事業を行う法人や個人事業主が、経営上のさまざまなリスクに備える手段のひとつが、「事業保険」です。

とはいえ、事業保険と聞いても「具体的に何に備えられるのか」「どんなメリットがあるのか」が分かりにくい方もいるかと思います。

ここでは、事業保険の概要と、メリット・損金の考え方、代表的な保険の種類を分かりやすくご紹介します。

あわせて、加入を検討する際の参考として、事業保険のランキングも掲載しています。

記事監修した保険のプロ:
40代/男性

  • AFP
  • トータル・ライフ・コンサルタント(生保協会認定FP)
  • 個人情報保護士

外資系大手保険会社での営業経験を活かし、生保・損保問わず企業向けに保険提案を行っている。保険商品だけでなく、金融商品・税金に関する知識は幅広く、お客様からの紹介が後を絶たない。

そもそも事業保険とは?

事業保険の概要

事業保険には「個人向けのもの」「法人向けのもの」があります。

事業保険は、事業を行っている法人や個人事業主が加入する保険の総称で、「どのようなリスクに備えるか」によって、選ぶべき保険の種類が変わってきます。

例えば、代表者や役員、従業員が病気やケガ、死亡した場合は生命保険で備えられます。

中小企業では、代表者の死亡や大きな病気によって働けなくなることで、資金繰りが悪化し、事業を続けるのが難しくなるケースもあります。

代表者に万が一のことが起こっても、法人が契約者となって生命保険に加入しておくことで、保険金の受け取りによって当面の資金繰りに備えられます

また、状況によっては借入金の返済を迫られる場合もあるため、借入金の返済に充てる選択肢も考えられます。

これは代表者や役員に限らず、従業員についても同様です。中小企業では、従業員が一人でも欠けることで事業の運営が回りにくくなる場合があるため、そのような事態に備えて事業保険を活用します。

一方、事業上のリスクとして、損害賠償リスク、事故や火災のリスク、休業リスクなどがあります。

このようなリスクに対しては損害保険で備えられます。

このように、企業に起こりうるさまざまなリスクに備えるための保険の総称が事業保険です。

それでは次で、どのような事業リスクに備えられるのか、具体的に見ていきます。

どんな事態に備えられる?

先ほど、事業保険は企業に起こりうるリスクに備えるものと説明しました。

ここからは、事業保険で備えられる事業リスクを6つに分けて、より詳しく説明します。

事業保障対策/資金対策

多くの中小企業の成長は、経営者である社長の経営力、人間力、信用、つながりなどに依存する面があり、社長が万が一の場合、会社が存続できないリスクがあります。

事業保険に加入することで、運転資金などの備えや短期借入金の返済資金を準備しやすくなります。

また、解約返戻金があるタイプの保険では、「契約者貸付」を利用できる場合があります。契約者貸付は、保険契約に基づいて資金を用意できるため、一般的な借入と比べて手続きがシンプルで、必要なタイミングに合わせて資金を確保しやすいのが特徴です。

