法人向けの保険に大事なのは加入前の計画性

法人保険の基本情報

法人保険7つの出口対策~メリットとデメリット~

今期は黒字になる見込みで、決算に備えて節税をできないか?ということで法人保険を検討されていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。

また、法人保険に加入をしたものの出口対策が決まってない方や、保険の担当者が退職してしまいいつ解約したら良いのかわからないという方もいらっしゃると思います。

法人保険は利益を圧縮することで、法人税を抑えることができる可能性があります。 今期利益がでたとして、何も対策を取らなければ多額の法人税を納めなければなりません。

せっかく利益が出ているのであれば、少しでも今後の会社の発展につながるようにお金を使いたいと考えることは経営者であれば当たり前ですよね。

節税対策として法人保険に加入することは有効な手段として人気がありますが、単に法人保険に加入するだけでは最大限の効果を得ることができません。

この記事では、法人保険を検討する際に考えるべき出口対策について詳しくお伝えしていきます。加入した後に後悔しないためにもぜひ参考にしてください。


法人保険の出口対策とは何か?

法人保険に加入して最大限の効果を得るために、特に考えておかないといけないことがあります。

それは「出口対策」です。

法人保険に加入すれば、保険料の一部または全部を損金に算入することができるので、利益を圧縮することや、将来必要になる資金を貯めることができます。

しかし、最終的に戻ってくる解約返戻金は雑収入として益金に算入されるので、何も対策をしなければ法人税の課税対象になってしまいます。

つまり、利益を繰り延べしているだけなので、最終的に戻ってくる解約返戻金は法人税の課税の対象になります。

法人保険における出口対策とは、益金と損金を相殺させ、できる限り法人税の課税を抑えることです。具体的には解約返戻金(益金)が発生するタイミングに大きな損金を計上できるような経営的イベントを用意しておきます。

大きな損金を作り出す方法との一つとして「退職金」が代表的です。

では、退職金以外にどのような出口対策があるのでしょうか。次で主要な7つの出口対策をご紹介していきます。


7つの法人保険の出口対策

法人保険に加入する上で、検討したい出口対策を7つ紹介します。

それぞれの概要とメリット・デメリットを確認し、自分の考えにあった出口対策を検討してみましょう。

その上で保険のプロに相談してみるとより踏み入った話ができ、納得感をもって法人保険を選べるでしょう。


解約返戻金で再度法人保険に入り直す

利益が十分出ていて、その利益を再度損金に算入したいという会社に適した選択肢です。

保障が継続されることと、解約返戻金のピークを先に延ばせることがメリットです。

ただし、利益を繰り延べしていることには変わりないため、将来的には再度出口対策を検討しないといけないので、これからご紹介する出口対策を念頭に置きながら再加入を検討してみましょう。 


経営者への退職金に充てる

法人保険の最も人気がある出口対策が経営者の退職金にすることです。退職金を経営者に支払う方法は2つあります。


1.法人で解約返戻金と受け取り、個人に移す

1つ目は法人保険を解約して、会社で解約返戻金を受け取り、解約返戻金を退職金として経営者に支払う方法です。

解約返戻金を会社が受け取るだけであれば、益金として算入され法人税の課税対象になってしまいますので、法人保険の出口対策として、益金を相殺するように退職金で損金を計上すれば法人税の負担を抑えることができます。 


2.名義変更をして現物支給する

2つ目は、保険契約の名義を変えて現物支給する方法です。たとえば、解約返戻金の金額が5,000万円の保険契約の名義を経営者個人に変えて、5,000万円の退職金を支払ったことにします。

法人の損益や、個人が退職金を受け取る際の税金の計算は一つ目の方法と変わりませんが、保険を解約していないので保障が継続しているメリットがあります。

現物支給をした場合、名義変更をした後に「払い済み」の保険に切り替えて、一生涯の保障にするという選択もできます。 「払い済み」の保険 一生涯の保障に切り替えることで、経営者に万が一のことが起きてしまった場合は、遺族に死亡保障としてお金を残すこともできますし、毎年部分的に解約していき定期的な収入を得る手段にすることもできます。

退職した後、すぐにまとまったお金を手にする必要がない方は検討すべき方法です。

ただし、法人保険の名義変更に関しては税務面で「租税回避」として判断される可能性がありますので、法人保険専門のファイナンシャルプランナーと相談しながら考えるようにしましょう。 


