2019年6月、国税庁より法人保険の定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いについて見直しが行われ、税制改正のよる通達で法人保険に関する新たなルール案が公表されました。
法人保険の取り扱いは税制改正後の新しいルールによる運営され、当記事に関しても新ルールに基づいた解説をしております。
税制改正後の法人保険に関する新ルールについての詳細は、国税庁・金融庁・各保険会社が公表する内容を合わせてご参照ください。
法人保険に加入する際、経営者の皆さんには様々な狙いがあるかと思います。
ほとんどの経営者の方に共通している目的は、「法人保険で自社に適した保障を得ながら、節税対策もしたい」という点ではないでしょうか。
近年は法人保険を活用した節税は厳しく規制されており、2019年には国税庁によって新税制が施行され、法人保険を使った節税対策が難しくなりました。
しかし、実際のところ、法人保険を活用した節税対策が全くできなくなったわけではありません。経理処理の方法が複雑なりましたが、法人保険の種類に応じて保険料の一部を損金計上し、節税対策を行うことはまだ十分可能です。
この記事では、経営者の方に向け、自社に適した保障を得ながら節税対策もできる保険商品を紹介します。
なお、専門家に具体的なアドバイスをもらいたい場合は、多数の保険会社を取り扱う保険代理店に相談するのがおすすめです。下記リンクから、法人保険専門の保険代理店「R&C株式会社」に相談できるので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
当記事の監修者:金子 賢司
- CFP
- 住宅ローンアドバイザー
- 生命保険協会認定FP(TLC)
- 損保プランナー
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。
以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。
趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・情報発信しています。
最適な法人保険を比較・選択する際のポイント
法人保険に加入すれば、保障と税制上のメリットを得ることができます。しかし、ただ法人税の軽減だけを考えた法人保険選びはリスクがあるというのをご存知でしょうか。
実は、税金対策のみを目的とした法人保険の加入は、決算時に税務署から否認される可能性があるのです。
もし否認されてしまうと、せっかく払ったお金は無駄。それどころか、追加で税金を払わなければいけないことにもなりかねません。
このような事態を避けるには、節税を視野にいれながら、会社が求める保障を備えた法人保険を比較して検討し、本当に役立つと言える法人保険に加入することが重要になります。
そのためには、下記の2点を押さえる必要があります。
- 法人保険による税金の軽減の仕組みを把握する
- 法人保険の節税面以外のメリットを知り、法人保険を活用する目的を考える
保険の仕組みやメリットを理解する
法人税を軽減させるには、法人保険に加入し保険料を経費に計上すれば良い。これは間違ってはいませんが、それだけを考えていると逆に無駄なお金を支払うことにもなりかねません。
まずは、法人保険を活用した税金対策の仕組みを簡単に説明していきます。
法人保険で節税効果が生まれる仕組み
法人保険の節税におけるキーワードは、「損金計上」、「解約返戻金」、「出口戦略」の3つです。
損金計上
損金とは、法人税を計算する際に、収益(益金)から差し引くことができる費用を指します。法人税は企業の収益に対して課せられる税金なので、損金が大きければ大きいほど、法人税も減ります。
法人保険の保険料は、支払ったうちの一部を損金として計上が可能(損金にならない部分は資産として計上)。そのため、法人税をへらす(=節税)の手段として法人保険が活用されるのです。
なお、支払った保険料のうちどれだけの割合が損金として計上できるかは、法人保険の解約返戻率の大きさに応じて異なります。
解約返戻金
先ほど、法人保険の保険料を損金として計上することで、法人税を減らすことができると説明しました。
しかし、法人保険に加入するということは、法人税が減る一方で自社のキャッシュも減ることを意味します。
法人保険には死亡保障をはじめとした万が一の保障がついているため、決して払い損をしているわけではありませんが、結局会社のお金が減るなら法人税を払うのとあまり変わらないのでは?と思う方もいるでしょう。
