その他税金対策
仮想通貨で法人税の税金対策

バーチャルマネーは法人税の節約になる?

近年、テレビやネット上でよく耳にするようになった仮想通貨。既にお持ちの方もいるのではないでしょうか。

この仮想通貨は個人だけでなく、法人でも所有することが可能です。では、法人で仮想通貨を所有する場合には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット以外にもデメリットや、個人や個人事業主、法人で所有した場合それぞれ解説しているので、これから購入を検討している方にはおすすめの内容となっています。

既に仮想通貨をお持ちで、税務上どのような扱いになるのかわからないという方にも参考になると思うので、ぜひご確認下さい。

そもそも仮想通貨とは何?

仮想通貨の税金面でのメリットやデメリットを紹介するまえに、まずは仮想通貨とはどのような通貨のことを指すのか?ここでいま一度確認しておきましょう。

仮想通貨というと代表格にビットコインが挙げられますが、実はビットコイン以外にも1,000種類以上もの仮想通貨が存在します。

これらは、英語圏におい「Crypto Currency」と呼ばれていて、日本語では「暗号通貨」と呼ばれています。硬貨や紙幣といった現物は存在せず、電子データのみでやり取りを行い、不正防止のために暗号技術を用いられているのが特徴です。

公的金融機関を介さずに取引きすることができるため、海外送金や海外決済時の手数料を安く済ませられる他、それらに要する時間を大幅に短縮できるといったメリットが挙げられます。

この他、値動きが大きいことも仮想通貨の特徴で、この値動きを利用してリターンを得ようと、多くの投資家たちが投資対象のひとつとして狙いを定めています。

近年では仮想通貨の投資で得た資産が1億円を超えた人を「億り人(おくりびと)」と呼ぶ、新たな言葉も生まれているほどです。

また、株やFXでは取引を行うことができる時間帯に制限がありますが、仮想通貨においては24時間365日インターネットやスマートフォンで取引をすることができます。

この利便性の高さも人気を集めている秘訣と言えるでしょう。次からは個人・個人事業主・法人で仮想通貨を持った場合の税金の違いについて解説していきます。

個人でバーチャルマネーを持つと税金が高い?

2009年に誕生して以来、年々その価値を上げ続けてきた仮想通貨。

2017年にはビットコインが前年比20倍近くもの値上がりを記録するなど、時価総額が高騰し、大きな利益を手にすることができた人たちも珍しくありませんでした。

しかし、仮想通貨を保有して利益が出た場合、その利益部分に対して税金を支払わなければいけません。

これまで新たな通貨である仮想通貨において、税制面が追い付いていないというところがありましたが、取引が急増した2017年、国税庁より「仮想通貨における所得税の基本について」が発表され、取り扱いについて見解が示されました。

これによると、個人で仮想通貨を所有した場合に得た利益は、基本的に「雑所得」として計上されることとなっています。1年間で得た利益が20万円以上となる場合は、確定申告を行って税金を支払う必要があるのです。

また、雑所得は給与などほかの所得と合算して、年間の所得が多ければ多いほど税率が高くなる「累進課税制度」が適用されています。

おおよそでいうと、年間所得が400万円の場合の税率は20%、1,000万円になると33%。4,500万円以上になると45%もの税率となります。(控除などでこの税率にならない場合もあります)

さらにここに住民税10%が課税されるため、仮想通貨で大儲けした場合には55%もの税率が適用されてしまうのです。1億円を儲けて利益確定した場合を仮定すると、なんと5,500万円も税金として引かれてしまい、実際の儲けは半分以下となってしまいます。

株やFX(外国為替証拠金取引)においては、租税特別措置法によって税率が約20%に軽減されるうえ、損失を翌年以後3年に渡って繰り越しする特例が認められています。

しかし、個人で行う仮想通貨は、税率最大55%で、損失を翌年以降に繰り越すこともできないのです。この点は個人で仮想通貨を持つデメリットと言えるでしょう。

個人事業主でバーチャルマネーを持った場合は?

