2019年6月、国税庁より法人保険の定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いについて見直しが行われ、税制改正のよる通達で法人保険に関する新たなルール案が公表されました。
法人保険の取り扱いは税制改正後の新しいルールによる運営され、当記事に関しても新ルールに基づいた解説をしております。
税制改正後の法人保険に関する新ルールについての詳細は、国税庁・金融庁・各保険会社が公表する内容を合わせてご参照ください。
日本生命(ニッセイ)の「スーパーフェニックス」は、長期間の死亡保障・高度障害状態の保障を受けられる生命保険です。事業保障や役員の退職金準備、事業継承資金などに備えられます。
解約返戻率のピークが75%~85%ほどになることもあり、この貯蓄性の高さから社長・役員の退職金の準備に適しています。
この記事では、日本生命(ニッセイ)のスーパーフェニックスに関して、詳しい保障内容や支払保険料の税務処理(資産・損金の計上割合)などについて解説していきます。
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日本生命「スーパーフェニックス」の特徴
日本生命(ニッセイ)のスーパーフェニックスは、貯蓄性の高さが人気の長期生命保険です。
設定できる保険期間は最低20年以上、かつ保険期間満了時期は満80歳以上でなければいけないなど長期間の保障が前提となった保険商品で、被保険者が死亡・高度障害状態になった場合に保険金が支払われます。
保障期間が長いため、長期に渡って社長を務める経営者の万が一のケースに備えることができます。また、社長が亡くなった際の事業継承資金として充てることも可能。
人気のポイントである貯蓄性の高さを見てみると、契約時の年齢によって異なりますが解約返戻率のピークは85%以上と高い率を有しています。そのため、社長・役員向けの退職金準備に適していると言えます。
- 少なくとも20年以上の契約期間が前提となる長期保険
- 貯蓄性が高く、契約条件によっては解約返戻率が85%を超えることも
- 長期に渡る事業保障、事業承継の資金準備、経営陣の退職金準備に適している
日本生命「スーパーフェニックス」の基本契約内容
商品名 | 長期定期保険 スーパーフェニックス |
---|---|
引受保険会社 | 日本生命 |
契約形態例 | 契約者: 法人 被保険者: 経営者 / 役員 保険金受取人: 法人 |
保険期間 | ~100歳満了 (保険期間は最低20年以上、かつ保険期間満了時期は満80歳以上) |
契約可能な年齢 | 20歳~79歳まで |
保険料払込期間 | 保険期間と同じ期間 |
払込方法 | 月払・年払から選択 |
付加できる特約 | リビング・ニーズ特約 |
法人保険としての活用ポイント
ここからは、日本生命「スーパーフェニックス」の活用ポイントを解説していきます。
経営者の万が一の事業保障・事業承継の財源に
日本生命のスーパーフェニックスは、長期間変わらない死亡保障が備えられています。
経営者に万が一のことがあった場合には、死亡保険金を事業継続のための資金として活用することが可能。特に中小企業やオーナー企業の場合、社長の営業力によって取引先を獲得していることも多いでしょう。
そういった場合、社長がいなくなってしまうと当面の間事業が立ち行かなくなってしまうリスクがあります。そんな場合に備えるために、法人保険でまとまったお金を準備しておく経営者の方は多くいらっしゃいます。
また、経営者が亡くなったときには、次の経営者に事業を継承する必要があります。その際、会社の資産などに対して相続税が発生する場合も。
こんなときに死亡保険金を事業承継の財源として充てれば、あとを継ぐ経営者がスムーズに会社を引き継ぎやすくなり、安定を欠かずに会社を運営することができます。
契約者貸付制度も利用可能
日本生命「スーパーフェニックス」には、契約者貸付制度が用意されています。
契約者貸付制度とは、保険を解約することなく、解約返戻金のなかから所定の割合でお金を借り入れることができる制度のこと。
急に資金が必要になった時、保険を解約して解約返戻金を受け取ることもできますが、これでは保障もなくなってしまいます。
その点、契約者貸付制度を利用すれば保障を残したままお金を用意することが可能。借り入れたお金には所定の利子がつきますが、返済すれば解約返戻金の金額も減らずに済むため、一時的な資金の準備なら解約よりも契約者貸付制度の利用がおすすめでしょう。
10年~30年後の役員・社長の退職金準備
日本生命の「スーパーフェニックス」の特徴は、なんと言っても高い貯蓄性。保険期間が長いほど保険料の中から積み立てる責任準備金(※)の割合が大きくなるため、解約返戻金も高額になるのです。
解約返戻率のピークは契約時の年齢や保険期間によって異なりますが、若いうちに加入し、保険期間を長く設定すると解約返戻率も高くなります。30代で加入すれば、返戻率のピークが85%を超すケースも。
