その他税金対策
法人のための節税対策一覧を紹介!役員報酬や繰越控除など

法人が活用できる主要な節税対策一覧をまとめて解説

法人のための節税対策一覧を紹介!役員報酬や繰越控除など

法人が節税対策を行うには、適切な節税対策方法を選び、正しく対策を実施することが重要です。特に、最新の税制を理解し、適切な税務対策を講じることが求められます。

ただし、節税対策を誤ると、かえって税務リスクが高まり、税務調査で指摘を受ける可能性があります。

さらに、資金繰り対策が不十分だと、銀行融資への影響など、経営に深刻なダメージを与えることも考えられます。

法人の節税対策では、単に税金を減らすことだけでなく、会社の財務状況や経営計画に合った方法を選ぶことが重要な対策ポイントになります。

この記事では、中小法人から大規模法人まで活用できる節税対策の一覧を具体的に紹介。役員報酬の設定や社宅制度の活用、出張費の経費計上など、法人税を抑えるための実践的な対策を解説します。

法人が活用できる主要な節税対策一覧

法人が活用できる主要な節税対策一覧

ここでは法人が活用できる節税対策の一覧をお伝えします。自社に取り入れられる内容があれば、節税にご活用ください。

役員報酬を適正化する

役員報酬は、一定の条件を満たすことで法人の経費として計上できるようになります。

役員報酬を経費計上するための条件は、次の3つです。

  • 定期同額給与:毎月同じ金額を支払う
  • 事前確定届出給与:事前に税務署へ届け出を行い、決まった金額を支払う
  • 業績連動給与:会社の業績に応じて支払う(適用できる企業に制限あり)

役員報酬の金額を決定・変更する際には、株主総会での承認が必要です。

損金として参入するためには、株主総会の議事録を残しておくとともに、必要に応じて税務署への届出も行う必要があります。適切な税務対策として、役員報酬の設定には慎重な判断が求められます。

社員の住宅費を社宅化する

会社が社員の住宅を社宅として提供すると、税制上のメリットがあります。社宅の家賃を会社が負担すれば、経費として計上できるため、法人税の軽減につながります。

また、給与として住宅手当を支給する場合に比べ、社宅制度を利用すれば社員の所得税や社会保険料の負担が軽くなります。企業が負担する社会保険料も減るため、コスト削減につながります。

例えば、住宅手当を給与として支給すると全額課税対象ですが、社宅として会社が家賃を負担する形にすれば課税額を抑えられます。

ただし、税務上、給与として課税されないためには、社員から賃貸料相当額の50%以上の家賃を受け取る必要がある点には気をつけましょう。適切な対策を講じて、節税と福利厚生のバランスを取ることが大切です。

出張費や日当を活用する

出張費や日当の活用は、法人税の節税対策につながります。日当とは出張時の食事代や諸経費を定額で支給するもので、給与や役員報酬と異なり所得税や社会保険料が課税されません。

給与や役員報酬として支給すると、会社側は社員や役員が負担する所得税・社会保険料の一部を負担しなければなりません。

一方、日当として支給すると、会社の社会保険料負担や源泉徴収の対象から外れ、法人としての負担が抑えられます。

ただし、日当の金額は業界水準や会社の規模に合わせて妥当な範囲内で設定する必要があります。税務調査対策として、旅費規程を作成し、出張報告書を適切に整備しておくと安心です。

福利厚生費を充実させる

福利厚生を充実させると、企業の魅力を高めながら節税が可能です。人材確保対策として有効活用できる主な制度の一覧は以下の通りです。

社員旅行 従業員の半数以上が参加、一人10万円以内なら福利厚生費計上可能
健康診断 人間ドックについて、一定年齢以上の希望者全員が受診可能なら福利厚生費に
食事補助 月3,500円以内、従業員半額以上負担で非課税
法人保険 養老保険などの一定割合を計上可能

