その他税金対策
法人化の節税シミュレーション|個人事業主よりどれだけお得か解説

簡単項目で法人化の節税効果をシミュレーション!具体例も解説します

【法人化の節税シミュレーション】個人事業主との税金比較を簡単解説

「法人化すると、どのくらい節税できるのか?」
「収入がいくらくらいになったら、法人化を検討すべきなのか?」

こうした疑問を持つ個人事業主やフリーランスの方は少なくありません。

所得が一定額を超えたら、法人化したほうが節税できる場合があります。ただし、法人化にあたっては法人税と所得税の違いを把握し、しっかりとしたシミュレーションをしておくことが大切です。

そこで本記事では、法人化による節税効果をシミュレーションし、個人事業主との違いをわかりやすく解説。法人化の判断基準となる所得目安や注意点もお伝えします。

法人ならではの経費の考え方、損失の繰越期間など、法人化によって得られる税務上のメリットは多岐にわたります。この記事を参考に、ぜひ法人化による節税を検討してみましょう。

3項目ですぐわかる!法人化の節税効果シミュレーション

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まずは、法人化による節税効果を簡易的に計算できるシミュレーターをご用意しました。「おおまかな数値で良いのですぐにシミュレーションしたい」という方は、こちらをご活用ください。

具体的な数値を例にしたシミュレーションはこちら!



法人化で節税できる仕組みとは?

そもそも、なぜ法人化が節税につながるかご存知ですか?

ここでは、主な要因として以下の3つを紹介します。

  1. 所得税 vs 法人税は税率の決まり方が異なる
  2. 法人のほうが経費の範囲が広い
  3. 法人化すると損失繰越が最大10年まで伸びる

①所得税 vs 法人税は税率の決まり方が異なる

まず、個人に課される所得税は、所得が増えるにしたがって税率が高くなる「累進課税制度」が採用されています。税率は最大で45%にのぼり、所得の半分近くが税金で取られてしまいます。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円~1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円~3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円~6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円~8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円~17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円~39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

参照:国税庁|所得税の税率

一方、法人に課される法人税(法人所得税)は定率で、所得にかかわらず原則23.20%なので、所得税の最大税率より低くなります。

法人の種類 税率
資本金1億円超の法人 23.2%
資本金1億円以下の法人 年800万円以下の部分まで:23.2%
年800万円超の部分:23.20%

※法人の種類によって異なる場合があります。

参照:国税庁|法人税の税率

以上のことから、高所得者であれば法人化したほうが税制上有利となります。

ただし、所得が低い場合は法人化しても節税できないどころか、逆に税負担が上がってしまいます。また、実際に節税効果を検討するときは、住民税や事業税も考慮する必要があるため注意しましょう。

②法人のほうが経費の範囲が広い

法人になると、個人事業主のときには経費として認められなかった支出も、経費に計上しやすくなります。

以下はその一例です。

  • 役員報酬(自分自身への給与)
  • 家族への給与や報酬(家族を役員や従業員にした場合)
  • 福利厚生費
  • 退職金
  • 社宅
  • 生命保険料
  • 車両関連費用

個人事業主だと一部しか計上できないものでも、法人化することで対象範囲が広がり、より大幅に課税所得を抑えられるようになります。

③法人化すると損失繰越が最大10年まで伸びる

法人化すると損失金(赤字)の繰越控除が最大10年間まで延長され、個人事業主の3年間と比較して大幅に増加します。

繰り越した損失金は、翌年以降の黒字と相殺することで課税所得を減らせるため、節税につながります。逆に言えば、相殺するほどの黒字が出ないまま期限を過ぎてしまえば、節税の恩恵を受けられません。

損失繰越が最大10年まで伸びることで、事業に波がある場合でも長期的に税金を抑えることが可能です。

節税目的の法人化は所得800万円が目安

法人化で節税できる仕組みがわかったところで、具体的に「どのタイミングで法人化すると節税効果を得られるのか」についてお答えします。

事業内容などにもよりますが、一般的な目安としては年間所得が800万円を超えてくると、法人化によって節税できる可能性があります。

先述の通り、個人事業主に課される所得税は累進課税制度であるのに対し、法人税は一定の税率です。こうした税率の変動により、年間所得800万円あたりから課税額の逆転現象が起こり得ます。