個人事業主で仮想通貨を購入した場合、単なる一個人として申告を行うよりも、経費を計上しやすいというメリットがあります。では白色申告と青色申告で享受できる税金対策は、どのように異なってくるのでしょうか。

白色申告の場合

白色申告をした場合、仮想通貨の利益を得るために要した費用を、必要経費として控除できるとされています。具体的には下記の通り。

  • 仮想通貨の取引において必要となる手数料
  • 仮想通貨の入出金をする際にかかる振込手数料などの手数料
  • 仮想通貨の投資に関する有料情報の購入費
  • 仮想通貨関連のセミナーの参加費や、移動費・宿泊費など

控除の対象であるかどうかは、あくまで仮想通貨取引を直接的に関係があるかどうかによって判断されるようです。

迷うものがあれば、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

青色申告の場合

雑所得ではなく、事業所得として申告をした場合には、青色申告特別控除といって65万円の控除が認められます

例えば、50万円で購入した仮想通貨が、100万円となった場合を仮定して考えてみましょう。この場合50万円の差益となりますが、65万円が控除されることで税金はかからないこととなるのです。

また、仮想通貨の運用益が出た場合、個人事業主では「事業所得」として計上されますが、青色申告であれば赤字の場合において向こう3年に渡って繰り越すことが可能です。

上記より、個人で仮想通貨を購入した場合よりも個人事業主で行う方が税制面におけるメリットは大きく、さらに白色申告よりも青色申告の方が享受できる税金対策は有利と言えます。

法人で仮想通貨を持つメリット!税金対策になる?

これまでに、個人や個人事業主で仮想通貨を購入した場合について説明しましたが、法人の場合ではどうなのでしょうか。まずは法人で仮想通貨を購入するメリットを見てみましょう。

税制面で有利

もちろん法人で仮想通貨を購入した場合も、利益部分に対して税金がかかります。しかし、個人で仮想通貨を持った場合と比べると、税率が大きく異なります。

法人については、法人税・法人住民税・法人事業税の3つの種類の税金がありますが、これらすべてを合わせても税金は最大で35%ほどしかかかりません。

仮想通貨で1億円を儲けたと仮定すると、個人の場合であれば5,500万円が税金として徴収されてしまいます。しかし、法人の場合であれば最大税率が35%であることから、徴収される税金は3,500万円まで引き下げることができます。

そのため、個人に比べると約2,000万円の税制上のメリットが得られるのです。

また、仮想通貨で得た利益を役員報酬や事務所家賃などの必要経費として計上することができるため、利益圧縮にもつながり結果的に支払い税額が減って税金対策することが可能となります。

この経費計上をできる範囲が、個人や個人事業主と比べて増えるという点も魅力のひとつでしょう。さらに、利益を生命保険などに加入して課税繰延を利用するのも良いでしょう。

損益通算ができる

法人で仮想通貨の利益を上げた場合、本業の欠損金を補うことができます。またこれとは逆に、本業で利益が出ているのであれば、仮想通貨の損失を本業の利益と相殺することも可能です。

そして法人であれば、損失を来期以降最大10年間に渡って繰り越すことできるため、経営面においていざというときの救済措置としての役割も果たしてくれます。
(2018年4月1日から始まる事業年度以降に発生した欠損金が対象。それ以前は、繰り越し可能期間は9年間)

個人事業主で青色申告の場合は繰り越し可能な期間は3年間でしたが、この10年という期間は法人で仮想通貨を持つことにおいて大きなメリットがあると言えるでしょう。

仮想通貨で事業化が可能

法人で仮想通貨を購入した場合で、売買成績が良好であればそのまま事業化するということも可能です。

この事業化には、資金調達がしやすくなるということがメリットに挙げられます。個人で事業を行うことに比べ、法人の方が社会的信用度も高くなるため、個人よりもさまざまな方法で資金調達することができます。

そして、その資金を循環させることで、さらに多額の利益を得られるチャンスを手にできるかもしれません。

送金が手軽に行える

冒頭でも少し述べましたが、仮想通貨のメリットのひとつに送金を手軽に行うことができる点が挙げられます。

例えば、日本からアメリカに50万円を送金する場合、送金手数料として約1万円が必要であると言われています。送金する国によってはもっと高い手数料が取られてしまったり、日数も数週間以上かかってしまったりするケースもあるでしょう。

しかし、仮想通貨なら互いに口座を保有していれば、法定通貨の海外送金に比べて手数料を安く抑えることができ、期間も早めることが可能です。また通貨を両替する必要もないため、為替リスクを無くすこともできます。

このことから、貿易の決済手段として今後も仮想通貨が使われる場面が増えていくことが予想されています。

これらは個人においても同様ではありますが、取引先や支店を海外に持つ法人の場合においても、このメリットを享受できるというのは大きいと言えるでしょう。

法人で仮想通貨を持つデメリット!

