PL保険とは、製造物に起因する損害賠償を保障する保険です。
多額の賠償リスクに備えられますが、いざ加入するとなると、気になるのは保険料などの費用です。賠償リスクの備えは重要ですが、日々の資金繰りが苦しくなれば元も子もありません。
この記事では、PL保険加入にかかる費用相場や、補償される損害範囲までを解説します。
保険料の支払い事例や契約時の注意点もお伝えするので、PL保険加入を検討中の経営者や担当者は、ぜひ参考にしてください。
PL保険の費用は年間数万〜数十万円が相場
結論から伝えると、PL保険の費用相場は年間数万円〜数十万円です。
業種や売上高で費用は大きく異なるため、自社に合ったプランを選ぶことが大切です。
保険商品によって費用の算出方法にも違いがあるため、まずは見積もりを取って内訳をしっかり確認しましょう。
費用は業種や売上高で大きく異なる
PL保険の保険料を決める主な項目は、次の通りです。
- 業種
- 売上高
- 支払い限度額
- 付帯特約
- 免責金額
業種や売上高など、自社の経営状況によって費用は大きく変わります。
その他、保険料は保険の対象が生産物(商品や飲食店の提供物)なのか、仕事の結果(工事のミスなど)によるものなのかによっても変わります。
また、特約の数が多いほど補償内容は充実しますが、その分保険料も高くなります。費用を抑えるためには、自社にとって本当に必要な特約を厳選する必要があります。
保険料に決まった計算式はある?
PL保険の保険料は、保険会社がそれぞれ独自の計算式を用いるため、定型の計算式はありません。
一般的な例としては、下記のような計算式が挙げられます。
基本保険料 = 年間売上高 × 業種ごとの料率 + 特約料 – 免責金額分の割引
免責金額とは、損害発生時に契約者が負担する金額です。免責金額の割合が大きいほど、保険料も安くできます。
保険料の例
費用感をより具体的にお伝えするため、ここからは実際に保険会社が提供している保険料例を紹介します。
あくまで事例の1つなので、実際にどの程度の費用になるかは、FPなどの専門家に相談しましょう。
参考:https://www.ms-ins.com/pdf/business/indemnity/pl.pdf|三井住友海上「生産物賠償責任保険」
事例1.飲食店
年間売上高見込みが3億円の飲食店で、支払い限度額を以下のように設定した場合、保険料は約306,000円です。
区分 | 身体障害 | 財物損壊 |
---|---|---|
支払い限度額(1名につき) | 1億円 | – |
支払い限度額(1事故につき) | 2億円 | 1,000万円 |
支払い限度額(保険期間中) | 2億円 | 1,000万円 |
免責金額(1事故につき) | 1,000円 | 1,000円 |
飲食店では財物損壊が起こりにくいことから、支払い限度額を低く設定し、保険料の負担を抑えているのがわかります。
事例2.ビル建設業
年間の完成工事高見込みが5億円のビル建設業で、支払い限度額を以下のように設定した場合、保険料は約293,000円です。
区分 | 身体障害 | 財物損壊 |
---|---|---|
支払い限度額(1名につき) | 5,000万円 | – |
支払い限度額(1事故につき) | 3億円 | 3,000万円 |
支払い限度額(保険期間中) | 3億円 | 3,000万円 |
免責金額(1事故につき) | なし | なし |
建設業などでは大型の事故を想定して、支払い限度額を高めに設定するケースが多いです。
保険料の支払い方法
PL保険の保険料の支払い方法は「一括払い」と「分割払い」から選択できます。
それぞれのメリット・デメリットを比較して、事業に支障の出ない支払い方法を選択しましょう。
一括払い:手数料を節約したい場合におすすめ
一括払いは手数料を節約したい方におすすめです。
手数料がかからず、保険期間中の支払い忘れも防げるのがメリットといえます。
ただし、まとまった資金が必要なので、ある程度資金にゆとりがあるときに選択したい支払い方法です。
分割払い:資金繰りを重視する場合におすすめ
分割払いは資金繰りを重視したい方におすすめです。
1か月や3か月払いなど支払い期間は保険会社によって違いますが、少しずつ支払うため資金繰りがしやすくなります。
ただし、手数料がかかる場合があり、保険料が割増になる恐れがあります。
また、分割保険料の支払いを忘れると補償が受けられなかったり、契約が解除されたりするので注意が必要です。
「カレンダーに請求日・請求額を記載する」「スマホのリマインダー機能を使う」など、支払い忘れのないように工夫しましょう。
加入は必要?PL保険の費用対効果
PL保険は賠償リスクを防ぐ重要な保険ですが、費用対効果について疑問がある方もいるのではないでしょうか。
具体的な補償内容や補償の対象外の事例を紹介するので、自社の事業内容に必要かいま一度確認してみましょう。
具体的な補償内容
PL保険では、主に5つの補償を提供しています。
保険金の種類 | 補償内容 |
---|---|
損害賠償金 | 損害を与えた被害者に対して支払う賠償金を補償。 |
訴訟費用・争訟費用 | 賠償責任や弁護士費用などを補償。裁判に敗訴した場合の賠償金も補償される。 |
緊急措置費用 | PL事故による応急手当てにかかった費用を補償。 |
損害防止軽減費用 | PL事故発生後の被害拡大を抑えるためにかかった費用を補償。 |
保険会社からの協力費用 | 保険会社が事故を解決するために協力した費用を補償。 |
実際の補償内容や範囲は保険会社によって異なるため、契約前にしっかり確認しましょう。
適切に使い分けることで、ムダな出費を抑えられて費用対効果を上げることができます。
納品前の事故やリコール回収費用は対象外なので注意
幅広い損害賠償に対応するPL保険ですが、「納品前の事故」や「リコール回収費用」は補償の対象外なので注意しましょう。
例えば「作業中に資材が落下して通行人にケガをさせてしまった」というケースに備えたい場合は、請負業者賠償責任保険など別の保険が必要となります。
ただし、リコール回収費用などはPL保険の特約でカバーできる場合もあるため、保険会社に相談してみましょう。
納期遅延などによる経済損害は補償されない
一般的に、PL保険では納期遅延などによる経済損害は、補償の対象外になります。
例えば「新しく導入した機械が動作不良を起こし、納品に遅れが生じて損害賠償を請求された」というケースです。この場合、他人や物がケガ・損壊をしたわけではないので、PL保険でカバーできません。
近年は事業者の賠償意識の高まりを受け、業務上の過失・怠慢に起因する損害を補償するE&O保険という保険も誕生しています。備えたいリスクに合わせて、柔軟に保険商品を選択しましょう。
まとめ
PL保険に加入すると、万が一PL事故が起こった場合でも多額の賠償リスクに備えられます。
PL保険の費用相場は、年間数万〜数十万円です。実際の費用は業種や売上高で大きく変わってくるので、補償内容と合わせて契約前に必ず確認するようにしましょう。
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