法人向けの医療保険に加入する際に、知っておくと設計の幅が広がる活用方法があることをご存知でしょうか?

それは、医療保険の“名義変更(移転)”を前提にした考え方です。条件が合えば、法人で保険料を負担しつつ、将来は個人側で保障を継続しやすくなるケースがあります。

今回は、ファイナンシャルプランナー監修のもと、法人向け医療保険の名義変更(移転)の仕組みと、検討時に押さえたいポイントを解説します。税務上の取扱いは契約形態や商品設計で変わるため、注意点もあわせて確認していきましょう。

また、法人契約で医療保障を検討する際は、複数社の商品を比較し、保障内容・保険料・税務上の取扱いを踏まえて選ぶことが大切です。少しでも納得感のある設計にしたい方は、ぜひ参考にしてください。

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記事監修した保険のプロ:
40代/男性

  • AFP
  • トータル・ライフ・コンサルタント(生保協会認定FP)
  • 個人情報保護士

外資系大手保険会社での営業経験を活かし、生保・損保問わず企業向けに保険提案を行っている。保険商品だけでなく、金融商品・税金に関する知識は幅広く、お客様からの紹介が後を絶たない。

法人向け医療保険の名義変更(移転)によるメリット

冒頭でもお伝えしたとおり、法人で医療保険を検討する際に選択肢となるのが、“医療保険の名義変更(移転)”という考え方です。

法人契約の医療保険で名義変更(移転)を前提にすると、状況により次のようなメリットにつながる場合があります。

  • 被保険者(経営者/役員/従業員)が、保障を継続しやすい設計が検討できる場合がある
  • 会社側の保険料は、契約内容(解約返戻金の有無・水準、受取人、被保険者の範囲など)により損金算入・資産計上・給与認定の取扱いが分かれる

それぞれ具体的に説明していきましょう。

名義変更(移転)のイメージとしては、法人名義で契約した終身医療保険について、保険料の払込を進めたうえで、契約者を個人へ変更することで、個人側へ保障を引き継ぐ流れになります。

※保険料の払込期間(例:一定年数で払込を終えるタイプ等)は、商品や契約条件によって異なります。具体的な払込方法は、設計書や約款で確認しましょう。

医療保険を法人から個人へ移す場合は、名義変更時点の評価(一般に解約返戻金相当額など)を前提に検討します。解約返戻金がない(または少額)タイプであれば、名義変更時の評価が小さくなる可能性がありますが、実際の評価や手続きは商品・変更時期・運用実態で変わります。

また、名義変更前(法人が保険料を支払っている期間)に被保険者が入院・手術等となった場合、契約内容に応じて給付金を受け取り、治療費等に充てることも考えられます(給付金の受取人が法人の場合は会社側での処理が必要です)。

名義変更(移転)を検討する際のポイント

名義変更(移転)を前提に検討する場合は、次のポイントを押さえておくと安心です。

解約返戻金が「ない/少ない」タイプが検討される

まずは、解約返戻金がない(または少額の)医療保険が選択肢になりやすい点です。これは、名義変更時の評価(解約返戻金相当額など)に影響するためです。

一般に、資産価値のあるものを会社から個人へ移す場合、移転の形(無償/低額/対価あり等)によって、個人側の課税関係が問題になることがあります。解約返戻金が大きい設計だと、名義変更時の評価も大きくなりやすいため、名義変更時の負担が増える可能性があります。

ただし、ここは商品設計・手続き・対価の扱いによって変わります。加入前に、名義変更の予定時期も含めて確認しておきましょう。

給付金の受取人は「法人/個人」で取扱いが変わる

次のポイントは、給付金の受取人を誰にするかです。

病気やケガを原因として受け取る入院給付金・手術給付金などは、個人が受け取る場合は税法上非課税とされるのが一般的です。一方で、受取人を法人にした場合、給付金は会社の収入(雑収入等)として処理され、会社側で課税関係が生じることがあります。

また、法人が保険料を負担する契約では、被保険者の範囲(特定の役員・特定の使用人に限定されていないか等)によって、保険料が給与(役員報酬)として扱われる論点もあります。契約形態と対象範囲を前提に、税務上の取扱いを確認しておきましょう。

従業員を対象にする場合は「対象範囲の合理性」と「規程」が重要

従業員に医療保険をかける場合は、福利厚生としての位置づけがポイントになります。

対象者の範囲に合理性があること(均等待遇)

福利厚生の考え方として、従業員が等しく利用できることが重要です。とはいえ、実務では雇用形態や勤続年数など、社内で説明できる合理的な基準を設けて運用するケースもあります。

