節税コラム
MS法人の節税スキーム効果4選!デメリット導入手順まで徹底解説

MS法人の節税スキーム効果4選!デメリットや設立がおすすめの人も解説

MS法人の節税スキーム効果4選!デメリット導入手順まで徹底解説

医師の節税方法として、MS法人を使った節税スキームがあります。

MS法人は医療機関における経営形態の1つで、個人開業医や医療法人の経営効率化が期待できる方法です。

この記事では、MS法人の節税スキーム効果4選とデメリットについて詳しく解説。どのような場合に設立がおすすめなのかも解説するので、医師や医療法人経営者の方はぜひ参考にしてください。

MS法人とは医療サービスの経営形態の一種

MS法人とは医療サービスの経営形態の一種

MS法人とはメディカル・サービス法人の略称で、医療関連の事業に携わる医療機関以外の法人のことです。

クリニックや歯科医院の事業分散もしくは事業拡大のために設立することが多く、一般の株式会社や合同会社のように営利事業が可能です。

MS法人の主な事業としては、以下が挙げられます。

  • 不動産の賃貸・管理
  • 介護サービスの受託
  • 経営コンサルティング
  • 売店業務
  • 医療機器や医薬品の販売
  • 保険請求業務
  • 人材派遣サービス
  • 給食業務

事業で出た利益を株主へ分配できたり、株式や社債を発行して資金調達ができたりと、事業を拡大したい経営者にとってさまざまなメリットがあります。

医療法人との違い

医療法人は医療行為が中心ですが、MS法人は医療以外の業務や営利事業を行えるのが大きな違いです。

また医療法人は県の許可がないと設立ができず、株式や社債を発行して資金調達をすることもできません。

一方でMS法人の設立に県の許可は必要なく、営利事業を行ったり資金調達をしたりもできます。

ただし、MS法人は医療行為を行えないので注意が必要です。

MS法人による節税スキームの効果4選

MS法人による節税スキームの効果4選

MS法人にはさまざまな節税効果があり、医療法人と併せて設立することも珍しくありません。

ここから、MS法人の節税スキーム効果を詳しく解説します。

節税効果①所得の分散

MS法人は医療法人とは別の法人格を持つため、それぞれに所得が発生します。

法人の所得にかかる法人税は、年800万円以下の部分まで15%の軽減税率が適用されます(資本金1億円以下の中小法人の場合)。そのため、医療法人がMS法人を設立し、所得を分散することで、双方で軽減税率を適用することが可能です。

法人税の税率
区分 法人税率
資本金1億円以下 年800万円以下:15%
年800万円超:23.2%
資本金1億円以上 23.2%

例えば所得1,600万円の医療法人の場合、法人税は800万円までは15%、800万円超の部分は23.2%です。

この医療法人がMS法人を設立し、所得を800万円ずつ分散できれば、どちらもすべての所得に対して15%の税率を適用できます。

節税効果②役員報酬による所得控除

MS法人を設立して院長の親族(配偶者や子ども)を役員に就任すれば、役員報酬を支払う形で所得を分散できます。

役員報酬には所得控除が適用できるため、トータルで所得税を抑えられます。

ただし役員報酬の額が不自然だと、税務調査で指摘され追徴課税を受ける可能性があるため注意しましょう。

節税効果③医療機器の貸出(リース)

MS法人が医療機器や什器を導入し、医療法人(クリニック)に対してリースすることで、節税効果を得られます。

医療法人の自己資産として保有せず、リース料を支払って利用することで、毎月の経費として即時計上できます。また、高額資産として貸借対照表(バランスシート)に計上されないため財務がスリム化され、キャッシュフローや財務指標の改善につながります。

MS法人側としては、リース料収入を得ることで利益を得られるほか、自由度の高い経費処理(役員報酬・福利厚生費・接待交際費など)が可能です。

つまり医療法人とMS法人の間で、ある程度柔軟に資金をコントロールできるようになります。

節税効果④相続税の対策

MS法人は、相続税対策としても大きなメリットがあります。

土地・建物をMS法人に譲渡して、地代や家賃を被相続人ではなくMS法人の資産にすれば、個人の相続財産から除外できます。

また、医療法人の後継者は医師でなければいけませんが、MS法人ならそういった制限はありません。医師ではない親族にも事業の一部を承継可能になります。

MS法人による節税スキームのデメリット

MS法人による節税スキームのデメリット

MS法人による節税スキームは多くのメリットがある一方、気をつけるべきデメリットもあります。

事前に注意点を押さえて、適切な節税対策を取れるようにしましょう。

医療法人と「役員の兼務」はできない

医療法人の理事長(代表医師)本人が、MS法人の役員に就任することはできません。法律上、MS法人の役員が医療法人の役員を兼務することは不適切とされるからです。

節税目的の場合、親族をMS法人の理事長に就任させ、所得分散や相続税対策に活用するケースが一般的です。

運営コストがかかる

MS法人は登記費用や資本金といった初期コストのほか、法人税住民税などの運営コストがかかります。

経営体制に無駄があると、諸々のコストが節税効果を上回ってしまうかもしれません。

設立にあたっては、税制面で有利になるよう綿密な制度設計が重要となります。

税務調査の対象になる恐れがある

過度に節税を追い求めるあまり、法人設計に無理が生じてしまうと、課税調査で否認される恐れがあります。

医療法人・MS法人間で不適切な取引をしたり、業務実態のない家族に役員報酬を支給していたりすると、追徴課税を課されるかもしれません。

節税目的だけで考えず、医療法人とMS法人の両方で適切かつ慎重な経営が必要です。

MS法人による節税がおすすめな医師・医療法人の特徴

MS法人による節税がおすすめな医師・医療法人の特徴

最後に、どのような状況がMS法人による節税に向いているか紹介します。

所得1,800万円以上の個人開業医

個人開業医としての所得が1,800万円を超える場合、MS法人の設立で節税できる可能性があります。

個人事業主の所得税は所得が多くなるほど高くなる累進課税で、1,800万円を超えると税率は40%にのぼります。

一方、法人は法人税や関連税(法人住民税など)を合わせてもおおむね30%程度で済むことから、法人設立で節税できる可能性があります。

なお、医療法人化とMS法人化のどちらが良いかは状況によるため、まずは税理士などに相談してみましょう。

年商1億円以上もしくは法人利益が800万円の医療法人

仮に医療法人の利益率を30%とした場合、年商が1億円なら利益は3,000万円です。上記と同様に、所得税は40%かかることとなり、法人化したほうが税制面で有利になります。

また、法人利益が800万円を超えると法人税が増加するので、MS法人を設立して所得を分散するのが得策です。

年商1億円以上ともなれば、設備や人材の投資にかかる費用も高額です。法人化することで、より効率的に経営が可能になるでしょう。

まとめ

まとめ

本記事で紹介したMS法人による節税スキーム効果は、次の4つです。

  1. 所得の分散
  2. 役員報酬による所得控除
  3. 医療機器の貸出(リース)
  4. 相続税の対策

医療分野以外に事業を拡大したい場合や、節税対策を講じたい場合 MS法人の設立はメリットの多い方法です。

節税対策について考えている開業医の方や医療法人経営者の方は、税理士など専門家と相談のうえ、設立を検討してみるのもよいでしょう。

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