生命保険
逓増定期保険と長期平準定期保険の違い | 活用時の注意点も解説!

逓増定期保険と長期平準定期保険の違いを比較!それぞれのメリットとデメリットについて

逓増定期保険と長期平準定期保険の違い | 活用時の注意点も解説!

逓増定期保険や長期平準定期保険は、法人向けの生命保険として広く活用されています。

いずれも企業の事業保障や退職金準備などに効果的ですが、それぞれ仕組みも特徴も異なるため、どちらを選ぶべきか迷うことも多いのではないでしょうか。

この記事では、逓増定期保険と長期平準定期保険の違いを整理し、それぞれの特徴や活用方法について詳しく解説していきます。

2つの違いを理解し、自社に適した保険を選べるようにしましょう。

逓増定期保険と長期平準定期保険の違いとは?

逓増定期保険と長期平準定期保険の違いとは?

ここでは、「逓増定期保険」と「長期平準定期保険」それぞれの違いを詳しく解説します。

逓増定期保険の特徴

逓増定期保険は、一定期間が経過すると保険金額が増えていく点が特徴の保険です。企業の成長や経営者の責任が増すタイミングに合わせて、手厚い保障を用意できます。

加入時の保険金額は低めですが、契約時に設定した増加率に応じて毎年増えていきます。たとえば、基本の保険金額が1億円の場合、最終的に5億円まで増額するケースもあります。

解約返戻金のピークは加入後5〜10年で訪れるため、短期間での資産形成にも向いているのも逓増定期保険の特徴です。

長期平準定期保険の特徴

長期平準定期保険は、加入期間中の保険金額が変わらない点が特徴の保険です。たとえば、1億円の保険に加入した場合、契約期間を通じて死亡保険金はずっと1億円のままとなります。

保険料は逓増定期保険と比べて割安なケースが多く、解約返戻金のピークは10年~30年後に迎えます。そのため、逓増定期保険とは違い、長期的な視点で資産計画を立てるのに適しているのが特徴です。

事業資金や退職金の準備に活用しやすく、安定した保障を確保したい企業に向いています。

逓増定期保険と長期平準定期保険の違い比較

逓増定期保険と長期平準定期保険の違いを整理して比較すると、以下のようになります。

比較項目 逓増定期保険 長期平準定期保険
保険金額の変化 時間とともに増加する 一定額が維持される
解約返戻金のピーク 加入後5〜10年で訪れる 契約期間の後半で訪れる
保険料の変化 時間とともに増加する 一定額を維持しやすい

このように、逓増定期保険と長期平準定期保険には、それぞれ違いがあります。

どちらを選ぶべきかは、会社の資金計画や将来の資金準備の方針によって変わってきます。

逓増定期保険のメリット・デメリット

逓増定期保険のメリット・デメリット

ここからは、各保険のメリットとデメリットを、他の定期保険との違いも踏まえつつ解説します。

まずは、逓増定期保険のメリットとデメリットです。

メリット①:保険金額が年々増加し、事業保障に活用できる

逓増定期保険は、経過年数に応じて保険金額が最大5倍に増加します。企業の成長に伴い、必要な保障額が大きくなるタイミングに合わせて保険金が増えるため、事業保障の強化につながります。

たとえば、経営者が急逝した際の事業継続資金や、役員退職金の準備に活用できます。

通常の定期保険では契約時の保険金額が固定されますが、逓増定期保険は将来的に保障額が増える点が大きな違いです。

そのため、事業の成長に合わせた備えをしたい企業に適しています。

メリット②:解約返戻率のピークが5~10年と早い

逓増定期保険の解約返戻率は、一般的に5~10年でピークを迎えます。比較的短い期間でピークになるため、企業の資金需要に応じた柔軟な活用が可能です。

たとえば、役員退職金の支払いや設備投資のタイミングに合わせて保険を解約すれば、まとまった資金を確保できます。

通常の定期保険は解約返戻率のピークが遅いものが多いため、資金の流動性を考えると逓増定期保険には大きな違いがあるといえます。

デメリット①:保険料が高額になりやすい

逓増定期保険は、契約当初から保険金額が増加する仕組みのため、通常の定期保険と比べると保険料が高くなりがちです。そのため、長期的な支払い負担を考慮する必要があります。

