,000万円1,500万円
3年目5,000万円1,500万円
4年目5,000万円1,500万円
5年目5,000万円 – 7,000万円 = -2,000万円0円
累計課税額6,000万円

1~4年目の課税額は1,500万円、5年目は赤字で0円となるので、合計6,000万円の税金を支払います。

次に、法人保険に加入した場合です。

年数課税所得課税額(課税所得 × 30%)
1年目5,000万円 – 500万円 = 4,500万円1,350万円
2年目4,500万円1,350万円
3年目4,500万円1,350万円
4年目4,500万円1,350万円
5年目4,500万円 + 2,500万円 – 7,000万円 = 0万円0円
課税累計額5,400万円

5年間の課税総額は5,400万円となり、法人保険に加入しない場合と比較して600万円減少しています。

厳密に言うと、赤字は発生した翌年から10年間繰り越せる(翌年以降の利益と相殺できる)ため、長期的な課税総額は原則変わりません。ただし、5年目以降も赤字が続くなどの事態が起きると、相殺しきれない可能性もあります。

決して避けられない課税の「時期」をコントロールできるメリットは、いつ何が起きるかわからない経営において大きな武器となります。

繰延(損金算入)ができる割合は解約返戻率で決まる

実際に法人保険で損金算入を行うときは、最高解約返戻率に応じたルールがあります。

解約返戻率
ある時点における、支払済みの保険料総額に対する解約返戻金の割合。総支払保険料が1,000万円、解約返戻金が800万円であれば、解約返戻率は80%となる。最高解約返戻率は、保険期間中もっとも返戻金の割合が高いときの数値。

基本的なルールは以下の通りです。

  • 最高解約返戻率が50%を超える場合、一定の資産計上期間が設けられる。期間中、保険料のうち一定割合を資産として計上する(残りを損金算入)。
  • 資産計上期間の終了後、一定期間は保険料を全額損金算入。
  • 保険期間の後半に「取り崩し期間」が設定され、その期間の保険料に加え、資産計上した保険料を按分(残っている保険期間で均等に分割)して損金算入。

具体的な資産計上期間・資産計上割合・取り崩し期間の内訳は以下の通りです。

最高解約
返戻率
資産計上期間 資産計上額 取り崩し期間
50%以下全額損金算入
50%超~
70%以下
保険期間の当初40%の期間支払保険料×40%
(支払保険料×60%は損金計上)
保険期間の75%相当経過後、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩して損金計上
70%超~
85%以下
保険期間の当初40%の期間支払保険料×60%
(支払保険料×40%は損金計上)
保険期間の75%相当経過後、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩して損金計上
85%超

①保険期間の開始日から最高解約返戻率となる期間等の終了日まで


②1の期間経過後において、年換算保険料に対する解約払戻金の増加割合が0.7を超える期間があれば、その期間の終わりまで

保険期間開始日から10年経過日までは、保険料×最高解約返戻率×90%を資産計上


11年目以降は、支払保険料×最高解約返戻率×70%を資産計上
(残りの割合は損金として計上)

解約返戻金が最高金額になったあと、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩し
最高解約返戻率:50%以下
全額損金計上
最高解約返戻率:50%超~70%以下
資産計上期間保険期間の当初40%の期間
資産計上額支払保険料×40%
(支払保険料×60%は損金計上)
取り崩し期間保険期間の75%相当経過後、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩して損金計上
最高解約返戻率:70%超~85%以下
資産計上期間保険期間の当初40%の期間
資産計上額支払保険料×60%
(支払保険料×40%は損金計上)
取り崩し期間保険期間の75%相当経過後、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩して損金計上
最高解約返戻率:85%超
資産計上期間

①保険期間の開始日から最高解約返戻率となる期間等の終了日まで


②1の期間経過後において、年換算保険料に対する解約払戻金の増加割合が0.7を超える期間があれば、その期間の終わりまで

資産計上額

保険期間開始日から10年経過日までは、
保険料×最高解約返戻率×90%を資産計上


11年目以降は、
支払保険料×最高解約返戻率×70%を資産計上
(残りの割合は損金として計上)