そこでポイントになるのが、「解約返戻金」です。
法人向けの生命保険では、途中で解約することで支払った保険料の一部が「解約返戻金」として戻ってくるものがあります。
どれくらいの解約返戻金が戻ってくるかは加入する法人保険によって異なりますが、解約返戻率が高いものであれば支払った保険料の85%ほどが戻ってくることも。
そのため、法人保険はただキャッシュを減らして法人税も減らしていくというのではなく、会社外に資産を貯めながら目先の法人税を減らすことができると言えるのです。
法人保険を用いた節税対策は、
- 支払った保険料の一部を損金に計上することで目先の法人税を減らす
- 将来解約返戻金を受け取り、支払った保険料を取り戻す
という2段構えになっています。
解約返戻率のピーク
法人保険の解約返戻金を考える際には、「解約返戻率」をよくチェックする必要があります。
解約返戻率とは、支払った保険料に対してどれだけの割合が解約時に戻ってくるかを示した数値です。返戻率が高いほど、もどってくる割合は大きくなります。
解約返戻率の最大の注意点は、法人保険に契約した当初は返戻率が比較的低い場合が多い点。法人保険の解約返戻率は、一般的に契約後から少しずつ上昇していき、返戻率が最大になる”ピーク”を迎えると一気に下がっていきます。
ピーク期間を迎えるまでの長さや、ピーク期間そのものがどれだけ続くかは、法人保険の種類や商品によって異なります。
契約してから10年後にピークを迎えるものもあれば、20年後、30年後がピークというものも。また、ピーク期間が1年だけ続くものもあれば、数年間ずっと高い解約返戻率を保っている法人保険もあります。
ピーク期間を過ぎると解約返戻率は一気に下がっていき、最終的にはゼロになります。そのため、解約返戻金の受け取りは返戻率のピーク時期を逃さないようにするのが鉄則です。
出口戦略
ここまで解約返戻金について解説してきましたが、実は解約返戻金は受け取った際に雑収入として利益に計上されます。そのため、ただ返戻金を受け取っただけではかえって法人税が増えてしまうのです。
それを避けるために重要なのが、「出口戦略」です。
出口戦略とは、受け取った解約返戻金を支出にあてる使いみちを考えることを指します。
たとえば、3,000万円の解約返戻金を受け取った年度に、役員の退職金として3,000万円を支出する。そうすれば、返戻金を受け取った際の利益分を相殺することができ、法人税は増えません。
このような出口戦略を練った上で法人保険を契約することで、企業にとって損のない節税ができるのです。
税金対策の効果の目安、実質返戻率とは?
すでに法人保険についてパンフレット資料などを請求したことがある方は、「実質返戻率」という言葉を目にしたことがあるでしょう。
解約返戻率とは違うこの「実質返戻率」は、何を示しているのでしょうか。
実質返戻率
「実質返戻率」とは、保険料の損金計上によって得られる法人税の減税額を加味し、企業が「実質的に」負担した保険料に対してどれだけの解約返戻金が戻ってくるかを示した数字です。
大雑把にまとめると、実質返戻率はどれくらい節税効果があるのかを示す指標で、値が100%を超えると節税効果があるということができます。
なお、実質返戻率に対し、法人保険を解約した時に単純にいくらの解約金が手元に戻ってくるのかを示した値は、「単純返戻率(=解約返戻率)」と呼ばれます。実質返戻率と単純返戻率には乖離があり、単純返戻率が高いからと言って必ずしも実質返戻率も高くなるとは限りません。
保険会社のパンフレットによっては、「単純返戻率」と「実質返戻率」が記載されており、保険商品を選ぶ際の一つの基準となっています。
ただし、この実質返戻率を節税の基準とするには批判的な意見も複数あります。たとえば、法人税率は毎年変わる場合があるため、損金計上したうちどれほどが法人税減少に効果があったのか変わってしまう可能性があります。
とは言え、分かりやすさという点では他に代わる指標もないため、現状は実質返戻率で法人保険を比較・評価するというのは、間違っているとは言えません。
法人保険のメリットとは?押さえておきたい4つのポイント
節税効果を期待して法人保険に加入した場合、解約返戻金をどのように使うか「出口戦略」を描いておくことが重要です。
また、ただ節税効果のみを求めて法人保険に加入すると、決算時に税務署に否認されるリスクもあります。
そのため、法人保険に加入する際には、節税面以外でも自分の会社にとって有益な使いみちがあるといえる保険を選ぶことが重要です。
