生命保険の加入を検討していると、「税金面ではどのような影響があるのか?」と気になる方もいるでしょう。
本記事では、法人契約の生命保険について、税務上の取扱い(損金算入・資産計上など)や出口(解約・満期)まで含めた注意点を、簡単なシミュレーションも交えながら解説します。あわせて、個人事業主とサラリーマン(生命保険料控除)のケースも紹介します。
法人向け生命保険で法人税が減る仕組み
法人が加入する生命保険は、退職金準備や事業保障などの目的で活用されることがあり、契約内容によっては会計・税務上の取扱い(損金算入・資産計上)が生じます。
その理由として、法人の場合、被保険者が代表者であっても従業員であっても、支払った保険料の一定割合を損金に算入できる場合があるためです。
ただし、「一定割合」は保険種類・最高解約返戻率・受取人・加入形態などで異なり、支払った保険料がそのまま当期の損金になるとは限りません。契約前に、保険会社の設計書・説明資料や約款等で確認しましょう。
法人に関する税金
法人が支払う主な税金には、法人税、法人住民税、法人事業税などがあります。
これらは決算時に申告する利益の額によって金額が決まります。利益の額は、ごく簡単に表すと「売上-経費」となります。つまり、経費が増えると利益は減るため、その分税負担が軽くなる場合があります。
生命保険で支払った保険料が損金算入できる場合は、利益が減り、結果として税負担のタイミングを繰り延べられます。
それでは、ここから法人向け生命保険のメリットについて解説していきます。
法人向け生命保険のメリット・デメリット
まず、全体を通したポイントとして、保険料の損金算入方法(当期損金/期間按分/前払部分の資産計上など)は契約内容で異なる点を押さえておきましょう。
たとえば、決算が3月末日の場合でも、その日までに支払った保険料がすべて当期の損金になるとは限りません。支払方法が年払いであっても、税務上は契約内容に応じた処理が必要です。
生命保険の種類には定期保険、終身保険、養老保険、年金保険、医療保険などがあり、中でも法人で検討されることが多い保険として定期保険、養老保険、医療保険(第三分野)が挙げられます。ここでは、この3つの保険それぞれのメリットと注意点を解説します。
定期保険のメリット・デメリット
一般的な定期保険は、保険期間が満了した際に解約返戻金がない(または少ない)掛け捨てタイプの設計が多い一方で、法人向けの定期保険には、解約返戻金が増える期間が設けられている設計もあります。
法人向けの定期保険としては、長期平準定期保険や逓増定期保険などが検討されることがあります。これらは、保険期間の途中で解約返戻金が増える期間があるため、タイミングによっては一定の解約返戻金を受け取れる場合があります。
ただし、保険料の損金算入の取扱いは一律ではありません。契約内容によって、期間按分で損金算入する取扱いとなる場合や、一定の条件のもとで前払保険料等を資産計上する必要がある場合があります。
また、解約返戻金の水準は商品・加入年齢・保険期間・払込期間・解約時期等で大きく変動します。常に高い返戻率が見込めるとは限りませんので、返戻金の見込みは設計書(試算表)で確認し、短期解約時の返戻金が小さい(またはない)ケースにも注意しましょう。
解約時の会計・税務上の留意点
解約返戻金や満期保険金を受け取った際は、受取額と、保険料積立金(前払保険料等)として資産に計上してきた累計額との差額が利益(税務上は益金に含まれる)となり、課税関係が生じます。
退職金原資として活用する場合
解約返戻金等を退職給付の原資として活用する例もあります。ただし、退職金の支給には社内規程や手続、金額の妥当性などが重要となるため、出口(解約・受取)とあわせて事前に確認しましょう。
逓増定期保険は商品にもよりますが、解約返戻金が増える時期や減り始める時期が比較的短い設計もあります。そのため、数年~十数年後の退職等を想定している法人で検討されることがあります。
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養老保険のメリット・デメリット
養老保険は、死亡保障と満期保険金をあわせ持つ保険です。保険料の税務上の取扱いは、死亡保険金・満期保険金の受取人設定など契約形態により大きく異なります。
例えば、死亡保険金受取人が遺族・満期保険金受取人が法人の形では、保険料の一部を資産計上し、残額を期間按分で損金算入する取扱いとなる場合があります。一方、被保険者または遺族が受取人となる形では、給与として扱われる場合もあります。
また、従業員全員を対象にした加入形態など、要件を満たす場合に福利厚生費として扱われるケースもありますが、要件・運用実態の確認が重要です。
養老保険には満期があり、満期になったタイミングで会計・税務上の影響が出るため、加入時に満期の年をどう設定するか(出口をどうするか)も含めて検討しましょう。
