会社の保険を契約変更する際の注意点

保険の節税効果

法人保険の名義変更プランを解説!個人への名変や経理処理の方法

法人保険の名義変更
低解約返戻金タイプの逓増定期保険で節税したい

と思われている経営者の方。実はそちらの手法は既に古く、危険であるためまずこちらの記事を読み進めて頂きたいと思います。実際に以下のような判例が下されました。

”2017年6月23日 札幌高裁「法人負担の保険料を名義変更後の個人の一時所得からの控除を認めず」”
※参照:税務研究会

近年、節税スキームとして人気を得てきた「低解約返戻金型逓増定期保険」名義の変更。生命保険の解約返戻率が急騰する直前に、法人から個人に名義変更する手法でした。法人が保険料を払ったにもかかわらず、税務上有利な個人に返戻金を移すことで、個人資産を増やすスキームです

しかし、上記の判例の通り札幌高裁はこの名義変更プランを認めず。まだ最高裁で決まったわけではないですが、今さら名義の変更スキームを使うのは、リスクしかないのかもしれません。なぜなら、平成30年1月1日より、生命保険契約に関する支払調書が変更されるからです。
※参照:国税庁HP

低解約返戻金型逓増定期保険の節税スキームについても、平成30年1月1日以降に名義変更すると新しい基準が適用されます。平成30年以降は、今までグレーであった節税スキームにメスが入り、保険本来の機能を活かした上でのホワイトな節税対策が主流になるでしょう。

今までグレーな節税方法、つまり租税回避を目的に法人保険に加入した経営者の方は、これを機に法人保険を見直してみてはいかがでしょうか。

しかし、「今までの法人保険を見直したい!でも、保険会社や保険代理店が多すぎて、どの会社に相談するべきかわからない・・・とお悩みの経営者の方も多いのが実情。そうした<悩みを解決するべく、当サイトは法人保険コンシェルジュという無料相談サービスを行っています。
関連:「中小企業の経営者の方が最適な法人保険を選ぶため。法人保険コンシェルジュの活用方法を徹底解説」

法人保険の名義変更における経理処理などをお知りになりたい方は、以下に進んでいきましょう。


法人保険の名義変更プラン(個人・法人)と経理処理

法人保険の名義変更には手続きが必要で、どういう形態で名義を変更するかにより方法も経理処理も変わります。

ここでは、「法人から個人」「個人から法人」「法人から法人」3つの場合を考えます。ちなみに医師が医療法人の形態になるのは、個人から法人ですね。

法人から個人に移す時

法人契約を個人契約に名義を変更する場合は、退職に伴い解約返戻金相当額を退職金として現物支給する場合が一般的です。

退職以外での個人契約の名義変更は給与扱いになり、経理上の勘定科目は『給与』となります。また、役員報酬は一定のものを除き損金不算入となりますので注意が必要です。

少々難しいのは法人保険の商品によって経理処理は変わってきます。以下に例を載せたのでどのような経理処理になるのかだけでも確認しておきましょう。

■全額損金扱いで、解約返戻金相当額がない法人保険の商品
⇒名義の変更時の経理処理は損金で問題ありません。

■1/2損金算入や資産計上の保険商品
⇒保険料積立金が計上されているため、資産計上される分があります。

その額を取り崩し、解約返戻金との差額を雑収入または雑損失で計上します。具体的に契約名義の変更を行う場合は以下の形態を参考にして下さい。

変更前 変更後
契約者 法人 社長(役員)
被保険者 社長(役員) 社長(役員)
保険金受取人 法人契約者 相続人


個人から法人に移す時

このケースは、主に目的として2パターンあります。

■個人事業主が法人成りした時
■開業医が医療法人を設立した時

個人契約から法人契約では加入目的が異なりますので、『損金』目的などで簡単に名義を変更するのではなく、保障内容などをよく確認して名義を変更することをおすすめします。

法人から個人への名義の変更時、保険の解約返戻金相当額の現金で保険契約を買い取ります。一方、個人が受け取った現金は一時所得となります。

なお、法人が無償で保険を個人から譲り受け名義を変更した場合は、法人には、解約返戻金相当額の利益が出ますが、個人には課税されません。

具体的に契約名義の変更を行う場合は以下の形態を参考にして下さい。

変更前 変更後
契約者 社長(役員) 法人
被保険者 社長(役員) 社長(役員)
保険金受取人 相続人 法人


法人から法人に移す時

被保険者が子会社などに転籍した場合などに、このパターンの名義変更が行われます。具体的には、転籍前の法人が掛けていた生命保険を、転籍後の法人へ名義の変更を行うといったものです。

