法人に課せられる税金の算出方法

法人税の基本

法人税の計算方法について解説

会社を経営する上で、法人税の支払いは避けられません。

経営者ならば、法人税の計算方法や仕組みについては知っておきたいところです。

しかし法人税の計算方法は、一見すると複雑な計算式や「繰越控除」「減価償却費」といった会計用語から、分かりづらいと感じる方も多いはず。

そこでこちらでは、法人税の基本的な計算方法や、計算の仕組みについて丁寧に分かりやすく解説をしていきます。

会社の経費や支払うべき法人税を正しく把握し、無駄のないキャッシュフローを築きましょう!


はじめに確認!法人税の種類と計算方法

貨幣
法人税とは、会社の所得に掛けられる税金の事です。

一般的に「法人税」と一言で表されることが多いですが、実際はこの言葉に3種類の法人税が含まれています。

国税である「法人税」と、地方税となる「法人住民税」「法人事業税」の3つです。

これらの法人税をまとめたものが「法人税」であり、会計用語としては「法人税等」といった呼ばれ方をします。

これらの法人税率はそれぞれの法人税によって異なるので、法人税を計算するときには注意が必要だと覚えておきましょう。


1.法人税

まず初めに、法人税とは、法人の「所得」に課税される税金のことです。

法人の「所得」の計算に関しては、以下の通り。

益金―損金=所得

法人税は、会社の資本金や所得金額によって税率が変わります。

また、法人の所得が無い場合や、赤字の場合は税務での計算上「法人税はゼロ」になるという特徴があることを覚えておきましょう。


法人ごとの法人税率
所得区分 年800万円以上 年800万円以下
普通法人 23.2%
中小法人、一般社団法人等 23.2% 15.0%
参照元:国税庁「法人税の税率」



