「養老保険は利回りが低く、払った保険料も戻ってこないのでは?」と感じている経営者の方もいるかもしれません。
確かに低金利環境では、貯蓄性商品としての魅力を感じにくいケースもあります。
しかし、これが法人契約(福利厚生目的など)として設計する場合は、活用の仕方によって税務面でのメリット(損金算入による繰延効果)が期待できます。
そこでこのコンテンツでは、法人としての養老保険のランキングや活用方法を紹介していきます。
解約返戻率が低くなっている現在でも、契約目的(退職金・弔慰金・資金確保など)と受取人設定・社内規程をそろえて検討することで、保障と資金準備の両面で役立つ可能性があります。
【法人向け】法人契約が可能な養老保険の商品4選
法人向けの養老保険(満期保険金と死亡保障をあわせて備える保険)は、福利厚生(退職金・弔慰金など)や将来の資金準備の手段として使われることがあります。
ただし、同じ「養老保険」でも、受取人の設定、付加する特約、払込方法、通貨(外貨建の有無)などで内容や注意点が変わります。
ここでは、法人契約の取扱いが確認できる商品(法人向けページや事業保険としての掲載がある商品)を、比較検討の入口として5つ紹介します。
取扱い(販売チャネル・加入条件等)は変更されることがあるため、最新の可否は見積もり時に確認してください。
比較の観点(まず押さえたいポイント)
- 受取人設定:
死亡保険金/満期保険金(生存保険金)の受取人によって、経理処理・税務上の取扱いが変わります。 - 通貨(円建/外貨建):
外貨建の場合、為替変動や手数料等により円換算で受取額が払込総額を下回ることがあります。 - 払込方法:
月払・年払・一時払などで総払込額や資金繰りの負担感が変わります(取扱いは商品によります)。 - 満期の受け取り方:
一時金か年金か(特殊養老保険の一部で年金受取タイプなど)で、受取時の設計・資金用途が変わります。 - 運用面:
契約者貸付、解約返戻金の水準、特約の有無、加入条件(年齢・保険金額・健康状態等)をあわせて確認します。
ソニー生命「養老保険(無配当)/5年ごと利差配当付養老保険」
ソニー生命の養老保険は、一定期間の死亡・高度障害保障と、満期時の満期保険金を同時に備えられる王道タイプです。
とくに「5年ごと利差配当付」は、責任準備金等の運用益が予定を上回った場合に、契約後6年目から5年ごとに配当が支払われる仕組みが特徴です。
一方で、配当付は運用実績次第なので、配当を前提に資金計画を組むより「出たら上振れ」くらいに考えるようにしましょう。
エヌエヌ生命「養老保険」
エヌエヌ生命の養老保険は、福利厚生(退職金・弔慰金)目的での使い方が商品資料の中で具体的に示されており、福利厚生プランの“型”を作りやすいのが特徴です。
役員も加入対象にできる設計が用意されているため、「従業員だけ」「役員も含めたい」など会社の制度設計に合わせて検討しやすいです。
また、保険期間は歳満期(55歳〜など)と年満期(10年〜など)から選べ、制度の区切り(定年・退職時期)に合わせた設計がしやすい構成です。契約者貸付も用意されており、解約返戻金の範囲内で一時資金に充当できる点は運用面の安心材料になります。
関連:養老保険|エヌエヌ生命
プルデンシャル生命「米国ドル建リタイアメント・インカム(米国ドル建年金支払型特殊養老保険)」
この商品は、死亡・高度障害保障+老後資金(年金)を米ドルで準備する設計が最大の個性です。
年金は「10年保証期間付終身年金」が基本で、年金受取開始後10年間は生死にかかわらず支払われ、その後は生存する限り年金が続きます。年金を一時金(満期保険金)として受け取る選択もでき、退職後の受取スタイルを描きやすいのが強みです。
一方で、米ドル建である以上、円換算の受取額は為替で上下します。さらに、外貨取扱いの手数料や、年金で受け取る場合の費用(受取年金額に対する控除)、一定期間内の解約等で解約控除がかかる仕組みも明記されているため、短期での解約や「円での確実性」を重視する会社には相性が分かれます。
明治安田生命「新養老保険E(5年ごと利差配当付新養老保険)」