取り崩し期間解約返戻金が最高金額になったあと、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩し

例えば、最高解約返戻率が80%、保険期間が20年間の場合、損金算入は以下のように行います。

  1. 資産計上期間(20年×40%=8年目まで)…保険料の6割を資産計上、4割を損金算入。
  2. 中間(9年目~15年目まで)…保険料全額を損金算入。
  3. 取り崩し期間(20年×75%=16年目以降)…保険料全額に加えて、①で資産計上した金額を按分して損金算入。
    例:資産計上額が1,000万円の場合、「1,000万円÷5年=200万円」を毎年追加で損金算入。

以上のように、最高解約返戻率の数値や時期によって法人保険の節税(繰延)効果も変わるのが原則です。

ただし、例外として以下3つがあります。

例外①30万特例

以下の条件に当てはまる場合、資産計上期間がなく全額損金算入が可能です。これを「30万円特例」と呼びます。

  • 最高解約返戻率が70%以下の定期保険か、終身型の第三分野保険※1で、短期払込※2の場合。
  • 年間保険料が被保険者1人あたり30万円以下となる場合※3。

※1生命保険および損害保険以外の保険(医療保険や介護保険など)。
※2保険期間よりも短い期間で保険料を支払い終えること。
※3対象の保険契約が複数ある場合、すべての保険料を合算して判断。

例外②養老保険(福利厚生プラン)

養老保険とは、保険期間の終了時に「満期保険金」が支払われる生命保険です。

法人が養老保険に加入する場合、保険金の受取人が以下のように設定されているものは「福利厚生プラン」と呼ばれ、保険料の半額を損金算入できます。

  • 死亡保険金の受取人:被保険者の遺族
  • 満期保険金の受取人:法人

上記の設定では、「死亡保険金=福利厚生」と「満期保険金=会社の資産形成」という2つの目的を持っていると判断されます。したがって、それぞれの目的に応じて保険料を按分し、福利厚生にあたる部分を損金算入できるという仕組みです。

例外3.総合福祉団体定期保険

総合団体定期保険とは、会社が保険料を負担し、役員も含めた従業員の全員加入を原則とする生命保険です。保険金は従業員の遺族が受け取ります。

会社の資産形成効果はないため、課税の繰延ではなく純粋に「福利厚生費として支出を増やす方法」となり、全額損金算入が可能です(福利厚生の要件を満たす必要あり)。

節税(繰延)できても返戻率が低いと損?

基本的に最高解約返戻率が低いほど損金算入割合は高くなりますが、「節税できても返戻金が低い(ない)と結局損では?」と思う方もいるでしょう。確かに、解約返戻金が支払保険料総額を大きく下回ると、資産形成の観点では不利となります。

しかし、差額分を以下に挙げるメリットの「必要経費」と考えれば、決して無駄な出費とは言えません。

保障機能:
保険本来の目的である、経営者や従業員の万が一の事態に備える「保障」機能に対する費用と考える。
キャッシュフロー改善:
突発的に大きな利益が出た際に、速やかに利益を圧縮するための費用と考える。
決算対策:
課税の繰延でキャッシュフローを改善し、企業全体の成長や安定化につなげる費用と考える。
その他:
福利厚生の充実による人材確保や、財務諸表の改善による投資家・金融機関の信用確保など、間接的な効果に対する費用と考える。

大切なのは、「解約返戻金が支払保険料総額より低い=損」と一元的に考えるのではなく、総合的な観点で節税(繰延)効果を活用することです。

節税・保障確保・競争力向上といったメリットと、返戻率とのバランスを考えて、自社に必要な法人保険を選びましょう。

「節税のみ」を目的とした加入はリスクがあるので注意

節税(課税の繰延)が期待できる法人保険ですが、節税のみを目的とした加入にはリスクがあります。

国税庁は法人保険による過度な節税を規制する方針を取っており、実際に2019年の通達改正で損金算入ルールを厳格化しています。税務調査でも厳しくチェックしており、節税目的での保険利用が行き過ぎると否認されるかもしれません。

追徴課税を避けるためには、保険本来の目的である「経営リスクの回避」や「福利厚生の充実」「退職金準備」などを重視し、税務調査で問題視されないようなプランを設計することが大切です。

