
法人保険は事業保障や退職金の貯蓄、福利厚生などに活用されますが、節税対策の一つとして利用されることも多くあります。
法人保険を活用した節税は、保障を確保しつつ、保険料の損金算入によって当期の税負担を軽くできる(課税を繰り延べできる)点が大きなメリットです。
一方で、仕組みを理解しないまま進めると、期待した効果が得られなかったり、解約のタイミング次第で手元資金が想定より増えなかったりすることもあります。
そこでこの記事では、法人保険を活用した節税の仕組みを解説します。節税の仕組みの中で重要な「損金」「解約返戻金」「出口戦略」について説明していきます。
法人保険による節税の仕組みは「税の繰り延べ」が基本

予想外に会社の利益が出たとき、嬉しい反面、法人税について悩んでしまうという声は経営者の方からよく聞かれます。
法人税対策として使われる手段は様々ありますが、保険料の損金算入を使って当期の税負担を軽くできるのが法人保険です。
法人保険は、本来は企業の事業保障や経営者の退職金貯蓄、従業員の福利厚生などに利用されるものですが、賢く利用すれば節税にも役立ちます。
ただし、法人保険による節税対策の仕組みは、あくまで「税の繰り延べ」である点は押さえておきましょう。
法人保険による節税の仕組みは、保険料を支払うことで法人税の対象となる利益を減らし、支払った保険料は将来的に解約返戻金として手元に戻すというものです。
この仕組みでは、目先の法人税は確かに減らすことができる一方、将来解約返戻金を受け取った際には利益が増えるため法人税も増加すること、つまり法人税を将来に繰り延べになっています。
法人税対策として法人保険に加入する際には、この繰り延べの仕組みをきちんと理解しておく必要があります。
では、次に法人保険による節税の仕組みに重要な3つのポイントを見ていきましょう。
節税の仕組みに重要な3つのポイント

さきほども解説した通り、法人保険による節税は、保険料を支払うことで法人税の対象となる利益を減らすという仕組みです。
この仕組みのなかで重要なのは、「損金」「解約返戻金」「出口戦略」の3つです。
損金
損金とは、経費として認められる法人の支出です。
法人の支出のうちには、経費として認められるものと認められないものがあり、経費と認められる費用が多ければ多いほど法人税の対象となる「法人所得」が小さくなります。
法人所得 = 益金 – 損金
つまり、損金が大きければ大きいほど法人税が少なくなる
法人保険の保険料は、保険の種類に応じて支払った金額の一部を損金として計上することができます。
反対に、保険料を全く損金に計上できない法人保険もあるため、節税目的で加入する際には注意が必要です。
解約返戻金
解約返戻金とは、法人保険を途中で解約したときに手元に戻ってくるお金を指します。
法人保険には解約返戻金があるタイプとないタイプがあり、法人向けの生命保険などは一般的に解約返戻金があるものが多いです。
どれだけの解約返戻金が返ってくるかは、保険商品ごとの「解約返戻率」によって異なります。解約返戻率は法人保険に加入したすぐの時期は非常に低いですが、年が経過するごとに山なりに上がっていき、ピーク時をすぎると下がるものが一般的です。
ピークを過ぎてから解約すると、手元に戻る金額が小さくなるため、返戻率の山のどこで解約するかは重要なポイントです。
出口戦略
法人保険は、保険料を支払い、その一部を損金に計上することで当期の法人税負担を軽くできます。しかし、将来的に解約返戻金を受け取った際、返戻金は法人の「益金」として処理されます。
つまり、目先で法人税を減らせても、解約返戻金を受け取る期は益金が増えて課税所得が増えるため、法人税負担が増えます。これが、法人保険を活用した節税が「税の繰り延べ」と言われる仕組みです。
※保険料の一部を資産(前払保険料など)として計上している契約では、解約返戻金の受取にあわせて、その資産を取り崩す会計処理が発生します。
そこで、解約返戻金を受け取るタイミングに合わせて、退職金や設備投資などの支出を同じ期にぶつけることで、課税所得を圧縮し、税負担の増加を抑える狙いがあります。これを、節税における「出口戦略」と言います。
法人保険を活用した節税における出口戦略では、たとえば解約返戻金を経営者の退職金に充てたり、設備投資などに充てたりすることがよく見られます。
出口戦略を考える上では、解約返戻率のピーク時と出口戦略として用いる支出のタイミングを合わせる必要があるため、保険契約前から計画を立てておくことが重要です。
2019年の税制改正によって変更された法人保険の保険料取り扱い