ここでは、経営者の方に役立つ法人保険のメリットと使いみちをご紹介します。
退職金準備
多くの経営者の方が法人保険を活用する目的として挙げるのが、退職金の貯蓄です。法人保険を活用すると、役員や社長の高額な退職金を計画的に準備することができます。
法人保険の中には貯蓄性に優れた保険商品も多く、解約返戻率のピークを迎える早さも商品によって様々です。
5年~10年後の退職金を貯蓄するのか、20年~30年と比較的長期でコツコツ貯めていくのか、目的に合わせて法人保険の種類を選びわけましょう。
事業承継
法人保険は、事業承継の目的でも利用されることが多く見られます。
特に中小企業の場合、経営者の事業承継は難しい問題です。自社株やその他の資産の相続の際に相続税・贈与税が発生するため、金銭的な負担が大きいのです。
しかし、法人保険を活用することで、相続時に自社株の評価額を減らし税金を下げることが可能。また、法人保険の解約返戻金もしくは死亡保険金を相続税の納税にあてることもできます。
事業保障
法人保険は、不測の事態が発生した際の事業保障として大いに役立ちます。経営者が万が一死亡した場合の当面の運転資金や、短期借入金の返済資金を準備することができます。
特に、中小企業や家族経営のオーナー企業にとって、経営者である社長の存在は非常に大きいもの。社長の営業によって取引先を獲得している場合は、経営者がいなくなった際にその後の事業が立ち行かなくなってしまうこともあるでしょう。
そのようなことを防ぐために経営者に死亡保障や医療保障などをかけ、万が一経営者が不在となった際に企業を存続させるための資金として活用することが可能です。
福利厚生
法人保険は、従業員の福利厚生としての役割も果たします。
特に多いのは、従業員の退職金を法人保険で積み立てる、または医療保険・がん保険に加入して病気時のお見舞金を用意する、といったケースです。
福利厚生は、社員のモチベーションアップや定着率の向上、ひいては企業の業績アップにもつながるものです。ある程度社員が増えてきたときには、福利厚生として法人保険の導入を検討してみても損はないでしょう。
以上4つが、法人保険の主なメリットです。
これらのメリットを理解した上で、企業の現状やこれからの事業計画に合わせて必要な保障を備えた法人保険を比較しながら選びましょう。
法人保険のデメリット
法人保険にはメリットが多くありますが、同時にデメリットがあることも把握しておく必要があります。
法人保険の主なデメリットは、キャッシュフロー悪化の可能性があること。
当然のことではありますが、法人保険に加入をすれば、毎年あるいは毎月保険料の支出が発生します。保険商品によって金額はまちまちですが、比較的高いものであれば保険料は月額で100万ほどになるものもあります。
将来解約返戻金として返ってくるとは言え、事前にどの程度の保険料であれば毎年問題なく支払うことができるか、考えておく必要があります。
法人保険の種類や商品を比較
法人保険に加入する目的を決めたら、あとはその目的にあった法人保険を比較して選ぶだけ。
まずは、法人保険にはどんな種類があるのか、それぞれどんな特徴があるのかを比較して把握していきましょう。
法人保険は6種類ある
法人保険は、主に下記の6つの種類に分けられます。
- 長期平準定期保険
- 逓増定期保険
- 養老保険
- 医療保険
- がん保険
- 終身保険
長期平準定期保険(長期保険)
長期平準定期保険は「長期保険」と呼ばれることもあり、保険料が掛け捨てとなる定期保険の中でも比較的保障期間が長い法人保険です。
保険期間を99歳満期や100歳満期などに設定できるなど、終身保険とほとんど変わらない保険期間ながら、終身保険よりも保険料を抑えることができます。
主に法人の経営者や役員が被保険者となり、退職金の積み立てや事業保障に用いられることが多いです。
- 解約返戻金があり、返戻率は70%~85%と貯蓄性の高いものが多い
- 返戻率のピークは10年後~30年後。ピーク時期は比較的長く続く商品もある
- 高額な保険金額を設定でき、法人の代表・役員向けの退職金準備として使われることが多い
- 保険の契約条件や解約時期によって異なるが、解約時までに損金計上できる保険料の割合は合計40%~60%ほど
長期平準定期保険の解約返戻率のピークは、保険商品によって異なりますが10年後~30年後が比較的多いです。ピーク時期は5年~10年ほど続くため、解約するタイミングに余裕をもつことができます。
そのため、社長や役員の後任がなかなか決まらず勇退時期が多少後ろにずれこんでも、長期平準定期保険なら対応しやすいでしょう。
