事業を次世代に引き継ぐための「事業承継」は、きちんと準備を整え、必要な対策を進めておくことが重要です。

対策を後回しにすると、後継者の選定や資金手当てが間に合わず、引き継ぎそのものが難しくなることがあります。具体的な事業承継の進め方と、生命保険を活用する場合の考え方を見ていきましょう。

早めに準備を進めることで、後継者が段階的に経営を引き継ぎやすくなり、経営者自身も引退の判断をしやすくなります。

円滑に事業承継を進めるためのポイントについて、わかりやすく解説します。

経営者の課題である事業承継で起こりやすい問題とは

後継者を誰にして、どのような引き継ぎ方をするかといった事業承継は、早い段階から取り組んでおくことが大切です。準備が遅れると、株式・資金・人の引き継ぎが間に合わず、計画どおりに進めにくくなることがあるからです。

事業承継は、後継者の育成や株式移転、資金の手当て、関係者調整など、複数の論点が同時に動きます。会社の状況によって必要な期間は変わるため、余裕を持って計画することが重要です。

承継準備の時間が足りないまま代替わりをすると、引き継ぎ後も経営者の影響力が強く残り、意思決定が分散してしまうことがあります。後継者の裁量が小さい状態が続くと、経営のスピードが落ちる要因にもなり得ます。

中小企業では、経営者が長く現場を見てきた結果、会社や事業への思い入れが強いケースも少なくありません。だからこそ、引退のタイミングを早めに見定め、後継者に任せる範囲を段階的に広げていく視点が大切です。

引退年齢の目安は業種や会社規模で異なりますが、引退を意識し始める時期から逆算して準備に着手しておくと、選択肢を広く持ちやすくなります。

後継者不足問題

事業承継を阻む問題の一つに「後継者不足」があります。会社や事業を引き継がせたくても、適切な人材が見つからなければ、引退したくてもできない状態に陥りやすくなります。

親族や従業員だけに限定せず、第三者承継(M&A)を含めて検討すると、選択肢が広がります。

商工会議所などを通じて後継者候補を探したり、従業員の雇用維持などを条件にM&Aを検討したりする方法もあります。あらかじめ複数の方針を用意しておくと、状況に応じて進め方を調整しやすくなります。

一つのプランにこだわりすぎると、事業承継が進まず、経営者が働き続けなければならない状態が続くこともあります。廃業を選ぶ前に、柔軟に検討してみましょう。

事業承継に関連した問題

事業承継は、相続・贈与や資金繰り、金融機関・取引先との関係など、周辺論点も多いため注意が必要です。株式会社の場合、後継者が自社株を取得する必要があり、資金準備が課題になることがあります。

準備が早ければ、金融機関との相談や資金手当てに時間をかけられますが、対策が遅れると資金面で行き詰まる可能性もあります。贈与税・相続税の負担、株式取得資金、承継に伴う運転資金の確保などを見込んでおきましょう。

会社に債務がある場合、整理しないまま後継者に任せると負担が大きくなることがあります。また、代替わりを機に融資条件が見直されたり、取引条件の変更を求められたりするケースもあります。

事業承継の準備に時間をかけないと、役員・従業員の理解が得られにくくなったり、後継者の適性を見極める機会が不足したりします。親族承継では相続のバランスも論点になりやすい点に注意が必要です。

株式会社の場合、相続財産の大半が自社株というケースも珍しくありません。後継者に株式が偏ると、他の親族の不満につながることもあるため、早い段階で家族間の理解を得る準備を進めることが重要です。

思いたったら実践!事業承継対策の準備

事業承継の準備は、早いに越したことはありません。自社の課題を洗い出し、財務状況を確認し、具体的なスケジュールを立てて実行するには一定の期間を要します。

円滑に事業承継を進めるには、やるべきことを分解して順番に進めることがポイントです。後継者候補と対話しながら、段階的に権限と責任を移していく流れをつくりましょう。

会社の財務状況や事業の評価を確認し、承継後も資金繰りに無理がない状態を整えておくことが欠かせません。

経営者が個人資産を会社に貸し付けている場合は、引退前に精算方法を整理しておくと後々の混乱を防げます。また、経営者の個人保証で事業資金を借りている場合は、金融機関に相談して対応方針を固めておきましょう。

不採算部門の見直しや債務の圧縮など、後継者の負担を軽くする取り組みも重要です。将来性や強みを再整理し、承継後の経営が安定しやすい状態を目指しましょう。

引退後の資金確保や、後継者が株式を取得するための準備として、自社株評価の確認も必要です。株式評価は会社規模や評価方式によって考え方が異なるため、前提を確認したうえで検討しましょう。

外部専門家の意見も参考にしながら、株式分割や事業の再編など、状況に合う手段を検討します。保険を含む施策を取り入れる場合も、評価や資金の流れにどう反映されるかを踏まえて判断することが大切です。

事業承継計画を立てる

自社を取り巻く経営状況を把握したら「事業承継計画」を策定しましょう。スケジュールを可視化することで、段取りよく進めやすくなります。

大切なポイントは「経営者が1人で計画を立てない」ことです。後継者や役員・従業員の意見も交えながら、実行できる計画にしていきましょう。

できるだけ多くの社内メンバーが関わることで、方針の共有が進み、承継後の運営も安定しやすくなります。必要に応じて弁護士や経営コンサルタントの助言も取り入れてみてください。

また、非上場株式の相続・贈与に関しては、一定要件のもとで納税猶予・免除を受けられる「事業承継税制」もあります。制度には手続や期限があるため、活用を検討する場合は早めに要件確認を行いましょう。

生命保険でも対策ができる!

