その他税金対策
投資による税金対策

会社の税金を抑える有効な手段

会社の節税テクニック 投資

法人を経営するにあたっては、できるだけコストを抑えることが大切です。コストにはさまざまなものがありますが、税金もコストのひとつ。

税金というと、法人の場合、利益に対して課せられる法人税が代表的な税金でしょう。

税金は非常に大きな金額となるため、利益を上げても手元に残るキャッシュが大きく減ってしまい、頭を悩ませる経営者の方も多いのではないでしょうか?

事業資金をできるだけ増やすために、適切に税金対策して納税額を抑えることは、会社の経営者にとって重要な課題と言えます。

税金対策する方法は多様ですが、主な方法の1つに、投資が挙げられます。

このページでは、投資による税金対策に注目し、法人が投資によって税金対策できる仕組みや、具体的な投資の方法、注意点について解説します。

投資で税金対策をしたいとお考えの方は、是非参考にしてみてくだい。

なぜ法人は投資で税金対策(節税)ができるの?

法人経営者の方が頭を悩ませる税金。税への対策は、法人にとって大きな課題です。

税金を抑える方法を色々と調べた結果、税金対策のための投資を検討している法人の経営者の方も多いでしょう。

しかし、単純に「投資は税金対策に効果的」ということを把握しただけでは、いきなり投資を行った際に失敗する可能性があります。

法人が投資で効果的な税金対策を行うためには、まず投資によって税金対策できる仕組みを理解しておくことが大切です。

なぜ投資によって税金対策ができるのか、簡単にご説明しますので、確認していきましょう。

投資とは?

投資とは、会社が投資対象に資金を投入し、投資対象が生み出す価値の上昇によるキャピタルゲインや、不動産が生み出す賃貸利益や株式の配当など継続的に生まれるインカムゲインを獲得する行為をいいます。

しかし、もっと広い意味で、仮に支払った資金を回収できなくても、消耗品への支払いや従業員教育への支払いなど、間接的な効果を期待して将来のためにお金を使うこと自体も投資ということがあります。

そのため、ここでは広く、会社の活きたお金の使い道すべてを投資としておきます。

投資による税金対策の仕組み

投資に資金が使われた場合、その分だけ会社の中に残る資金は減ってしまいます。

しかし、投資として使われた分は、法人税法上、そのほとんどが損金として計上可能です。

この「損金に計上可能」というのが、税金対策のポイント。というのも、法人税の仕組み上、損金が大きければその分法人税も減るのです。

法人税は、売上など利益を増やす効果がある益金から、人件費や消耗品、設備購入代金の分割費用計上である減価償却費などの損金を引いて計算した課税所得に対して、一定の税率を掛けて求める仕組みになっています。

そのため、会社の損金が大きければその分だけ課税所得が減少し、結果として法人税が減るのです。

つまり、投資によって損金を増やすことで、税金対策ができるということになります。

以上が、投資によって税金対策ができる仕組みの説明でした。

法人が投資に使った資金は損金として計上できるため、法人税が減るのです。

しかし、むやみやたらに投資をして損金を増やしても、税金対策が上手くいくわけではありません

そこで、次の章から、法人が投資によって上手く税金対策するための具体的な方法について、

  • 投資によって税金対策するための前提条件
  • 投資で税金対策をする注意点
  • 投資できるのはどんなもの?