退職金は損金算入できる金額が大きい

退職金は損金に算入できるという点で法人保険の出口対策としてよく利用される手段ですが、さらに損金に算入できる金額が比較的大きくできるという点で優れています。

覚えておきたいことは、損金に算入できる退職金の額は「同じ業種・同じぐらいの規模の会社と同じぐらいの退職金まで」ということです。あまりにも高額な金額の部分は損金として算入できないので気をつける必要があります。

「同じ業種・同じぐらいの規模の会社と同じぐらいの退職金」を調べることは難しいので、損金に算入できる適正な退職金額を算出するために「功績倍率法」がよく利用されます。 


役員退職金額=最終報酬月額×役員としての在任年数×功績倍率


「功績倍率」というのは、役職によって異なりますが、経営者の場合は「3.0」が妥当とされています。 

具体的には、経営者で、最終報酬月額が100万円、役員としての在任年数が30年であれば、損金算入できる退職金額は、以下の通りとなります。 

100万(最終報酬月額)×30年(役員としての在任年数)×3.0(功績倍率)=9,000万円ということになります。


個人が受け取る際は退職所得控除が適用になる

法人保険の出口対策としての退職金を受け取ると、「退職所得」として課税の対象になります。

退職金にかかる税金には「退職所得控除」があり、一定の額を退職金の金額から差し引くことで税金の負担を抑えることができます。

退職所得の計算式=(退職金―退職所得控除)×1/2          
※勤続5年以下の特定役員を除く
勤続年数(A) 退職所得控除額
20年以下 40万円×A(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超 800万円+70万円×(A-20年)


たとえば40年働き、1億円の退職金を受け取ったとしましょう。

①退職所得控除は、以下の通り。

800万円+70万円×(40年-20年)
=800万円+1,400万円
=2,200万円

 ②退職所得は、以下の通り。

(1億円-2,200万円)×1/2=3,900万円


最終的に3,900万円に所得税・住民税の税率をかけた金額を納税します。

仮に所得税・住民税が合計で50%の税率だとすれば、約1,950万円が納税額となります。1億円の退職金に対し、約1,950万円の納税で残りの8,050万円のお金を手元に残すことができます。

たとえば、役員報酬で法人から個人にお金を移す場合は、退職金を受け取った個人は所得税や住民税を支払う必要があります。

住民税は一律10%ですが、所得税は最高税率45%なので、役員報酬を受け取るときに最大で半分以上の税金を納める必要があるので、受け取るときの税制面も考えると法人保険の出口対策として退職金の準備に充てることを考えてみてはいかがでしょうか。


設備投資をする

新たな設備投資として解約返戻金を利用する方法です。

具体的には、社屋の壁の張り替えといった大規模修繕や、社用車の買い替えです。退職金を利用する出口対策と比べると、損金として算入できる金額は大きくはないですが、減価償却を利用して損金を生み出せます。

また、医療法人においては医療機器等が特例で、比較的大きく減価償却できる可能性があり、1年で設備投資した金額の半額~ほぼ全額の損金を算入することができます。 




人件費として利用する

社員の士気を上げることなどを目的に、解約返戻金を充てる方法です。

従業員のボーナスにすれば、社員のモチベーションアップに繋がる可能性もありますし、会社側としても原則従業員へのボーナスは全額損金にすることができます。

人材を確保するという観点で考えれば、事業規模拡大のために新たな人材を獲得するための活動費として利用することもできるでしょう。

また、社員旅行のための費用に使う方もいらっしゃいます。社員旅行も福利厚生費を経費として認められていますが、「4泊5日以内の旅行であること」「従業員の過半数が参加していること」など条件がありますので注意してください。


広告宣伝費として使う

企業のブランド力を高めることや、イメージアップのために広告宣伝費として解約返戻金を利用する方法も考えられます。

企業サイトのリニューアルや、新たな顧客を獲得するアプローチを実行することで中・長期的な収益アップに繋がるでしょう。 こちらも条件があり、不特定多数の人に対して商品やサービスを宣伝すれば広告宣伝費として処理できます。