新養老保険Eは、退職金・弔慰金の財源準備を正面から想定した養老保険で、「満期を迎えたとき」も「万一のとき」も同額という分かりやすい設計が特徴です。
死亡保険金は事業保障資金にも使える旨が示されており、福利厚生と事業保障の両面で設計を考えやすい商品です。また、一時払の資産形成にも言及があり、資金に余裕がある局面で「払い方」から選びたい企業にも選択肢になります。
ただし、死亡保険金または高度障害保険金が支払われると契約は消滅し、満期保険金は支払われないため注意が必要です。
養老保険のメリット~生命保険の損金算入~
法人契約で養老保険に加入するメリットは以下の4点。それぞれ解説していきます。
①従業員の弔慰金や退職金の準備に活用できる
保険期間の満期を従業員の退職時にすることで、在職中は死亡保険金を弔慰金の準備として、退職時は満期保険金を退職金として活用できる場合があります(制度設計・受取人設定等によります)。
②保険料の一部を損金算入できる場合がある
養老保険を福利厚生の一環として活用する場合、契約形態(受取人の設定)によっては、保険料の一部を損金算入できます。
ポイントは、死亡保険金と満期保険金(生存保険金)の受取人をどう設定するかです。代表的な考え方は次のとおりです。
| 受取人の設定 | 死亡保険金の受取人 | 満期保険金(生存保険金)の受取人 | 法人が支払う保険料の取扱い(原則) | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| パターン① | 法人 | 法人 | 支払保険料は損金にならず、契約終了まで資産に計上 | 満期・解約等で契約が終了したタイミングで損益処理が発生し得ます。 |
| パターン② | 被保険者(本人)または遺族 | 被保険者(本人)または遺族 | 支払保険料は、役員・従業員への給与として扱われる | 法人側は給与(賞与)として処理され、個人側の課税関係が生じます。 |
| パターン③(福利厚生目的で用いられやすい形) | 遺族 | 法人 | 保険料の1/2相当額を資産計上し、残額は期間の経過に応じて損金算入 | 役員や特定の使用人のみを対象にする等、対象者が偏る場合は「損金算入部分」が給与扱いとなることがあります。 |
また、福利厚生として取り扱う場合は、社内の弔慰金・退職金規程などに基づいて制度として設計することが重要です。
③懲戒解雇などの場合に、退職金の支払いを行わない設計にできることがある
退職金準備のための制度の中には、従業員の退職事由にかかわらず退職金を支払う必要があるものもあります。
一方、養老保険を活用する場合には、制度設計と社内規程の内容によって、退職事由に応じた取扱いが可能となるケースもあります(個別の設計・運用は確認が必要です)。
④万が一の時に契約者貸付制度が利用できる場合がある
契約者貸付とは、解約返戻金の範囲内で保険会社からお金を借りられる制度です(商品によって利用可否や条件は異なります)。
低解約返戻金型終身保険などは、解約返戻金が低いため高額の借入が難しい場合があります。
養老保険でも、解約返戻金が払込保険料を下回ることはありますが、契約者貸付により一定額の現金を用意できる可能性があります。
一方、法人加入の養老保険にはデメリットもあるのでそちらもしっかりチェックしていきましょう。
養老保険のデメリット~低い利回り商品~
①福利厚生として扱うには、公平性に配慮した運用が必要
福利厚生目的で取り扱う場合は、特定の役員・特定の従業員だけを対象にしないなど、公平性に配慮した制度設計が重要です。
対象者を限定する場合でも、職種・勤続年数など合理的な基準や社内規程に基づく設計が求められます。
また、対象者が役員や特定の使用人に偏る場合には、保険料の取扱いが給与(賞与)と判断されることがあるため注意が必要です。
②商品によっては返戻率の面で、損金算入の効果を感じにくいことがある
いくら保険料の一部を損金に算入できる可能性があると言っても、返戻率が低いと、全体としてメリットを感じにくい場合があります。