また、気になる節税面ですが、長期平準定期保険は解約するまでに支払う合計保険料のうち、40%~60%ほどを損金として計上することができます。
いっぽう注意点としては、長期間保険料を支払い続けることが前提になるため、安定したキャッシュフローが必要になります。
逓増定期保険
逓増定期保険は、契約から年を経るごとに死亡保険金額が増えていく法人保険です。比較的高額な死亡保険金を用意することができるため、事業保障や事業承継の資金準備に活用されます。
また、解約返戻率のピークが比較的早く来るため、5年~10年程度の短期間での退職金準備にも向いています。
- 死亡保険金が徐々に増えていき、最終的に高額な保険金額になる
- 解約返戻金のピークが早く短い場合がある
- 5年~10年先の退職金準備、事業保障や事業承継準備に利用される場合がある
- 保険の契約時の年齢・保険期間によって異なるが、損金に算入できる割合は40%~60%
商品によっては解約返戻率のピーク時期が早く短いため、ピークを逃さないように出口戦略を立てることがポイントになります。
また、逓増定期保険は保険金額が増えていく分、保険料も比較的高額になってしまう面があるので、キャッシュフローには十分注意が必要です。
養老保険
養老保険は、保険期間中に被保険者が死亡した場合に死亡保険金が支給され、生存したまま保険期間満期を迎えた場合には、満期保険金が支給される法人保険です。
死亡時・生存時どちらも保険金が支給されるので、従業員の死亡退職金(弔慰金)・生存退職金の準備に向いています。
- 死亡時・生存時の両ケースで保険金を受け取れるため、貯蓄性に優れている。
- 従業員の福利厚生として、退職金準備に活用されることが多い。
気になる保険料の損金計上割合については、従業員の福利厚生として加入した場合には保険料の半分を損金とすることが可能。
なお、福利厚生として加入する場合には、契約形態は下記のとおりになります。
契約者 | 被保険者 | 死亡保険金 受取人 |
満期保険金 受取人 |
---|---|---|---|
法人 | 役員・ 従業員 (原則全員加入) |
被保険者の 遺族 |
法人 |
また、福利厚生として認められるには、ただ養老保険に加入するだけでなく社内で福利厚生規定(退職金規定)を作成するなどの作業も必要となります。
もし養老保険が従業員の福利厚生と認められなかったり、保険金の受取人を法人にした場合には保険料の全額を資産計上することになり、節税メリットは期待できないため注意しましょう。
医療保険
法人保険における医療保険は、個人向けの医療保険と比較しても、保障内容や契約期間などについてはほとんど変わりません。
契約で定められる病気の状態になった時に、入院給付金や治療費用が支給されます。
- 経営陣が病気で倒れた際の事業保障や、従業員の福利厚生としても有用
- 経営者や役員・従業員に対する退職金代わりの“保険現物支給”という活用法もある
- 保険料は基本的に掛け捨てで、貯蓄性があるものはほとんどない
- 定期保険タイプと終身保険タイプで保険料の損金計上ルールが異なるが、いずれも保険料の一部を損金計上可能
退職金代わりの“保険の現物支給”ですが、なかなか聞き慣れない言葉ですよね。
簡単に説明すると、会社が保険契約者となって保険料の支払いを全て終わらせた後、保険契約者の名義を個人に変更することで、退職する個人に医療保障を譲渡する方法です。
個人は保険料を払うことなく医療保険を手に入れることができ、会社は保険料の一部を損金計上することで節税メリットを得ることが可能。
これは「名義変更プラン」とも呼ばれる医療保険の活用法で、経営者や役員個人が自分で医療保険に加入するよりも、会社・個人ともに税制上のメリットを得られるお得な活用法といえます。
がん保険
法人保険のがん保険も、個人向け保険とイメージは大きく変わりませんが、保障内容が比較的手厚く、終身タイプで貯蓄性のある商品があります。
保険商品によって異なりますが、がんと診断された際や、がんのため入院することになった場合に給付金が支給されます。
- 商品によっては解約返戻金があるものもあるが、その場合は保険料が高額に
- 従業員の福利厚生や、社長・役員・従業員の退職金代わりの保険譲渡の目的で活用される
- 定期保険タイプと終身保険タイプで保険料の損金計上ルールが異なるが、いずれも保険料の一部を損金計上可能
終身保険
終身保険は、保障が一生涯続く法人保険です。貯蓄性が高く、被保険者が亡くなるまで保障が続くので、退職金の準備や事業承継の資金準備に活用されます。