ピークを迎える時期は、加入から概ね10年~30年後。こちらも加入時の年齢・保険期間によって大きく異なりますが、比較的遠い時期の役員・社長の退職金を準備する目的に適しています。
また、ピーク時の期間が比較的長く続くこともスーパーフェニックスの特徴です。そのため、もし経営者や役員の退職の時期が多少ずれても対応できるメリットがあります。
※責任準備金:保険会社が将来の保険金給付や解約返戻金支払い等に充てるために支払われた保険料の中から積み立てるお金のこと。
保険料の税務処理(資産・損金計上)
法人保険の税務処理(資産・損金の計上)については、2019年の国税庁による税制改正によって新たなルールが定められました。
新ルールでは、法人保険商品のピーク時の解約返戻率によって資産・損金計上割合が異なります。
スーパーフェニックスに加入する多くの方は、解約返戻率が「70%~85%」もしくは「85%以上」になるでしょう。この場合の資産・損金計上の割合は、下記のとおりです。
最高解約返戻率 | 資産計上期間 | 資産計上額 | 取り崩し期間 |
---|---|---|---|
70%超~ 85%以下 |
保険期間の 当初40%の期間 |
支払保険料×60% (支払保険料×40%は 損金計上) |
保険期間の75%経過後、 保険期間終了日までの 期間で均等に取り崩して損金計上 |
85%超 | 保険期間の開始日から 解約返戻金が最高金額に なる日まで |
保険期間開始~10年経過日まで 11年目以降 |
解約返戻金が最高金額になったあと、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩し |
最高解約返戻率:70%超~85%以下 | |
---|---|
資産計上 期間 |
保険期間の当初40%の期間 |
資産 計上額 |
支払保険料×60% (支払保険料×40%は損金計上) |
取り崩し 期間 |
保険期間の75%経過後、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩して損金計上 |
最高解約返戻率:85%超 | |
資産 計上期間 |
保険期間の開始日から解約返戻金が最高金額になる日まで |
資産 計上額 |
保険期間開始~10年経過日までは、 11年目以降は、 |
取り崩し期間 | 解約返戻金が最高金額になったあと、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩し |
解約返戻率が70%超~85%以下では、保険期間の当初は支払保険料の6割が資産計上、残り4割のみを損金として計上します。
解約返戻率85%超では、保険期間の当初10年を最高返戻率×90%をかけた保険料を資産として計上、残りの保険料を損金に。
これだけを見ると保険料をほとんど損金に計上できないと思う方も多いかもしれませんが、ここでポイントになるのは「損金計上できる割合が制限されているのは、契約当初の所定の期間のみ」という点。
たとえば、解約返戻率が70%超~85%以下の場合、保険期間の当初40%は保険料の40%しか損金計上できませんが、それを過ぎれば保険料全額を損金計上できます。
そのため、スーパーフェニックスを解約するまでの長期的な目線で考えれば、合計支払保険料の50%以上を損金に計上することも可能なのです。
上記のことを考えると、スーパーフェニックスを活用することである程度の税制上のメリットを得ることができると言えるでしょう。
日本生命「スーパーフェニックス」は契約条件によって解約返戻率が異なる点に注意
日本生命の「スーパーフェニックス」では、契約年齢・保険期間によってピーク時の解約返戻率が異なります。そのため、さきほど紹介した損金計上の表に当てはまらないケースもあるでしょう。
ピーク時の解約返戻率、ならびに損金の処理がどうなるかは、加入時に必ず保険会社・保険代理店のスタッフに確認するようにしてください。
日本生命「スーパーフェニックス」まとめ
今回は、日本生命(ニッセイ)の「スーパーフェニックス」について解説してきました。
改めてポイントをまとめてみましょう。
- 死亡・高度障害状態の保障を得られる
- 保険期間は最低20年以上の長期間
- 解約返戻率は契約年齢・保険期間によって異なるが、概ね70%~85%ほど
- 事業保障や事業承継の資金準備、比較的長い期間(10年~30年)での退職金準備におすすめ
経営者の方の多くが気にする保険料の損金計上に関しては、日本生命「スーパーフェニックス」では契約年齢によって解約返戻率が異なるため、損金計上割合も人によって異なります。
保険会社・保険代理店のスタッフに見積りをとる際に、経理処理についてもしっかり確認するようにして下さい。
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