事業承継対策には資金が必要となるため、生命保険を活用して資金準備をする方法も選択肢になります。個人契約の生命保険を使う場合もあれば、法人保険として設計する場合もあります。

誰を後継者にして、どのような段取りで事業承継を進めるかによって、適した方法は変わります。親族に引き継ぐ場合は相続の視点が重要になり、従業員承継では自社株を取得しやすい状況づくりが論点になりやすいです。

従業員に事業承継を行う場合は、株式取得資金や承継後の運転資金など、必要となる資金の見積もりを具体化しておくことが重要です。

生命保険の受取人

親族に事業承継をする場合、経営者が個人で生命保険に加入し、受取人を後継者にして資金準備をする方法があります。

受取人として指定できる範囲は、保険会社や商品、契約内容によって取扱いが異なります。希望する受取人を指定できるかは、申込時に確認しておくと安心です。

死亡保険金は、受取人が指定されていれば、遺産分割とは別枠で受け取れる形になります。一方で、税務上は、被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は相続税の課税対象(みなし相続財産)となり、相続人が受け取る場合には非課税枠が設けられています。

また、相続人間の事情によっては配分面で論点が生じることもあるため、保険だけで完結させるのではなく、全体の相続計画とあわせて設計することが大切です。

生前贈与や株式移転を進める場合は、自社株評価の前提(評価方式・会社区分)を確認したうえで、資金・株式・税負担のバランスを検討しましょう。非上場株式の評価方式は、会社規模などにより「類似業種比準方式」「純資産価額方式」などが用いられます。

会社の利益を圧縮する保険

「逓増定期保険」や「長期平準定期保険」などを活用して、事業承継時の資金需要に備える考え方もあります。経営者の退職金準備と合わせて設計されるケースもあります。

ただし、保険料の税務上の取扱い(損金算入・資産計上の要否や割合)は、保険期間や最高解約返戻率、年換算保険料相当額などの条件によって異なります。

一定の条件に該当する場合、保険料の一部を資産計上し、所定期間の経過後に取り崩して損金算入する取扱いとなることがあります。契約内容に即して、資産計上や取り崩しを見込んだうえで設計することが重要です。

また、保険料は比較的高額になりやすく、キャッシュフローへの影響も考慮が必要です。退任時期・資金の使い道・解約のタイミング(出口の考え方)を合わせて設計し、資金繰りに無理が出ないようにしておきましょう。

解約返戻金の受け取りと退職金の支給時期がずれると、会計上の損益が偏ることがあります。受け取り方と支給方法を含めて、全体の資金計画に沿うかを確認することが大切です。

いずれにしても、後継者が自社株を買い取れるように資金の目途を立てておくことが重要です。法人受取とすることで会社側に資金を確保でき、納税資金や株式取得に向けた資金、運転資金などに充当しやすくなる場合があります。実際の資金移転まで含めて、全体の設計を確認して進めましょう。

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事業承継は事前準備が非常に大切

円滑に事業承継を進めるには、事前準備が欠かせません。後継者の選定から承継完了までに必要となる期間は会社ごとに異なり、時間が足りないと引退のタイミングを逃してしまうこともあります。

後継者の育成が不十分だと、不安から経営者の影響力が強く残ってしまうこともあります。承継後も経営権の移譲が進まない状態が続くと、後継者が動きにくい状況が生まれがちです。

経営者自身や後継者、従業員や取引先が納得できる形にするためにも、早い段階で引退の時期と承継の進め方を具体化しておくことが重要です。

自社の将来性や強み、財務状況、取引先との関係を把握し、不採算部門の見直しや債務の圧縮など、後継者が運営しやすい環境を整えていきましょう。

事業承継には資金も必要です。後継者が自社株を取得するための資金、納税資金、承継後の運転資金など、必要となる金額を見積もり、生命保険や法人保険を含む手段で準備することが検討されます。

保険料の税務上の取扱いは契約条件によって異なり、資産計上や取り崩しが必要となる場合もあります。資金準備の目的と整合する設計になっているかを確認しながら進めましょう。

外部専門家の意見も参考にしつつ、事業承継計画を具体化し、後継者との対話を重ねながら、納得感のある承継を目指してください。

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