商品によっては、払込保険料が満期保険金額を上回る設計となることもあるため、見積もり段階で受取額と費用のバランスを確認しましょう。
詳しくは、この後のランキングで見ていきたいと思いますが、加入に際しては十分な検討が必要です。
解約返戻率と利回りのシミュレーション
それでは、養老保険のメリットを実際の数字で見るとどれくらいのインパクトがあるものなのかシミュレーションしてみます。
ちなみに払込保険料総額に対して、満期保険金額として帰ってくる割合を「返戻率」と言います。
養老保険の利回りは、この返戻率で見られることが多く、どの保険会社・どの設計で加入するのかによって大きく異なります。
下記は、返戻率と損金算入がある場合の見え方(資金の残り方)を確認します。
A社の例
被保険者:35歳の男性
満期:60歳
保険金額:1,000万円
保険料:月36,800円
この場合、35歳~60歳の間に支払う保険料総額は、1,104万円です。実際受け取る保険金額は1,000万円なので、返戻率は90.6%です。
つまり、払い込んだ保険料の9割しか戻ってこない、ということになります。金額でいうと、104万円マイナスになった計算です。
ここで、法人契約(契約形態によっては)保険料の一部が損金算入できる場合があります。仮に、法定実効税率を33.8%(一例)とし、年間保険料(36,800円×12か月)のうち1/2相当額が損金算入できる前提で考えると、損金算入分に対応する税負担が、その年は軽くなる可能性があります。
養老保険の税務効果の注意点
養老保険に加入するとき、損金算入による税務効果は「税金が必ず減る」ではない点に注意しましょう。
損金算入により、当年度の法人税等を減らすことはできますが、将来的に受け取る保険金や解約返戻金には課税されます。つまり、養老保険による税務効果はあくまで「課税の繰延(課税時期の先送り)」です。
そのため、養老保険の税務効果は「税金を恒久的になくす」のではなく、課税を繰り延べながら退職所得控除の活用など「より有利なタイミングで課税されることを狙う」という活用方法が基本になります。
加えて、福利厚生として運用する場合でも、役員や特定の使用人のみに偏るなど、対象者の選び方や社内制度の設計によっては、損金算入部分が給与扱いと判断されることがあります。契約設計と社内規程(退職金・弔慰金規程等)をそろえたうえで、税理士等の専門家にも確認しましょう。
養老保険の税務効果の注意点
養老保険における税務効果は、契約形態(死亡保険金・満期保険金の受取人設定など)によって変わります。損金算入できる設計(死亡保険金の受取人が遺族、満期保険金の受取人が法人)では、保険料の1/2を損金算入し、当期の法人税等を抑える効果が期待できます。
ただし、満期保険金や解約返戻金を法人が受け取ると益金が発生し得るため、税金が恒久的になくなるわけではありません。効果の本質は、支払時と受取時で課税タイミングがずれることで、資金繰りや損益の出方を整えやすくなる点にあります。
- 保険料の損金算入を活用しつつ、満期(または解約)時の受取資金を退職金原資に充てるよう設計
- →払込期間中は課税を抑え、受取時の益金と退職金支給の損金を同じタイミングでぶつけることでトータルの税負担を抑えやすくする
- →万が一のときも、死亡保障を弔慰金(死亡退職金)などの支出に備える原資として位置づけやすい
- →従業員は給与ではなく退職金として受け取ることで、退職所得控除等により税負担を抑えやすい
実際に活用するときは、福利厚生としての運用実態が重要です。役員や特定の使用人のみに偏らない対象設計、社内規程(退職金・弔慰金規程等)との整合を取ったうえで、税理士等にも確認しましょう。
まとめ
ランキングでも書いたように、返戻率や保険設計の自由度、というのは保険商品を選ぶうえでの大事な要素になってくるかと思います。
しかし、あくまでも重要なことは「会社の方針がきちんと保険に反映されること」だと思います。
加入の際は信頼できる専門家に相談をしたうえで、養老保険を決めることをおすすめします。
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