その他税金対策
【法人の不動産と節税】メリットや投資リスクを詳しく解説

会社名義で不動産購入におけるメリットデメリット

個人で購入するよりも法人化してから不動産を購入した方が税金対策できるという話をよく聞くことでしょう。

それはなぜかというと、例えば法人の場合、利益額によっては税率を個人よりも低く抑えることができたり、経費として色々計上できるために課税金額を低く抑えられたりするなどの面があるからです。 

ここでは不動産購入を検討中の経営者の方々や不動産購入にあたって法人化するかどうか検討中の方々を対象に、法人で不動産購入した際のメリットやデメリット、リスクなどについて解説していきます。

なお、具体的な節税方法や企業のリスク対策を行いたい方は、保険代理店への相談がおすすめです。下記リンクから、当サイトと提携している保険総合代理店「R&C株式会社」に問い合わせられるので、ぜひご活用ください。

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不動産を法人で取得する5つのメリット

不動産を法人で取得する5つのメリット
まずは法人で不動産を取得した場合のメリットから見ていきましょう。

1.法人では経常利益が800万円未満の場合、利益が出ても低い税率しか取られない

個人の場合、課税所得金額によって税率が変わってきます。

15%~50%と幅広く税率(所得税率+住民税率)が分けられており、課税所得金額によっては法人化した方がよい場合もあります。 

もし法人化した場合、経常利益が800万円未満なのか以上なのかによって税率(その場合、法人税率+住民税率+事業税率)が大きく変わってきます。

経常利益が800万円超になると約36%の税率が課されますが、800万円未満の場合は約23%、400万円以下になると約22%となります。

2.不動産の減価償却により所得税や住民税あるいは法人税が軽減される(損金算入可能)

減価償却費は経費の中でも大きな割合を占めます。

法人の場合、「任意償却」といい、枠内であればいくらでも経費として計上できます。

つまり法人であれば、ある程度、利益額を調整することが可能ということになります。

3.不動産投資≒不動産経営になる為、経営に関わる経費を計上できる

法人の方が個人に比べ、広い範囲で経費計上することができます。

個人の場合、不動産所得と譲渡所得は、所得の種類が異なるとして別々に課税されます。そのため売却損があっても、不動産所得と損益通算できないのです。

 一方、法人の場合、すべての事業の利益と損金を通算することができます。

たとえば、売却損が出たり、別の事業で赤字になった場合には、不動産所得の黒字と相殺が可能なので、結果的に全体の課税所得を減らすことができます。 

ちなみに不動産経営上、経費計上できる項目は以下の通りです。

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 賃貸管理代行手数料
  • 修繕費
  • 損害保険料(火災保険料・地震保険料)
  • 租税公課
  • 借入利子
  • 減価償却費
  • その他(不動産経営において生じた交通費や通信費、手数料など)

なお、当然のことではありますが、不動産投資した物件に自ら住んでいる場合など、不動産収入を得るために必要な支出以外については経費計上できません。

4.不動産投資は保育料まで節約する事ができる

保育園の入園可否や保育料は、(ほとんどの場合)住民税の所得割課税額により判断されます。

不動産により税金対策することで所得金額を低く見せることができるので、もし不動産がある場合、所得割課税額は比較的低いランクとなります。

所得が低いほど、保育園に入園もしやすくなりますし、保育料も安くなります。

5.相続税も税金対策する事ができる

もし相続が発生した場合、個人で不動産を所有していると、その不動産の評価額に対して相続税がかかってきます。

しかし法人で不動産を所有している場合は、不動産に対して相続税がかかりません。

その場合、一見相続財産がなくなってしまうように見えるかもしれませんが、同族関係者(=家族)での不動産経営ということにすれば、役員給与という形で現金を生前に支払うことができます(生前贈与)。