特定の人に対するもの(接待飲食費)は交際費として処理され、金額の50%までしか損金算入されないので注意が必要です。


オペレーティングリースを活用する

オペレーティングリースとは、一般的に飛行機・船舶・コンテナのリース事業に投資することです。

事業によりますが、メリットとしては1年目に80%程度の大きな損金を作れることです。リース期間が満了すればリースしていたものは売りに出されるので益金も発生します。つまり、利益を繰り延べできる方法として利用されます。 

ただし、オペレーティングリース事業は、米ドル建てが一般的であるためリース期間満了時に為替の影響を受けることや、リースしていたものが売れるかどうかのリスクもあります。

また、支払いは1回のみですが、原則中途解約ができないので、資金が必要になったときにお金をすぐに動かせないというデメリットもあるので注意してください。


海外の中古不動産に投資する

オペレーティングリースと同様によく活用されるのが海外の中古不動産投資です。

海外の中古不動産は日本とは違い、時間が経過するに従い価値が上がっていくのが一般的です。さらに、4年で減価償却ができるので人気がある投資です。

家賃収入が期待できる一方で、物件の管理や現地での納税が必要になるので手間はかかります。当然ですが、為替リスクがあり、現地の不動産に関するルールは日本と違うので注意が必要です。


覚えておきたい最重要な2つのこと

これまでお伝えしてきたように、法人保険の出口対策は様々です。

ぜひ詳しいことは法人保険に詳しいファイナンシャルプランナーに相談することおすすめしますが、ご自身でも出口対策についての知識を身につけておけば、ファイナンシャルプランナーの提案をただ受け入れるだけではなく、より今後の経営方針に沿った出口対策を選ぶことができるはずです。

最後にあまり保険の担当者は教えてくれない、法人保険の出口対策を検討する上で知っておいた方が良いことを2つお伝えします。


解約返戻金を受け取るタイミングは「年」ではなく「月」でみる

法人保険の出口対策を考える際のポイントは、解約返戻金をいつ受け取るか?ということですが、「月別返戻率」を確認するようにしましょう。

以下は、ある法人保険商品の解約返戻率を抜粋したものになります。

経過年数 解約返戻金率
5年1カ月目 89.0%
5年2カ月目 88.7%
5年3カ月目 88.4%
5年4カ月目 88.1%
5年5カ月目 87.8%
5年6カ月目 87.5%
5年7カ月目 87.2%
5年8カ月目 86.9%
5年9カ月目 86.4%
5年10カ月目 86.0%
5年11カ月目 86.5%
5年12カ月目 85.0%


月別の解約返戻金率を見ていただくと、5年1カ月目の返戻金率が一番高くなっています。解約を考えている年の最も返戻率が上がるタイミングを見計らって解約するのが良いでしょう。

一般的に保険商品の案内時に担当者から提示される提案書には、年別の解約返戻率が記載されたものを見せられると思いますが、請求をすれば提示してもらうことができます。


わざと「失効」することで、解約返戻金のピークをずらすことができる

出口対策として、法人保険を解約するタイミングで大きな損金をつくることができない場合や、退職する時期がずれてしまった際に、知っておくと便利なものが保険の仕組みを利用した「失効」です。

失効とは、保険料の支払い期日を過ぎ、一定の猶予期間を過ぎても保険料が支払われなかった場合に、保険契約の効力がなくなり、保障がなくなってしまうことです。

失効すれば、保障はなくなりますが解約返戻金を受け取る権利は一定期間残ります。

いつまで権利が残るかは保険会社に確認する必要がありますが、どうしても解約するタイミングを先送りにしたいという場合にあえて失効させるという手段があることは覚えておいてください。


最後に

これまで7つの出口対策をやそれぞれのメリット・デメリットをご紹介してきましたが、自社に合う出口対策は見つかったでしょうか。

繰り返しになりますが、法人保険に加入する際には、出口対策をどのようにするかを計画的に考えておく必要があります。

決算直前になって慌てて法人保険に加入するのではなく、それぞれの出口対策のメリットやデメリットを法人保険専門のファイナンシャルプランナーと相談しながら決めていくと納得がいく選択ができるでしょう。

これまでお伝えしてきたように、法人保険加入の前には専門のファイナンシャルプランナーに相談することがおすすめ。

自身の知識として、ある程度法人保険について知ることは重要です。より自社に合った最適な出口対策をするために、一度信頼のおける法人保険専門のコンシェルジュに相談してみましょう。

忙しい経営者ほど、法人保険のプロに相談し、保障と節税効果を得ています。

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