法人保険は、企業の事業保障や退職金準備、法人税対策など様々な用途に活用されます。
法人保険の1種である長期平準定期保険は、そのなかでも特に事業保障・退職金準備に適した保険。その名の通り、一定の保険料で長期間の保障を得られる法人保険です。
この記事では、長期平準定期保険の特徴や活用法、保険料の損金計上の方法を解説します。
特に損金計上については、2019年に税制改正が行われ、以前とは異なったルールになっています。経営者の方はぜひ参考にしていただければと思います。
長期平準定期保険とは?
長期平準定期保険とは、保険期間を長く設定でき、保険期間中の保険料が一定のまま変わらない法人向けの定期生命保険です。
保険期間の満期を100歳などに設定できるため、定期保険の比較的抑えた保険料で終身保険と同じくらいの長い保障を得られる点がポイント。
また、保険商品にもよりますが、解約返戻率は80%~95%ほどと高いものが多く、貯蓄性に優れているのもメリットです。解約返戻率のピーク期間は契約後10年~30年後で、ピーク期間も長め。
長期平準定期保険は主に経営者が被保険者となって加入し、経営者が亡くなった際に死亡保険金を事業保障に活用したり、解約返戻金を経営者の退職金として活用したりすることができます。
- 保険期間が95歳満期や100歳満期など、長く設定できる
- 解約返戻率は80%~95%と貯蓄性に優れている。
- 解約返戻率のピーク時期は、契約後10年~30年後。ピーク期間も長め
- 経営者を被保険者として加入。死亡保険金を事業保障に、解約返戻金を退職金などに活用することができる。
保険料が一定で、保険期間を長期に設定可能
長期平準定期保険は、他の定期法人保険よりも保険期間が長い点が最大の特徴。
長期間の保障を得るには、法人保険を更新して加入し続けるか、終身保険に加入をするという方法もありますが、法人保険は更新するたびに保険料が上がります。
終身保険は亡くなるまで保障期間がつづくことから、保険料が高めに設定されていることがほとんど。
そういったことを考えると、長期平準定期保険はコストパフォーマンス良く長期間の死亡保障を得ることができるのです。
解約返戻率のピークは10年後~30年後、ピーク期間も長め
長期平準定期保険は、解約返戻率のピーク時期が契約後10年~30年後にやってきます。
経営者の退職金の貯蓄目的で法人保険に加入する場合、解約返戻率のピーク時期に退職時期を設定します。
長期平準定期保険の場合、ピーク時期を迎えるまでが10年~30年と長いため、退職まで長い時間のある経営者の退職金をコツコツ貯めていきたい場合にぴったりです。
長期平準定期保険の活用法は?事業保障・退職金準備に最適
長期平準定期保険の活用法は、主に3つあります。
- 経営者の万が一の際に事業保障として活用
- 解約返戻金で退職金を積み立てる
- 契約者貸付制度で緊急資金を用意
長い保障期間で経営者の万が一に備える
長期平準定期保険のような死亡保障のある法人保険の活用法は、経営者に万が一が起きた際の事業保障が真っ先に挙げられます。
たとえば、中小企業の経営者が死亡した場合、その経営者だから取引を継続していたというような取引先は、取引を停止してしまう可能性があります。
また、後継者が育っていなければ、経営権を引き継いだ新しい経営者が安定した利益を確保できるまでに時間がかかることも珍しくありません。
長期平準定期保険は、そういった事業リスクを抱える中小企業に適した法人保険なのです。
解約返戻金で退職金を積み立てる
長期平準定期保険は、解約返戻率が高く、貯蓄性に優れた法人保険です。そのため、経営者の死亡保障を得る一方、退職金を積み立てる目的で活用されることが多いです。
特に長期平準定期保険は、解約返戻率のピークが10年~30年後と遅く来るため、退職まで長い時間がある、もしくはまだ退職時期がはっきりしていない経営者の退職金準備に適しています。
さらに、長期平準定期保険は解約返戻率のピーク時期が比較的長く持続するという特徴もあります。よって、退職時期が数年ズレても対応できるところが長期平準定期保険の良いポイントです。
契約者貸付制度で緊急資金を用意
3つ目の活用法は、契約者貸付制度による緊急資金の用意です。
法人保険では、保険期間の途中で解約返戻金のうち所定の割合を契約者が借り受けることができる「契約者貸付制度」という制度があります。
長期平準定期保険を解約すれば解約返戻金を受け取ることができますが、その場合には解約になるため、死亡保障もなくなります。
しかし、契約者貸付制度を利用すれば法人保険を解約する必要がないため、死亡保障はそのまま。また、借りた金額を返せば解約返戻金も元の金額に戻ります(※)。
※契約者貸付制度で借り受けた金額を返す際には、所定の利子が発生します。
加入の際の注意点
長期平準定期保険に加入をする際には、事前に注意しておくべき点もあります。
主な注意点は、下記の4つです。
- 長期的な保険料の支払いを考えておくべき
- 短期解約は損をする可能性がある
- 解約返戻金の出口戦略を事前に考えておくべき
長期的な保険料の支払いを考えておくべき
長期平準定期保険は、長期間加入することが前提です。そのため、長い間保険料を支払い続ける必要があります。