福利厚生規定を定めておく

医療保険を福利厚生の一環とする場合は、福利厚生規定(見舞金規程を含む)などを定めておくと運用面・税務面で説明しやすくなります。

参考:医療保険の保障イメージと保険料例

ここでは、短期払込の可否や保険料は個別設計で変わることを前提に、「保障の組み立て方」と「保険料イメージ」がつかめる参考例を紹介します。

例に挙げるのは、アフラックの「新しい形の医療保険 REASON」です。医療保険は、保障の形(治療給付・入院給付・通院給付・一時金など)や特約の組み合わせで内容が大きく変わるため、まずは設計の違いを確認してみましょう。

  • 保険料や取扱いは、年齢・性別・保障内容・特約の有無等で変わる
  • 具体的な保険料や最新の取扱いは、保険料表・設計書・約款等で確認する

横スクロールできます →

プラン 契約日の満年齢 30歳 40歳 50歳 60歳
プラン① 男性 2,400円 3,267円 4,957円 10,690円
女性 2,982円 3,198円 4,308円 9,153円
プラン② 男性 1,285円 1,777円 2,782円 7,330円
女性 1,542円 1,613円 2,173円 6,008円
プラン③ 男性 4,035円 5,502円 8,662円 16,665円
女性 4,087円 4,823円 6,778円 12,788円

※上記の保険料はパンフレット掲載の「月払保険料例(個別取扱)」です(2024年9月2日現在)。実際の保険料は契約条件により異なります。

法人契約で名義変更(移転)まで見据える場合は、保障内容だけでなく、会社側の経理処理(損金算入・資産計上・給与認定など)や、名義変更時の評価が論点になります。加入前に、契約形態を前提に確認したうえで比較しましょう。

関連:「法人向け医療保険の保障内容と名義変更によるメリットを徹底解説!」

関連:「法人保険の名義変更プランを解説!個人への名変や経理処理の方法」

名義変更(移転)を前提にする場合の注意点

ここまで、医療保険を法人契約し名義変更(移転)を検討する際の考え方をお伝えしてきましたが、ここからは注意点についても確認していきます。

給付金・保険料の取扱いで課税関係が変わることがある

名義変更(移転)を前提として医療保険を法人契約する場合、典型的には次のような契約形態が検討されます。

契約者 法人
被保険者 経営者
給付金受取人 法人

この場合、被保険者が入院・手術等となり保険金(給付金)が支払われると、保険金は会社に支払われ、会社側では「雑収入」等として利益計上が必要となります(課税関係が生じることがあります)。

一方で、会社に見舞金規程などがあり、規程に基づいて会社から個人へ見舞金として支給する場合、「社会通念上相当」と認められる範囲で福利厚生費として取り扱えることがあります。金額の一律基準は置きにくいため、規程の内容や支給理由、受給者の地位等も踏まえて検討しましょう。

※見舞金の金額や課税関係は個別事情で変わります。運用前に、所轄の税務署や税理士等へ確認するのが安心です。

また、個人が会社から受け取る金額についても、見舞金として非課税となる範囲を超える場合には、給与(役員報酬)等として課税対象となる可能性があります。

課税ケース例

イメージを掴むために、説明用の仮定に基づくケースを見てみましょう。

会社が受け取った100万円の給付金のうち、見舞金として20万円を役員に支給した場合(仮定)

契約者:法人 被保険者:経営者 
給付金受取人:法人

法人実効税率:30% 
役員報酬への税率(所得税・住民税):50%
 と仮定

1.会社に対する課税(仮定)
i) 保険会社→法人へ:100万円(利益計上)
ii) 見舞金として支給:20万円(福利厚生費として取り扱えると仮定)
iii) 上記以外:80万円(課税対象となると仮定)
よって、課税額=80万円×30%=24万円

2.役員に対する課税(仮定)
i) 法人→役員へ:会社の手取りを前提に支給(例:76万円
ii) 見舞金として非課税となる部分:20万円(仮定)
iii) それ以外:56万円(役員報酬として課税されると仮定)
課税額=56万円×50%=28万円

このように、契約形態や社内規程、支給方法によっては、会社・個人の双方で税負担が生じるケースがあります。

だからといって、給付金受取人を役員自身にした場合でも、法人が保険料を負担している設計だと、保険料が給与(役員報酬)として扱われる論点が残ります。給付金の受取人だけでなく、保険料負担の妥当性(対象範囲や規程)まで含めて確認することが大切です。

※福利厚生として位置づける場合は、対象者の範囲に合理性があり、規程や運用実態が伴っていることが重要です。

もし、経営者・役員自身が安心して治療を受けるための備えとして医療保険を検討するなら、個人契約で医療保険に加入することも選択肢として考えておくとよいでしょう。

保険加入は契約形態と税務処理を要確認

今回ご紹介したとおり、医療保険の法人契約にはメリットになり得る点がある一方で、税務上注意したい点もあります。会社や経営者の状況を踏まえ、契約形態(契約者・被保険者・受取人)や、給付金発生時の運用、名義変更(移転)の予定時期まで含めて検討することが重要です。

そのため、保険商品の選択や税務上の取扱いの確認は、加入前にしっかり行いましょう。

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