- 解約返戻金がある。返戻率は高く、ピーク時には80%後半になることも。
- 退職金準備、事業承継のための資金形成に向いている。
- 保険料の大部分を資産計上。税制上のメリットは期待できない。
終身保険は、保険料の大部分を資産計上する必要があるため、税制上のメリットはほとんど期待せきません。
退職金準備や事業承継のために長期的に資産形成をしたい場合に加入を検討するのが良いでしょう。
以上が、法人保険6種類の説明でした。
ここまで解説した法人保険の種類を、一覧表にまとめて比較してみましょう。
目的別おすすめの法人向け生命保険を比較
終身 保険 |
養老 保険 |
逓増 定期 保険 |
長期 平準 定期 保険 |
医療 保険 |
がん 保険 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
節税 対策 |
✕ | ○ | ○ | ○ | △ | △ |
事業 保障 |
△ | ✕ | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
退職金 準備 |
△ | ◎ | ○ | ◎ | ✕ | ✕ |
福利 厚生 |
✕ | ◎ | ✕ | △ | ○ | ○ |
事業 承継 |
○ | ✕ | ◎ | ○ | ✕ | ✕ |
◎:非常に向いている ○:向いている △:あまり向いていない ✕:向いていない
◎:非常に向いている ○:向いている
△:あまり向いていない ✕:向いていない
法人保険比較表を見ていただくとわかる通り、税制上の効果が期待できる法人保険の種類は養老保険・逓増定期保険・長期平準定期保険になります。
ただし、逓増定期保険と長期逓増定期保険は保険商品の解約返戻率の高さによって損金に計上できる割合が異なります。そのため、法人保険に契約する際には経理処理の方法をしっかりと確認しましょう。
また、節税目的だけで法人保険に加入をするのは良くありません。節税面以外の目的も鑑みた上で、きちんと会社にとって必要と言える法人保険を比較して加入することが重要です。
人気保険商品を比較
ここでは、法人保険の種類ごとに人気の保険商品について紹介・比較していきます。
比較紹介1:長期平準定期保険
長期平準定期保険の特徴を改めてまとめると、以下のとおりです。
- 貯蓄性が高く、解約返戻率は70%~85%ほど
- 解約返戻率のピークは契約後10年後~30年後のケースが多い
- 長期の退職金準備、事業保障、事業承継準備に適している
- 解約までに損金計上できる保険料の割合は合計40%~60%ほど
人気の商品は、以下の2つが挙げられます。
スーパーフェニックス
長期平準定期保険
- 長期平準定期保険の全期払いタイプ
- 貯蓄性が高く、解約返戻率が85%~87%ほどになることも
日本生命「スーパーフェニックス」は、高い貯蓄性が魅力の法人保険です。
保険加入時の条件によって異なりますが、解約返戻率が最大85%~87%ほどになるため、社長・役員の退職金を準備するのに最適です。
クオリティ
長期平準定期保険
- 保険金額は50万円~最大9億円までと幅広く設定可能
- 保険期間は最短5年から最長100歳まで。ニーズに合わせた活用ができる
エヌエヌ生命「定期保険Quality」は、保険期間を最短5年から、最長100歳までと幅広く設定できる法人保険です。
保険金額も50万円から9億円まで設定することが可能で、経営者の方のニーズに柔軟に対応できる点が人気。
また定期保険Qualityは、保険期間満了時に違う保険商品に無審査で新規加入が可能。効率的に保険を見直すことができます。
比較紹介2:逓増定期保険
逓増定期保険の特徴を改めてまとめると、以下のとおりです。
- 貯蓄性が高く、解約返戻率は70%~85%ほど
- 解約返戻率のピークは契約後5年後~10年後と比較的早い時期にくる
- 短期間での退職金準備、事業保障に適している
- 解約までに損金計上できる保険料の割合は合計40%~60%ほど
人気の商品は、以下の2つが挙げられます。
Prosperity 新逓増定期保険
逓増定期保険
- 契約から5年経過後に保険金が増加、
最大で当初の保険金額の5倍に - 当初4年間は解約返戻金の水準をおさえ、保険料が低めに
マニュライフ生命「Prosperity 新逓増定期保険」は、契約当初5年が経過してから保険金額が複利で増加していき、最終的に当初の5倍の保険金額となる法人保険です。