ここまで法人保険を用いた節税の仕組みを解説してきましたが、ここからは節税における重要なポイントの1つ、「損金」についてより詳しく見ていきましょう。
法人保険のうち節税によく使われる生命保険では、保険料のうち損金として計上できる金額の割合が、法人保険がもつ解約返戻率のピーク時の数値によって細かく決められています。
これは2019年の税制改正を踏まえた取扱いで、2019年7月8日以後に契約した法人向けの定期保険・第三分野保険のうち、一定の条件に当てはまる契約では、支払保険料を損金・資産に分けて計上します。
では、保険料の取り扱いに関するルールを詳しく見ていきましょう。
ピーク時の解約返戻率に応じて損金計上の割合が異なる
| 最高解約返戻率 | 資産計上期間 | 資産計上額 | 取り崩し期間 |
|---|---|---|---|
| 50%以下 | 全額損金算入 | ||
| 50%超~70%以下 | 保険期間の当初40%の期間 | 支払保険料×40% (支払保険料×60%は損金計上) | 保険期間の75%相当経過後、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩して損金計上 |
| 70%超~85%以下 | 保険期間の当初40%の期間 | 支払保険料×60% (支払保険料×40%は損金計上) | 保険期間の75%相当経過後、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩して損金計上 |
| 85%超 | ①保険期間の開始日から最高解約返戻率となる期間等の終了日まで ②1の期間経過後において、年換算保険料に対する解約払戻金の増加割合が0.7を超える期間があれば、その期間の終わりまで | 保険期間開始日から10年経過日までは、保険料×最高解約返戻率×90%を資産計上 11年目以降は、支払保険料×最高解約返戻率×70%を資産計上 | 解約返戻金が最高金額になったあと、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩し |
| 最高解約返戻率:50%以下 | |
|---|---|
| 全額損金計上 | |
| 最高解約返戻率:50%超~70%以下 | |
| 資産計上期間 | 保険期間の当初40%の期間 |
| 資産計上額 | 支払保険料×40% (支払保険料×60%は損金計上) |
| 取り崩し期間 | 保険期間の75%相当経過後、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩して損金計上 |
| 最高解約返戻率:70%超~85%以下 | |
| 資産計上期間 | 保険期間の当初40%の期間 |
| 資産計上額 | 支払保険料×60% (支払保険料×40%は損金計上) |
| 取り崩し期間 | 保険期間の75%相当経過後、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩して損金計上 |
| 最高解約返戻率:85%超 | |
| 資産計上期間 | ①保険期間の開始日から最高解約返戻率となる期間等の終了日まで ②1の期間経過後において、年換算保険料に対する解約払戻金の増加割合が0.7を超える期間があれば、その期間の終わりまで |
| 資産計上額 | 保険期間開始日から10年経過日までは、 11年目以降は、 |
| 取り崩し期間 | 解約返戻金が最高金額になったあと、保険期間終了日までの期間で均等に取り崩し |
法人向けの生命保険では、上記の表のように、ピーク時の解約返戻率の大きさに応じて支払い保険料を損金・資産に分けて計上する仕組みになっています。
法人保険による節税の仕組みにおいては、この保険料の取扱いルールを踏まえたうえで、どれくらいの解約返戻率を持つ法人保険に加入し、出口戦略をどう設計するかを考えることが重要です。
まとめ
今回は、法人保険を活用した節税の仕組みと、法人保険の損金計上に関する現在のルールについて解説してきました。
法人保険による節税の仕組みの中では、「損金」「解約返戻金」「出口戦略」の3つが重要で、どれか一つ欠けると節税はうまくいきません。
節税の仕組みを把握した上で、出口戦略を事前に用意してから法人保険に加入することが大切です。
なお、実際に節税目的で活用しやすい保険商品などを知りたいという方は、ぜひ下記の関連ページも御覧ください。
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