会社で法人保険(生命保険、損害保険)の契約の申し込みをしたり、契約を完了したりした場合でも、後日契約の取消しや撤回をしたいケースもあるでしょう。
生命保険などの取消しといえば「クーリングオフ」をイメージする方が多いと思いますが、クーリングオフは法人保険(生命保険、損害保険)にも適用されるのでしょうか。
また、もし適用できない場合、ほかにどのような手続き方法があるのでしょうか。
この記事では、法人保険(生命保険、損害保険)がクーリングオフの対象となるのかどうか、また、代わりの解約申請方法などについても詳しくご紹介していきます。
クーリングオフとは
クーリングオフとは、訪問販売などの特定取引で一度契約の申し込みや締結をした後に、契約を再度検討し直す期間を設け、一定期間内であれば無条件で申込みの撤回や契約の解除ができる制度のことをいいます。
しかし、すべての取引がクーリングオフの対象になるわけではなく、「訪問販売」や「電話勧誘販売」、「連鎖販売取引(マルチ商法など)」といった消費者に不利になりがちな取引の場合に限られています。
そして、生命保険にもクーリングオフ制度があり、期間内であれば一度契約した生命保険の申し込みの撤回や契約解除をすることができます。
法人保険もクーリングオフできる?
生命保険に加入するのは個人だけではなく、法人でも加入するケースがあります。
では、法人保険(生命保険、損害保険)の場合にも、クーリングオフ制度は適用されるのでしょうか。また、クーリングオフの対象外となる契約には、具体的にどのようなものがあるのかも確認しておきましょう。
会社が契約する生命保険等はクーリングオフ対象外
結論から申し上げると、会社などの法人が契約する法人保険(生命保険、損害保険)はクーリングオフをすることができません。
というのも、クーリングオフは個人消費者を保護する制度であり、会社が契約した生命保険などの法人保険は制度の対象外となっているためです。
一度会社が契約の申し込みをした法人保険や契約まで完了した法人保険は、一定期間内に再度考慮した後、やはり申し込みの撤回や契約の解除をしたい場合でもクーリングオフはできません。そのため、法人保険(生命保険、損害保険)の申し込みや契約の際には慎重に吟味する必要があります。
法人保険以外でクーリングオフ対象外となる契約
会社が契約する法人保険(生命保険、損害保険)以外でも、クーリングオフの対象外となる契約がありますので、参考までにご紹介します。
- 保険期間が1年以内の契約
- 営業や事業のための契約
- 金銭消費貸借契約その他の契約の債務履行が担保になっている契約(保険金請求権に質権が設定されている契約など)
- 特約で自動継続された契約
- 法令で加入が義務付けられている契約 など
法人保険(生命保険、損害保険)をはじめ、これらのような契約はクーリングオフの対象外となります。
法人保険には「解約」という方法がある
法人保険(生命保険、損害保険)はクーリングオフの対象外になりますが、では契約の取消しなどをすることはできないのでしょうか。
実は、クーリングオフ制度は利用できなくても、法人保険(生命保険、損害保険)の「解約」は会社の意志で行うことができます。
法人保険の解約方法
会社で契約した法人保険(生命保険、損害保険)の解約方法は、特に難しい手続きはありません。
保険会社の担当者に連絡を取り、「法人保険を解約したい」旨を伝え相談したうえで、必要な手続きをとるだけです。
保険会社の担当者も、法人保険はクーリングオフの対象外であることは認識していますので、事情を聴いたうえで解約方法について説明してくれるでしょう。
法人保険を解約する場合の注意点
法人保険(生命保険、損害保険)を解約・取消ししたい場合、クーリングオフ制度は対象外なので解約手続き方法をとることになりますが、その場合にいくつか注意していただきたいことがあります。
1.早期解約は解約返戻金がない(あっても少額)
法人保険に限ったことではありませんが、一般的に生命保険を契約してすぐに解約(早期解約)した場合、解約返戻金が全くないケースがあり、戻ってくるとしてもごく少額というケースが多いです。
そのため、法人保険として支払った保険料が全額戻ってくるわけではないで、すでに払い込みが終了している保険料については支払い損になってしまいます。
2.再度新規加する場合に影響はある?
会社の都合で一度は解約せざるを得なかった法人保険(生命保険、損害保険)に、状況が好転したときなど、再度新規加入したいと考えることもあるでしょう。
しかし、一度解約したことがあるとその後同じ法人保険(生命保険、損害保険)に加入できるか不安ですが、保険会社の定める基準を満たしていれば加入し直すことは可能です。
ただし、生命保険では一般的に、加入年齢が高くなるほど適用される保険料も高額になっていくことは覚えておきましょう。
まとめ
法人保険の契約申し込みをしたり契約完了まで済ませていたりする場合に、契約を解除・取消ししたくてもクーリングオフ制度を利用することはできません。クーリングオフ制度はあくまでも個人消費者を守るための制度だからです。
クーリングオフはできませんが、法人保険を「解約」することで契約の解除や取消しをすることができます。ただし、すでに支払った保険料はほとんど戻ってこないことなどに注意が必要です。
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