法人税の基本
税務調査

企業・個人事業主に対する調査 対策法を解説

会社 税務署 調査

法人経営を行っていると、税務調査を避けて通ることはできないものです。

このページをご覧の経営者の方や個人事業主の方の中には、突然税務調査の通知が来て焦っているという方もいらっしゃるかもしれません。

税務調査は、正しく対処をすれば問題ないものなので、むやみに恐れる必要はありません。

税というと複雑な印象があるため慌ててしまいがちですが、税務調査においてどのような点がチェックされるのかを事前に理解しておけば、精神的な負担を減らすことができるでしょう。

まず重要なことは、気をつけるべきポイントをあらかじめ点検して、税務調査の際にきちんと受け答えをすることです。そのために、今回この記事では、法人の税務調査がどのように行われるのかについて、詳しく解説します。

税務調査の具体的な流れから注意すべきポイントまで説明していますので、いつ法人へ税務調査が来てもばっちり対応できるように確認していきましょう。

法人は知っておくべき 税務調査って何?

税務調査とは、税務署などの徴税機関が、納税者の税務申告の内容が正しいものであるかを確認するための調査です。

会社を経営していると毎年税務申告を行う必要がありますが、この申告が間違っていると税金の金額も違ってしまうため、調査が入るのです。

税務調査の結果、申告内容に誤りが見つかれば、法人は是正を求められたり、追徴で納税することを求められたりします。

経営者や経理担当者にとっては、時間的・精神的な負担があるといえるでしょう。

また、法人に対する調査だけでなく、経営者個人に対しても税務調査が行われます。

これは、会社の資産を意図的に個人の資産に組み替えていないかをチェックするものです。

税務調査は毎年行われるものではなく、徴税機関が必要だと判断したときに行われます。平均的には、3~10年に1回行われるといった割合です。

税務調査の対象となりやすい例には、いくつかのパターンがあります。まず、急激な黒字、もしくは赤字になり納税額に大きな変動があった場合や、売上・仕入・外注費などが急に増減したときなどです。

また、同業他社に比べて交際費などの経費の割合が多かったり、消費税の還付を毎年受けたりしているような会社も、税務調査の対象となりやすいでしょう。

いずれにしても、会社経営を行っている以上、税務調査は避けられないものです。そのため、日ごろから正しい経理処理を行っておく必要があります。

税務調査で担当者から質問された項目については、きちんと説明を行えるように、事前に会社の書類や帳簿を整えておくことが大切です。

そのためには、税務調査では実際どのような調査が行われるのかを知っておかなければなりません。税務調査の内容について、詳しく見ていきましょう。

任意調査と強制調査

税務調査は、大きく分けて2種類あります。

一般的に実施される調査のことを「任意調査」といい、強制的に行われる調査を「強制調査」と呼ぶのです。

任意調査は、資本金が1億円未満の法人や個人事業主が対象であり、税務署の調査部門が担当します。資本金1億円以上の法人については、国税局の調査部が担当することになっています。

一方、強制調査は、国税局査察部(マルサ)が担当するものであり、検察庁への告発を目的としています。対象となるのは、脱税額が大きい悪徳業者などです。

意図的に所得を隠していたり、脱税を行おうとしたりしていなければ、通常は任意調査という形になります。税務調査が行われるときは、税務署から法人あてに事前に連絡があるので、慌てずに落ち着いて対応をしましょう。

税務調査の一般的な流れ

税務調査が実施されるときに慌ててしまわないためにも、税務調査の一般的な流れを押さえておくことが大切です。

順序立てて説明していくので、確認していきましょう。

税務調査の事前連絡

税務調査が行われるときには、原則として10日程度前に税務署のほうから法人と顧問税理士に対して事前連絡があります。このときに日程を決めることになりますが、税務署から提示された日程で都合がつかない場合には、変更することも可能です。

ただ、特別な理由もなく何度も変更していると不信感を抱かせることにつながり、調査にも影響が出てしまう恐れがあります。誠実な対応を心がけて、税務調査にきちんと対応できる日程を決めてみましょう。

納税者が重加算税の対象となる脱税行為を行っていると推測される場合には、事前連絡なしに税務調査が行われる可能性もあります。

また、飲食業や小売業など不特定多数の人と現金決済を行っている事業主の場合も、いきなり税務調査を実施されてしまうことがあるので、注意しましょう。

事前の連絡なしに税務調査が行われたときには、冷静な対応を心がけて調査官に事前連絡なしで税務調査を行う理由を尋ねてみましょう。税理士と顧問契約を行っている場合は、税理士に連絡をとって相談することが大切です。