こうした制度を取り入れることで、従業員の満足度向上と節税の両立が図れます。

決算賞与を活用する

決算賞与は、業績に応じて支給額を調整できる特別な賞与で、節税対策として有効です。決算賞与は損金として計上でき、法人税の負担を減らせます。

以下の条件を満たすことで、決算後の支給であっても当期の損金として計上できます。

  • 決算日までに支給額を従業員へ通知する
  • 決算後1か月以内に支給を完了する
  • 決算時に費用として経理処理を行う

例えば、税引前利益700万円の企業を想定し、決算賞与として200万円を支給した場合、法人税額がどのように変化するかを計算してみます。

この際、法人税率は15%(所得800万円以下の部分)、住民税や事業税を含めた実効税率を約25%と仮定します。

項目 決算賞与なし 決算賞与あり
税引前利益 700万円 500万円
法人税等(25%) 175万円 125万円
節税額 50万円

※ 実際の法人税率は企業の規模や所得額によって異なります。

このように、200万円を損金算入したことで、50万円が節税できたことが分かります。

不良在庫を処分する

不良在庫を適切に処分すれば損金として計上でき、課税所得を減らすことで節税につながります。

不良在庫の処分方法と節税のポイントは以下の通りです。

処分方法 節税のポイント
値引き販売 決算セールなどで売却し、棚卸資産を減らす。(※ただし、単なる値下げでは評価損にならない可能性がある)
廃棄処分 廃棄損として損金計上が可能(証明書の保管が必要)
会計処理 臨時的な廃棄は特別損失、毎年発生する場合は売上原価で計上

不要な在庫を適切に処分することで、税負担を抑えながら経営の健全化を進めることができます。

設備投資対策で税制優遇を利用する

法人が一定の設備投資を行うと、税制上の優遇措置を受けられます。

対象となるのは、青色申告を提出している資本金1億円以下、または従業員数1,000人以下の法人です。特定の設備を導入すると、30%の特別償却または7%の税額控除(資本金3,000万円以下の法人のみ)が適用されます。

例えば、以下の設備を導入すると、特別償却や税額控除の対象となります。

  • 先端設備や生産ラインの改善に役立つ設備
  • 機械装置(1台160万円以上)
  • 測定工具・検査工具(1台30万円以上、複数台で120万円以上)
  • 一定のソフトウェア(合計70万円以上)

ただし、中古品や貸付目的の設備は対象外です。

また、特定の生産性向上設備については、即時償却または取得価額の10%の税額控除が適用される場合もあります。

この制度を活用すれば、設備投資のコストを抑えながら、事業の効率化対策を図ることが可能です。

小規模企業共済を活用する

小規模企業共済は、事業者が毎月一定額を積み立て、将来の退職金として受け取れる制度です。小規模企業共済で積み立てた掛金は全額が所得控除の対象となるため、節税にも役立ちます。

掛金は月1,000円から7万円まで500円単位で設定でき、加入後も増減が可能です。

事業を辞めた際には、積み立てた資金を以下のように「一括」または「分割」で受け取れます。

  • 一括受け取り:退職所得として扱われ、税負担が軽減される
  • 分割受け取り:公的年金と同じ雑所得扱いとなる

ただし、掛金納付月数が240か月(20年)未満の場合、解約手当金は納付した掛金総額を下回る可能性があります。以下の表は、掛金納付月数ごとの支給率の目安です。

掛金納付月数 支給率(掛金総額に対する割合)
12~83か月 約80%
120か月 約85%
180か月 約92.5%
240か月 100%
480か月 約110%
720か月 最大120%

長く積み立てるほど、受け取れる共済金が増えます。将来の資産形成と節税を同時に実現できるため、経営リスクに備える手段として有効です。

倒産防止共済に加入する

倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、取引先の倒産による資金繰りの悪化を防ぐ制度です。取引先が倒産して売掛金を回収できなくなった場合、掛金総額の10倍(上限8,000万円)まで無担保・無保証人で借入れが可能です。