保険金額が大きいため保険料が比較的高額になりがちな逓増定期保険ですが、マニュライフ生命の新逓増定期保険では保険期間の当初4年間を「低解約期間」として解約返戻率を低く抑え、その分を保険料に反映させています。
定期保険/
低解約返戻金型逓増定期特約Ⅱ
逓増定期保険
- 主契約の定期保険と、特約による逓増定期保険を組み合わせた保険
- 低解約返戻金期間(前期期間)の長さを6パターンから選択可能
エヌエヌ生命「定期保険/低解約返戻金型逓増定期特約Ⅱ」は、主契約となる定期保険と、特約となる逓増定期保険を組み合わせた法人保険です。
主契約の定期保険の部分は保険金額50万~9億円を設定可能。特約となる逓増定期部分は、50万~1億4,000万まで設定可能で、初年度保険金額の5倍を限度に最大7億まで増加します。
主契約と特約をあわせて、合計9億9,990万円を限度とする高額な保険金を用意できます。
さらに、解約返戻金を低く抑えた「低解約返戻期間」は6パターンから選ぶことができるため、経営者のニーズにあわせた保険プランを設計することができます。
比較紹介3:養老保険
養老保険の特徴を改めてまとめると、以下のとおりです。
- 被保険者が死亡した場合には死亡保険金、生存したまま満期を迎えると満期保険金が支給される
- 従業員の退職金準備に適している
- 従業員の福利厚生として加入すれば、保険料の半分を損金計上できる
人気の商品は、以下の2つが挙げられます。
福利厚生プラン
養老保険
- 保険期間は3年~99年の間で1年きざみに設定可能
- 保険期間満期を迎えたら、告知や審査をすることなく更新できる
FWD富士生命「福利厚生プラン」は、保険期間を最短3年~最長99歳までと柔軟に設定できる養老保険です。
各社員の定年の時期に合わせて保険期間を設定できるだけでなく、保険期間の満期がきたら更新することもできるため、企業の雇用状況に合わせて調節できる使い勝手の良い法人保険です。
特殊養老保険
養老保険
- 他社と比較して貯蓄性に優れている
- 契約途中で保険期間を延長することも可能
ソニー生命の「特殊養老保険」は、貯蓄性の高さと保険期間を比較的柔軟に設定できる点で人気を集めています。
契約当初の死亡・高度障害保険金額が、保険期間の後半になると当初の2倍になるまで毎年増加。そのため、受け取れる死亡保険金・生存保険金の金額が大きくなります。
また、契約途中で保険期間を延長することも可能なので、企業で退職年齢の引き上げを行うような場合にも対応できます。
比較紹介4:医療保険
医療保険の特徴を改めてまとめると、以下のとおりです。
- 経営陣が病気で倒れた際の事業保障や、従業員の福利厚生としても有用
- 経営者や役員・従業員に対する退職金代わりの“保険現物支給”という活用法もある
- 保険料は基本的に掛け捨てで、貯蓄性があるものはほとんどない
- 定期保険タイプと終身保険タイプで保険料の損金計上ルールが異なるが、いずれも保険料の一部を損金計上可能
人気の商品は、以下の2つが挙げられます。
健康のお守り
医療保険(終身)
- 特約が充実しており、幅広いリスクをカバーできる
- 特約を付帯させることで、短期の入院でも手厚い保障を受けられる
SOMPOひまわり生命の「健康のお守り」は、手術給付金・入院給付金が基本保障となった終身タイプの医療保険。病気で入院した場合のリスクに備えることができます。
他の保険と比較して特約が充実している点が特徴で、短期の入院でも入院給付金に上乗せして受け取ることができる入院一時金特約、三大疾病やがん・介護状態になった場合に一時金がでる「医療用新三大疾病一時金特約」など、幅広いリスクをカバーすることができます。
ちゃんと応える医療保険EVER
医療保険(終身)
- 通院ありプランを選択すると、入院前の通院も保障の対象に
- 入院期間が5日未満でも、一律5日分の入院給付金が支給
アフラック「ちゃんと応える医療保険EVER」は、日帰り入院や通院にも手厚く保障がされる医療保険。入院期間が5日未満の場合でも一律5日分の入院給付金が支払われます。
また、通院ありプランを選べば、入院給付金が支払われる原因となった病気やケガの治療を目的として通院した場合、入院前の60日以内、および退院後120日以内の通院が最高30日間保障されます。
比較紹介5:がん保険
がん保険の特徴を改めてまとめると、以下のとおりです。
- 商品によっては解約返戻金があるものもあるが、その場合は保険料が比較的高額に
- 従業員の福利厚生や、社長・役員・従業員の退職金代わりの保険譲渡の目的で活用される