突然税務調査を行われたとしても、日程の延期を申し出るなどして、納得がいくかたちで進めていきましょう。

事前調査

税務署は納税者に事前連絡を行う前に、事前調査というものを進めています。

事前調査とは、過去5年分の申告書の見直し作業と申告状況の推移などを検討する作業です。売上や仕入、経費などを過去の数字と比較して、異常な点がないかをチェックしています。

また、過去の税務調査の状況や取引先のチェック、外観調査・内偵調査なども行われると考えておいたほうが良いでしょう。

税務調査1日目

税務調査は、おおむね2日間に分けて行われます。税務調査当日は、調査官が午前10時ごろに来社して、必ず身分証明書を提示してくるのでチェックしましょう。

午前中は帳簿の確認というよりも、雑談を交えながら会社の近況を尋ねられます。帳簿に記載されていない内容の聴き取り調査といった意味合いのものです。

尋ねられる内容としては、法人の沿革や業務内容、取引先や金融機関との取引条件、役員や従業員の状況です。

そして、午後からは会社の帳簿や書類のチェックが細かく行われます。売上の計上や代金回収の流れ、仕入や外注費のチェック、期末棚卸資産の計上などを確認されるので、必要な書類や帳簿を提出しましょう。

税務調査2日目

1日目の調査が終わると、調査官は税務署に調査内容を報告して、2日目の税務調査に備えます。

調査2日目は、主に人件費や一般管理費、雑収入や資産勘定などについて調査されます。

消費税や印紙などについても確認されるため、必要な帳簿をあらかじめ整えておきましょう。

税務調査は、一般的には2日で終了するものの、十分に調査できなかった項目については引き続き調査や確認作業が行われます。

実地調査や追加資料の提出要請、取引先や金融機関への確認作業が行われ、調査後1カ月程度で税務署側の見解をまとめます。そして、顧問税理士経由で連絡があり、修正申告や指導が行われる流れです。

法人が税務調査でチェックされる項目

税務調査では、法人がチェックされる項目がある程度決められています。主に、下記の10点について調査されます。

  1. 売上計上のチェック
  2. 仕入れ・外注費のチェック
  3. 期末棚卸資産計上のチェック
  4. 外観調査
  5. 内偵調査
  6. 現状調査・現金調査
  7. 人件費
  8. 労務費
  9. 反面調査
  10. 損益計上・経過措置

売上計上

まず、売上計上のチェックについては、法人と顧客との取引において、どのような流れで受注して代金を回収しているのかが確認されるでしょう。

その際、納品書や請求書の作成時期、領収証の使用状況などがチェックされます。また、売上に関する証票類と帳簿との照合も行われます。

仕入れ・外注費

次に仕入や外注費ですが、発注から代金の支払いまでの流れがチェックされます。

請求書や領収証と仕入帳の照合が行われ、異常値がないかを確認されるので、きちんと請求書・領収書を揃えましょう。

期末棚卸資産

期末棚卸資産の計上については、棚卸を実施したときのメモなどと申告書の棚卸明細書との照合が行われるものです。

在庫状況をもとに、期首にさかのぼって計算されるケースもあります。

外観調査

外観調査とは、会社や店舗の人の出入りの確認や、経営者の個人宅の外観を確認するものです。

「豪華な自宅や自動車を所有していないか」といった部分が確認されます。

内偵調査

内偵調査は、調査官がいわゆる覆面調査を行うもので、会計時にきちんとレジに打ち込んでいるかをチェックすることを指します。

現状調査・現金調査

税務調査では、「現況調査」「現金監査」という調査が行われるケースもあるので、注意をしておきましょう。

現況調査とは、脱税行為の証拠となる書類や現預金などを把握するために行われるものです。調査官が経営者や経理担当者のデスクを調べたり、金庫や書類の保管場所をチェックしたりします。

現金監査は、現金残高と現金出納帳残高が一致しているかを確認する作業のことです。現金が不一致となっている場合は、調査日数が追加されたり、経理そのものがずさんに行われている会社だと判断されたりします。