また、倒産防止共済の掛金は損金や必要経費として計上できるため、節税にもなります。

掛金は月5,000円から20万円まで自由に設定でき、増減も可能です。40か月以上積み立てれば、解約時に掛金の全額が戻るため、資産形成の手段としても活用できます。

例えば、毎月5万円を3年間積み立てると積立金額は180万円になるので、最大1,800万円までの借入れが可能になります。

万が一のリスクに備えつつ、節税効果も得られるため、多くの中小企業にとって有益な経営安定化対策といえるでしょう。

貸倒引当金を経費計上する

貸倒引当金は、取引先からの未回収リスクに備え、あらかじめ税務上の損金として計上できる制度です。実際に貸し倒れが発生する前に引当金として計上できるため、貸倒リスクに備えた会計処理が可能になります。

通常、売掛金が回収不能になった場合、直接損失として計上することになりますが、貸倒引当金を計上しておけば、発生前に損失を見越して一定額を損金算入できます。

ただし、計上できる金額には上限があるため、適用要件を確認しながら活用することが重要です。条件を満たしている場合は、忘れずに処理し、適正な税務対策に役立てましょう。

法人名義で車を購入する

法人名義で車を購入すると、税金を節約できます。会社の経費として計上できるため、節税につながるからです。

車両の購入費用は減価償却費として計上し、普通自動車なら6年、軽自動車なら4年かけて少しずつ経費化できます。さらに、ガソリン代や自動車保険料、車検費用、駐車場代なども経費として認められます。

ただし、社用車をプライベートでも使用する場合は、利用規定を設けたり、会社に一定の利用料を支払ったりする必要があります。税務調査で問題にならないよう、使用状況を明確にしておきましょう。

赤字の繰越控除を利用し、将来の税金を減らす

会社が赤字になった年の損失を、その後の黒字の年に繰り越して活用できます。この仕組みを使うと、将来の税金を減らせます。

法人が赤字を出した場合、その赤字分を最大10年間繰り越せます。翌年以降に黒字になった際に、過去の赤字と相殺し、課税対象となる所得を減らせます。

例えば、ある年に500万円の赤字が出て、翌年に600万円の黒字を計上した場合、前年の赤字と相殺することで、課税所得は100万円になります。つまり、赤字があれば後の年の税金を減らせるのです。

また、一定の条件を満たすと「欠損金の繰戻しによる還付」を受けられます。これは黒字の翌年に赤字が出た場合、前年の税金を再計算し、払いすぎた分の還付を受けられる制度です。

この制度を適切な対策として活用すれば、赤字を有効に活かしながら法人税の負担を軽減できるでしょう。

交際費の損金算入を最大限活用する

交際費は全額が損金算入できるわけではありませんが、一定の条件を満たせば、部分的に経費として計上できます。

交際費のうち、接待飲食費は帳簿に詳細を記録することで、法人税の計算において経費として認められます。

記録が必要な項目は以下のとおりです。

  • 飲食の年月日
  • 参加者の氏名・関係性
  • 飲食費の金額・店名

交際費の損金算入には、以下のように上限があり企業の規模によって異なります。

大企業 接待飲食費の50%までが経費計上可能
中小企業 接待飲食費の50%、または800万円を上限とする交際費(事業年度の月数に応じて変動)

例えば、年間1,660万円の接待飲食費を使う場合、大企業ではその半分(830万円)を経費にできます。一方、中小企業なら800万円まで全額を損金に算入できます。

交際費は適切に管理することで節税につながるため、ルールを守りながら活用するとよいでしょう。

研究開発費の税額控除を活用する

研究開発にかかる費用の一部は、法人税の税額控除の対象となります。控除の対象となる主な費用は、以下の3つです。

  • 製品開発に関する試験研究の費用(材料費、人件費、光熱費など)
  • 他の企業や研究機関へ委託した試験研究費
  • 技術研究組合の研究活動に関する費用(オープンイノベーション型の対象)