では、法人で仮想通貨を持つデメリットには、どのようなものが挙げられるのでしょうか。

利益が低い場合は個人に比べて税金が高くなる

法人税の税率は、利益に応じて変わるものではありません。一般的な企業であれば、税率は20%~35%前後と考えられます。一方、個人が負担する所得税や市民税は、課税所得が低い場合15%~20%程度となります。

そのため、課税所得が少ない場合においては、個人よりも法人の方が高くなると言えるでしょう。

税制改正の可能性

仮想通貨関係の法整備が、現在予想されていたよりも急ピッチで進められています。そのため、税制改正で税率が変更される可能性も考えられるかもしれません。

例えば税率が株やFXのように、20%と改正されれば、税制面では法人よりも個人で仮想通貨を持つ方が有利になってしまいます。

また、現在では仮想通貨の簿価(取得した金額、利益確定した金額)の計算に対して課税される仕組みとなっていますが、税制が変われば利益確定をしない場合でも、「含み益」や「時価」に対して課税される可能性も出てくるかもしれません。

少なくても現時点では2019年(平成31年)は現状が維持される見込みとなっていますが、今後の動向には注意が必要と言えるでしょう。

税務調査の可能性

個人で仮想通貨を保有するよりも、法人で行う方が税務調査される可能性が高いと言えるかもしれません。

仮想通貨の取引は複雑ではないものの、法人における取り扱いの詳細が正式には発表されていないため、正しい処理方法が分からないということもあるでしょう。

このことから、追加で税金が課税されるというリスクがあるかもしれないということを理解しておくようにしましょう。

法人口座の開設時に気を付けるべきポイント

すべての仮想通貨の取引所において、法人の口座開設を受け付けているわけではありません。

法人の口座開設を受け付けている取引所ももちろんありますが、個人に比べて審査が厳しく行われるため、開設を受け付けてもらえなかったり、開設までに時間を要したりするケースも考えられます。

そのため、口座を開設する際は期間に余裕を持っておくこと、そして希望の取引所で開設できない可能性もあることも想定しておく方が良いでしょう。

しかし、その一方で法人向けのサービスとして、開設時にかかる手数料を無料としているところも存在します。開設前にはそれらの点も踏まえて、どこで開設するべきかを検討するようにしましょう。

海外での法人口座は開設可能か

海外の仮想通貨取引所において法人口座を開設する場合、海外法人を設立し、その法人名義で法人口座を開設することは特に問題はないとされています。

設立する国にもよりますが、日本よりも税率が安くなるケースもあり、条件によっては大きな税制上のメリットを享受できる可能性もあるでしょう。しかし、国内法人の名義で海外に口座開設するとなると、問題が発生する可能性も考えられます。

海外の取引所における法人口座開設は、審査の基準や提出書類などが不明確であり、審査に通ることが国内に比べ難度が高まります。また、仮に開設できたとしても、税金面での問題が残されてしまいます。

国内法人は税務上では日本の法人であるため、日本で納税する義務があるからです。そのため、国内法人名義で海外取引所にて利益を得たとなると、どこで納税すべきなのかという課題が出てきてしまいます。

このあたりの課税関係が現時点ではまだ明確でないことから、海外法人を設立して口座開設する方がスムーズに進めることができるでしょう。

メリット・デメリットの両方に着目して検討しよう

法人で仮想通貨を所有した場合、いくつかの税制上のメリットがあることが分かりました。

仮想通貨は新しい通貨であり、税制面においてもまだ整えられていない部分もあります。今後仮想通貨がどのような位置づけになるのかは分かりませんが、大きな未来があると考えている人も多くいます。

確実に利益が出るとは限らず、相応のリスクもありますが、利用することでのメリットもあるため、この機会に一度検討してみるのも良いかもしれません。

また、当サイトでは「リスクを考えると仮想通貨にはちょっと手が出しづらい・・・」という方向けに、税制上のメリットのある商品をご紹介しています。以下のページでは、3つ厳選してご紹介しています。

毎年の高い税金にお悩みの方はぜひ一度ご確認下さい。

関連:法人・富裕層向け税金対策について

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