人件費

人件費についての調査は、正社員よりも、パートやアルバイトなどの雑給を調査されます。配席図や組織図などから、架空の人件費を計上していないかを確認されるものです。

必要に応じて、経営者や経理担当者以外の従業員に対しても、勤務状況などが確認されるケースもあるでしょう。

労務費

労務費については、交際費や雑費、雑収入の処理が適切に行われているかについて調べられます。

過大な計上や計上漏れなどがある場合には、相手先の会社に反面調査が行われる可能性もあるので注意しましょう。

反面調査

反面調査とは、調査先の法人のみでは事実関係の確認が困難であるときに行われるもので、取引先や銀行に対して確認をする作業のことです。

仮に反面調査を実施されてしまうと、取引先に負担をかけることになってしまい、信用そのものに影響が出てしまう恐れもあります。

そのため、なるべく反面調査を行われる事態にならないように、請求書や要求された書類をきちんと用意しておくようにしましょう。

損益計上・経過措置

また、消費税が増税されたことによって、損益計上関係や経過措置関係も調査されます。

損益計上関係とは、本来計上するべき課税売上を増税前のタイミングで計上していないかという点を指します。

内容としては、意図的に増税部分を隠して、課税を免れようとしていないかをチェックされるものです。

一方、経過措置関係とは、消費税増税に伴う経過措置を契約書の偽装などによって、不正を行っていないかがチェックされるものです。

税務調査で確認される項目は多岐にわたるため、ひとつひとつの根拠となる書類の提示や帳簿の説明が大切になります。

以上が具体的な調査項目でした。

税務調査では調査項目が多く、ヌケやモレがないように書類を揃えることが重要です。どうすれば良いのかわからないときには、必ず税理士に相談しましょう。

そうしなければ、反面調査を行われて会社の対外的な信用を失ったり、脱税を疑われてしまったりすることになりかねません。

また、法人の税務調査の際には、他にも注意すべきことがあります。次の章で説明していくので、見ていきましょう。

注意点① 脱税は必ず発覚する

税務調査では、細かなところまでチェックされるため、仮に脱税を行っている場合は必ず発覚します。

悪質なものであると税務署に判断されると、高額な重加算税を課されてしまうことになるでしょう。

脱税は犯罪行為となるので、会社を守るという意味でも、絶対に行わないようにするのが賢明です。納税者としての納税の義務をきちんと果たし、正しく申告を行いましょう。

税務調査の結果、修正申告を求められた場合は、税理士のサポートも受けながら適切に処理する姿勢が大切なポイントです。

注意点② 収益の申告漏れは脱税とみなされる

税務調査において注意しておきたいポイントとして、売上の計上があります。

金額の大小にかかわらず、収入があったものを売上に計上していなければ、脱税とみなされてしまうこともあるからです。

現金収入を得たときには、たとえその金額が少なかったとしても、必ず申告を行いましょう。

単に申告漏れであった場合でも、「いつどこで得た収益だったのか」をきちんと説明できなければ、重加算税を課せられてしまう可能性もあります。

特に、普段から現金を取り扱うことが多い飲食業や小売業などの法人では注意が必要です。

法人税などの計算は、収益をベースとして算出されるため、計上漏れがないように心がけておくことが重要なポイントだといえます。

わずかな経理処理のミスであっても、そこから徐々に処理がずさんになってしまうこともあるものです。

経営者や経理担当者が常に高い意識を持っておくことが大切であり、同時に従業員に対してもルールを周知しておきましょう。

交際費や仮払金の精算など、日々の細々とした経費を適切に処理するところから、正しい納税意識が醸成されていくでしょう。

注意点③ 取引先の調査が入る可能性がある

先ほどご説明しましたが、取引の流れに不審な点があったり、不備があったりする場合には、反面調査が行われる可能性もあります。

調査先の法人だけでは事実関係がはっきりとしない場合に行われるもので、取引先にも大きな負担をかけてしまう可能性があるでしょう。

信用が悪化してしまえば、その後の取引にも悪影響が出てしまうので、適切な経理処理と正しい申告を意識しておくことが何よりも大切です。

また、反面調査とは別に連携調査というものが行われる場合もあります。

連携調査というのは、調査先の法人が同族会社である場合に、その関係会社も同時期に税務調査が行われることを指します。

これは、関連する会社の取引を同時に調査することによって、事実関係の全容解明を図る方法です。連携調査が行われると、自分の会社だけでなく、関連する会社の通常の業務にも大きな影響が出てしまうので、注意をしておく必要があります。

税務申告に不備がないよう徹底しよう!

税務調査は、どの会社に対しても行われるものであるため、必要以上に不安になってしまうことはありません。

どんなタイミングで税務調査があっても問題がないように、普段から経理処理を適切に行っておきましょう。

書類や帳簿を適切に保管しておけば、税務調査のときに調査官から質問があっても、堂々と返答することができます。

経営者や経理担当者の日ごろの意識が、税務調査の際にはそのまま反映されるものです。

税理士などの外部の専門家の力も借りながら、申告漏れなどがないように心がけておきましょう。

税務調査の本来の目的は、納税者である法人に対して納税の正しい指導を行うことにあります。

経理処理で不明な点があるときには、遠慮をせずに調査官に質問していく姿勢を持つことも大切です。

税務調査にきちんと対応できれば、税務に関する悩みを減らすことができ、会社経営に集中できる環境が生まれます。税務処理や申告に関する正しい知識を身に付けて、税務調査や税務署と適切に向き合っていきましょう。

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