この場合の名義の変更時には、解約返戻金相当額で譲渡することになります。個人から法人への有償譲渡のパターンと同じです。

経理処理においては、以下のようになっています。

■転籍前の法人
⇒資産計上額を取り崩し、解約返戻金との差額を雑収入または雑損失で計上

■転籍後の法人
⇒解約返戻金相当額の現金を支払い、同額を資産に計上


具体的に契約名義の変更を行う場合は以下の形態を参考にして下さい。
(例として、A法人からB法人へ譲渡した場合)

変更前 変更後
契約者 A法人 B法人
被保険者 役員従業員 役員従業員
保険金受取人 A法人 B法人


なお、個人から個人に移す時は、贈与や相続などの時に用いられます。名義変更した際には税金は発生しません。

ただし、下記のパターンでは贈与税の対象となるので、名義変更時には注意が必要です。

・将来的に保険が満期を迎え、満期返戻金を受け取るとき
・保険を解約して解約返戻金を受け取る時に、名義の変更後の保険金受取人が負担しない部分があったとき


低解約返戻金型逓増定期保険。税務上の問題とは?

ここでは、名義を変更するにあたっての注意点を述べていきます。

節税と認識されないようにする

低解約返戻金型逓増定期保険における、法人から個人へ名義変更が問題視されています。

この法人保険の特性を生かした方法で、解約返戻金の最高返戻率になる直前に法人から個人へ名義を変更して、名義を変更した後に多額の解約返戻金を受け取るという内容です。

低解約返戻金型逓増定期保険の節税スキームについては、同ページの上部に追記を書いているので、よくわからないという方はチェックしてみましょう。

法人保険の名義の変更時の解約返戻金相当額は低いです。そのため、保険料を損金算入しながら役員の保険を逓増定期保険で準備することが出来るので、法人としてメリットがあります。
関連:「中経営者向け法人保険のメリット7つを徹底解説!」

一方、個人名義に変更して返戻金を受け取る個人についても、低い解約返戻金相当額で受け取ることが出来るので、メリットを享受できます。
関連:「2018年最新版!法人保険と節税対策をFPが徹底解説」

この手続きは、法人から個人への資金移転とも解釈され、今まで負担した保険料の損金算入が否認されたり、名義の変更時の税金についても調査が入ることになります。保険会社も注意を促しており、気をつけなければならない手続きの一つです。

キャッシュフローの状況を確認する

名義の変更の際に気をつけることとして、キャッシュフローについて確認することが大切です。法人保険に加入することで損金算入できることもメリットですが、会社の経営状況を見極めて手続きをする必要があります。

名義の変更には、経理処理が重要になりますので、名義の変更を検討している法人保険がどの様な経理処理となるのか、現金として退職金をどれくらい支給するか等もあわせて考えないといけません。

決算書上の保険料積立金、支払い保険料についても決算書で確認をし、名義変更をすることで生じるキャッシュフローについても確認しておくことも重要でしょう。


無償譲渡の違いとは?

法人保険の有償譲渡の場合と無償譲渡の場合とでは、名義の変更後の経理処理が変わってきます。法人から個人へ名義を変更した後に、受け取った満期返戻金や解約返戻金は一時所得となります。

有償で保険を法人から個人への名義の変更をした場合は、法人に支払われた名義の変更時点の解約返戻金相当額は必要経費に含め一時所得の所得税の計算をすることになります。

一方、法人保険の無償譲渡の場合、経費となる保険料の負担がないので所得税の負担が増大します。

例えば、名義の変更時の保険料負担が発生しないように、法人が法人保険の契約者となっている時に保険料の払込を完了させておく、短期払いの契約をすることがあります。

この場合、名義を変更して保険を譲り受けた個人は税金の取り扱いに注意が必要です。


まとめ:法人保険の名義変更は理由が重要

本来、法人保険の名義変更は、役員の退職時に現物を支給するという福利厚生の意味合いの濃い手続きとなっております。

そのため、名義変更をする理由が、単に節税を目的とした租税回避であれば、税務署に理屈が通りません。札幌高裁の判決や、支払調書の変更から、平成30年以降はさらに厳しくなるでしょう。

そうした時代背景の中、法人保険の名義の変更を、このような本来の目的とは違うメリットを享受するために行うことはリスクも生じます。自分勝手な考えでは、後で延滞税を払うことになったり、税務署から目を付けられてしまうリスクが生じます。

もし現在の法人保険の目的や内容に不安があり、法人保険の見直しで不安解消したい経営者の方。あるいは、これからはホワイトな節税効果を狙って行きたいという方は是非ご相談頂ければ幸いです。


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