この順番でご紹介していきます。

税金対策(節税)をするための前提条件

法人が投資によって税金対策をするためには、前提条件があることを理解しておくことが大切です。

前提条件をクリアしていなければ、税金対策をすることはできません。

投資によって税金対策をするために不可欠な前提条件は、下記の3つです。

  • 自社の利益を月単位で管理する
  • 年間の税金対策スケジュールを立てる
  • 法人が青色申告承認申請に通っている

1つずつ見ていきましょう。

自社の利益を月単位で管理する

1つ目の前提条件は、会社の利益を月単位で管理していることです。

というのも、定期的に利益管理をして、投資しても資金不足にならないと確認できなければ、投資をすることはできないためです。

法人の利益を把握するには、決算を行う必要があります。会社法上は、最低年1回決算をすれば良いことになっています。

また、法人税の申告も、中間納税義務がない法人の場合は、最低年1回です。

そのため、月単位で決算を行い、月次利益を算出していない会社もあるでしょう。

しかし、月単位で利益を把握できていない会社は、どれだけの資金を投資に回していいのか細かく把握することが難しいでしょう。

安易に投資をしては、後々資金繰りに困ってしまうこともあります。

月次単位で資金繰りを行って、投資しても資金不足にならないと確認できる体制にしておくことが前提条件です。

年間税金対策スケジュールを立てる

2つ目は、会社の年間税金対策スケジュールを作成したうえで投資を実行することです。

法人の投資は、思い付きで実行すると失敗する可能性があります。

たとえ月次単位で資金管理を行っていたとしても、1年先までは予想していない場合もあるでしょう。

1年間にどれだけの投資を行って税金対策につなげていくのかという計画をあらかじめ作って実行に移すことによって、1年先までの資金不足を回避しながら投資を計画的に進めていくことができるようになります。

目先の資金管理だけでなく、年間を通して税金対策スケジュールを立てるようにしましょう。

青色申告承認申請に通っている

3つ目は、法人が青色申告承認申請に通っていることです。

法人税の納税者は、青色申告の承認申請をして青色申告者になっておけば、税額控除や特別滅却などの各種税金対策の制度が使えるようになります。

通常の白色申告では、このような税金対策の制度を使うことはできないので、青色申告承認を申請いしましょう。

以上3つが、法人が投資によって税金対策をするための3つの前提条件でした。

いずれの前提条件も、すぐに完了できるような内容ではありませんので、投資をする前に余裕を持って準備しましょう。

投資の注意点

法人が投資によって節税をするには、いくつか注意しなければいけない点があります。

この章では、投資の注意点を2つに分けてご説明します

  • 注意点1:無駄な投資をしないこと
  • 注意点2:資金を確保すること

注意点1:無駄な投資をしないこと

1つ目の注意点は、無駄な投資をしてしまう場合があることです。法人の支出の多くは、損金に計上することができます。

「交際費には損金算入限度がある」「設備などの固定資産の購入の場合は損金を複数年にわたって分割して行う減価償却が必要」といった例外はありますが、お金を使えば税金対策につながる可能性が高いのは事実です。

しかし、投資を行って税金対策をすることを優先させてしまうと、無駄なものへの支出が増えてしまう傾向が強まります。

税金対策のために投資すると考えてしまうと、法人が活きたお金の使い方をできなくなってしまう可能性がありますので注意が必要です。

投資によって活きたお金の使い方をするには、税金対策という目的の他に、法人が投資をする目的を考えることが重要です。

例えば、会社を守るという目的が挙げられます。

具体的には、ライバル会社に負けないための開発投資、会社存続のための新事業投資、買収などへの対応、訴訟に負けないための支出などが挙げられます。

会社がなくなってしまえば、経営者はもちろん従業員も職を失ってしまいます。

会社を存続させるために何が必要かを検討し、それに必要な投資を行うことができれば、投下した資金を活きたお金にすることが可能です。

また、社内環境を整えるという目的もあるでしょう。

たとえば、会社の従業員が働きやすいようにリラックスルームをリニューアルする、業務効率化のためにデスクなどを刷新する、セキュリティー対策強化のためにIT機器を入れ替えるなどの投資が挙げられます。

社内環境を整えるという目的での支出は、新製品開発や新拠点展開などの支出と比較すると成果が出やすい傾向があるため、有効な資金の使い道になるでしょう。

注意点2:資金を確保すること

2つ目の注意点は、法人が投資をするためには、たくさんの資金が必要になることです。

会社の資金を投資に回す場合は、事業を進めていくために最低限必要な運転資金など、投資以外に使える資金が減少します。

資金が不足する場合は、融資を受けるなど、資金調達を行うことが必要です。

しかし、無理な投資をすると、融資してもらえる範囲を超えてしまい、会社の資金繰りに窮する可能性があるため、注意しましょう。

法人はどんなものに資金を投入できる?

法人が投資を行って税金対策を実現したい場合、どんなことにお金を使えば税金対策につながるのかを知っておかなければ、税金対策の効果を上げることができなくなってしまいます。