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ランキングから保険を選ぶときのポイント

ランキングから保険を選ぶときのポイント

法人保険を選ぶときは、さまざまな項目を見る必要があります。「ランキング上位から選べばOK」という単純なものではありません。

ここでは保険選びで失敗しないよう、具体的なチェックポイントを解説します。

損金算入割合と最高解約返戻率を比べる

損金算入割合と最高解約返戻率は、節税で法人保険に入るときもっとも重要な評価基準です。支払った保険料をどれだけ早く、どれだけ多く損金にできるかを左右します。

最高解約返戻率が50%以下の法人保険は、支払保険料の全額を即座に損金にできるため、この基準において最も優れています。反面、戻って来るお金は少ない点がデメリットです。

解約返戻金もある程度確保したい場合は、6割損金や4割損金となる法人保険(最高解約返戻率が50%超~85%以下)がおすすめです。返戻率85%超になると損金算入割合がごくわずかになるため、節税(繰延)には不向きといえます。

解約返戻率の推移をチェックする

保険の種類にもよりますが、法人保険の節税(繰延)では「解約返戻率のピーク時に解約し、解約返戻金を経営に役立てる」戦略が基本です。そのため、解約返戻率がどのように推移するかは、資金計画全体に影響を及ぼすポイントです。

決算対策で短期的に繰り延べたい場合や、近い将来に資金ニーズがある場合は、早期に返戻率がピークを迎えたほうが有利です。一方、推移が緩やかな場合はピーク時の解約返戻率が長期間維持されるため、解約のタイミングを柔軟に選べるというメリットがあります。

自社の経営計画や財務戦略にもとづき、より適した推移でピークを迎えられるよう契約することが大切です。

事業保障や福利厚生など「保険本来の目的」を意識する

法人保険は本来、万が一の際の事業保障(死亡保障)や福利厚生(医療・がん保障)、退職金準備、資産形成・事業承継対策のために活用するものです。「節税メリット」は副次的な要素であり、保険本来の目的を重視せずに節税だけを目的とした加入は、資金繰り悪化や税務リスクを招く可能性があります。

特に福利厚生目的で法人保険を活用する場合は、税務上「全従業員加入」が要件となるケースが多く、役員のみの加入だと経費算入が否認されるリスクがあります。また、死亡保障については「事業継続資金」「借入金返済資金」「緊急時運転資金」の確保という経営安定の観点から検討し、従業員とその家族の安心につながる保険設計を目指すことが大切です。

複数の保険商品を比較する

法人保険には多種多様な商品があり、それぞれに特徴があります。定期保険や養老保険など「保険種類」が同じでも、商品ごとに細かい部分が異なります。

そのため、自社に最適な法人保険を選ぶためには、複数の保険商品を比較することが大切です。

さまざまな保険商品で見積もりを取り、必要であれば複数商品を組み合わせることで、より強固な経営支援ツールとして活用できます。

適切な商品選びは「専門家に相談」するのが確実でおすすめ

法人保険の契約は税務・法務・会計・経営の視点が複雑に絡むため、経営者や経理・総務担当者でも選び方に迷う方は珍しくありません。

あらゆる要素を考慮し、自社に適した保険に加入するためには、専門家への相談がおすすめです。

法人保険に精通した専門家として、保険代理店などのFPが挙げられます。具体的な保険商品の比較や保障プラン設計、見積もりと契約手続きは、法人保険を取り扱う保険代理店に相談しましょう。

経営分野に詳しいFPなら、ただ保険商品を紹介するだけでなく、組織体制や財務についても分析・提案が可能です。経営のパートナーとして、的確なアドバイスが期待できます。

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まとめ

まとめ

法人保険は「節税だけを目的とした加入」は危険ですが、経営の安定化・事業保障・退職金準備・福利厚生充実を図りながら税金繰延メリットを得られる強力な資金調整ツールです。

返戻率の推移・契約期間・損金算入割合・保障内容を比較しながら、自社の経営計画や資金繰りに合ったプランを選びましょう。

保険代理店など専門家へ相談し、制度改正や税務リスクに対応しながら適切に活用することが成功のポイントです。

法人保険を賢く活用し、経営の安定化と将来の資金準備を同時に実現していきましょう。

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