貸付限度額や利率、利用条件は保険会社・商品によって異なるため、契約内容(設計書・約款等)で確認しましょう。

事業承継対策

多くの中小企業では、経営者に万が一のことがあった際、自社株の承継が課題になるケースがあります。

事業保険は、保障の確保に加えて、事業承継に向けた資金計画の一部として活用されることもあります。

また、経営者の高齢化に伴い、事業承継対策の重要性は高まっています。早めに選択肢を持っておくことが重要です。

福利厚生対策

事業保険は、従業員の福利厚生としても活用できます。

従業員が病気を患った際にお見舞金を保険で支払える場合があったり、従業員に万が一のことが起きた時には、ご遺族へ死亡退職金・弔慰金をお渡しできたりします。

また、従業員が退職を迎える時への生存退職金の準備に活用するケースもあります。事業保険に加入することで、従業員だけでなく、そのご家族に向けた備えを検討できます。

役員・従業員の退職金の準備

事業保険であれば、契約内容に応じた保障を備えつつ、役員や従業員の退職金の準備を進められます。

また、保険料の取り扱いは商品や契約形態によって異なりますが、損金算入できる部分がある場合は、退職金準備の資金計画にも組み込みやすくなります。

財務強化対策

事業保険の保険商品によっては、保険料の一部または全部を損金として経理処理できる場合があります。

そのため、保障の確保とあわせて、資金計画や退職金準備の選択肢として検討しやすく、財務強化の一環として活用されます。

賠償責任対策

事業保険では、建物から商品まで、業種・企業それぞれに応じて、事業活動に伴う賠償リスクに備えられます。

また、事業保険の一つとして、サイバー攻撃などの不正アクセスによる個人情報の流出に備えるサイバーリスク保険の必要性も高まっています。

サイバー攻撃を受けた場合の損害としては、被害を受けた顧客に対する賠償責任、顧客を失うことによる継続的な売上の減少などが挙げられます。

サイバーリスク保険では、商品によりますが損害賠償、事故対応費用(被害や原因の調査にかかる費用、謝罪・問合せ対応のコールセンター設置費用等)、ネットワーク中断による収益減少等が補償の対象になります。

さらに、商品によって海外での被害に対応していたり、風評被害の抑止を目的とした必要なコストを補償したりするものもあります。

ただし、ランサムウェア(身代金要求型不正プログラム)の要求に対して支払った費用は補償の対象外になる場合があるため、補償範囲は保険会社に確認しましょう。

メリットとデメリット

メリットデメリット

事業保険は、事業が抱える経済的なリスクを抑える役割を果たします。そのため、事業保険の保険料は、必要な経費として認められ、損金に算入できる場合があります

損金に算入できると利益が圧縮され、課税負担の軽減につながります。

ただし、デメリットもあります。保険料を毎年支払うため、資金繰りに影響する点には注意が必要です。

さらに、将来的に保険料が戻る前提で考える場合でも、出口戦略を想定せずに契約すると、想定より低い利回りとなることもあります。

関連:経営者向け法人保険のメリット7つを徹底解説!

損金計算

事業保険は種類が多いため、すべての事業保険が一律で全額損金になるわけではありません

損害保険では、保険料が全額損金となるケースが多い一方で、翌事業年度に対応する保険料は前払保険料として資産計上される場合があります。

その後、資産から取り崩して損金に算入します。

また、生命保険では保険の種類や契約形態によって取り扱いが細かく決められています。詳しくは、こちらをご参照ください。

関連:「法人保険の損金タイプはどれがよい?新たな税制ルールを解説」

種類別の比較

比較

それでは具体的にどのような事業保険があるのか、生命保険と損害保険に分けて紹介します。

生命保険の事業保険

長期平準定期保険

長期平準定期保険は、主に法人の代表者や役員が被保険者となる死亡保険です。保険期間が長期に渡る分、支払保険料が低めに設定される傾向があります。

解約返戻率の推移も緩やかに変動し、ピーク期間が長めになるため、柔軟な資金計画として使いやすいタイプになります。

逓増定期保険

逓増定期保険は、段階的に保険金額が上昇する設計の定期保険です。基準となる保険金額から、最大5倍程度まで上がる設計が一般的です。

解約返戻金のピークが早く、急激に上昇・下降するため、短期的な出口戦略を立てたいときに向いています。

その他の事業保険

上記以外にも傷害保障付長期定期保険や、従業員向けの養老保険などがあります。

また、医療保険がん保険も福利厚生のために法人が契約者となって加入できます。

損害保険の事業保険

賠償責任保険

企業が事業活動を通して行ったことに対して、第三者に損害を与えてしまった場合に備える事業保険が賠償責任保険です。対人事故や対物事故をはじめ、幅広い賠償リスクを補償します。

製造業や飲食業では、生産物に対して賠償責任を負うケースもあり、たとえばPL保険という生産物に特化した保険もあります。

業務災害補償保険

事業者は労災に加入していますが、労災だけでは補いきれない経済的リスクを上乗せで補償する事業保険です。上乗せの補償ではありますが、労災を使わないケースもあります。

その他の事業保険

その他にも、事故や災害などで休業を余儀なくされた場合に備える休業補償保険や、火災保険、自動車保険も事業保険としてラインナップがあります。

事業保険で保障を確保しつつ、税務面も踏まえて選ぶ

いかがでしたでしょうか。事業保険と一言でいっても、その保障(補償)内容は多岐にわたります。

大きく分類すると損害保険と生命保険の分野に分かれており、どちらも事業を営む方にとって重要な備えです。

すでに事業保険に加入している方は、一度加入している保険の内容を見直してみるのもよいでしょう。貴社に合う保険が見つかる可能性があります。

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