実際に資金を投下するかどうかについては慎重な判断が必要ですが、投資検討を行ううえで、投資先の選択肢を数多く知っておいたほうが有利です。

法人の経営者であれば、投資先として設備や金融資産、不動産、そして新製品開発など、一般的に投資と呼ばれているものは当然頭に浮かんでいるでしょう。

しかし、広い意味で投資と言える資金の投下先についても知っておくことが必要です。主な投資の対象は、8つ挙げられます。

  • 消耗品
  • 社員旅行
  • 賞与
  • 社宅の整備
  • 広告宣伝
  • 人材投資
  • 社内規定の整備
  • 別会社の設立

上記を順番に解説します。

消耗品

1つ目は、消耗品の購入です。消耗品は、文房具やパソコンなどの電子機材、会社の内装備品などが挙げられます。

使用可能期間が1年未満のものを消耗品とできるため、来年に使用する分まで購入することで、税金対策につながる可能性もあります。

社員旅行

2つ目は、社員旅行の実施です。法人における社員旅行は、一定の条件を満たせば福利厚生費として損金算入できます。

従業員のモチベーションアップに役立つと判断できる場合には、有効な投資方法だと言えます。

賞与

3つ目は、賞与の支給です。定期ボーナスに加えて、臨時ボーナスを出すなどの方法が考えられます。

賞与は損金として算入できるのか疑問に思う方もいるかもしれませんが、賞与は人件費であるため、原則として損金算入可能なのです。

社宅の整備

4つ目は、社宅の整備です。賃貸物件を購入して社宅として提供することで、建物の減価償却費や社宅の維持費などを損金算入できるようになります。

社宅は従業員の福利厚生の1つになりますので、投資先としても適当でしょう。

広告宣伝

5つ目は、広告宣伝への投資です。広告宣伝費も、損金として計上できるのです。

節税だけでなく、法人の認知度を上げることで、業績アップも期待できます。

人材投資

6つ目は、人材投資です。従業員教育などへの投資は、スキルアップだけでなく、従業員定着率の向上につながる可能性があります。

長い目で見ると業績アップにもつながるでしょう。

社内規定の整備

7つ目は、社内規定の整備です。規定の整備には時間とコストがかかりますが、節税にもつながると思えば、適切なタイミングで実施できるようになります。

規定を整備することで、法人の社員も仕事がしやすくなるでしょう。

別会社の設立

8つ目は、別会社の設立です。利益が出ている部門を小規模な別会社として事業分離するなど、別会社を使うことで、節税できる場合があります。

間違った資金の投入先は?

先ほど、法人の資金の投資先を紹介しましたが、投資に適したものもあれば、間違った投資先もあります。

投資によって節税できるメリットがあるといっても、業績向上につながらない投資は資金の無駄遣いになってしまうリスクがあり、間違った投資だと言えます。

無駄な投資の具体例としては3つ挙げられます。下記3つを順番に解説します。

  • 無駄な接待交際費
  • 無駄な福利厚生費
  • 不要な物品への投資

無駄な接待交際費

まずは、無駄な接待交際費です。交際費支出は、条件の範囲内で損金算入が認められており、一定の税金対策の効果があります。

しかし、ビジネスにつながらない飲み食いばかりしていると、お金はいくらあっても足りなくなります。

無駄な接待を行うくらいなら、違うことに投資をしたほうが良いでしょう。

無駄な福利厚生費

次に、無駄な福利厚生費です。先ほど、人材育成や社宅の整備など、社員の福利厚生につながる物事への投資は、投資先として適していると紹介しました。

しかし、社員のスキルアップ、モチベーションアップにつながる効果を期待できない福利厚生費は、業績向上の期待もできません。

法人の経営者が、なにが社員や法人にとって良い投資なのかをきちんと考えてから、福利厚生費として投資しましょう。

不要な物品への投資

最後は、不要な物品の購入です。そもそも不要なものを購入することは投資と呼ぶことすらできません。

たとえ高額で高品質な物品であっても、それを使う機会がなければ、結局は無駄な支出でしかありません。

本当に必要なものなのかを考えた上で、物品を購入するようにしましょう。

将来のことも考えよう!

先ほどもご説明しましたが、税金対策のために投資をしたいと考えている法人の経営者は、税金対策を主な目的にすることは避けたほうがよいでしょう。

資金を有効活用するためには、将来において役立つものに資金を投下することが重要です。

事業に無関係なものや業績向上につながらないものは、投資とは呼べません。

ただお金を使えばよいということではなく、活きたお金にすることが大切なのです。

何に投資をするかは、法人の経営者の腕の見せ所でもあります。

投資をする場合は、税金対策はあくまで結果的に実現される副産物だととらえて、将来を見据えながら業績向上に役立つことに資金を投入しましょう。

今回は「投資」に注目した節税について説明しましたが、下記のページでは、投資以外の税金対策テクニックについて解説しています。

税金対策についてもっと知りたいという方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

関連:企業向け税金対策について

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