- 定期保険タイプと終身保険タイプで保険料の損金計上ルールが異なるが、いずれも保険料の一部を損金計上可能
人気の商品は、FWD富士生命の「新がんベスト・ゴールドα」です。
新がんベスト・ゴールドα
がん保険
- がんと診断された際に、最高300万円の一時金が支給
- がんの診断が確定した後は、保険料の支払いが免除される
FWD富士生命の「新がんベスト・ゴールドα」は、がん保険の中でも人気が高い商品です。
がんと診断された際に最高300万円の一時金が支給されますが、診断一時金の回数は無制限(2回目以降の支払いは要件があります)。
また、特約を付帯すれば再発予防を目的とする抗がん剤・ホルモン剤の投与や処方を受けた場合も保障してもらえるなど、がん治療に対して手厚いサポートを受けられます。
以上、人気の高い法人保険を種類ごとに比較してご紹介しました。
今回こちらでご紹介した法人保険以外にも、優れた保険商品は多く販売されているため、様々な保険商品を比較して選んでみて下さい。
どんな目的で法人保険に入るか、どんな種類の法人保険に加入するかさえはっきりしていれば、保険会社や保険代理店に問い合わせをして、いくつか保険商品をピックアップしてもらうことも可能です。
もし法人保険に関する問い合わせをするなら、保険代理店を選ぶことをおすすめします。というのも、保険会社と比較すると、保険代理店の方が提案できる法人保険の種類が多いため。
最後に、その詳しい理由を解説していきます。
STEP3. 保険代理店に無料相談する
法人保険加入を検討する際には、会社の経営状況や加入する目的を踏まえた上で、保険商品を比較して最適なものを選ぶ必要があります。
保険商品を比較する際には、保険会社や保険代理店へ問い合わせをすれば無料で資料を送ってもらえたり、法人保険の提案をしてもらうことが可能です。
ここでポイントになるのが、保険会社に問い合わせるよりも、保険代理店へ問い合わせをした方が、幅広い保険商品を提案してもらえる可能性が比較的高いという点です。
保険会社と保険代理店の違いを比較
通常、保険会社に適した保険プランの提案を依頼した場合には、その保険会社が販売している商品しか提案してもらうことはできません。
つまり、経営者にとって選択肢が限られてしまうため、本当に最適な法人保険を選ぶことは難しいのです。
一方、保険代理店であれば、代理店が契約している複数の保険会社の法人保険すべての中から比較して提案してもらうことが可能。あらゆる選択肢を含めて、もっとも良い法人保険を選ぶことができます。
さらに近年は、規制緩和の影響で保険業界の様相が大きく変わっています。
以前は特定の保険会社や専属保険代理店による訪問営業が中心でした。しかし、1996年の保険の自由化を皮切りに、現在では複数の保険会社を取り扱う保険代理店のニーズが高まり、代理店の数が非常に増えています。
保険料はどちらも変わらない!
法人保険を取り扱う保険会社と保険代理店を比較したとき、「保険代理店の方が便利な分、保険料に手数料などが上乗せさせて余計なお金がかかるのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、実際は保険会社も保険代理店も支払う保険料は変わりません。
同じお金を払うのであれば、十分に比較した上で保険商品を選ぶ方が良いのではないでしょうか。
法人保険を取り扱う保険代理店は数多くありますが、その中でもなるべく多くの保険会社と提携している代理店を選ぶことをおすすめします。
法人保険比較ランキングまとめ
今回は、法人保険の種類やおすすめの保険商品を比較して紹介しました。
法人保険は、節税目的だけで加入をしても、決算時に税務署から否認されるリスクがあります。また、せっかくお金を払って加入するのであれば、自社にとって最大限メリットのある活用をするのがベストです。
そのためにも、法人保険に加入する目的を十分に考えた上で保険商品を比較し、最適なものを選びましょう。
保険商品の比較には、保険代理店を活用するのが最も手間のかからない簡単な方法です。
当サイト「法人保険比較.net」では、法人保険を扱う保険代理店と提携して、無料の保険相談サービスを行っています。
30社以上の生命保険会社・損害保険会社と契約している代理店の法人保険専門スタッフが、皆様の目的に応じた法人保険を比較してご提案。また、決算時の節税のご相談なども受け付けておりますので、お悩みの方はぜひお気軽にご利用ください。
保険のプロの無料相談をご活用下さい。
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