同程度の保障内容の他の定期保険と比べると、逓増定期保険の方が年間で数十万円以上高くなる場合もあります。

特に中小企業では、毎年の保険料負担が経営に影響を与える可能性があるため、企業の財務状況を考慮しながら慎重に加入を検討することが大切です。

デメリット②:近年の税制改正による影響がある

2019年の税制改正により、生命保険の損金算入ルールが変更されました。以前は保険料の全額を損金算入できるケースがありましたが、現在は一定の制限が設けられています。

具体的には、改正後は保険料の一部しか損金として認められず、節税効果が小さくなっています。通常の定期保険と比べても、税制面での取り扱いに違いがあり、以前よりも節税対策としての活用が難しくなりました。

そのため、節税を主な目的として逓増定期保険を検討する場合は、他の保険との違いを理解し、最新の税制を確認しながら判断することが重要です。

長期平準定期保険のメリット・デメリット

長期平準定期保険のメリット・デメリット

ここからは、長期平準定期保険のメリット・デメリットを解説します。

メリット①長期間の保障が得られる

長期平準定期保険は、最大で100歳までの長期間にわたる保障を受けられるのが特徴です。

逓増定期保険との違いとして、保険料が契約時に固定され、満期まで変わらない点が挙げられます。途中で保険料が上がることがないため、資金計画を立てやすくなります。

また、契約内容によっては、一定額以上の保険金を設定すると保険料の割引が適用されることもあります。

メリット②解約返戻率のピークが長期間維持されやすい

長期平準定期保険は、一度ピークに達すると、その状態が長く続きやすいのが特徴です。

逓増定期保険とは違い、解約返戻率が高い状態を長期間維持できるため、適切なタイミングで解約すれば、企業の資金確保や経営者の退職金の準備に活用しやすくなります。

一方で、解約返戻率のピークに達するまでに時間がかかる点には注意が必要です。

デメリット①逓増定期保険に比べて返戻率のピークが遅い

長期平準定期保険は、解約返戻率が高まるまでに20〜30年を要します。

逓増定期保険のように5〜10年でピークに達するわけではないため、短期間で資金を確保したい場合には不向きです。

反対に、長期的なスパンで資金を積み立てたいときは、長期平準定期保険のほうが向いています。

デメリット②逓増定期保険と同様に節税効果は以前より低い

長期平準定期保険と逓増定期保険にはさまざまな違いがありますが、節税効果の低下という共通点もあります。

税制改正により、保険料を費用として計上できる金額が減ったため、以前のような節税効果は期待しにくくなっています。解約返戻金や保険金には課税されるため、節税目的での加入を考える場合は注意が必要です。

それぞれどのような企業に向いている?

それぞれどのような企業に向いている?