研究開発を支援するため、税制優遇措置が設けられています。令和5年度の税制改正では、以下のような控除が適用されることになりました。

最大14%の税額控除 試験研究費の増減に応じて1~14%の控除(令和7年度末までの時限措置)※恒久措置は1~10%
スタートアップとの共同研究支援 条件を満たせば最大25%の税額控除
高度研究人材の活用支援 博士号取得者や外部研究者の人件費の最大20%を控除
試験研究費割合10%超の場合の控除上乗せ 控除上限が最大10%追加される時限措置

例えば、自社の研究開発費が年間1億円だった場合、条件を満たせば最大1,400万円の税額控除が受けられる可能性があります。

研究開発を行う企業にとって、研究開発税制は法人税の負担を大きく軽減できる制度です。自社の適用条件を確認し、積極的に活用するとよいでしょう。

【要注意】間違いやすい法人の節税対策の落とし穴

【要注意】間違いやすい法人の節税対策の落とし穴

法人の節税対策は、適切に行えば税負担を軽減できます。しかし、誤った節税対策をすると、資金繰りが悪化したり、経営にリスクをもたらしたりすることがあります。

ここでは、特に注意すべき3つの落とし穴と、それに対する適切な対策について紹介します。

節税対策を意識しすぎるあまり、かえって経営を圧迫しないよう、それぞれのリスクを確認しておきましょう。

節税対策が資金繰りの悪化を招く恐れがある

節税のために経費を増やすと、手元資金が減り、資金繰りが苦しくなる恐れがあります。

たとえば、広告費を増やせば経費は増えますが、売上につながらなければ無駄な支出となってしまいます。

不必要な経費を増やして利益を抑えれば、税金は減りますが、それ以上に支出が増えて資金不足に陥ることも考えられるのです。

支払いが滞ると、取引先からの信用を失うリスクも出てきます。節税だけを考えるのではなく、事業に必要なお金をしっかり確保しながら、バランスよく経費を管理していきましょう。

役員報酬の最適化が逆効果になる場合がある

役員報酬を調整する対策で法人税を抑えても、個人の税負担や社会保険料が増え、結果的に損をすることがあります。

たとえば、役員報酬を減らせば個人の税金や社会保険料は下がりますが、会社の利益が増えて法人税が高くなります。逆に、役員報酬を増やせば法人税は抑えられますが、個人の負担は増えます。

特に小規模な法人では、法人と個人の資金の流れがつながっています。個人の負担が増えれば法人からの資金移動が必要になり、会社の資金繰りを圧迫することも。また、社会保険料を抑えすぎると、将来の年金額が減るリスクもあります。

役員報酬を決めるときは、節税だけでなく、個人と法人のバランスを考慮した最適な報酬対策を講じることが大切です。

節税のしすぎで銀行融資が通りにくくなる恐れがある

意図的に利益を抑えすぎると、銀行の融資審査で不利になる可能性があります。

銀行は、企業の利益や財務状況をもとに、融資が可能かどうかを判断します。節税を目的に利益を抑えすぎると、自己資本が十分でないと判断され、銀行から「返済能力が低い」とみなされる可能性があります。

その結果、希望する融資を受けられなくなる場合や、融資条件が厳しくなる場合があります。

特に、今後の資金調達を考えている場合は、過度な節税を避け、一定の利益を確保することが重要です。資金調達の計画を見据えた適切な節税対策を行い、安定した経営を目指しましょう。

まとめ

まとめ

今回は法人の節税対策について、具体的な方法やポイントを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

法人の節税対策は、単に税負担を減らすだけでなく、会社の財務を健全に保つことや、従業員の待遇を改善することにもつながります。

役員報酬の見直しや社宅の活用、出張費の経費計上など、無理なく取り入れられる対策も多くあります。

会社の経営をより安定させるためにも、自社に合った節税対策を検討してみてください。まずはできる対策から少しずつ始めてみましょう。

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