事業活動をする上で、万が一の事故やトラブルに備えるPL保険(生産物賠償責任保険)。しかし、「毎月の負担をできるだけ抑えたい」と考えている経営者や担当者も多いでしょう。
PL保険の月額費用は、業種や補償範囲によって大きく異なります。相場目安は数百円~数万円と幅広いため、まずは自社の事業に合わせた補償内容を検討することが大切です。
本記事では、PL保険の月額費用の相場や保険料を抑えるコツ、さらに月払い可能なPL保険のおすすめプランについて詳しく解説します。
PL保険の加入を検討している企業や個人事業主の方は、ぜひ参考にしてください。
PL保険の月額費用の決まり方

PL保険の月額費用は、事業の規模やリスクに応じて大きく変動します。
業種や売上高、補償範囲によって保険料が決まるため、同じPL保険でも月額費用に差が生じることが一般的です。
大まかな相場目安は数百円~数万円と幅広い
PL保険の保険料は基本的に年間単位で設定され、月払いを選択すると年額を12分割した金額が月額保険料になります。
下記は、三井住友海上の「生産物賠償責任保険」における保険料の一例です。1億円以上の補償に対し、約2万5,000円の月額費用となります。
【例1:飲食店(見込売上高が3億円の場合)】
補償内容 | 保険料 ※各種割増引適用前 |
|
---|---|---|
身体障害に対する支払限度額 | 財物損壊に対する支払限度額 | 約30万6,000円/年 (月額換算で約2万5,500円) |
・1名につき最大1億円 ・1事故および保険期間中に最大2億円 ・免責金額1事故につき1,000円 |
・1事故および保険期間中に最大1,000万円 ・免責金額1事故につき1,000円 |
【例2:ビル建設業(見込年間完成工事高が5億円の場合)】
補償内容 | 保険料 ※各種割増引適用前 |
|
---|---|---|
身体障害に対する支払限度額 | 財物損壊に対する支払限度額 | 約29万3,000円/年 (月額換算で約2万4,400円) |
・1名につき最大5,000万円 ・1事故および保険期間中に最大3億円 |
・財物損壊に対する支払限度額:1事故および保険期間中に最大3,000万円 |
参照:https://www.ms-ins.com/pdf/business/indemnity/pl.pdf|三井住友海上「生産物賠償責任保険」
一方で、最低保険料(最低限支払う保険料)が月1,000円以下のPL保険もあります。補償範囲は限定的されますが、コストを抑えた契約も可能です。
個々のケースで差が大きいので見積もりを取ることが大切
PL保険の保険料は、以下のような要素によって変動します。
売上高 | 売上が高いほど、事故発生時の影響が大きくなるため保険料も高くなる。 |
---|---|
業種・事業内容 | 食品や医療関連など、事故リスクが高い業種は保険料が高め。 |
補償範囲 | 対物・対人賠償の基本補償に加え、リコール費用特約などを追加すると保険料が上がる。 |
支払限度額 | 補償額の上限を高く設定すると保険料も増加。 |
これらの要素が複雑に組み合わさるため、実際の月額費用は契約ごとに異なります。
適正な保険料を知るためには、自社の状況を伝えたうえで見積もりを出してもらうことが重要です。
複数の保険会社から見積もりを取れば、最適な補償内容と月額費用のバランスを見極められるでしょう。
月額保険料を抑えるポイント

PL保険は事業にとって重要な備えですが、できるだけコストを抑えたい事業者も多いでしょう。
以下の3つのポイントを押さえれば、保険料の節約が期待できます。
- 必要な補償範囲を見極める
- 複数の保険会社を比較する
- 商工会議所などの団体保険を活用する
1.必要な補償範囲を見極める
PL保険の補償範囲が広いほど、当然ながら保険料も高くなります。
無駄な補償を省き、自社の事業にとって本当に必要な補償だけを選ぶことが重要です。
- リコール費用特約の解除(製造業ではなく、仕入れ商品の販売のみを行うEC事業者なら不要)
- 対人賠償の除外(顧客と直接接することがないオンラインビジネスなら優先度は低め)
自社の事業リスクを把握し、過剰な補償を避けることで、月額費用を抑えられます。
2.複数の保険会社を比較する
PL保険は保険会社ごとにプランや料金が異なります。同じ補償内容でも、A社は月額5,000円、B社は月額7,000円といった差が出ることも珍しくありません。
「とりあえず1社で契約する」のではなく、必ず複数の保険会社から見積もりを取り、補償内容と月額費用を比較しましょう。
3.商工会議所などの団体保険を活用する
個人事業主や小規模事業者がPL保険に加入する場合、商工会議所や業界団体が提供する団体保険を利用するとコストを下げられます。
たとえば、楽天市場に出店している事業者限定の団体PL保険では、月額500円〜のプランがあります。
【楽天市場店舗限定 PL保険の保険料(雑貨・家電・飲食物コース)】
年間売上高 | 月払保険料 | 身体財物共通 支払限度額 (1事故・保険期間中) |
---|---|---|
3,000万円以下 | 500円 | 1億円 |
3,000万1円~1億円 | 1,000円 | |
1億1円~3億円 | 2,500円 | |
3億1円~5億円 | 3,500円 | |
5億1円~10億円 | 5,000円 |
参照:https://hoken.rakuten.co.jp/merchant_support/pl/|楽天インシュアランスプランニング株式会社「PL(生産物賠償責任)保険」
小規模事業者でコストを抑えたい場合は、こうした団体保険の活用も検討してみましょう。
PL保険の保険料についてよくある質問

ここからは、PL保険の保険料に関する疑問をQ&A形式で解説します。
支払い方法や保険料の変動、短期間加入の選択肢など、どのような仕組みになっているのか知っておきましょう。
保険料の支払い方法は?
保険料の支払い方法は、保険提供者によってさまざまなパターンがあります。
- 年払い(一括払い)
- 月払い(分割払い)
- 半期払い・四半期払い(6ヶ月ごと、または3ヶ月ごと)
決済手段としては、現金のほか口座振替やクレジットカードを利用できるケースが一般的です。
「保険料が◯万円以下の場合は一括払いのみ」など条件がつく場合もあるので、契約前に条件を確認しておきましょう。
月払いと年払いで保険料は変わる?
基本的には、月払いよりも年払いのほうが安くなります。
月払いの場合、おおむね5%~15%程度の手数料が上乗せされるのが一般的です。
資金に余裕がある場合は、年払いを選んで支払総額を節約することを検討しましょう。
1日単位の加入で保険料の節約はできる?
イベント出店や短期間の業務にPL保険を使いたい場合、1日単位で加入できる保険もあります。
たとえば、以下のようなケースでは、短期のPL保険を活用することでコストを抑えられる可能性があります。
- フリーマーケットやマルシェへの出店(食品販売・ハンドメイド品販売など)
- 1日限定のポップアップストアや展示会参加
- 短期間のイベント業務(キッチンカー、ケータリングサービスなど)
ただし、長期的に事業を行う場合は年間契約のほうがコストパフォーマンスが良いことが多いため、どちらが最適かを比較して選びましょう。
まとめ

PL保険の月額費用は、一般的に数百円~数万円と幅があります。
必要な補償範囲に応じて保険料も決まるため、複数の保険会社で見積もりを比較し、最適なプランを選ぶことが重要です。
PL保険は、事業の安定運営を支える重要な備えです。月額コストを意識しながら、必要な補償をしっかり確保できるプランを選びましょう。
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