非相続人が亡くなっても、金融資産を相続することができるという仕組みです。

不動産を法人で取得する3つのデメリット

不動産を法人で取得する3つのデメリット
こちらでは、法人で不動産を取得した場合のデメリットを3つ確認していきます。

1.固定資産税や不動産取得税などが発生してしまう

当然のことではありますが、不動産を購入すれば、購入時および購入後に毎年支払う税金が生じます。

具体的には下記のような項目があります。

【不動産購入時にかかる税金】

  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 消費税
  • 印紙税

【不動産購入後に毎年支払う税金】

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 所得税
  • 住民税 

税金の支払が生じるのはデメリットではありますが、個人よりも法人化した方が納税額をおさえられる可能性があります。

例えば、所得税や住民税などは高額所得の個人サラリーマンであれば高額の税率で支払わなければならなくなります。

法人化すると経費扱いできたり、消費税などは還付が受けられたりと、法人ならではのメリットもあるのでよく検討することをおすすめします。

2.管理費や修繕費や保険料などの維持費用がかかる

不動産を保有した場合の大きなデメリットの一つといえます。具体的には以下のような項目が生じます。

  • 法人住民税
  • 税理士報酬(経理処理、決算処理を依頼した場合にかかる)
  • 従業員の社会保険料、健康保険料
  • 修繕費等々 

デメリット項目としてあげましたが、個人よりも法人化した方が負担感が少ないという点で「修繕費」について少し解説します。

アパートやマンション経営をすると、10年から15年位の周期で大規模修繕が必要となります。

個人の場合は不動産収入から税金を引き、そこから修繕積立金を捻出しないとなりません。

一方、法人の場合は不動産収入から経費として修繕積立金を貯蓄することが可能です。法人化した方が修繕費の捻出はしやすくなると言えます。

3.売却時に多くの税金を支払う可能性がある

不動産を売却するとその利益に譲渡税がかかってきます。法人の場合、保有期間の長短関係なく最高税率で約35%となっています。

そのため5年以上保有してから売却するのであれば税率が約20%の個人の方が有利となります。

一方、5年以内に売却をする場合は個人の場合、約39%の税率がかかってくるので、法人の方が有利といえます。

不動産投資のリスクについて

不動産投資のリスクについて
不動産経営が順調で大きな収益が挙げられている場合は問題ありませんが、経営不振の場合、下記のような事柄があると経営難にさらに追い打ちをかけるリスクと感じられるでしょう。

  • 空室による収入減リスク
  • 維持費等によるキャッシュフロー圧迫リスク
  • 赤字による融資不能リスク
    (法人は任意で減価償却ができるため、この項目についてはある程度のコントロールは可能です。しかし専門家によく相談の上で行ってください。)

その他、震災などでの災害リスクも考えられます。

法人でマンション購入する場合のポイント

法人でマンション購入する場合のポイント
こちらでは、法人で、マンションを購入する場合のポイントを5つ解説していきます。

1.所得税率と法人税率

所得税率について

所得税率は、所得金額によって決定される累進課税が採用されています。

総合課税なので、不動産所得だけでなく給与所得や事業所得などを合算し、そこから社会保険料控除などの所得控除を差し引いた総所得金額に応じて決まります。

住民税については所得に関係なく10%です。

下の速算表は国税庁ホームページより抜粋したものです。

所得税の速算法
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え、330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え、695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え、900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え、1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え、4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円を超え 45% 4,796,000円

参照:国税庁ホームページ

法人税率について

法人で不動産を所有した場合、その所得には法人税が課されます。法人税とはその会社の規模によって税率が定められています。

例えば資本金1億円以下の中小法人の税率は下記表の通りです。

資本金1億円以下の中小法人の税率
年間所得 税率
800万円以下 15%
800万円超え 23.2%

2.減価償却費

減価償却費とは

家や車、パソコンなど使用を繰り返していけばいくほど、その価値は減少していきます。それを「減価」と言います。

一定の割合で価値が下がっていくと仮定し、その価額を表したのが「減価償却費」です。

計算方法として「定額法」「定率法」の2つがあります。 

減価償却費を利用することでの税金対策メリット

「減価償却費」は経費計上することが可能です。

つまり利益をおさえられ税額を少なくすることができるので、そういう点では税金対策になるといえます。 

3.譲渡所得

「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」とは

「短期譲渡所得」とは不動産所有期間が5年以下の場合の譲渡所得をいい、「長期譲渡所得」とは所有期間が5年超の場合の譲渡所得をいいます。

個人と法人の譲渡所得の違いについて

既述していますが、法人の場合、不動産所有期間の長短に関係なく税率は一律です。最高で約35%になります。

個人の場合の税率と比較すると、5年以下の短期で譲渡する場合には法人の方が有利な税率となり、5年超の長期譲渡の場合には個人の方が有利な税率となります。 

4.役員報酬

法人化することのメリットとして家族への「所得分散」があります。

例えば専業主婦の配偶者を役員にすることで、役員報酬という名の給与を払うことができるようになります。

ただ法人の場合、個人と違って社会保険の加入が絶対となっています。また配偶者を扶養から外すかどうか、という判断も必要になってきますのでご注意ください。

5.保険・経費による税金対策

法人保険の保険料が損金算入できること

決算対策の一つとして法人保険の加入をあげることができます。

これは法人保険の加入によって保険料を損金算入し、税金対策できるためです。

経営にあった保険に加入できた場合は大きなメリットを享受できますが、会社にあわない保険に入ってしまった場合は、キャッシュフローがかなり圧迫されますし、経営上負担にしかなりません。

スピーディーに契約が成立するため、急ぎの決算対策として利用する経営者も多いですが、一度契約すると長い付き合いになる商品なので、税理士や保険プランナーとよく相談して決めることをおすすめします。