ちなみに年金保険でも、従業員全員加入の前提など、契約形態によって取扱いが異なる場合があります。具体的な処理は、契約内容に基づき確認してください。
医療保険のメリット・デメリット
最後に医療保険(第三分野)です。医療保険の保険料の税務上の取扱いも契約内容で異なり、期間按分で損金算入する取扱いとなる場合があります。
解約返戻金がない(または少ない)設計の医療保険も多く、法人としては保障を目的として加入するケースが中心です。
なお、法人契約の保険を役員・従業員など個人へ名義変更する場合、税務上は「保険契約等に関する権利」の移転として評価され、給与課税等の対象となることがあります。名義変更を前提にした設計は、実行前に税務上の取扱いを確認しましょう。
次に、法人契約の生命保険について、簡単なシミュレーションを行います。
控除額をシミュレーション
それでは、これらの生命保険でどのような影響があり得るか、最も一般的な例として挙げられる長期平準定期保険を例にして簡単にシミュレーションしてみます。
条件
- 契約者:法人
- 被保険者:代表者45歳
- 受取人:法人
- 保険金額:1億円
- 年間保険料:200万円
このような契約について、仮に「当該年度に損金算入できる保険料が100万円」という前提を置くとします。
毎年黒字の法人で、実効税率が30%とすると、当該年度の税負担は「100万円×30%=30万円」分だけ軽くなる計算になります。
代表者の退職を70歳とする場合、35年間継続すると「30万円×35年=1050万円」となりますが、これはあくまで単純化した試算です。
このタイミングで解約することにより、貯まっている解約返戻金を退職金の原資として充当する例もあります。ただし、解約時には益金計上が生じ得る点や、退職金の規程・手続等も含めて確認が必要です。
次に、個人事業主と生命保険料控除について見ていきましょう。
個人事業主(と従業員)の税務上の取扱い
個人事業主も、生命保険の加入形態によっては必要経費として扱われる場合があります。ただし、法人と比べると対象範囲は限定的です。
個人事業主が検討される例としては、法人契約でも触れた「養老保険」があります。従業員がいることが前提ですが、従業員全員に対して養老保険に加入し、要件を満たせば、保険料の一部が福利厚生費として必要経費となる場合があります。
ここで注意点として、生命保険の加入形態を以下のようにする必要があるケースがあります。
- 保険契約者:事業主
- 被保険者:従業員全員
- 死亡保険金受取人:従業員の遺族
満期金の受取人は保険契約者である事業主でも構いませんが、死亡保険金受取人は遺族とすることが求められる場合があります。
また、事業主本人の生命保険は必要経費としては認められません。
家族従業員や青色専従者も同様ですが、他の従業員と同様の条件で加入している場合は必要経費として認められるケースもあります。取扱いは契約内容や実態によって判断されるため、事前に確認することをおすすめします。
次に、サラリーマンと生命保険料控除について解説します。
サラリーマンの税務上の取扱い(生命保険料控除)
サラリーマンの場合、年末調整や確定申告で生命保険料控除を適用できることがあります。生命保険に加入している場合、一定額が所得金額から差し引ける仕組みです。
一般生命保険料控除、介護医療生命保険料控除、個人年金保険料の3種類があります。
それぞれ3種類の違いは、以下のようになっています。
- 一般生命保険料控除 → 死亡保険の保険料
- 介護医療保険料控除 → 医療保険の保険料
- 個人年金保険料控除 → 個人年金の保険料
それぞれの年間保険料に応じて最大4万円ずつ、合計12万円までが所得から控除できます。
生命保険料控除による影響は年収や家族構成によって異なり、数千円~数万円程度、税負担が軽くなる場合があります。
その年に、どの種類の生命保険にいくら支払ったかは、毎年10月頃に届く控除証明書に詳しい金額が記載されているので確認してみましょう。
なお、生命保険料控除は個人事業主も対象となるため、サラリーマンに限らず、所得控除を通じて税負担が軽くなる場合があります。
目的に合った生命保険の選び方
法人契約、個人事業主、サラリーマン別に、生命保険と税務上の取扱いについて解説してきました。
生命保険は保障を目的とするものですが、契約内容によっては会計・税務上の取扱いが生じ、結果として税負担のタイミングが変わる場合があります。
法人化(法人成り)を検討している場合、保険の取扱いを含めて検討の幅が広がることもありますが、損金算入や返戻金だけを目的に判断すると、出口で想定外の課税やキャッシュフロー悪化につながることがあります。
保険の目的(事業保障・退職金準備・福利厚生など)と出口(解約・満期・受取)まで含めて、必要に応じて保険会社・代理店や税理士などに相談し、前提条件に合うか確認したうえで検討しましょう。
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