【年収別】個人事業主と法人の税金比較シミュレーション

【年収別】個人事業主と法人の税金比較シミュレーション

ここからは、年間所得別に法人化の節税効果をシミュレーションしていきます。

法人化と個人事業主で節税効果にどの程度の差が出るのか、具体的な数値で比較しましょう。

なお、シミュレーションを見るに当たり、以下の注意点をお読みください。

  • 控除額や税率などは2025年時点のものです。また、地域によって税率等が変わるものは、東京都の基準を参考にしています。
  • 復興所得税や森林環境税、役員報酬など、一部項目は割愛しています。
  • あくまで簡易シミュレーションであり、法人化を推奨するものではありません。正確な節税効果は税理士にお問い合わせください。

シミュレーション1. 年収500万円の場合

年収が500万円の場合、課税額のシミュレーションは以下の通りです。

法人の場合
税の種類 計算式(千円未満切り捨て)
法人税 5,000,000円 × 15% = 750,000円
法人住民税
(法人税割)
750,000円 × 7% = 52,500円
法人住民税
(均等割)
70,000円
法人事業税:収入×税率 (4,000,000円 × 3.5%) + (1,000,000円 × 5.3%) = 193,000円
合計 1,065,000円
個人事業主の場合
税の種類 計算式(千円未満切り捨て)
所得税 (5,000,000円 – 480,000円) × 20% – 427,500円 = 476,500円
住民税 (5,000,000円 – 450,000円)×10% = 452,000円
個人事業税 (5,000,000円 – 2,900,000円)× 5% = 105,000円
合計 1,033,000円

年収500万円の場合、法人化すると個人事業主のときより税負担が3万円ほど増えてしまい、節税としては逆効果というシミュレーション結果になります。

シミュレーション2. 年収800万円では法人の場合

続いて、年収が800万円のシミュレーションです。

法人の場合
税の種類 計算式(千円未満切り捨て)
法人税 8,000,000円 × 15% = 1,200,000円
法人住民税
(法人税割)
1,200,000円 × 7% = 84,000円
法人住民税
(均等割)
70,000円
法人事業税 (4,000,000円 × 3.5%) + (4,000,000円 × 5.3%) = 352,000円
合計 1,706,000円
個人事業主の場合
税の種類 計算式(千円未満切り捨て)
所得税 (8,000,000円 – 480,000円) × 23% – 636,000円 = 1,093,600円
住民税 (8,000,000円 – 480,000円) × 10% = 752,000円
個人事業税 (8,000,000円 – 2,900,000円)× 5% = 255,000円
合計 2,100,000円

年収800万円のシミュレーションでは、法人化することで40万円近くの節税効果になりました。

あくまで簡易シミュレーションですが、場合によっては大幅な節税につながることがわかります。

節税目的で法人化するときの注意点

節税目的で法人化するときの注意点

一定の収入があれば節税効果を見込める法人化ですが、注意すべき点がいくつかあります。

節税だけに着目して後悔しないよう、以下のポイントも踏まえておきましょう。

法人は赤字でも住民税の支払いがある

法人に課される住民税は、法人税額を基に算出する「法人税割」と、資本金額に応じて課税される「均等割」の2種類があります。

均等割は利益に関係なく生じるため、赤字が出た年でも必ず納めなければいけません。

最低7万円は必要なので、あらかじめ計算に入れたうえで1年の予算計画を立てましょう。

社会保険が増える可能性がある

法人化すると、代表者1人の会社であっても社会保険への加入が義務付けられます。​

法人の場合、健康保険や厚生年金の保険料は計算方法が変わり、会社と個人それぞれに負担が生じます。

役員報酬の設定額によっては保険料が増える場合があり、節税効果が相殺されてしまうため注意が必要です。

事業の状況や将来の展望も考慮することが大切

法人化には、設立時の初期費用や事務手続きの煩雑さ、維持コストといったデメリットも存在します。

会社設立にかかる費用は25万程度かかるほか、設立後も決算公告費用や役員変更登記費用、顧問税理士を雇う場合はその報酬など、さまざまな費用がかかります。

一方で、初期のランニングコストが高くなっても、今後さらなる事業の成長が見込まれるなら、法人化を進めたほうが将来的なリターンは大きいでしょう。

節税効果だけに注目するのではなく、事業の成長性や資金繰りなど、今後の展望を含めて総合的に判断することが大切です。

まとめ

まとめ

法人化は、所得が増加した個人事業主にとって節税対策の有効な手段です。特に、所得が800万円を超える場合、法人化による節税効果が期待できます。

ただし、法人化には設立費用や社会保険料の負担増などのデメリットも存在します。法人化するときは、節税効果だけでなく、総合的なコストとリターンをシミュレーションしましょう。

自分1人で正しいシミュレーションができるか不安な方は、専門家に相談するのもおすすめです。会社設立の手続きだけでなく、長期的な経営計画や経営者のライフプランについてもアドバイスしてもらえます。

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