2.法人住民税

法人住民税とは、法人の事業所がある地方自治体に納付する税金の事です。

この法人住民税は、「市町村民税」「都道府県民税」と自治体別に分かれており、これらを合わせたものを一般的に「法人住民税」と呼んでいます。

原則として、法人は事業所が存在する市町村と都道府県の2つの自治体に納付義務があります。

しかし、例外として、東京23区のみ法人の事業所がある場合には、法人住民税は「都民税」として一括で支払うことが可能です。

また、法人住民税は、法人税と異なり、法人の売り上げに関係なく課される税金なので、必ず一定の支払いが必要になります。


3.法人事業税

法人事業税は、法人税の計算と同じく、法人の所得に法人事業税率を掛けたものが法人事業税となります。

「法人税」との違いは、税金の納付先が「国」ではなく「都道府県」だということです。

法人事業税の計算方法は法人税と同じく、法人の所得に左右されるものなので、法人の「所得がゼロ」の場合には法人事業税も発生しません。

加えて、他の2つの法人税と異なり、法人事業税は支払った税金を翌年の損金に算入することができるという特徴を持っています。


益金の特徴

コイン
法人税の計算式は、以下の通り。

法人税=(益金―損金)×法人税率


益金とは、企業会計上の収益とほぼ同じ意味を持っていますが、決して同じではありません。

なので、益金の発生のタイミングや特徴を知っておかないと、事前に法人税を計算した時よりも高額の法人税を支払うことになってしまいます。

こちらでは益金の特性を紹介します。


1.収益の発生が確定した時点で、その年度に益金を計上しなくてはいけない

会社の儲け(収益)を、どのタイミングで益金として処理しなくてはいけないのかという話です。

では、どのタイミングで税務上に益金は発生するのでしょうか。

それは、「収益の発生が確定した」時点です。

たとえば、会計年度が4月~翌年3月の会社があったとします。

決算月の3月に商品のソフトウェアを10万円売上げ、取引先からの代金受け取りが4月以降になるとすると、益金は年度内3月時点のものとして算入されます。

このように、代金の受け渡しが次年度に発生するとしても、実際に商品を引き渡し、代金の請求権利が発生した時点で、税務上では益金としてカウントされます。


2.無償取引にも益金は発生する

法人が無償で商品やサービスを提供することはよくあるかと思います。

実は、この場合にかかる費用も、税務上では益金として計算されてしまうのです。

なぜなら、無償取引を益金として換算しないと、わざと無償取引を行って益金を減らすことができてしまいます。

そうすると、所得の計算方法からもわかる通り、法人税の支払いを抑えることができるので、無償取引を増やす企業が増えてしまうのです。

無償の事業活動は収益として数えられないと思いがちですが、法人税の対象となることに注意しましょう。


損金に算入できる費用

電卓
法人税の計算上、益金と並んで重要なのが「損金」です。

損金とは、「会社の収益を得るために使用した費用の一部」のことで、全ての費用がこの損金に算入ができるわけではありません。

実際に、損金として算入することのできない費用は以下の通り。

損金に算入できない費用
  • 過大な役員報酬
  • 交際費等
  • 同族経営者間の取引

  • このような費用は意図的にその金額を大きくすることができ、またその利益を個人で独占してしまう懸念があります。

    そのため、損金に算入できる費用についてあらかじめ規定が設けられているのです。

    このように、損金に計上できる費用の種類には限りがありますので、会社の予算や資金繰りをどのように税務上で処理するのか、あらかじめ考えられるようにしましょう。

    ここでは、税務上、損金として扱える費用の種類について紹介をしていきます。


    1.原価

    原価とは、その年度に売れた商品の原価の事です。

    原価計算は簡単で、会計年度初めに保持していた商品の原価と、年度内に仕入れた商品の原価の合計から、年度末に残っていた商品の原価を差し引くことで求めることができます。

    原価=
    (年度初めに残っている商品原価+年度内に仕入れた商品原価)-(年度末に残った商品原価)



    2.販売費、一般管理費、その他

    一般的に、多くの会社の支出が「販売費、一般管理費、その他」に含まれます。

    また、会社の収益を得る以外の目的でも、場合によっては損金に算入することが可能です。

    「減価償却費」や「人件費」などもこれらの支出に含まれています。


    3.損失

    「損失」と聞くと、事故などで「会社の資産を失う」といったことが想像されると思います。

    これは間違いではありませんが、他にも「売却損」「除却損」「評価損」といったものも、損金算入が可能な費用だということは覚えておきたいポイントです。

    これらは、会社が保有している資産を廃棄する場合や、商品を元の販売価格よりも低額で販売して損失が生まれたときに、損金として算入することが可能になります。


    法定実効税率を使用した法人税の計算方法

    電卓
    通常、法人税の計算する場合は、「法人税」単体の税率を使用するのではなく、「法定実効税率」というものを用いて計算を行います。

    というのも、最初に説明したように法人税には、「法人税」「法人住民税」「法人事業税」3種類の税金が含まれているからです。

    法定実効税率とは、これら3種類の法人税率を様々な法人に合わせて正しく換算し、合計したもの。実際に、法定実効税率は以下のように計算が可能です。

    法定実効率の計算方法
    $$\textbf{法定実効税率}=\frac{\textbf{法人税率}×\textbf{(1+法人住民税率)+法人事業税率}}{\textbf{1+事業税率}}$$


    この計算式によって算出された法定実効税率に、会社の所得を掛けたものが支払う法人税の合計金額の目安となります。

    基本的に、法人に課せられる法人税は一定金額の所得や資本金によって税率が定められていることから、法人税の税率もほぼ一定です。

    個人事業主が法人化を考える要因としても、「個人の所得税は累進課税が採用されている」のに対して、「法人税は基本的に一定である」ことが挙げられます。

    つまり、個人に課せられる所得税と違い、法人税は「税率が緩やかに変化する」ということです。

    平成29年10月時点で法定実効率は約30%となっていますが、実際に法定実効税率を用いて法人税の計算を行う際は、しっかりと国税庁のサイトなどで現行の法人税率を確認しましょう。


    いかがでしたか?

    これまでに法人税の種類や法人税の計算方法についてご紹介しましたが、ご理解いただけたでしょうか。

    法人税の計算方法がわかったあなたが次に考えたいのは「いかに法人税を抑えるか?」です。

    その際注意してほしいのが、正しい手段・方法で節税を行うということ。中には、税務署を欺くような手段もありますが、そのような行為は「脱税」とみなされ、延滞税・加算税を支払わなければいけません。

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