長期平準定期保険の保険料は、加入期間や保険金の金額によって変わるため、加入する際には継続して支払っていける金額であるかどうか考える必要があります。
会社のキャッシュフローを圧迫してしまうような保険料にならないように、企業の税理士や保険会社のスタッフとよく相談することがおすすめです。
短期解約は損をする可能性がある
長期平準定期保険の2つ目の注意点は、短期で解約すると解約返戻金が少額になり、損をしてしまうことです。
長期平準定期保険に限らず、解約返戻金のあるタイプの法人保険は、返戻率のピークを迎える前に短期で解約してしまうと、支払った保険料よりもかなり少ない金額の解約返戻金だけしか受け取れません。
短期解約する理由として多く挙げられるのは、保険料を支払うことができないこと。
1つ目の注意点でも挙げた「長期的な保険料の支払いを考えるべき」というのは、解約返戻金の面でも必ず注意しておきたい点になります。
解約返戻金の出口戦略を事前に考えておくべき
3つ目の注意点は、解約返戻金の出口戦略を考えておくということ。
出口戦略とは、解約返戻金を受け取った際の使いみちを指します。
解約返戻金は、受け取った際に「益金(所得)」として計上されるため、その分法人税が増えます。そのため、受け取った年度に同じだけの支出をしなければ、会社の資金は増えたものの税金も増えることに。
法人保険に加入をする際には、基本的には事前に目的を持って加入するはずです。長期平準定期保険であれば、事業保障や経営者の退職金が挙げられるでしょう。
解約返戻金を受け取った際には、事前に考えておいた出口戦略の通りに解約返戻金を利用するのがベストです。
保険期間の途中で会社の状況が変わった場合も、解約返戻金を何に使うかは必ず考えておくようにしましょう。
保険料の経理処理方法
ここからは、長期平準定期保険の保険料の経理処理について解説していきます。
長期平準定期保険をはじめとした法人保険は、支払った保険料のうち、所定の割合を損金として計上することが可能。
保険料を損金計上すれば、法人税の課税対象となる所得が減るため、節税効果を期待できます。
しかし、保険料の損金計上には細かなルールが設定されているため、しっかりと確認した上で経理処理をすることが重要です。
長期平準定期保険の資産・損金計上のルール
下記の表にある「取り崩し期間」とは、資産計上期間に資産計上しておいた金額を、残りの期間に分けて均等に損金として計上することを指します。
最高解約
返戻率 |
資産
計上期間 |
資産
計上割合 |
取り崩し
期間 |
---|---|---|---|
50%超~ 70%以下 |
保険期間開始~ 前半4割期間 |
支払保険料×0.4 (6割損金算入) |
保険期間の75% 相当経過後 |
70%超~ 85%以下 |
保保険期間開始~ 前半4割期間 |
支払保険料×0.6 (4割損金算入) |
保険期間の75% 相当経過後 |
85%超 | ① 保険期間開始~ 解約返戻率ピーク時まで(※) ② 1の期間が5年未満の場合、5年間 (保険期間10年未満の場合は、保険期間の1/2期間) |
当初10年間: 支払保険料×ピーク返戻率×0.9 11年目以降: 支払保険料×ピーク返戻率×0.7 |
最高解約返戻率の 期間経過後 |
※1の期間経過後、年換算保険料に対する解約払戻金の増加割合が0.7を超える期間があれば、保険期間開始からその期間の終わりまでが資産計上期間となる。
長期平準定期保険に限らず、法人保険はピーク時の解約返戻率の高さによって異なります。
長期平準定期保険の多くは解約返戻率が80%以上になりますが、加入する際に保険会社のスタッフによく確認しましょう。
当サイトおすすめの保険商品
スーパーフェニックス
長期平準定期保険
- 貯蓄性が高く、経営者の退職金準備に最適
日本生命のスーパーフェニックスは、販売当初から多くの経営者から人気を集めている長期平準定期保険。
人気の秘密は高い貯蓄性で、条件によっては解約返戻率が87%ほどになることも。資金貯蓄に最適な長期平準定期保険です。
クオリティ
長期平準定期保険
- 保険金の額に応じて、保険料の割引が適用される
エヌエヌ生命「クオリティ」は、リーズナブルな保険料で高額な保障を用意できる点が魅力の長期平準定期保険です。
保険金額は50万~9億円の範囲で設定可能。保険金が3,000万円以上、3,000万円以上~5,000万円未満、5,000万円以上の3段階で保険料割引が適用され、キャッシュフローへの負担を抑えることができます。
まとめ:長期平準定期保険は中長期的な視点が必要
今回は、長期平準定期保険の活用法や経理処理について解説してきました。
長期平準定期保険は、保険期間が長く、解約返戻率のピークが来るタイミングも比較的遅めです。
長い間加入し続けることが前提となるため、中長期的な視点を持って契約を検討することが重要になります。
長期平準定期保険加入の際には、企業のキャシュフロー、将来必要な資金の金額などを保険会社のスタッフと相談しながら考えることをおすすめします。
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