逓増定期保険と長期平準定期保険の違いを踏まえたうえで、それぞれにおすすめの企業の特徴を紹介します。

逓増定期保険は、保険金額が徐々に増えていく点や、比較的早い段階で解約返戻金がピークを迎えることから、保険を柔軟に活用したい場合に向いています。

具体的には、以下のような企業が挙げられます。

  • 企業の成長に合わせて保障を増やしたい
  • 比較的早い段階で資金を確保したい
  • 退職金や事業承継のためにまとまった資金を準備したい

一方、長期平準定期保険は契約直後から保険金額が高額であることや、長期的な保障を受けられることが特徴なので、長期的かつ安定的に保障を受けたい場合におすすめです。

具体的例としては、下記にあてはまる企業が挙げられます。

  • 一定の保障を長期間維持したい
  • 計画的に資金を確保したい
  • 長期的な保障を確保したい

保険の違いと目的から見た使い分け方

保険の違いと目的から見た使い分け方

ここまで解説したとおり、逓増定期保険と長期平準定期保険には大きな違いがあります。

一方で、企業が法人保険に加入する目的にも、さまざまな動機があるでしょう。

ここからは、法人保険の具体的な活用目的から、各保険の違いを踏まえて適切な選び方を紹介します。

法人保険で事業保障資金を準備する

経営者の急な不在や思わぬトラブルに備えるため、事業保障資金を確保しておくことが大切です。

法人保険を活用すれば、運転資金や借入金の返済資金を準備でき、万が一の際も事業を継続しやすくなります。

資金が必要になる時期に応じて、選ぶべき保険のタイプが異なります。短期間で準備したいのか、長く確保したいのか、それぞれのケースを見ていきましょう。

逓増定期保険がおすすめの場合

短期間(10年以内)でまとまった資金を準備したい場合は、逓増定期保険が適しています。

契約から数年で保険金額が増え、解約返戻金も早い段階で大きくなるため、急な資金需要にも対応しやすくなります。

長期平準定期保険がおすすめの場合

長期的に安定した事業保障を考えるなら、長期平準定期保険が向いています。保険金額が一定のため、長期間にわたるリスク管理に適しています。

企業の状況に合わせて、どちらの保険が適しているかを検討することが重要です。

退職金・福利厚生として活用する

法人保険を活用すれば、役員や従業員の退職金を計画的に準備でき、企業の財務負担を分散できます。

また、福利厚生の充実にもつながり、従業員の安心感も高められます。

退職金の対象や活用目的によって、適した保険が変わります。役員向けなのか、従業員向けなのか、それぞれの特徴を紹介します。

逓増定期保険がおすすめの場合

役員退職金の準備には、逓増定期保険が適しています。契約後しばらくすると返戻金が増え、退職のタイミングに合わせて活用しやすくなります。

長期平準定期保険がおすすめの場合

従業員の退職金や福利厚生を長期的に確保するなら、長期平準定期保険が適しています。保険金額が一定で、100歳まで継続するものもあるため、安定した福利厚生制度として活用できます。

また、死亡退職金や弔慰金の準備にも使えるため、従業員の安心感を高め、会社への信頼やモチベーション向上にもつながります。

適切な福利厚生の整備は、企業の魅力を高めることにもつながるでしょう。

解約返戻金を資金調達に使う

法人保険の解約返戻金は、事業資金の調達手段としても活用できます。適切に運用すれば、必要なタイミングで資金を確保しやすくなります。

逓増定期保険がおすすめの場合

短期間でまとまった資金を用意したい場合は、逓増定期保険が適しています。契約から数年で返戻金が増えるため、早めに資金が必要なときに役立ちます。

長期平準定期保険がおすすめの場合

将来的に資金を確保したい場合は、長期平準定期保険が適しています。契約期間が長く、時間をかけて返戻金が増えていくため、長期的な資金準備として活用できます。

解約返戻金は課税対象になる点に注意

逓増定期保険・長期平準定期保険のどちらも、解約返戻金は法人の利益として計上されるため、課税対象になります。解約時の税務上の影響を考慮し、事前に確認しておくことが大切です。

また、退職金の支払いと組み合わせることで利益を相殺し、税負担を抑えられるケースもあります。法人保険を活用する際は、税理士や保険会社の担当者と相談しながら進めるのが安心です。

適切な運用を心がけることで、解約返戻金を有効に活用できます。

まとめ

まとめ

今回は、逓増定期保険と長期平準定期保険の違いについて解説しました。

重要なポイントをまとめると、以下のとおりです。

  • 逓増定期保険は一定期間ごとに保険金額が増えるため、企業の成長に合わせた保障が可能
  • 長期平準定期保険は保険金額が一定で、長期間安定した保障を確保できる
  • 解約返戻金のピークは逓増定期保険が5~10年、長期平準定期保険が20~30年と異なる

逓増定期保険は、短期間で資金を準備したい場合や、事業の成長に合わせて保障を増やしたい企業に適しています。

一方、長期平準定期保険は、計画的に資産を積み立てたい場合や、長期間にわたる事業保障を考えている企業向きです。

どちらを選ぶかは、企業の目的や資金計画によって変わります。それぞれの違いをしっかり確認し、最適な保険を選ぶことが大切です。

法人保険の活用を検討している場合は、保険会社や専門家に相談し、自社に合ったプランを選びましょう。

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