いい商品を契約できると経営上、大きな助けになるので検討の価値はあるといえます。

より法人保険について詳しく知りたい方はこちらでまとめているので、ぜひご覧ください。

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出張手当なども経費にできること

個人事業主にはできない節税対策として「出張手当」を利用した税金対策があります。

法人の場合、出張旅費規定なるものを作成した上で、役員や従業員の出張に対して日当を払うと節税になるのです。

仕組みは次の通りです。

出張をしたときに生じる交通費や宿泊費などの実費とは別に、出張手当として現金を支給することができます。

この出張手当は個人にとっての非課税収入となり、所得税などが課税されません。

また法人にとっては経費になるので、節税につながるのです。

さらに消費税の計算上、出張手当は内税金額で支給されていると考えられるので、税務署に支払う消費税額の軽減にもつながります。 

出張報告書を作成したり、日当として適当な金額を設定したり、細かい注意点はありますが、税制上のメリットは高くなる可能性があるのでぜひ検討してみてください。

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会社で役員社宅を所有する場合

会社で役員社宅を所有する場合
会社で住居を購入した場合、不動産会社と法人契約となるので、不動産取得購入費および購入後の諸費用について経費扱いにすることができます。

例えば、固定資産税や不動産取得税、登記料、印紙代、修繕費などがあげられます。

会社の経費になるものは法人税の損金に算入できますので、結果法人税の税金対策につながります。

経営者が会社に支払う家賃について

経営者が会社に支払う家賃について
役員(経営者含め)に社宅を貸す場合、役員から下記の算式で計算した1ヶ月あたりの家賃を受け取っていれば、社宅とみなされ、給与として課税されません。 

社宅規模 賃貸料相当額

小規模な社宅

  • 木造家屋の場合には床面積が132㎡以下
  • 木造家屋以外場合には床面積が99㎡以下判定
    (区分所有の建物は共用部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定。)
次の(1)から(3)の合計額
(1)(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(㎡)/3.3㎡)
(3)(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
小規模な社宅以外 次の(1)と(2)のうちいずれか多い金額
(1)次の①と②の合計額
①(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%×1/12
木造家屋以外の場合には12%ではなく10%を乗じます
②(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%×1/12
(2)支払家賃の50%
豪華な社宅
(床面積が240㎡を超えるもののうち、取得価額、支払賃貸料の額、内外装の状況等各種の要素を総合勘案して判定)
時価

参照:国税庁ホームページ

会社で社宅を所有するデメリットについて

会社で社宅を所有するデメリットについて

1.住宅ローンが利用できない

法人名義の住宅の場合の大きなデメリットとして、住宅金融支援機構の「フラット35」等といった住宅ローンを組むことができないという点があります。

そもそも住宅ローンというのは契約者がその住宅に居住していることが条件だからです。

仮に経営者がその住宅に住むとしても、社宅を役員に貸しているという形になります。

住宅ローンが組めないので、代わりに不動産担保融資や事業用のローンなどを利用することになってしまいますが、住宅ローンと比べて金利は高いです。

確定申告の際に住宅ローン控除も使えないので、その点もデメリットと言えます。

2.売却益が生じる場合、税額が高い

個人のような特例控除がないため、法人の場合、売却益に対してまるごと法人税がかかってきます。

3.売却損が生じる場合、減税される

この点についてはデメリットとは少し違うかもしれませんが、補足としてあげておきます。

もし、売却損がでた場合は、損金扱いとなり法人税が減税されます。個人の場合は所得税が軽減されます。

会社名義でローンを組む方法

会社名義でローンを組む方法
前述しましたように、法人名義の住宅は住宅ローンを組むことができません。では他に良い方法がないのか、ということについて少しお話しましょう。

社宅購入を検討されている方には、少しがっかりされてしまうかもしれませんが、ずばり「賃貸借契約」がおすすめです。

法人名義で賃貸住宅を契約すると、その賃貸料を会社の経費にすることができます。

住宅購入や売却に関わる負担もありませんので、社宅購入することに特段こだわっているというわけではないのなら、手段の一つとしておすすめです。

法人として不動産投資する際の銀行の融資基準は?

法人として不動産投資する際の銀行の融資基準は?
不動産賃貸業のみを行なう法人であれば、個人と融資基準はそんなに変わらないでしょう。

もし定款に不動産賃貸業以外にもおこなっている会社と明記されている場合、倒産リスクが高いとして融資を受けられなくなる可能性が高くなってしまう可能性があります。

このように法人化する場合、定款をどうするかは重要なポイントとなりますのでご注意ください。

まとめ

個人でマンションを購入するよりも、法人化してからマンションを購入した方がメリットが大きいのではないか、そのように考える方も多いことでしょう。

実際、法人化した方が、大きく税金対策できるなどメリットは多くあります。しかし一方でデメリットも多々あります。

本文中でも度々お伝えはしましたが、くれぐれも即断などはせず、税理士やなどの専門家に相談し、計画的に行っていただくことをおすすめします。

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